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小田嶋隆の検索結果241 - 280 件 / 806件

  • 音楽は政治と分離できるか

    この5日ほど、「音楽に政治を持ち込むな」という声が各方面から聞こえてくる。 この話題は、私の知る限り、もう5年ぐらい前からくすぶっていて、時々思い出したようにインターネット上で再燃している。 今回の再炎上は、フジロック(正式には「フジロックフェスティバル」)という1997年以来毎年開催されている野外ロックフェスティバルに、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)の代表理事である奥田愛基氏がキャスティングされたことに端を発したものだ。 ツイッター上でも「#音楽に政治を持ち込むなよ」というハッシュタグ(特定の話題を #〔ハッシュ記号〕付きの表題でまとめる機能)が登場して、以来、議論が白熱している。 音楽一般や政治全般の話をする前に、このたびのフジロックに津田大介氏と奥田愛基氏が出演する問題に限定して、私の結論を明らかにしておく。 現在、ネット上で展開されている論争は、「音楽とは何か」

      音楽は政治と分離できるか
    • 水を選ぶ魚:日経ビジネスオンライン

      やしきたかじんさんが亡くなった。 私は、追悼のための原稿を書こうとしているのではない。 追悼をしようにも、私は、やしきたかじんという人について、ほとんど何も知らない。 おそらく、彼がテレビに出ている姿を見た時間を生涯通算で積算してみても、1時間に満たないと思う。その程度のつながりで、あれこれと追悼の言葉を並べるのは失礼というものだ。 とはいえ、彼の死がニュースとして配信されて以来のこの二日ほどの間、ツイッターのタイムラインや各種のニュースソースを眺めながら、いささか思うところがなかったわけではない。 私が抱いたいくばくかの感慨は、直接にたかじんさんについて思ったり感じたりしたところのものではない。 とはいえ、私個人としては、現在のこの気持ちをそのまま記録として残しておくことに、一定の意味があるように思えるのだ。 理由は、明示的な言葉で端的に説明できる種類のものではない。 どうにも漠然として

        水を選ぶ魚:日経ビジネスオンライン
      • アゲハはもう飛ばない:日経ビジネスオンライン

        女性誌「小悪魔ageha」などを出版していたインフォレストが、4月15日付けで事業停止した。 幸か不幸か、私はインフォレストとは付き合いがなかった。 なので、義理のある人間はいない。不払いその他のトラブルも発生していない。 同社の出版物の読者だったこともない。 とはいえ、出版業界に関連するこの種の出来事(「倒産」ということですが)には、慣れることができない。 毎度のことではあっても、必ず、一定のダメージを受ける。 近親者の訃報。 知人の入院。 雑誌の休刊。 出版社の消滅。 年を取るということは、周囲の環境が衰えるということでもある。 小悪魔は、美魔女にはならなかった。 彼女たちは、年を取るぐらいなら、むしろ、消えることを選ぶキャラクターだった。 それはそれで、筋を通したということになるのだと思う。 伝えられているところによれば、「小悪魔ageha」は、ピーク時の2009年3月期には売上高7

          アゲハはもう飛ばない:日経ビジネスオンライン
        • トランプという「いやがらせ」

          ここしばらく、アメリカ合衆国(以下アメリカ)の大統領候補指名選挙に注目している。 振り返ってみれば、前回のオバマさんの時も、その前のブッシュさんがゴアさんと接戦を演じた選挙戦の折りも、熱心に経過を追いかけていた記憶がある。 で、いつの間にやらアメリカの選挙システムや州単位での票読みの特徴や、民主党と共和党の主張の違いならびに支持母体の変遷などなどについて、雑多な知識をかかえこんだ変なおじさんになっている。 今回の大統領選についても、自分としては珍しく、こまごまと勉強している。 アメリカ政治のアナリストになりたいとか、人前に出ていっぱしの解説をカマしたいとか、そういう野心を抱いているのではない。 ただ、興味と関心のおもむくままにバックナンバーを掘り出しにいったり、雜誌の特集ページをクリップしたり、各方面の資料を収集しているうちに半可通になってしまったということだ。 感触としては、サッカーにハ

            トランプという「いやがらせ」
          • 田舎者の国際戦略を考える:日経ビジネスオンライン

            3月14日付の読売新聞朝刊は、「安倍首相、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加を15日に表明」という見出しで記事を掲載している。 一行目を読んで、失礼ながら、笑ってしまった。 後半部分の動詞の重複に注目してほしい。 《交渉に「参加する」考えを15日に「表明する」方針を「固めた」。》 なんというまわりくどさだろうか。 TPP関連の記事は、ずっとこんな感じだ。具体的に言うと 「参加の決意を固めたことを表明する選択肢を検討している」 だとか、 「周辺が首相に参加の意思表示の明確化を促している件について、内々に反対の意向を伝えた議連は……」 みたいな、異様にまだるっこしい修辞法が横行しているのだ。 このことは、TPP交渉への参加が、政権発足当初から、既定路線だったことを示唆している。 つまり、この三カ月ほどは、いつ、どのタイミングで参加の意思を公にするのかについて、関係者が周囲の顔色をうかがって

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            • 内向きな若者じゃダメですか?:日経ビジネスオンライン

