中野 晴行 2000年代に入り、マンガ家の個人全集が盛んに企画されるようになりました。火をつけたのは、2009年にスタートした小学館の『藤子・F・不二雄大全集』。文学全集ですら売れない時代に、第1期33巻の全巻予約を受け付けると、配本開始前に予約数5,000セットを超え、発売前に増刷が決まります。読者層は20代から40代と幅広く、最終的な第1期の全巻予約数は12,000セットにも達しました。本稿ではその成功の秘密を探ります。 『藤子・F・不二雄大全集』キービジュアル ©藤子プロ・小学館 全115巻+別巻4冊の大型全集 小学館が『藤子・F・不二雄大全集』の刊行をスタートさせたのは、2009年7月24日。第1回配本は『ドラえもん』(1969~1996年)1、『オバケのQ太郎』(1964~1967年)1、『パーマン』(1966~1968年、1983~1986年)1の3冊。第1期33巻、第2期33