岸田文雄首相の政権運営で混迷が深まっている。本来なら内閣の不祥事などの際に前面に立って差配するのが官房長官の役割だが、自民党派閥の裏金疑惑が松野博一官房長官を直撃して機能不全に陥っていることが、今回の事態収拾を難しくしている。後任人事が難航する中、岸田派の政治資金パーティー収入を巡る政治資金収支報告書の過少記載疑惑も浮上し、首相はさらに窮地に陥っている。 「政策に遅滞を生じさせないためにどうあるべきなのか、国民の声に応えるためにどうあるべきなのか、適切な対応を考えたい」。首相は12日、衆院本会議で松野氏に対する不信任決議案が否決された後、松野氏の交代について記者団に問われ、こう述べるにとどめた。 官房長官は首相を支え、他の閣僚や各省庁、与党などと重要政策の調整などを担う「内閣の要」だ。北朝鮮による弾道ミサイル発射などの緊急事態の際には情報収集や政府対応の陣頭指揮を執るほか、政務三役の不祥事