              サッカーの日本代表チームが好調だ。開催中のアジアカップでは、グループリーグを一位で勝ち上がって、決勝トーナメントにコマを進めている。 先行きについてはまだ不透明な部分もあるが、今大会の結果がいずれに転ぶのであれ、とにかく、新生日本代表の選手諸君が実力をつけてきていることだけは疑いない。ひとつひとつのプレーの精度が、前の世代の選手たちと比べて、明らかに際立っている。まことにめでたい。 サッカーを見ていてうれしいのは、伸び盛りの若者の姿を日々確認できることだ。さよう。成長と躍進。われわれ日本人が見失って久しいものだ。その伸び盛りの若々しいプレーぶりに、私のような旧世代の人間は、懐かしさを覚えるのである。 サッカーを別にすれば、わたくしどもの国自体は、長い停滞のうちにある。もしかして、これは一時的な停滞ではなくて、何かの終わりなのかもしれない、と、そう思えてくるほどに長い低迷期だ。かれこれ20年

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              • 「顔」が見えない国のメディアと社会:日経ビジネスオンライン

                朝、目を覚ますと、まずパソコンの電源をオンにする。 で、2チャンネルの「視聴率提供専用スレッド」(以下、同掲示板に集う視聴率ウォッチャーの慣例に従って「視スレ」と略称する)をチェックする。週刊誌にテレビ番組批評コラムを連載していた頃からの習慣だ。 その、「視スレ」に、つい2~3日前、異変が起こった。突然、情報の提供が途絶えたのである。悲劇だ。行きつけの蕎麦屋が閉店した時みたいな衝撃。オレは明日から、どうやって朝の時間を過ごしたらいいんだ? 経緯を紹介する。 そもそも「視スレ」の視聴率データは、情報提供者の「リーク」に依存しているものだった。 情報源は、いくつかあった。以下、箇条書きにする。 1. 地上波民放局のうちの3局(フジテレビ、日本テレビ、テレビ朝日)は、ゴールデンタイム(G帯)およびプライムタイム(P帯)の自局の視聴率情報を電話経由で提供している。音声はテープ録音のものらしい。毎朝

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                • “懲罰”できるほど、われわれは偉いのか?:日経ビジネスオンライン

                  選挙の翌日、開票結果の全容が明らかになった時点で、私は以下のような感想をツイッターに書き込んだ。 「自民党が大勝したのは痛恨だけど、民主党の惨敗はざまあみろだから、今回の選挙はオレの中では一勝一敗の五分だよ。」 たわけた言説だと思った人は正解。これは、理屈になっていない。モロな自家撞着だ。 とはいえ、冗談にまぎらせてはいるものの、このコメントは、私の本心ではある。 つまり私は、自民、民主のいずれにも肩入れをしていなかったわけで、そういう無党派の人間からしてみると、上に挙げたツイートは、明らかな矛盾をはらんでいながら、それなりに正直な感慨なのである。 本来であれば、選挙の結果に対して、有権者は、自分の支持政党の勝利なり敗北に応じた受け止め方をするはずだ。 自民党を支持していた人間にとって、今回の開票結果は喜ばしいものであったはずだし、民主党を応援していた人間は、まったく逆に、この度の結果に落

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                  • コラムニスト小田嶋隆氏、クソリプをきっかけに脳梗塞が判明「ツイッターと素晴らしいフォロワーの皆さんとそれにクソリプに救われた一日だった」

                    小田嶋隆 @tako_ashi 【 告知 】 MRI の結果 、脳梗塞が判明しました 。ごく軽い症状ですが 1週間から2週間ほど入院することになりました 。 関係各方面の皆様にはあらためてご連絡いたします 。 2019-04-09 15:09:47

                      コラムニスト小田嶋隆氏、クソリプをきっかけに脳梗塞が判明「ツイッターと素晴らしいフォロワーの皆さんとそれにクソリプに救われた一日だった」
                    • 3・11は「無理すんなよ」と言う日にしよう:日経ビジネスオンライン

                      今週は時事問題には触れない。何の話をしても、身が入らない感じがするからだ。それほど、世間のメディアは、震災一色になっている。予想通りだ。 当欄としては、前回のうちにこの話題を片付けておいて正解だったと思っている。 ん? 「片付ける」という言い方は、不謹慎だろうか。 私はそう思わない。 震災には、様々な側面がある。たとえば、瓦礫の処理は、「片付ける」という実務的な態度で臨まないとどうにもならない。 瓦礫は、被災地の問題ではない。被災地の外側で暮らしているわれわれの問題だ。瓦礫が片付いていないということは、われわれが被災地の人間を瓦礫の中に放置していることを意味している。とすれば、瓦礫を受け入れることさえせずにいるわれわれが、「復興」などといううわついた言葉を使うべきではない。その前に片付けるべきものを片付けなければならない。復興や希望について語るのはその後の話だ。 ツイログ(twilog)と

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                      • 統一球でビーンボールを投げてはいけない:日経ビジネスオンライン

                        プロ野球の統一球の反発係数が操作されていた件は、既に周知の事実なのだと思っていた。 私自身は、もはや熱心なプロ野球観戦者ではないが、同世代の知り合いには、仕事に向けるよりも大きな情熱をこめてプロ野球を見ている男が何人かいる。 その彼らの口ぶりでは、今シーズンからボールが飛ぶようになっていることは、熱心なファンの間では、常識というのか、観戦の前提ですらあったようなのだ。 たしか、5月半ばごろだったと思うが、ボールについて以下のような会話をした記憶がある。 「オータニもフジナミも去年のボールだったら、もっと思い切ったピッチングができてるはずなんだけどなあ」 「……去年とボールが違うのか?」 「おまえ、気づいてないのか?」 「何が?」 「だからボールだよ。明らかに違うじゃないか」 「そうか?」 「どうせ上の連中がシーズン前に通達を出したか何かで、規格が変わってるんだと思うぞ」 「まさか」 「まさ

