貧困の連鎖を断ち切りたい。 その一心で出稼ぎに行った、あるネパール人男性。向かった先はサッカーワールドカップの誘致に沸く中東カタールでした。しかし、男性が戻ることはなく、代わりに死亡証明書が家族のもとに届きました。死因の欄には「呼吸不全 自然死」とだけ書かれていました。働き盛りの男性はなぜ突然亡くなったのか。その経緯を調べていくと、出稼ぎ労働者をめぐる根深い問題が見えてきました。 (ドバイ支局長 山尾和宏) ペルシャ湾に面した中東カタール。首都ドーハ郊外の労働者が暮らす寮で、7年前、1人のネパール人労働者が息を引き取りました。 カシラム・ベルバシさん。労働者8人で窓のない暗い部屋で共同生活を送りながら、地下鉄の建設現場で働いていました。ルームメイトが寝静まった深夜に、突然苦しみだし、意識を失いました。救急車で搬送されましたが、すでに意識はなく、病院で死亡が確認されました。32歳の若さでした