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藤原辰史の検索結果1 - 26 件 / 26件

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藤原辰史に関するエントリは26件あります。 歴史社会 などが関連タグです。 人気エントリには 『ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題軽視の背景 京都大学人文科学研究所准教授・藤原辰史 | 長周新聞』などがあります。
  • ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題軽視の背景 京都大学人文科学研究所准教授・藤原辰史 | 長周新聞

    京都大学で13日におこなわれた公開セミナー「人文学の死――ガザのジェノサイドと近代500年のヨーロッパの植民地主義」【既報】より、藤原辰史・京都大学人文科学研究所准教授の基調講演「ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題軽視の背景」の要旨を紹介する。 □      □ 今日の問題提起は、ドイツ現代史研究者の一員である自分にも矛先を向けたものでもある。 ドイツ現代史研究者は、パレスチナ難民やイスラエルの暴力をまったく無視しているかといえばそうではない。批判も多々してきているが、当事者意識が欠落している。たとえば、パレスチナ問題を「生成」した問題として扱い、きわめて「他人事」として起きている「かわいそうなこと」という倫理的問題として捉えがちである。その「上から目線」がパレスチナ問題を見る目を曇らせているように思う。 そして、パレスチナとともに中東欧や南欧へも関心が低すぎる。ド

      ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題軽視の背景 京都大学人文科学研究所准教授・藤原辰史 | 長周新聞
    • 藤原辰史:パンデミックを生きる指針——歴史研究のアプローチ

      人間という頭でっかちな動物は、目の前の輪郭のはっきりした危機よりも、遠くの輪郭のぼやけた希望にすがりたくなる癖がある。だから、自分はきっとウイルスに感染しない、自分はそれによって死なない、職場や学校は閉鎖しない、あの国の致死率はこの国ではありえない、と多くの人たちが楽観しがちである。私もまた、その傾向を持つ人間のひとりである。 甚大な危機に接して、ほぼすべての人びとが思考の限界に突き当たる。だから、楽観主義に依りすがり現実から逃避してしまう——日本は感染者と死亡者が少ない。日本は医療が発達している。子どもや若い人はかかりにくい。1、2週間が拡大か制圧かの境目だ。2週間後が瀬戸際だ。3週間後が分水嶺だ。一年もあれば五輪開催は大丈夫だ。100人に4人の中には入らないだろう。そう思いたくなっても不思議ではない。希望はいつしか根拠のない確信と成り果てる。第一次世界大戦は1914年の夏に始まり191

        藤原辰史:パンデミックを生きる指針——歴史研究のアプローチ
      • 「人文知」軽視の政権は失敗する 藤原辰史さん寄稿:朝日新聞デジタル

        寄稿 藤原辰史・京都大学准教授(農業史・環境史) ワクチンと薬だけでは、パンデミックを耐えられない。言葉がなければ、激流の中で自分を保てない。言葉と思考が勁(つよ)ければ、視界が定まり、周囲を見わたせる。どこが安全か、どこで人が助けを求めているか。流れとは歴史である。流れを読めば、救命ボートも出せる。歴史から目を逸(そ)らし、希望的観測に曇らされた言葉は、激流の渦にあっという間に消えていく。 宮殿で犬と遊ぶ「ルイ16世」の思考はずっと経済成長や教育勅語的精神主義に重心を置いていたため、危機の時代に使いものにならない。IMFに日本の5・2%のマイナス成長の予測を突きつけられ、先が見通せず右往左往している。それとは逆に、ルイとその取り巻きが「役に立たない」と軽視し、「経済成長に貢献せよ」と圧力をかけてきた人文学の言葉や想像力が、人びとの思考の糧になっていることを最近強く感じる。 歴史の知はいま

          「人文知」軽視の政権は失敗する 藤原辰史さん寄稿:朝日新聞デジタル
        • 農業を守ろうとした農学が、満蒙開拓へと日本を突き動かした 藤原辰史さんが歴史を検証|じんぶん堂

