「息ができない」と書かれたマスクをし、ホワイトハウス周辺での抗議デモに参加する女性=ワシントン、ランハム裕子撮影、2020年6月6日 黒人として生きるとは④はこちら マンス・トンプソンさん(東京、写真家、47歳) ミシガン州で、ともに高学歴を持つ両親の元に生まれたマンスさんは、父親が大学で教職に就いたのをきっかけに、生まれて間もなく引っ越しを繰り返した。栄養士の資格を持つ母親も大学で栄養カウンセラーとして働いていた。幼少期を過ごしたワシントン州シアトルでは、白人が多い環境にいたため黒人の友達はいなかった。学校で黒人は、姉と自分の二人だけだった。 母と姉と一緒に、お祭りのパレードを見に行った時のことだった。背後にいた白人女性の親子は、後ろではパレードが見えないという理由で、マンスさんたちに苛立ちをあらわにした。身動きが取れない人混みの中で、女性が母親に何かを言う。その時だった。母親の体は怒り