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                        • 誰にも正義は押し付けられない

                          神奈川県相模原市で起こったひどい事件について、ようやくその概要を把握しつつある。 第一報は知っていたのだが、続報は追っていなかった。 避けていたと言った方が正確かもしれない。 ツイッターのタイムラインに流れてくる断片的な感想を除けば、ついさきほどまで、私はマスメディアの情報を遮断していた。 理由は、当初の段階での扇情的な伝え方が不快で、事件の詳細にアクセスする気持ちになれなかったからだ。 なので、私は、事件の細部にはあまり詳しくない。概要を正しく把握しているのかについても自信がない。 有り体に言えば、事件発生以来、いくつかのチャンネルから偶然に流入してきた情報と、この原稿を書くために、ついさきほどからニュース検索をした結果たどりついた記事以外には、情報を持っていない。 ただ、正確な情報はつかんでいないものの、事件に誘発されてもやもやと考えていることはいくつかある。 こういう事件が起こると、

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                          • フェイスブックで友達何人できたかな:日経ビジネスオンライン

                            「フェイスブックは始めないんですか?」 と、昨年の秋以来、何人かの知人に同じことを聞かれた。 答える代わりにオウム返しをしてみる。 「そちらは?」 「…いや。まだです」 なるほど。興味はあるけれども、踏み出せない。誰かに先鞭をつけてほしい……そういうことなら私と同じだ。臆病なオウム同士の応答。デクレッシェンドな同語反復。曲がったクチバシを持つ鳥の鳴き声。 こういう時は、粗忽者の知り合いに電話をしてみる。 「やってますよ」 思った通りだ。やっぱり手を出している。こういうものを放っておける男ではないのだ。ガチョウはガチョウ。いつも歌っている。があがあ。 「どう?」 「面白いですよ。オダジマさんもぜひ」 うむ。でもなあ。オレ、ミクシィで懲りてるし。 「アレとはずいぶん違いますよ。イトも引かないし」 イト? 意図のことか? それより、塩漬けにしてあるツイッターを再生させるのが先決かもしれない。だよ

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                            • 「ひとつになろう」より「てんでんこ」がいい:日経ビジネスオンライン

                              東京の桜は、今週末ぐらいから見頃をむかえそうな気配なのだが、花見の宴会は自粛するところが多いようだ。 まあ、仕方がない。妥当な判断だと思う。 とはいえ、その判断が、行政当局に自粛を示唆された上での決断だということになると、ちょっと意味合いが違ってくる。 少なくとも後味はずっと悪くなる。 自分たちで決めた自粛は、思いやりの結果でもあるし、節電への決意のあらわれでもある。その意味で尊い。 が、上から言われた自粛には、独立自尊の潔さが無い。美しくない。 ということで、他人の顔色を見て決定される自粛については、「他粛」という言葉を提唱したい。他粛は、今後しばらくの間わが国において多発することになるはずだ。でも、流行語大賞には選ばれない。どうせ審査員が偉い人達の顔色を見て投票を自粛するに決まっているから。無念。 花見の自粛に関連して、29日付けの時事通信は以下のように伝えている。 『東京都の石原慎太

                                「ひとつになろう」より「てんでんこ」がいい:日経ビジネスオンライン
                              • 入社式で居心地の悪い思いをしたきみたちへ:日経ビジネスオンライン

                                東京の桜は五分咲きといったところだろうか。水曜日(4月4日)に自転車で千鳥ヶ淵周辺を走った感触では、花見のピークは今週末になりそうだ。北の丸公園には、はやくもカメラを持った人々が溢れている。めでたい景色だ。 ところが、私は、桜の花が咲くこの季節を、心から祝福する気持ちになれない。わがことながら奇妙だと思うのだが、毎年、一斉に花開く桜の木を見ると、むしろ、内心に緊張感がよみがえってくる。 理由は、たぶん、入学や入社といった事柄に対して、私が苦手意識を持っているからだ。保守的な人間は、新しい環境に適応するのに時間を要する。というよりも、そもそも新しい環境を好まない。だから、4月のこの時期の、新しい出会いを象徴する花である桜に、圧迫を感じるのだ。 振り返ってみれば、私は、若い頃から一貫して、かなり劣悪な環境であっても、なじみのある場所にとどまることを選ぶテの人間だった。新しい出会いや、新しい枠組

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                                • 入院した中年男性がおしなべて不機嫌な理由

                                  入院している。 昨年の3月、自転車走行中の転倒で、左膝の関節の内部を骨折し、4月のはじめに関節の修復手術をした(編注:その写真入りレポートはこちら→「骨折したオダジマが泣いた、親友の電話」)。この時、左膝に、チタン合金製のプレートと、それを固定する9本のボルト(ネジですね)を入れた。 で、このたび、術後約1年半を経て骨折部が完治したので、金属板とボルトを除去する手術を受けるべく、前後10日ほどの日程で再入院している次第だ。 手術は昨日(この原稿を書いている前日の9月20日)の朝、無事終了した。現在は、切開・縫合部に軽い痛みはあるものの、順調に回復しつつある。 今回は、しばらくぶりに病院暮らしをしていることでもあるので、世間を騒がせている生臭い事件とは距離を置いて、ベッドに寝ながら考えたことなどを書いてみようかと思っている。 病院での日常は、病気や障害との戦いなのかというと、案外そうばかりの