          記事:じんぶん堂企画室 藤原辰史さん。京都大学の研究室で 書籍情報はこちら 農本主義が日本の近代化を性格付けた ――『農の原理の史的研究』を1月末に出版されました。明治から昭和にかけて農学者たちを論じた内容ですが、キーワードである「農本主義」とはどんな考え方なのでしょうか? 農本主義という言葉をつくった日本の農学者、横井時敬(ときよし)には、資本主義化で工業が産業の中心になりつつある中で、日本の農業を守っていこうという意識は強くあった。けれど、単に農業を守れといったのではなく、農の原理を抽出した上で、その原理のもとに農業の利益を守っていく。農業が国の中心にあり、それが潰れれば国が潰れるという切迫感が農本主義の背景にありました。 戦争直後に農本主義という言葉が有名になったのは、日本の戦争を招いた、日本を軍国主義に走らせた大きな原因が農本主義だったと指摘した丸山眞男の研究のおかげです。日本の近

            農業を守ろうとした農学が、満蒙開拓へと日本を突き動かした 藤原辰史さんが歴史を検証|じんぶん堂
          • ガザ虐殺の歴史的背景を紐解く 虐殺はいかにして正当化されたか 岡真理×藤原辰史×駒込武 パネルディスカッション | 長周新聞

            イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への殲(せん)滅戦が4カ月半にわたって続き、3万人をこえる人々が殺される事態に対して、世界的な抗議の運動が広がっている。このことに関して京都大学で13日におこなわれた公開セミナー「人文学の死――ガザのジェノサイドと近代500年のヨーロッパの植民地主義」では、基調講演「ヨーロッパ問題としてのパレスチナ問題」(岡真理・早稲田大学文学学術院教授)、「ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち」(藤原辰史・京都大学人文科学研究所准教授)【いずれも既報】の後、それを深めるためのパネルディスカッションがおこなわれた。 パネルディスカッションでは、駒込武・京都大学教育学研究科教授(台湾近現代史)が司会を務め、岡氏と藤原氏が会場からの質問に答えながら、パレスチナ問題と日本を含む戦後世界との関連、そして人文学が果たすべき役割について論議を深めた。 ◇       ◇ 駒込氏

              ガザ虐殺の歴史的背景を紐解く 虐殺はいかにして正当化されたか 岡真理×藤原辰史×駒込武 パネルディスカッション | 長周新聞
            • 特別企画 藤原辰史「切なさの歴史学」

              『分解の哲学』(青土社)でサントリー学芸賞を受賞された京都大学人文科学研究所准教授の藤原辰史さん。次々と新しいテーマで著作を発表されている藤原さんを小社にお招きし、編集部のスタッフを中心に勉強会を行いました(2019年10月11日)。 講演のテーマは「切なさ」。芸術や学術を停滞させるアパシーの蔓延からいかに抜け出せるのか? 欧米の新しい歴史研究や、戦争・貧困のなかで生き死んだ民衆、とりわけ子どもたちの事例に注目することで、現代史の過酷さに迫るとともに、「切なさ」を糸口にした歴史学の可能性を考えるという内容でした。 藤原さんの熱いトークを前編・中編・後編の3回にわたってお届けします。 研究のキーワードとしての「切なさ」 世界思想社さんには、かれこれ十何年前からお世話になっております。1960年代の研究という研究班を人文研でやっていたとき、私は雪印乳業の社史を分析して、牛乳の近代日本史みたいな

                特別企画 藤原辰史「切なさの歴史学」
              • トラクターは農業にとって「諸刃の剣」、収穫増えたが土壌劣化招く 藤原辰史氏の警鐘:朝日新聞GLOBE+

