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ブックマーク / kaikaji.hatenablog.com (160)

  • 『理大囲城』と「公平な観察者」について - 梶ピエールのブログ

    genron.co.jp 先日刊行された『ゲンロン12』の東浩紀氏(以下敬称略)の論考「訂正可能性の哲学」を読んだ。これで、ゲンロン10から3号分の彼の長編評論を、比較的短期間のうちに読んだことになる。もちろん扱っているテーマは異なるのだが、そこに一貫する姿勢として、「中途半端な立場」からの社会へのコミットメントをどう倫理的に肯定するか、という課題が繊細な言葉で語られているように感じた。 僕はこれまでにも東の主な著作は読んでいたし、自分の書いたものにもしばしば引用はしてきたのだが、熱心な読者かというと必ずしもそうではなかった。『観光客の哲学』も出た時に読んでそれなりに面白い、と感じたものの、特に自分の仕事に結びつけて深く読み込むということはせず、そのままになっていた。 それが、ここしばらく、強い関心を持って読むようになったのは、やはり、中国研究を取り巻く状況がこの2,3年の間にそれまでとは

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  • 中国思想における「絶対悪」と米中対立 - 梶ピエールのブログ

    vimeo.com 四連休の間、少し思うところがあって、4年前に講談社学術文庫に収録されたフランソワ・ジュリアンの『道徳を基礎づける』について、同書の訳者で、中国思想史の専門家である中島隆博と批評家の東浩紀が語り合ったゲンロンカフェのイベント映像(「カントと孟子が語り合うーー『道徳を基礎づける』講談社学術文庫版刊行記念トークイベント」)を視聴した(公開時には見逃していた)。 そして、その内容は現在のいわゆる「中国問題」を考える上でも示唆に富んでいると思ったので、そこで語られたことをベースに自分なりの考えをまとめてみたい。 bookclub.kodansha.co.jp 論じられた内容は多岐に上るが、個人的に現代の中国問題を考える上でとても重要だと感じたのが、後半部分で東によって提起された、中国思想における「超越性」と、そこで提起される「悪」の問題である。そこでの問題提起を僕なりに理解するな

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  • 「悪の愚かさ」と「アジア」への向き合い方 - 梶ピエールのブログ

    先日のブログ記事に対して、光栄にも東浩紀氏より直接反応を頂いた。 拝読しました。中島隆博氏とぼくの対談についての3年越しの応答で、たいへん刺激を受けました。悪についてはその後も考え続けています。コロナが収束したら、できれば梶谷さん・中島さんといちどこのテーマで3人でお話ししたいですね。https://t.co/qsQuqsdO8W— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2021年7月26日 というわけで 『ゲンロン10』に掲載された東氏(以下、敬称略)の評論「悪の愚かさについて、あるいは収用所と団地の問題」および『ゲンロン11』の「悪の愚かさについて2、あるいは原発事故と中動態の記憶」を読んだ。東がこういった主題に格的に取り組んでいることについて、今まで不覚にも知らないでいたのだが、遅まきながらこの時期に読めてよかったと思った。 前者の評論は、2019年の春に東が中国

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  • お仕事のお知らせ - 梶ピエールのブログ

    講談社のウェブメディア『現代ビジネス』に、「竹中平蔵氏、中国社会でひそかに「大人気」になっていた」という記事を寄稿しました。3回連続シリーズの第1回です。 gendai.ismedia.jp この記事ですが、少し前に以下のようなツイートを何気なくしたところ、それがなぜか現代ビジネスの丸尾さんの目にとまり、「面白い現象なのでぜひ背景を説明してほしい」と依頼を受けたのが執筆のきっかけです。 なんとなく「竹中平蔵」を百度で画像検索したらこんな感じになって一瞬なんじゃこりゃ!と思ったがどうやら「竹中」というpixivなどで作品を発表しているイラストレーターの方が中国で人気で、勝手に「平蔵」をつけて認識されている、ということのようであった。https://t.co/S8le05qP3l— 梶谷懐 KAJITANI Kai (@kaikaji) 2020年7月2日 ちなみに物の平蔵氏もかなり前から中

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  • 士大夫たちのハイパー・パノプティコン - 梶ピエールのブログ

    セレモニー 作者: 王力雄,王柯,金谷譲出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2019/04/26メディア: 単行この商品を含むブログを見る 中国の反体制作家による、近未来の中国を舞台にしたディストピア小説。それだけで一定の先入観を持って、敬遠してしまう読者も多いかもしれない。かくいう僕もこのについて、先に台湾で出版された中国語版を手に入れていたのだが、帯の文句に「インターネット時代の『1984年』!」なんていう文句がでかでかと書いているのを見て、内容がなんとなく想像できるような気がしてそのままにしていた。で、このたび藤原書店から翻訳が出たのを知ってさっそく読んでみたのだが、なんのなんの『1984年』なんかよりずっとお下劣かつ痛快で、無茶苦茶面白い作品ではないですか。小説にしては値段がかなり高めだし、マーケットを中国関係の研究者やジャーナリストに絞っているのかもしれないが、そういう狭い