                                    入院した中年男性がおしなべて不機嫌な理由
                                  • お花畑は沈黙すべきか:日経ビジネスオンライン

                                    2人の日本人が過激派組織「イスラム国」に拘束された事件は、この原稿を書いている時点(2015年1月29日午後6時)で、いまだに解決への糸口を模索する状況にとどまっている。 人命のかかった緊急事態に、素人が余計な口出しをすべきではないと思って発言を控えていたのだが、よくよく考えてみれば、私がこれから書くことは、事件の帰趨や解決に向けた交渉とはほとんど無関係だ。 とすれば、事態が動いている間に書き残しておいた方が良い。そう思って、いま現在アタマの中にあることを吐き出してみることにする。 まず、前提に属するお話について書いておく。 そもそも「テロに屈しない」態度と「人命を第一に考える」方針は両立しない。 「テロに屈しない」ためには、「テロリストとの交渉に応じない」ことが条件になる。 もう少し踏み込んだ言い方をするなら「テロに屈しない態度」とは、具体的には 「要求は無視する。人質の生命は好きにして

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                                    • 保育園とオバカ大学を閉ざす国(小田嶋隆):日経ビジネスオンライン

                                      先日来、待機児童の問題が各方面で議論を呼んでいる折も折、4月に開園予定だった私立の認可保育園の計画が、住民の反対で開園中止になったケースが新聞に取り上げられた(こちら)。 保育園の開園断念が話題になる少し前に、先月の30日から放送されていた日清食品「カップヌードル リッチ」の新CM「OBAKA’s UNIVERSITY」シリーズの第一弾が、視聴者からの苦情を受けて放送中止に追い込まれたというニュースがあった(こちら)。 問題となったのは、出演者の一人、矢口真里(33)が、「二兎を追うものは一兎をも得ず」などと、自らの不倫騒動をネタにした部分だったようで、日清食品の担当者は、視聴者から「不倫や虚偽を擁護している」との声が数多く寄せられたと説明している。 今回は、この二つのニュースを考えてみたい。 発端から考えれば、二つの事件は、別の出来事だ。が、「苦情」を寄せる人々と、それに対応する組織なり

                                        保育園とオバカ大学を閉ざす国(小田嶋隆):日経ビジネスオンライン
                                      • 大飯ぐらいは働かさなきゃダメか?:日経ビジネスオンライン

                                        大飯原発が再稼働するようだ。 昨日(5月31日)からの報道を見ていると、「再稼働は既に決定事項」という扱いだ。各メディアとも、そういうニュアンスの伝え方をしている。 期日は、6月上旬が有力らしい。 本当だろうか。 だとすると、ずっと前にあらかじめ決まっていたのでなければ不可能なスケジュールだと思うのだが。 考え過ぎだろうか。 これまで、再稼働に反対の姿勢を示していた橋下徹大阪市長も 「上辺や建前論ばっかり言ってもしょうがない。事実上の容認です」 と、ここへ来て、にわかに容認に転じている。朝日新聞の朝刊を見ると、 「この夏、どうしても(電力不足を)乗り切る必要があるなら、暫定的な安全判断かもわからないけれども、僕は容認と考えている」 と、報道陣に語ったのだそうだ。 唖然とする。 まるで土手で殴り合ったあとに、笑って肩を組む青春ドラマのパターンだ。 というよりも、市長は、自分のこれまでの発言が

                                          大飯ぐらいは働かさなきゃダメか?:日経ビジネスオンライン
                                        • 小田嶋隆 on Twitter: "「いじめ」が「いじめなんてないよ。考え過ぎじゃない?」と証言するクラスメートの存在によって防衛されているのと同じように、特定の業界や組織内に生じる「圧力」も「圧力なんて無いよ。考えすぎだろw」と笑う人間たちが作る壁のおかげで機能しているわけですね。"

                                          「いじめ」が「いじめなんてないよ。考え過ぎじゃない?」と証言するクラスメートの存在によって防衛されているのと同じように、特定の業界や組織内に生じる「圧力」も「圧力なんて無いよ。考えすぎだろw」と笑う人間たちが作る壁のおかげで機能しているわけですね。

                                            小田嶋隆 on Twitter: "「いじめ」が「いじめなんてないよ。考え過ぎじゃない?」と証言するクラスメートの存在によって防衛されているのと同じように、特定の業界や組織内に生じる「圧力」も「圧力なんて無いよ。考えすぎだろw」と笑う人間たちが作る壁のおかげで機能しているわけですね。"
                                          • スッキリ!する話に潜む毒:日経ビジネスオンライン

                                            「日本生態系協会」という公益法人があるのだそうで、そこの会長に当たる人物が、ちょっと困った発言をしている。以下、引用する。 「――(略)――日本は福島がそうですが、これからですね内部被ばく、これがどうしようもないんでございまして、これからの放射能雲が通った、だから福島ばかりじゃございませんで栃木だとか、埼玉、東京、神奈川あたり、だいたい2、3回通りましたよね、あそこにいた方々はこれから極力、結婚をしない方がいいだろうと。結婚をして子どもを産むとですね、奇形発生率がどーんと上がることになっておりましてですね、たいへんなことになる訳でございまして。――(略)――」 「えっ?」 と言ったきり、言葉が続かない。 どういうつもりなんだ? 経緯を振り返ってみよう。 新聞各紙が伝えているところを要約すると、状況はこんな感じだ。 発言の主は、公益法人「日本生態系協会」の会長である池谷奉文氏。7月9日に「日