                ――耕すという行為はそもそも、人類にとってどのような行為だといえるのでしょうか。 耕すという行為は農業の基本で、人類が農業を始めてからずっと続いてきたものです。狩猟・採集とは異なり、みずから自然に働きかけて、自分たちに有用な植物の育ちやすい環境を整えていきます。 耕すことで土壌の構造をふかふかにし、水がたまりやすいようにして、人間が飼いならした植物を自然の厳しさから守っています。耕すことは、人類の文化の基本であるといえます。 ――人類の文化という点で考えると、20世紀の農業の機械化がもたらした変化についてはどのように考えていますか。 ウシやウマなど動物の力も使い長きにわたって土壌を耕してきた人類にとって、20世紀に決定的ともいうべき変化が起こりました。トラクターの登場です。 内燃機関を持ち、非常に短時間でかつダイナミックに土を深く耕すことができるようになりました。 トラクターは化学肥料とセ

                  トラクターは農業にとって「諸刃の剣」、収穫増えたが土壌劣化招く 藤原辰史氏の警鐘:朝日新聞GLOBE+
                • ウクライナ侵攻について(藤原辰史) | みんなのミシマガジン

                  歴史学者の藤原辰史さんと数学者の伊原康隆さんによる、往復書簡の連載です。伊原さんから藤原さんへの前回の便りはこちらから。 今回は、歴史学者が現在の出来事をどうとらえるか、そのおりにどう歴史を学び直すのかについてのお話をさせてください。歴史学の営みは、単に過去の事実を学ぶのではなく、過去を通じて現在を理解しようとする試みでもあることは、よく言われる通りです。今回、ロシアがウクライナに侵攻したという衝撃的な事実を前に、私たちはどう頭を整理できるのか。歴史学をはじめ人文学の知はこのようなときに、悪い意味にも良い意味にも、威力を発揮します。悪い意味、というのは、歴史の歪曲と国威発揚と「非国民」の確定のために用いること、良い意味というのは、過去の愚行の背景を知り、現在に生かすために用いること、と取っていただいてかまいません。 この問題が起こる前にウクライナ情勢について私が考えたことは、『毎日新聞』(

                    ウクライナ侵攻について(藤原辰史) | みんなのミシマガジン
                  • 「パンデミックを生きる指針」ネットで話題沸騰 気鋭の研究者藤原辰史・京大准教授 「負の声」と憎悪をめぐって|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞

                    新型コロナウイルス禍に戸惑う人々に向け、いかに生きるべきかを歴史学の立場から考察したインターネット上の短いテキストが話題を呼んでいる。京都大人文研准教授の藤原辰史さん(農業史)による「パンデミックを生きる指針」。今月2日に公開され、1週間に30万件超のアクセスがあったという。藤原さんは「危機の時代、それぞれが自分なりに腹をくくる必要がある。生き方を考えるきっかけにしてもらえたのでは」と話す。 岩波新書ホームページ「B面の岩波新書」に掲載された。「必読の文章」「文系の神髄ここにあり」「ものすごい熱量」といったコメントがSNS上で相次ぎ、閲覧数を伸ばしていった。「まさかこんなに反響があるとは。過去の歴史の声に耳を澄ませて『いたこ』のように伝えただけなのに」と本人も驚く反響の大きさ。それもそのはず。「何より強調したかったのは、甘い希望を抱いてはいけない、という暗いメッセージ」なのだから。 全6章

                      「パンデミックを生きる指針」ネットで話題沸騰 気鋭の研究者藤原辰史・京大准教授 「負の声」と憎悪をめぐって|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞
                    • 黄金の「地理学」|ちくま新書|藤原 辰史|webちくま

                      『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか』(湯澤規子著)について、藤原辰史さんに書評を書いていただきました。PR誌「ちくま」に掲載されたもののロングバージョンです。この本のいろんな側面がうかびあがってきますので、ぜひご覧くださいませ。 1 食と対比して、食の変形にすぎぬ排泄に関わる研究は、それほど分厚くはないだろう、と思っていた。ところが本書を読み、まず驚いたのは、排泄にまつわる参考文献の豊かさ、そして質の高さである。引用される本の一部を紹介しよう。三好春樹『ウンコ・シッコの介護学』、スーエレン・ホイ『清潔文化の誕生』、藤島茂『トイレット部長』、三俣延子「産業革命期イングランドにおけるナイトソイルの環境経済史」、林望『古今黄金譚』、姫田隼多『名古屋の屎尿市営』、斉藤たま『落し紙以前』、ロナルド・H・ブルーマー『拭く』、渡辺善次郎『都市と農村の間』など、なんとも魅力的なタイトルの本に溢れている