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  • 理性としての「反緊縮」 - 梶ピエールのブログ

    黒い匣 (はこ) 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層 作者: ヤニスバルファキス,朴勝俊,山崎一郎,加志村拓,青木嵩,長谷川羽衣子,松尾匡出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2019/04/19メディア: 単行この商品を含むブログを見る 果たして、どれだけの日人が、2015年1月から7月までの間に、ギリシャで起こったことを記憶しているだろうか。このとき、ギリシャではチプラス左派政権が成立し、トロイカ―欧州委員会、ヨーロッパ中央銀行、IMF―が政府に要求する緊縮的な「救済策」の受け入れを拒否する姿勢を鮮明にした。さらには7月には国民投票によってトロイカ案の受け入れが否決されたことで、事態は国際的なニュースとなり、その是非をめぐって活発な議論が繰り広げられた。 その「ギリシャの春」のキーパーソンが、チプラス政権の財務大臣を務めたヤニ

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  • お仕事のお知らせ - 梶ピエールのブログ

    以下の学術論文(田畑伸一郎氏、福味敦氏との共著)を『比較経済研究』56 巻 (2019) 1 号に発表しました(閲覧にはJ-Stageへの登録が必要)。もしご関心がおありの方はご覧ください。 www.jstage.jst.go.jp 抄録 中央と地方の間の財政関係について,ロシア中国,インドというユーラシアの3大国の比較を行った.その結果として,ロシアでは最も中央集権的な財政構造となっているが,財政再分配機能は最も低いこと,中国では最も地方分権的な財政構造となっており,中央から地方への移転が最も大きな役割を果たしているが,地方財政の自立性が最も高いこと,インドでは地方の自主財源が少なく,地方の自立性が低いことなどを明らかにした.

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  • 功利主義+テクノロジー、市民社会、現代中国 - 梶ピエールの備忘録。

    『週刊読書人』11月2日号の綿野恵太氏によるコラム「論潮」で、拙著『中国経済講義』ならびに「『リベラル』な天皇主義者はアジア的復古の夢を見るか?」(『現代中国研究』第40号)が言及されています。特に後者については、「功利主義+テクノロジー」による統治に関する批判的議論の導入として、かなり突っ込んだ取り上げられ方がされています。 功利主義の世紀 進化論と認知科学から導かれる統治 「アリババやテンセント、ファーウェイと言った民営企業の台頭、それに自転車や配車アプリなどのシェアリングエコノミーの広がりは、人々の私利私欲を満足させる、つまり功利主義的な価値観を全面的に肯定すると同時に、法やイデオロギーに裏付けられない、テクノロジーに裏付けられたアーキテクチャーによって「環境管理型権力」の洗練に一役買っている。〔…〕おそらく今後の中国社会では、知識人がどのような議論を展開しようとも、あるいは共産党

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  • いただきもの - 梶ピエールのブログ

    「新自由主義」の妖怪――資主義史論の試み 作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 亜紀書房発売日: 2018/08/24メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (4件) を見る 著者よりご恵投いただきました。稲葉さんの著作としては『経済学という教養 (ちくま文庫)』の続編、といった感じでしょうか。タイトルの「妖怪」は"phantom"という英語のほうが意味としてはぴったりかもしれませんね。

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  • 中国版「一匹と九十九匹と」−安田峰俊『八九六四』を論ず - 梶ピエールのブログ

    八九六四 「天安門事件」は再び起きるか [ 安田 峰俊 ] ジャンル: ・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 歴史 > 世界史ショップ: 楽天ブックス価格: 1,836円 いっけなーい🔪殺意殺意💦私、中国ライター!天安門事件のルポを書いたの✨でもある日、海外中国語媒体が「安田氏は書の中国語版出版を希望」とかヨタ話を報じてもう大変💦中華圏各社が裏取りせず転載しまくるのもマジやめろ💣💥次回!「かくごしろ。それなら習近平体制を礼賛してやる」お楽しみに💕— 安田峰俊|『八九六四』増刷御礼|日首家80后亲党亲华共产主义战士,日杰出红色青年作家🇨🇳 (@YSD0118) 2018年6月18日 現在活躍する中国もののライターの中でも最も文才豊かな一人として知られる安田峰俊は、これまで硬軟取り混ぜ様々な仕事を手掛けているが、中でも角川書店からは『和僑』『境界の人』とかな

