およそ四半世紀前のこと。アルバイトで生計を立てていた時期があった。当時は「フリーター」なんて言葉はまだなかったけれど、二十歳前の自分はそのはしりだった。バイトしてたのは学生街の喫茶店。江戸っ子の店長と東北出身のマスター、あとは学生アルバイトで店を切り盛りする。お客さんのほとんども学生だったから元気が良く明るい店で、まるでサークル活動をしているような感覚。そんな店で朝から夕方まで、週6日働いていた。 当時時給は600円くらい。一日働いて5,000円程、月に10万ちょっとの収入だったと思うが、これで衣食住の全てをまかなっていた。下宿は3畳間、お金が無くなるとパン屋さんで袋一杯50円のパンの耳が夕食だったりした。一日一食は勤め先で大盛りのカレーを食べさせてもらえるのが嬉しかった。お客さんが多くて「悪いけどもう1時間いい?」と言われるのも嬉しかった。 基本的には気楽なアルバイトだったのだけれど、誰