                        黄金の「地理学」|ちくま新書|藤原 辰史|webちくま
                      • 安倍政権は「経済最優先、暮らしは限界までボロボロに」 藤原辰史・京大准教授 | 毎日新聞

                        安倍晋三内閣が16日、総辞職する。第2次政権発足から約7年8カ月にわたる歴代最長政権は、政治や社会の在り方をどう変えたのか。安倍政権が進めた安保法制整備に「自由と平和のための京大有志の会」の一員として反対の声も上げてきた、歴史学者の藤原辰史・京都大准教授(43)=農業史・環境史=に聞いた。【聞き手・福富智】 ――安倍政権とは、どのような政権だったのでしょうか。

                          安倍政権は「経済最優先、暮らしは限界までボロボロに」 藤原辰史・京大准教授 | 毎日新聞
                        • 『ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題軽視の背景 京都大学人文科学研究所准教授・藤原辰史 | 長周新聞』へのコメント

                          政治と経済 ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題軽視の背景 京都大学人文科学研究所准教授・藤原辰史 | 長周新聞

                            『ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題軽視の背景 京都大学人文科学研究所准教授・藤原辰史 | 長周新聞』へのコメント
                          • 対談シリーズ「立ち止まって、考える」第1弾前編・藤原辰史×出口康夫|京都大学 人社未来形発信ユニット

                            現在、新型コロナウイルスのパンデミックによって、国内外の社会は激しく動揺し、刻々と変化する状況とそれを伝える情報の洪水に、私たちの生活は振り回され、変容を強いられています。いま私たちがなすべきはまず第一に、科学的に正しい情報に従い、感染拡大防止に努めることでしょう。しかし同時に、この「非常事態」が何を意味するのか、慌ただしい状況の中で、少しだけ立ち止まって考えることも必要ではないか、と私たちは考えます。時間的・空間的なスパンを長くとって、物事を掘り下げて考えようとする人文社会科学の立場から、京都大学・人社未来形発信ユニットは、みなさんに立ち止まって考えていただくきっかけを提供したいと考え、対談インタビューシリーズを企画しました。タイトルは 「立ち止まって、考える―パンデミック状況下での人文社会科学からの発信」 です。 今回から週2回のペースで公開されるシリーズの第1, 2回は、人文科学研究

                              対談シリーズ「立ち止まって、考える」第1弾前編・藤原辰史×出口康夫|京都大学 人社未来形発信ユニット
                            • (寄稿)人文知を軽んじた失政 新型コロナ 藤原辰史:朝日新聞デジタル

                              ワクチンと薬だけでは、パンデミックを耐えられない。言葉がなければ、激流の中で自分を保てない。言葉と思考が勁(つよ)ければ、視界が定まり、周囲を見わたせる。どこが安全か、どこで人が助けを求めているか。流れとは歴史である。流れを読めば、救命ボートも出せる。歴史から目を逸(そ)らし、希望的観測に曇らされ…

                                (寄稿)人文知を軽んじた失政 新型コロナ 藤原辰史:朝日新聞デジタル
                              • ナチスの聖典は絶版にすべきか|藤原辰史さんが選ぶ「絶版本」|かしわもち 柏書房のwebマガジン

                                本連載は2022年9月に書籍化されました。 R. W. ダレエ『血と土』黒田禮二 訳(春陽堂、1941年) 絶版するのがもったいない、今すぐにでも復刊してほしいという本もあれば、絶版でよかった、絶版が当然だと思う本もある。今から80年前に日本で刊行された『血と土』も、そんな本の一つである。 「血と土 Blut und Boden」は、ナチスの根幹思想、略して「ブルーボ」とも呼ばれた。ドイツの農村でこそ、健康な民族の血が育成されることを訴える農本主義的スローガンだ。この「血と土」をもとに、ナチスは農民帝国の復興を謳い、農民票を獲得して政権の座を射止めた。この言葉の組み合わせのどこに人は惹かれたのだろう。これまでの貴重な20年を私は「血と土」という僅か三文字の言葉の解読に費やしてきてしまったと言っても過言ではない。 大学4年生のとき、古本屋で約8000円の『血と土』を購入した(カバーはついてい

