ぼくの希望は、社会に出て、みんなのためにつくすことのできる人になろうと思っています。 この文はおかしい。どこがおかしいのか。「ぼくの希望は」で始まった文が「なろうと思っています」で終わっている。でも、「みんなのためにつくすことのできる人になろうと思ってい」るのは「ぼくの希望」ではなく、「ぼく」その人なのではないか。つまり、この文は、ほんとうなら、「ぼくの希望は」ではなくて、「ぼくは」で始まっていなければならなかった。あるいは、どうしても「ぼくの希望は」で始めたいのであれば、終わりの部分、「なることです」にしなければならない。「なろうと思っています」ではなくて。 じつはこの文は曾孫引き。三上章の『日本語の構文』に、「悪文治療のエキスパート」であるとされる平井昌夫の書いた文章を長めに引用して批判しているところがあるのだが、批判されたその文章の中で、「主語と述語が対応していない文」の一例として平