新たに間接選挙制の大統領として国家を代表する国務委員会委員長に就任した金正恩は、4月12日に最高人民会議第14期第1回会議の2日目で、施政演説を行った。同じく間接選挙制の大統領としての主席であった金日成が1990年5月24日に最高人民会議第9期第1回会議で語った施政演説以来であるから29年ぶりである。おそらく2月末の米朝首脳会談を成功させ米国を訪問する準備であったはずの大統領制移行と、その成果を発表するための施政演説だったのであろう。 しかし、施政演説で金正恩が語ったのは怒りに満ちた米国批判であった。「最近、我が核戦力の急速な発展の現実から自分たちの本土の安全に恐れをなした米国は会談の場に出てきて、一方では関係の改善と平和という風呂敷包みをいじり、他方では必死に経済制裁に執着しながら、なんとしても我々が進む道を逆戻りさせ、先武装解除、後体制転覆の野望を実現する条件を整えようと非常に躍起にな