                                              スッキリ!する話に潜む毒:日経ビジネスオンライン
                                            • パニック回避の代わりに彼らが失ったもの:日経ビジネスオンライン

                                              東京電力は、今月の15日、福島第一原子力発電所の1号機について、以下の発表をした。すなわち、15日現在の暫定的な解析結果によれば、1号機は、地震発生から16時間後には燃料の大部分が溶融・落下する、いわゆる「メルトダウン」の状態に陥っていた可能性が高いというのだ。 続いて、24日には2号機と3号機がメルトダウンしていたことも認めている。東電がまとめた報告書によれば、1~3号機のすべてで、燃料棒はほぼ完全に溶融・落下し、原子炉圧力容器には穴が開いている。1号機と2号機については、格納容器にも損傷が及んでいる可能性がある。なんということだろう。 メルトダウンが起こってから、それを確認するまで2カ月以上が経過していた計算になる。 なるほど。 東電が、震災以来、事態を把握していなかったのだとすると、この2カ月の間、われわれは行き先不明のバスに乗っていたことになる。計器はめちゃめちゃで、ドライバーは意

                                                パニック回避の代わりに彼らが失ったもの:日経ビジネスオンライン
                                              • トランプは横田に舞い降りた:日経ビジネスオンライン

                                                はじめて日本を訪問したアメリカの大統領は、1974年に来日した第38代大統領のジェラルド・フォード氏だったのだそうだ。 この時のことは、よくおぼえている。 当時高校3年生だった私は、従兄の運転するクルマの助手席で、大統領の来日が引き起こした交通規制に巻き込まれていた。記憶では、時間にして30分から1時間ほど、首都高速道路の路上で、完全な停車を余儀なくされた。その時、おそらくクルマのラジオかなにかで、自分が巻き込まれている交通渋滞が、大統領の羽田空港から都心への移動に伴う首都高環状線の封鎖に起因するものであることを知って、ひどく腹を立てたのを覚えている。 どうしてあんなにムカついたのかは、いまとなってはよくわからない。 とにかく1970年代の高校生は、アメリカのような国とそのリーダーには、天然の敵意を抱いているものだったのだ。 今回、トランプ大統領の来日の様子を傍観しながら、私は、あの時のフ

                                                  トランプは横田に舞い降りた:日経ビジネスオンライン
                                                • いい大人が実名社名付きで、大喧嘩していたあの頃:日経ビジネスオンライン

                                                  「人生の諸問題」の小田嶋さんスピンアウト編は、ゲストに津田大介さんをお迎えしました。津田さんと小田嶋さんは、もうすでに面識も交流もおありなので、どうぞお好きなようにお話してください。 小田嶋:いきなり見捨てられた感がありますが……確かに私は津田さんとは、もう何だかんだで、ちょこちょこと会っていて。 津田:そうですね。 小田嶋:ただ、津田さんとはいつも、比較的、実のない話しかしてないので。 津田:以前から「今度、パソコンとかネットとかの黎明期の思い出話をしたいですね」みたいな話をしていたんですよね。 小田嶋:そうそう。わりと近い時期に、同じようなところで、かなり似た仕事をしていたはずなんです。津田さんとは17歳の年齢差がありますから、私の方が古いのは間違いないんですけど。 津田:僕が業界にかかわるようになったのは、1997年からですね。1993年に大学に入学して、その後にインターネットの波が

                                                    いい大人が実名社名付きで、大喧嘩していたあの頃:日経ビジネスオンライン
                                                  • いつかゴミになる日まで:日経ビジネスオンライン

                                                    アグネス・ラムの写真集が売り出されるのだそうだ。 値段は3990円。 ん? アグネス・ラムを知らない? たしかに、40歳より年少の皆さんは、名前を聞いたことがないかもしれない。 簡単に説明しておく。アグネス・ラムは、1970年代に一世を風靡したグラビアアイドルの元祖みたいな人だ。CMや雑誌の表紙や電車の中吊りに、一時期は、顔を見ない日がないほどメディアに大量露出していたものだ。 もっとも高校生だった私たちが見ていたのは必ずしも顔だけではなかった。というのも、彼女は、多くの場合、水着姿で登場していたからで……と、これ以上の解説は野暮だ。やめておく。どうせ言葉では説明できない。 詳しくはウィキペディアを読んだうえで、Googleの画像検索でもひとあたり眺めてみてください。会社にいるなら後ろに気をつけて。 ……と、精一杯親切に紹介してみたところで、おそらく、アグネスをはじめて見る人たちは誤解をし

                                                      いつかゴミになる日まで:日経ビジネスオンライン
                                                    • かける前にかかるのが「圧力」だ:日経ビジネスオンライン

                                                      NHKの新会長が就任会見で失言を繰り返したニュースは、その日のうちに世界中に配信された。 慰安婦に関連する発言が穏当さを欠いていたことは、あらためて指摘するまでもない。ほとんど同じ趣旨のコメントを発した橋下徹大阪市長が、何度も言葉を変えて真意を説明しようとしながら、その度に袋叩きに遭ってきた経緯を振り返れば明らかだ。 「オランダにいまでも飾り窓があるのはなぜか?」 という的はずれな問いかけも、苦笑いとともに黙殺しておくことにする。オランダ国民がどういうふうに受けとめるのか、若干心配ではあるが、私が問いただしてどうなる話題でもない。ご本人が、全世界に向けて開かれた窓の中で、窓越しの視線を浴びながら考えれば良いことだ。 謝罪の仕方が、例によって「誤解を招いた点は……」という当節流行の形式を踏んでいた件については、ほかのところで取り上げる予定なのだが、短く触れたい。 「誤解を招いた点は大変に申し