  • お仕事のお知らせ - 梶ピエールのブログ

    中国経済経営学会の学会誌『中国経済経営研究』第1巻第2号(通巻2号、2017年12月)に、Carsten Herrmann-Pillath著 China's Economic Culture: The Ritual Order of State and Marketsの書評を寄稿しました。 China’s Economic CultureThe Ritual Order of State and Markets【電子書籍】[ Carsten Herrmann-Pillath ] ジャンル: ・雑誌・コミック > 洋書 > SOCIAL SCIENCEショップ: 楽天Kobo電子書籍ストア価格: 4,965円 以下のURLからPDFを入手できます。 http://www.jacem.org/pdf/ecomana/em02_48_53_kajitani.pdf Carsten Herrma

  • 深圳のデザインハウスに見る「仲介」と「パクリ経済」の効用 - 梶ピエールのブログ

    最近国立大学では冬休みがどんどん短くなってきていて、この年末から正月にかけてもまともに読書する時間が持てなかったのだが、その中では藤岡淳一『「ハードウエアのシリコンバレー深セン」に学ぶ』(インプレスR&D)がとても印象的だった。 「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム (NextPublishing) 作者: 藤岡淳一出版社/メーカー: インプレスR&D発売日: 2017/11/24メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 藤岡氏は、深圳に社を持つEMS企業、ジェネシスの創業者・社長として2001年から10年以上にわたって深圳の製造業の現場で活躍してきた実業家だ。通常、中小企業のオヤジが成功談をにしましたというと、他人にはあまり参考にならない苦労話、自慢話でお腹イッパイ、、と思われがちだが、このはそういった類の

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  • お仕事のお知らせ - 梶ピエールのブログ

    神戸大学の学術成果レポジトリ"Kernel"で、過去に書いた文章が公開されましたので、以下にご紹介します。 「現代中国と「アジア的なもの」への視点: 瀬戸宏氏の批判に答える」 新左翼系のオピニオン誌『情況』に掲載された拙著『日中国、「脱近代」の誘惑』の批判への反論として書かれたものです。 情況 2017年 04 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 情況出版発売日: 2017/04/15メディア: 雑誌この商品を含むブログ (2件) を見る 日中国、「脱近代」の誘惑 ――アジア的なものを再考する (homo viator) 作者: 梶谷懐出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2015/06/06メディア: 単行この商品を含むブログ (19件) を見る 「Book Review 『リベラルな共和主義』は可能か」 『外交』誌に掲載された稲葉振一郎さんの『政治の理論』のレビューです。 政

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  • それでも中国は世界第二位の経済大国である(下) - 梶ピエールのブログ

    実質GDPが過大評価されるということはどういうことか (承前)さて、書の59ページ図表9では、中国経済の公式統計が様々な「疑惑」を抱えていることをもって、「中国の実質GDP成長率が1985年以降の30年間、毎年3%水増しされている」という「控えめな」仮定をおいたとしても、実際のGDPは公式統計の3分の1であり、日を下回ってGDPは世界第3位になる、と述べている。言うまでもなく、この主張は書のタイトルの根拠にもなっている。ただ悪いけど、これは典型的な「ダメな議論」だと思う。 「中国のGDP統計に怪しいところがある」というのは事実だし、「年によっては実質成長率が数%過大に評価されている」ことも十分あり得る話だ。だからといってそこから「30年もの長期にわたって3%過小評価され続けている」という結論は、どうやったって出てこない。 そもそも、「実質GDP成長率の水増しが少しずつ重なって、最終的

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  • それでも中国は世界第二位の経済大国である(上) - 梶ピエールのブログ

    先日、中国共産党の第19回党大会が開かれ、その後の一中全会で新たな政治局常務委員の顔ぶれが発表されたが、それとはあまり関係なく、このところ、「中国崩壊論」がらみの記事で2回ほど取材を受ける機会があった。野嶋剛氏によるNewsPickの記事「中国経済崩壊論の問題点」(有料記事)および、高口康太氏によるNewsWeekの記事「中国崩壊の崩壊カウントダウン」である。 ただ、私は狭義の「中国崩壊」すなわち、何らかのリスクが顕在することによって近いうちに共産党政権が倒れることを予言する書籍にはあまり関心を持っていない。むしろ最近注目してきたのは、より新しいタイプの、GDPの水増しが深刻なレベルであり、実際のGDPは公式統計の3分の1程度である、といった主張を展開する、いわば「中国経済成長まぼろし」ともいうべき一連の著作である。私がこれらの著作に関心を持つのは、いわば自分の守備範囲内なので、より

