「ロシアもウクライナも両方悪い」は不適切。細谷雄一教授の連続ツイートが「WEBで読める決定版と言える論考」と反響
翻訳の秋が今年もきました。また去年みたく面白い記事をいくつか見つけて勝手に紹介したいところです! 去年アップした『訳文;「"好奇心駆動型の冒険"とでも言うべき特殊なタイプの冒険に報酬を与えるゲームをつくりたい、それが『Outer Wilds』の主目的です」A・ビーチャム氏の論文より』で翻訳紹介した論考のなかで、参照文献として挙げられていた文献のうち2つ、ヘンリー・ジェンキンズ著『GAME DESIGN AS NARRATIVE ARCHITECTURE(物語による建築物としてのゲームデザイン)』とボニー・ルバーク取材『Clint Hocking Speaks Out On The Virtues Of Exploration(クリント・ホッキングが語る冒険の美徳)』。別記事1つ、ドン・カーソン著『Environmental Storytelling: Creating Immersive
はじめに 『現代思想 フェミニズムの現在』に収録されている千田さんの論考「『女』の境界線を引き直す―『ターフ』をめぐる対立を越えて」を読みました。いろいろと問題を感じましたが、それ以前に非常にわかりにくかったので、その点について簡単にまとめておきます。 千田さんの論考についてはすでにトランス当事者の方が千田さんの論考に対しておかしいと感じる点を丁寧にまとめているブログがあるので是非読むことをおすすめします。 snartasa.hatenablog.com 千田さんご自身はこのブログを「誤読だ」と言っています。 note.com けれど、以下述べていくように、私は千田さんの論考は構成も内容も決して明確ではなく「正読」が何であるのかを掴むのが大変に難しいと思うので、特に当事者の方がトランスフォビックに感じられる点を強く受け取めるのはある意味当然のことではないかと思っています。 主題設定について
これがVTuberに関する論考として歴史に残ってしまうのはだいぶ知的にまずいと思います。(論座2021年10月1日) 50年100年後の研究者がこれを参照して(なんといっても日本のクオリティペーパーな新聞社なわけだから)信用して研究をしてしまうのはだいぶまずいよなあと心配しています。 まず記事として構成がおかしい。キズナアイの複数人制は、中の人を入れ替えることが失敗した業界最大規模の実例ですが、それを取り上げた上で、彼はこう論じているわけです(以下引用) しかしその一方で、アバターと中の人が一対であり不可分な関係性だというのは、VTuberのアバターひとつに中の人ひとりという、現在主流な運用形態から見た言い分に過ぎないということも示している。 故に本質的にはVTuberのアバターには人格は存在せず、VTuberの人格とは、その時点でしゃべりや操作を担当している中の人の人格でしかないのである
『週刊金曜日』2022年10月28日(1398号)特集「統一教会だけじゃない!part2:「家族」に介入する自民党と宗教右派」内掲載記事 (編集部の許可を得て転載) 報道や国会などで連日、統一教会が槍玉にあげられ、政界での唯一の暗躍者かのような印象を世間に与えている。思い返せば、6年ほど前のいわゆる「日本会議ブーム」のときも、保守団体「日本会議」のみが焦点化された。問題は、統一教会だけでも、日本会議だけでもない。 「家庭教育」をめぐる動きも同様で、統一教会が突如始めたものではない。本格化したのは2006年12月、第一次安倍晋三政権のもとで教育基本法が全面的に「改正」されて以降だ。 「改正」は、「愛国心」が新たに加わるなどで大きな批判を浴びたが、家庭教育に関する第10条も新設された。保護者が子どもの教育の第一義的責任を持つとし、国や地方公共団体(自治体)は家庭教育を支援するために必要な施策を
本記事は、「咀嚼できるものを噛みちぎる:消耗戦環境を理解しているウクライナ」(Robert Rose, “BITING OFF WHAT IT CAN CHEW: UKRAINE UNDERSTANDS ITS ATTRITIONAL CONTEXT”, War on the Rocks, 26.09.2023)の紹介記事になります。著者のロバート・ローズ氏は米陸軍少佐で、訓練機関での勤務、アフガニスタンでの戦闘経験がある人物です。 2023年6月から始まったウクライナ軍の反転攻勢作戦に関して、その戦い方の拙さを指摘する声があります。そのような見解を指摘する人々はしばしば、ウクライナ軍がNATO流の(米軍流の)戦闘様式に習熟していない、ウクライナ軍はNATO軍や米軍のような戦い方ができていないと述べますが、ローズ氏はそのような指摘を否定的に捉えています。 以下、この論考の流れに沿って、内容
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