                                  ナチスの聖典は絶版にすべきか|藤原辰史さんが選ぶ「絶版本」|かしわもち 柏書房のwebマガジン
                                • 「パンデミックを生きる指針」ネットで話題沸騰 気鋭の研究者藤原辰史・京大准教授 「負の声」と憎悪をめぐって|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞

                                  新型コロナウイルス禍に戸惑う人々に向け、いかに生きるべきかを歴史学の立場から考察したインターネット上の短いテキストが話題を呼んでいる。京都大人文研准教授の藤原辰史さん(農業史)による「パンデミックを生きる指針」。今月2日に公開され、1週間に30万件超のアクセスがあったという。藤原さんは「危機の時代、それぞれが自分なりに腹をくくる必要がある。生き方を考えるきっかけにしてもらえたのでは」と話す。 岩波新書ホームページ「B面の岩波新書」に掲載された。「必読の文章」「文系の神髄ここにあり」「ものすごい熱量」といったコメントがSNS上で相次ぎ、閲覧数を伸ばしていった。「まさかこんなに反響があるとは。過去の歴史の声に耳を澄ませて『いたこ』のように伝えただけなのに」と本人も驚く反響の大きさ。それもそのはず。「何より強調したかったのは、甘い希望を抱いてはいけない、という暗いメッセージ」なのだから。 全6章

                                    「パンデミックを生きる指針」ネットで話題沸騰 気鋭の研究者藤原辰史・京大准教授 「負の声」と憎悪をめぐって|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞
                                  • 特別企画 藤原辰史「切なさの歴史学」

                                    京都大学人文科学研究所准教授・藤原辰史さんによる講演の続きをお届けします。 出来事を子どもの位置から眺めるとき、現代史の過酷さが立ち現れます。それに対して、私たちは何ができるのでしょうか? 前編はこちら 中編はこちら 『カブラの冬』 私は、『カブラの冬』(人文書院、2011年)という本を書いて以来、現代史というものにおける子どもの位置というものがずっと気になっていました。第一次世界大戦でも、第二次世界大戦でも、戦争をリードする人は白髪の生えたおじさんたちで、その人たちに命令されて死んでいく人たちはその孫の世代です。戦場では若い男性たちが、銃後では女性と子どもたちが大量に死にました。小さな子どもたちがどうしてこうも当たり前のように死んでいくんだろうかと、小学校のときからずっと思っていました。だって、小学校では、いつもあなたたち、命を大切にしなさい、って教わるではないですか。今も実はその疑問は

                                      特別企画 藤原辰史「切なさの歴史学」
                                    • 特別企画 藤原辰史「切なさの歴史学」

                                      京都大学人文科学研究所准教授・藤原辰史先生による講演の続きをお届けします。 アパシーに抗する歴史書には、フィールドワークと「私」語り、徹底した調査とインタビューという特徴にくわえて、「切なさ」という共通点が浮かび上がります。 前編はこちら フィールドワークと「私」語り この3冊に共通しているのは、史料分析に加え、筆者が現場に足を運んでいるということです。無駄かもしれないとわかっていても、現場に足を運ぶ。フィールドワークですね。世界思想社さんはフィールドワークの本をたくさん出されていますよね。私が好きなものは、松嶋健さんの『プシコ ナウティカ――イタリア精神医療の人類学』(2014年)とか、松村圭一郎さんの『所有と分配の人類学』(2008年、電子書籍版のみ)などです。中空萌さんの『知的所有権の人類学』(2019年)も、いま読んでいるところですが、自分の関心と近くて面白いですね。私はこのような

