2012年度から全国の中学1、2年で始まった武道必修化を巡り、柔道を選択した北海道内の公立中学校計438校のうち、少なくとも10校の男女12人が授業中に骨折していたことが25日、読売新聞の調べで分かった。 受け身などの練習中に骨折したケースが目立つ一方、柔道以外の武道を選択した学校では大けがの事例の報告がなかったことも判明した。柔道では、丁寧な指導が必要な実態が改めて浮き彫りとなった。 道教育委員会と札幌市教委に読売新聞がアンケート調査を実施したところ、道内の公立中学計638校のうち約3分の2が柔道を選択した。重複選択も含め、剣道は157校、相撲は36校、空手や合気道などの「その他」は11校だった。 柔道では、1月末までに男子8人と女子4人が鎖骨や足の指、鼻の骨などを折っていた。柔道以外の武道では、全治3週間以上の大けがの報告は道教委や市教委になかったという。 札幌市を除く道教委管
柔道事故への注意記事 掲載見送り 1月25日 16時27分 文部科学省の外郭団体「日本スポーツ振興センター」の名古屋支所が、来月の機関誌で予定していた柔道の部活動や授業中の死亡事故への注意を呼びかける特集記事について、「中学の武道必修化が始まる前の掲載は慎重にすべきだ」という本部からの指摘を受けて掲載を見送っていたことが分かりました。記事を依頼された専門家は「注意喚起の機会が奪われ残念だ」と話しています。 「日本スポーツ振興センター」の名古屋支所は、来月の機関誌に掲載するため、中学や高校の柔道の部活動や授業中の事故で、おととしまでの28年間に114人が死亡していることを発表した名古屋大学の内田良准教授に、事故の特徴や対策を盛り込んだ特集記事を依頼しました。しかし、直前になって掲載を見送りました。名古屋支所によりますと「東京の本部から『中学の武道必修化が始まる前の掲載は慎重にすべきだ』などと
2012年度から中学校で柔道などの武道が必修化される。一方、直近27年間で中高生らが柔道の部活動と授業で110人死亡し、他競技と比べ「突出して多い」との指摘もある。柔道事故で子どもを亡くすなどした家族らが今10年春に被害者団体をつくり、再発防止に向けた活動を始めている。 明日6月16日、全日本柔道連盟(財団法人)は理事会などを開き、「安全指導プロジェクト」発足の承認について協議する。約30人のチームを立ち上げ、都道府県の関係者と連携しながら「今まで以上」の安全指導を徹底する計画だ。 シンポジウムに柔道、医療、教育関係者ら この計画は、6月13日に東京都内であったシンポジウムで柔道連盟関係者が明らかにした。このシンポは、柔道の事故で子どもが亡くなったり障害を負ったりした家族らが10年3月に設立した「全国柔道事故被害者の会」が開いた。柔道関係者や医療、教育、行政関係者ら約150人が参加した。シ
学校での柔道事故を巡っては、受け身の習得が不十分なまま投げ技練習に参加したり、頭を打った後に適切な救急措置を受けられなかったりした生徒が死亡するケースが後を絶たない。 名古屋大の内田良准教授(教育社会学)によると、柔道事故で死亡した中学、高校生は1983~2010年度の28年間に全国で114人(中学39人、高校75人)。中高ともに1年生が半数以上を占め、計14人が授業中の死亡例。また、後遺症が残る障害事故も83~2009年度で275件あり、3割は授業中だった。 中学の部活動における競技別の年間死者数(2000~09年度の平均、10万人当たり)を見ると、柔道が2・376人で、2番目のバスケットボール(0・371人)に比べても圧倒的に多い状況だった。死亡原因の大半は頭部外傷で、内田准教授は「首の筋力などが未発達なうちに、安易に立ち技や乱取りを行わせるのは危険」と警鐘を鳴らす。
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