                                                        かける前にかかるのが「圧力」だ:日経ビジネスオンライン
                                                      • 「偉人たちも庶民」なんて当たり前だろう?:日経ビジネスオンライン

                                                        京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞を受賞した。 受賞の第一報がもたらされた10月の9日以来、テレビの情報番組はノーベル賞一色になっている。 出稿量がいかにも多すぎる気はするが、その点について、私は、特に大声で苦情を述べようとは思っていない。 久々のグッドニュースだ。現場が騒ぎたくなる気持ちは理解できる。それに、ご祝儀報道が多少過剰になったからといって、誰が傷つくというものでもない。いじめ自殺の隣近所をつつき回したり、国境紛争に関連してくすぶっている国民感情を煽りにかかるテの報道に比べれば、同じメディアスクラムでも、ずっと害は少ない。 ただ、気になるのは、配信されてくる映像の内容が、時間を経るにつれて、受賞者周辺のプライバシーを晒す覗き見趣味に偏してきている点だ。 独自ネタを追求する中で、各局とも、賞や研究そのものとは縁の薄い「人間的な」部分の取材に重心を移しつつある。 これは、

                                                          「偉人たちも庶民」なんて当たり前だろう?:日経ビジネスオンライン
                                                        • 浦和 - 偉愚庵亭憮録

                                                          ア・ピース・オブ・警句 日経ビジネスオンラインにてちょっとだらしなく長いコラムを連載中。毎週金曜日更新です。 キス・ユア・アスリート webスポルティーバ@集英社にて週一更新のスポーツコラムを開始しました。更新予定日は毎週金曜日です。 ラジオデイズ ラジオデイズという、ポッドキャストのダウンロードサイトで、対談のコンテンツを販売中です。よろしくよろしく。 コラム道 週イチ更新で、コラムのコラムを連載しています。いつの日にか書籍化します。更新は火曜日の予定。 テレビ救急箱 08年4月10日初版発行。中公ラクレ新書(770円+税)です。よろしくよろしく。 1984年のビーンボール 07年7月25日初版発行。駒草出版(1500円+税)です。よろしくよろしく。 サッカーの上の雲 07年1月30日初版発行。駒草出版(1400円+税)です。よろしくよろしく。 テレビ標本箱 06年11月10日発行。中央

                                                            浦和 - 偉愚庵亭憮録
                                                          • 「ROOKIES(ルーキーズ)」が教えてくれた手前味噌の味:日経ビジネスオンライン

                                                            2002年の11月から2008年の年末まで、私は「読売ウィークリー」という週刊誌で、6年間にわたってテレビ批評コラムを連載していた。 というよりも、当コーナー自体、「読売ウィークリー」の休刊を機に始まったもので、この仕事に取り組む以前、私は、毎週、テレビについてなにごとかを書いていたのである。 仕事場を変えて以来半年、私は、ウソみたいにテレビを見なくなった。 なるほど。 もともと、たいして好きだったわけでもないのだな。 別の言い方で言えば、私は、去年までの6年間、もっぱら難癖をつけるためにテレビを見ていたわけで、そう思ってみると、あの連載が終わったのは、正解だったのかもしれない。 好きでもないものの欠点をあげつらう仕事を6年も続けることは、健康に良くない。 仮に私が、テレビ現場に関係のある人間で、テレビについて改革の意欲なりプランなりを持っていたのなら、批判を繰り返す意味も若干はあったと思

                                                              「ROOKIES(ルーキーズ)」が教えてくれた手前味噌の味:日経ビジネスオンライン
                                                            • 文春砲の砲手に期待すること

                                                              今週もまた、菅義偉新政権の話題に触れなければならない。 このことについて、まず、読者の皆さまにお詫びしておく。 思うに、商業メディアに連載を持っている書き手が、3週連続で政権批判めいた文章を書くことは、「コラムニスト」という職業の矩(のり)をこえた所業だ。言ってみれば「運動家」のやりざまだ。 もっとも、私は、誰かに頼まれて倒閣運動を展開しているのではない。 菅さんに対して私怨を抱いているというわけでもない。 にもかかわらず、3回続いて似たような話題を取り上げる結果になってしまったことは、自分としては不幸な偶然なのだと考えている。 というよりも、私が今回、この話題(菅さんが自著の新書版の発売に当たって、元の単行本の記述を削除したこと)を取り上げるのは、首相の政治姿勢を批判するためというよりは、一人の出版業界人として、コトのなりゆきに心を痛めているからだ。 私の受け止め方としては、本件は、政治

                                                                文春砲の砲手に期待すること
                                                              • われわれの中にある「相撲的なるもの」:日経ビジネスオンライン