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  • お仕事のお知らせ - 梶ピエールのブログ

    外務省が出している外交専門誌『外交』のVol.45に、稲葉振一郎著『政治の理論―リベラルな共和主義のために―』のブックレヴューを寄稿しています。基的に以前このブログで書いた文章をベースにしていますが、個人的には「リベラル」という言葉の意味について改めて考え直す上では格好のテキストではないかと思っています。 政治の理論 (中公叢書) 作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2017/01/17メディア: 単行この商品を含むブログ (16件) を見る

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  • 「私には敵はいない」と語った劉暁波は、「私利私欲」を捨てた人だったのか、それとも「私利私欲」を貫いた人だったのか - 梶ピエールのブログ

    今年7月に劉暁波が多臓器不全で亡くなった後は、日でも数多くの追悼文や、中国共産党を非難する文章が書かれた。一方で、劉の死については、SNS上も含め、それについて積極的に語ろうとする者と決して語らない者がはっきりと別れるという意味では、中国に関心を持つものにとってもある種の「分断」をもたらすものだった。私は、劉暁波の問題について、そのような「分断」を含め、表立っては語られることがない、いわば「隠された」問題の方が実は重要である、という漠然とした思いを抱いていた。ただ、どのようにしてその問題について語ればよいのか、言葉を探しあぐねてきた。 そんな中、たまたま目にした『週刊読書人』に掲載された「劉暁波の死をきっかけに」と題された羽根次郎氏の一文は、上に述べたような「隠れた問題」を明るみに出すという点では格好のテキストだった。発表後、それほど話題になっているとは言えないテキストだが、あえてここで

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  • 共和主義ってなんだ?―稲葉振一郎『政治の理論』について− - 梶ピエールのブログ

    先週、京都でこの読書会があり、著者ご人も参加されるというので参加してきました。その後、このに関する考えや疑問点が徐々にまとまって来たので、ブログ記事の形で公表したいと思います。主催者並びに質問に誠実に答えていただいた稲葉氏に感謝します。 政治の理論 (中公叢書) 作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2017/01/17メディア: 単行この商品を含むブログ (16件) を見る ・・考えてみれば「共和主義」とは不思議な概念である。リベラリズムや「自由」に関するはたくさん出ているが、「共和主義」に関する書籍は専門書以外ではほとんどお目にかかることはない。「民主主義ってなんだ」、「立憲主義を守れ」という掛け声がデモで叫ばれることはあっても、「共和主義ってなんだ」という掛け声を私たち耳にすることはない。後で見るように、キャス・サンスティーンのような現代的な共和主義

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  • ヘーゲルと現代経済学 - 梶ピエールのブログ

    現代経済学のヘーゲル的転回:社会科学の制度論的基礎 (叢書《制度を考える》) 作者: カーステン・ヘルマン-ピラート,イヴァン・ボルディレフ,岡裕一朗,瀧澤弘和出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2017/06/19メディア: 単行この商品を含むブログ (3件) を見る 「現代経済学のヘーゲル的転回」。このタイトルを見て、「なんじゃそりゃ」?と思う人が多いだろう。あるいは、今やすっかり廃れてしまったマルクス経済学を、そもそも「逆立して乗り越えた」はずのヘーゲル哲学までさかのぼって擁護しようとした時代遅れの書物だと思うかもしれない。だが、これはそういうでは全くない。 書は(マルクス経済学ではない)現代経済学の方法論的な弱点と、それに対するオルタナティブを「制度」と「倫理」の観点から真摯に問い直した研究として、後世に名を残すだけのインパクトと可能性を兼ね備えただと思う。ちな

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    shinichiroinaba
    shinichiroinaba 2017/07/30
    ヘーゲル復興はここまで来たのか
  • お仕事のお知らせ - 梶ピエールのブログ

    外務省が出している外交専門誌『外交』のVol.43に、岡隆司著『中国の誕生―東アジアの近代外交と国家形成―』のブックレヴューを寄稿しています。基的に以前このブログで書いた文章をベースにしていますが、同時に「中国にとっての琉球とチベット」を(かなりあからさまな政治的な意図をもって)論じた汪暉の『世界史のなかの中国』についても批判的に言及しています。 中国の誕生―東アジアの近代外交と国家形成― 作者: 岡隆司出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2017/01/06メディア: 単行この商品を含むブログ (6件) を見る 世界史のなかの中国 文革・琉球・チベット 作者: 汪暉,石井剛,羽根次郎出版社/メーカー: 青土社発売日: 2011/01/24メディア: 単行 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見る もう一件お知らせ。先日霞山会が出している東アジアの政治経済

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