                                        特別企画 藤原辰史「切なさの歴史学」
                                      • ブレイディみかこと藤原辰史が語る“社会の呪縛をもみほぐす”言葉の可能性 | 文春オンライン

                                        藤原 『THIS IS JAPAN :英国保育士が見た日本』で衝撃的な読書体験をして以来ずっと拝読してきたのですが、ブレイディさんが保育という現場で身につけられた知性は、大学で青白い顔をして学んだこととは比べものにならない凄さがあるんですね。 例えば『子どもたちの階級闘争』で描かれたドラッグもアルコール問題も絡む「底辺託児所」は、もう戦場と言ってもいいぐらいのリアルな現実があります。とくに師匠の保育士さんとアイリッシュのお連れ合いがいい味出していて、「地べた」からのコメントがいちいち現代社会の本質を突いている(笑)。こうした言葉の切り取り方の新鮮さって、英語をくぐり抜けたあとに日本語と出会ってる感じがします。 ブレイディ それは初めてのご指摘です。私は昔、翻訳の仕事をしてたことがあるんですが、渡英してからイギリスの大学の夜間コースで翻訳の資格を取っています。英語から日本語に訳すクラスの先生

                                          ブレイディみかこと藤原辰史が語る“社会の呪縛をもみほぐす”言葉の可能性 | 文春オンライン
                                        • 藤原辰史 「新・植物考」 第6回 (最終回)「植物を考える」とはどういうことか | 生きのびるブックス

                                          人間は植物よりも高等だと私たちは思っている。だが、それは真実だろうか? 根も葉ももたず、あくせく動き回って疲弊している私たちには、 植物のふるまいに目をとめることが必要なのかもしれない。 歴史学、文学、哲学を横断しつつ、ありうべき植物と人間の関係をさぐる、 ユニークかつ刺激的な試み。隔月連載。 「植物考」のまとめ これまで合計11回、植物をめぐるエッセイを書いてきた(本連載と、ウェブ春秋はるとあき連載「植物考」)。いよいよ最終回である。「作物」や「生物資源」という概念枠組みでとらえた瞬間に抜け落ちてしまう植物の「植物らしさ」について、そしてその「植物らしさ」が現在の人間社会に与える示唆について、さまざまな文献を読んだり、普段の植物とのつきあいを内省したりして考えてきた。 植物は、人文学的課題に限ったとしても、底なしの深さを持つテーマであることを改めて思い知った。とともに、かつて、ゲーテもル

                                            藤原辰史 「新・植物考」 第6回 (最終回)「植物を考える」とはどういうことか | 生きのびるブックス
                                          • 鷲田清一×藤原辰史 『二枚腰のすすめ』刊行記念対談 「スタイルを見極める」|じんぶん堂

                                            『二枚腰のすすめ 鷲田清一の人生案内 』(世界思想社) 書籍情報はこちら (*横尾忠則さんによる書評はこちらでご覧いただけます) 語り口を分析する臨床内科医 藤原 答え方に鷲田さんの特徴がいくつかあると思うんです。僕ならどう答えるかな、といったん考えてから鷲田さんの回答を読むようにしたんです。 鷲田 すごく時間かかったんじゃない? 藤原 やってみて思ったのは、当然ながら、僕のほうが優しいなと(笑)。でも、優しいことは必ずしも相手に対して生産的になるとは限らない、とわかったんです。鷲田さんの文章、かなり具体的な提案が出てきますよね。職業も「こういう仕事をやってみたら」とか。孤独な人には「図書館や美術館や公園に行ってみたら」とか。いろいろ具体案を出されている。これって、お医者さんのふるまいにもちょっと似ているかなと思うんです。「この病気はちょっとわからないけれど、とりあえず、この薬とこの薬をお

                                              鷲田清一×藤原辰史 『二枚腰のすすめ』刊行記念対談 「スタイルを見極める」|じんぶん堂
                                            • 「人文知」軽視の政権は失敗する 藤原辰史さん寄稿:朝日新聞デジタル

