奈良市の奈良国立博物館前の芝生に多数の鹿が密集する姿が、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で話題を集めている。奈良の夏の風物詩となっており、SNSでは「鹿だまり」や「鹿団子」などと呼ばれ、連日、愛らしい鹿の様子を撮影する人々の姿が見える。現場を訪ね、鹿たちの動きを観察してみた。 8月上旬、午後5時に博物館前に到着すると、まだ鹿の数はまばらだった。変化が起きたのは午後6時ごろ。方々から十数頭の鹿の群れが次々と芝生に集まり、30分後には、200頭を超える鹿が芝生一面にずらりと陣取った。 奈良の鹿愛護会(奈良市)の2021年の調査によると、奈良公園内の鹿の生息頭数は1105頭。公園内の2割近くの鹿が1カ所に集まっている計算になり、その様子は壮観だ。鹿たちは、おなかを地面に付けて休息したり、草をはんだり、思い思いに過ごしている。