                                                                昨年来、角界の不祥事については、当欄だけでも、3回分の原稿をアップしている。書くべきことは既に書きつくした。できれば、相撲の話題には触れたくない。うんざりだ。相撲にも相撲報道にも。 なので、今回は、相撲そのものについてではなく、相撲を相撲たらしめているわたくしどもの世間のありようについて考えてみたい。イッツ・ア・相撲る・ワールド。吊り屋根の下の小さな世界。その互助会体質の光と影について、だ。 相撲の闇はわれわれの足元の闇に源を発している。そして、その恥辱はわれらひとりひとりの個人的な恥辱に連なっている。それほどに、「相撲的なるもの」は、日本人の足腰に深く取り付いている。阿吽の呼吸と惻隠の情。魚心と水心。政治とカネ。土建と利権。土俵と泥と義理と人情。徳俵というグレーゾーン。白黒つけない政倫審。無罪を前提とした強制起訴の落としどころと罪を濃淡として描く水墨画的な倫理観。星取表のグラデーション。

                                                                  われわれの中にある「相撲的なるもの」:日経ビジネスオンライン
                                                                • はるかぜちゃんと小田嶋隆と、あるいは正義について

                                                                  さて、はるかぜちゃんに関係してtwitterが騒がしい。 「はるかぜちゃんの記事は分からん」と言ったら「キチガイ」「韓国人」と言われた - Togetter はるかぜちゃん「ぼくに否定的な意見を書いた人を、ぼくを守るという名目でいじめるのはやめて下さい(ω)」 - Togetter はるかぜちゃん( @harukazechan )の「晒しリプ」という「集団リンチ」・「言論封殺」に批判集中! - Togetter 問題は、要するに正義の暴走だ。 はるかぜちゃんの言っていることは正しい。あまりにも正しすぎる。炎上処理も一品だし、本人は荒っぽい発言をせずフォロワーを諌めもする。 冷静に問題に対処するし、3歳からブログを書いているというのだから、まぁ手慣れたものなのだろう。 強くて頭が良くて自制心のある良い子。しかも子役タレントなだけあってかわいくもある。素晴らしいもんだ。私なんかとても真似できな

                                                                    はるかぜちゃんと小田嶋隆と、あるいは正義について
                                                                  • 税金を納めるって、実は幸せなことだよね:日経ビジネスオンライン

                                                                    ご案内の通り、先の参院選は民主党の惨敗という結果に終わった。 敗因については、いくつかの見方がある。 最も有力な説は、菅総理(←「簡素売り」と変換してきたオレのワープロは天才だと思うぞ)が唐突に消費税率の見直しを言い出したことが有権者の反発を招いたとするものだ。たしかに、選挙前に増税の話を持ち出したのは、バクチにしてもスジが悪すぎたかもしれない。 別の見方をする人々もいる。彼らによれば、選挙民が菅総理を見限った真の原因は、増税そのものにはない。敗因は、総理が一度言い出した増税の持論を世論の動向にひるんであわててひっこめたその定見の無さにこそ求められるべきであって、つまり、鳩山前総理同様、菅政権(→「管制圏」だと[笑])が「ブレまくって」いることが一番の問題なのだ、というのが彼らの見方だ。なるほど。これまた有力な分析だと思う。 このほか、「政権や官房内から私見や異論や不規則発言が続々と出てく

                                                                      税金を納めるって、実は幸せなことだよね:日経ビジネスオンライン
                                                                    • なでしこに群がったテレビの人たちの明日:日経ビジネスオンライン

                                                                      なでしこの優勝については、ほかのところに書いたので、ここでは簡単に触れるのみにとどめる。 優勝は、久々のグッドニュースだった。思い出すたびに笑いがこみあげてくる。こんな気持ちになったのは何年ぶりだろう。私はほぼ半日にやにやしていた。 が、翌日になってみると、果たして、喜びは半減していた。私の心の中の幸福感があった場所には、おなじみの不機嫌が居座っている。いつものことだ。祭りの後の虚脱。私は無表情になっている。 静かにかみしめていれば半月は楽しめたはずの余韻を、私たちは、よってたかって台なしにしてしまった。反省せねばならない。選手のみなさんにはサッカーファンを代表して謝罪しておきたい。悪気はなかったのだ。ただ、この快挙を機にサッカーの注目度を確保しておこうという下心があったことは認めなければならない。その、われわれのうちにあったわずかばかりの邪心が、結果として、会見場に芸能レポーターを呼び寄

                                                                        なでしこに群がったテレビの人たちの明日:日経ビジネスオンライン
                                                                      • もののふが見逃す夏のレスリング:日経ビジネスオンライン

                                                                        レスリングが2020年に開催されるオリンピック(開催地未定)の「中核競技」から外された件について、私が思うところは、報道の中で既に紹介されたコメントの中にほぼ言い尽くされている。 特に、前段については、テレビのニュースショーに出てきた幾人かのコメンテーターの発言が全面的に代弁してくれている。私から付け加えるべき言葉はひとつも無い。 ここで言う「前段」とは、「レスリングの除外」という第一報を受けて抱いた最初の感慨、および、かかる事態を招いた原因についての当面の分析といったあたりまでの話を意味している。 つまり私は、レスリングが五輪競技から排除されようとしている現況について、「驚愕」し、「落胆」し、「動揺」しており、このような事態を迎えるに至った原因については、競技団体およびJOC(日本オリンピック評議会)の怠慢にその責を求めるべきだと考えている、ということだ。 伝えられているところでは、五輪

                                                                          もののふが見逃す夏のレスリング:日経ビジネスオンライン
                                                                        • 綿野恵太『みんな政治でバカになる』に対するコラム記事につきまして|晶文社