                                              寄稿 藤原辰史・京都大学准教授(農業史・環境史) ワクチンと薬だけでは、パンデミックを耐えられない。言葉がなければ、激流の中で自分を保てない。言葉と思考が勁(つよ)ければ、視界が定まり、周囲を見わたせる。どこが安全か、どこで人が助けを求めているか。流れとは歴史である。流れを読めば、救命ボートも出せる。歴史から目を逸(そ)らし、希望的観測に曇らされた言葉は、激流の渦にあっという間に消えていく。 宮殿で犬と遊ぶ「ルイ16世」の思考はずっと経済成長や教育勅語的精神主義に重心を置いていたため、危機の時代に使いものにならない。IMFに日本の5・2%のマイナス成長の予測を突きつけられ、先が見通せず右往左往している。それとは逆に、ルイとその取り巻きが「役に立たない」と軽視し、「経済成長に貢献せよ」と圧力をかけてきた人文学の言葉や想像力が、人びとの思考の糧になっていることを最近強く感じる。 歴史の知はいま

                                                「人文知」軽視の政権は失敗する 藤原辰史さん寄稿:朝日新聞デジタル
                                              • Amazon.co.jp: 縁食論――孤食と共食のあいだ: 藤原辰史: 本

                                                  Amazon.co.jp: 縁食論――孤食と共食のあいだ: 藤原辰史: 本
                                                • 戦場と同じ思想で、ランチを選ぶ現代人「嗜好品は人間性を保つ上で大切」:歴史学者・藤原辰史 | DIG THE TEA

                                                  嗜好品には、体をつくる栄養があるわけではない。 生命維持に必要不可欠ではないのにもかかわらず、全世界で嗜好品はたしなまれている。 嗜好品は、人間らしく生きるためには、なくてはならないものかもしれない。 嗜好品を考えることは、人間が生きるためになにが必要なのか、ひいては「人間という生き物とは何か」に迫ることでもある。 現代における私たちの嗜好品や嗜好体験を探究するために、文化人類学や歴史学者など様々な一線の研究者に話を聞く、新連載「生きることと嗜好」。 初回は京都大学人文科学研究所准教授の藤原辰史さんのもとへ向かった。 かつてナチス・ドイツは、国家に貢献できる人間をつくりだすべく、食生活のキャンペーンや禁煙運動などの「健康政策」を通じて、国民の日常に介入した。 その恐ろしさを著書『ナチスのキッチン』で指摘した歴史学者で、農業史と環境史が専門の藤原辰史さん(京都大人文科学研究所・准教授)はこう

                                                    戦場と同じ思想で、ランチを選ぶ現代人「嗜好品は人間性を保つ上で大切」:歴史学者・藤原辰史 | DIG THE TEA
                                                  • シンプルな野蛮|『ブラッドランド』刊行記念|藤原 辰史|webちくま

                                                    世界30カ国で刊行、アーレント賞はじめ12の賞に輝き、米・独・仏など各国でベストセラーを記録した話題の歴史ノンフィクション、ついに邦訳刊行! 人類史上最大のジェノサイドの全貌を初めて明らかにし、歴史の闇に葬られた不都合な真実を暴き出した問題作を、いまどう読むべきか? 藤原辰史氏、武田砂鉄氏、田中克彦氏による緊急書評を3週連続で掲載します。 現在の国名でいえば、ポーランド、ウクライナ、ベラルーシ、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、そして、ロシア連邦の西側国境沿いの地帯。これが、ティモシー・スナイダーが描いた「ブラッドランド」、つまり、ヒトラーとスターリンの時代、ナチスとソ連によって幾重にも蹂躙され、1,400万人を超える生命が失われた「流血地帯」である。 『ブラッドランド』に記述される諸事実について、おそらく、それぞれの専門家は言いたいことが少なからずあるだろう。私もそうだ。しかし、即座に

                                                      シンプルな野蛮|『ブラッドランド』刊行記念|藤原 辰史|webちくま
                                                    • ハプニングの寛容は食そのもの 松重豊と藤原辰史が語る:朝日新聞デジタル

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