世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を巡り、フランスの反セクト(カルト)法が話題だ。仏は、宗教と政治を厳格に分離する「ライシテ」体制でも知られる。その背景には、多文化共生や民主主義の問題にもつながる大切なポイントが垣間見える。ライシテを研究する伊達聖伸東京大教授は「日仏の政教分離を比較すると、日本の宗教を取り巻く状況の一端がわかる」と話す。【聞き手・鈴木英生】 公的空間で徹底して宗教を規制する仏 ライシテとは何か。その理解は、立場によりさまざまで一概には言えない。単に政教分離の法的枠組みというだけでなく、フランス共和国の価値の根幹とまで言われ、ときには、すべての宗教の上に立つ、超越的な宗教のような姿で立ち現れることすらある。 ライシテ体制は、米国などの政教分離より新しく、1905年の政教分離法で成立した。それまでは、国家がカトリックとプロテスタント、ユダヤ教だけを公認・管理して、聖職者