                                                                          2021年10月15日付、日経ビジネス掲載の小田嶋隆さんのコラムにて、小社刊・綿野恵太著『みんな政治でバカになる』が紹介されていますが、このコラムにあるように「政治について語ることが無意味でバカだ」といったことが、本書で書かれているわけではありません。端的に誤読であると考えます。 本書は、政治について考えたりかかわったりする際につきまとう困難をどう乗り越えるかを、進化心理学や認知科学の知見を援用しながら真摯に(無知に居直るのでもなく、シニカルでもなく)考察したものであり、その執筆の姿勢は「政治を語るやつらはバカ」と揶揄的に語るような態度とは真逆のものです。 本をどのように読むかは読み手の自由でありますが、書かれていない内容をあげたうえで批判している点で、当該コラムの内容は的をはずしたものであると考え、本書『みんな政治でバカになる』についての誤解・曲解が広まることのないように、異議申し立ての

                                                                            綿野恵太『みんな政治でバカになる』に対するコラム記事につきまして|晶文社
                                                                          • 彼らが「抗議」を受け入れた理由:日経ビジネスオンライン

                                                                            ロンドンで起こった一連の暴動について、ニュース・メディアの扱いは思いのほか小さかった。 ケーブルテレビ経由で配信されてくるCNNやBBCのニュース番組が、ほぼ一日中映像を流していたのに対して、日本のテレビの報道は、新聞で言うところの「ベタ記事」扱いだった。 最近読んだ本の中に、米国における国際ニュースの現状を扱った記述があった。 なんでも苦しい台所事情が続く米国のメディア企業では、リストラの第一候補に挙げられているのが、高コストの割に不人気な海外ニュース部門であるらしく、リーマンショック以来のこの数年の間に、全新聞の3分の2が、海外支局を閉鎖ないしは縮小する事態に追い込まれているのだという。おかげで、米国における国際ニュースの配信量は、9.11以降、国民の間に広まりつつある内向き志向の意識も手伝って、一貫して減少し続けているのだそうだ。 もしかすると、日本のメディア企業の国際ニュース部門も

                                                                              彼らが「抗議」を受け入れた理由:日経ビジネスオンライン
                                                                            • 最大与党を代表して一言:日経ビジネスオンライン

                                                                              選挙が近づくと気分が塞ぐ。 理由は、ウソをつかねばならないからだ。 というよりも、選挙について正直に思うところを書くと、必ず叱られるわけです。 この10年ほど、ずっとそういうことが続いてきた。 投票に関して不用意な本音を吐露すると、必ずや四方八方から集中砲火を浴びるのだ。 で、謝罪に追い込まれ、改心を余儀なくされ、「次の選挙では、必ず投票所に足を運びます」と誓うことを求められる。 だから、選挙については、ここしばらく、率直な心情を吐露していない。 で、気が重いわけだ。 わかったよ、良識ある市民のふりをすれば良いわけだろ? と、やさぐれた気持ちで路傍の石を蹴る――いい年をした男のやることじゃないとは思いながらも、こればかりはどうしようもない。なんとなれば、酒をやめた時、私は大人であることに伴うあれこれを一緒に放棄したからだ。わがことながら子供っぽい弁解だとは思う。でも、子供っぽい気分の中でし

                                                                                最大与党を代表して一言:日経ビジネスオンライン
                                                                              • 鵬は語らず、ただ飛ぶのみ:日経ビジネスオンライン

                                                                                相撲については、もう、何も書かないつもりでいた。 理由は、何をどう書いても、当コーナーでこれまでに何回か訴えてきた内容と重複するに違いないと考えたからだ。それほど、大相撲の世界は外部からの批評に対して耳を閉ざしている。 何を言ったところで何も変わらない。だから何も言いたくない、と、そう考えたわけだ。 見放したという受け止め方をしてもらっても良い。 今回、重複する内容になることをある程度覚悟した上であらためて白鵬の舌禍事件をめぐる反応について原稿を書く気持ちになったのは、この度の一連の出来事への日本相撲協会およびそれを取り巻くスポーツジャーナリズムの頑迷固陋な振る舞い方が、ここ数年の日本の政権の中枢に見られる特徴的なマナー(一部から「歴史修正主義的」と呼ばれ、「復古的」「強権的」と評されている態度)と、深いところでつながっているように思えてきたからだ。 もしかしたら、相撲ファンの声援の中に目

                                                                                  鵬は語らず、ただ飛ぶのみ:日経ビジネスオンライン
                                                                                • 佐川氏証人喚問視聴記

                                                                                  この火曜日(3月27日)におこなわれた、佐川宣寿・前国税庁長官の証人喚問は、いろいろな意味で興味深いコンテンツだった。 私は、ほかのところの原稿を書きながらだが、参院でのテレビ中継を、アタマから最後まで視聴した。午後にはいってからの衆議院での喚問は、仕事に身がはいった結果、きちんと追い切れていないのだが、それでもデスクの前のテレビをつけっぱなしにしておくことだけはしておいた。 全体を通しての感想は、最初に述べた通り、テレビ放送のコンテンツとして秀逸だったということだ。 面白くなかったら、私のような飽きっぽい人間がこんなに長時間付き合うはずもなかったわけで、つまるところ、あれは近来稀な見世物だったということだ。 もっとも、あの喚問が真相の究明に資するのかどうかはわからない。 というよりも、NHKが公開している書き起こし(こちら)を見る限り、今回の国会でのやりとりから新たに明らかになった事実は

                                                                                    佐川氏証人喚問視聴記