「特別検察官は…大統領にも解任できない。」。19日付某有力紙1面トップ記事の冒頭部分がこれだ。「何だって?」、読んだ筆者はのけ反った。それだけではない。他紙には「米『政権VS司法』鮮明」「捜査の予算は無制限」なる解説もあった。 字数制限の中、急いで書いた記事なのだろう。武士の情けで実名は控えるが、それにしても、なぜこんな基本的事実誤認が生じるのか。 トランプ氏のロシアゲート報道は今後も続く。今回は「特別検察官」の論点を整理したい。 そもそもこの官職、英語名だけでも3種類ある。 (1)special prosecutor (2)independent counsel (3)special counsel (1)は文字通り「特別検察官」。1875年にグラント大統領が某スキャンダル捜査のため任命したのが最初だ。この官職名は1983年まで使われたが、78年に議会が法制化するまでは司法省内部規則など