第297号 国外のサーバから送信され国内で受信される行為に対してネットワーク型 システム発明にかかる特許の「生産」が国内でなされたと評価して 日本の特許権侵害を認めた知財高裁大合議判決について ~知財高裁令和5年5月26日判決~ Ⅰ 序 本稿が扱うのは、ネットワークを介してサーバと端末を結び付けることによって構成される「システム」発明にかかる特許侵害事件であり、米国のサーバから送信し、日本の端末装置で受信する動画提供サービスについて、日本国内で特許システムが「生産」されていると評価して日本の特許権侵害を肯定した知財高大判令和5.5.26令和4(ネ)10046(WestlawJapan文献番号2023WLJPCA05269001)[コメント配信システム]※1である。インターネットを利用する被疑侵害行為に対して、特許権の属地主義がどこまで緩和しうるのかということを扱った大合議判決として、実務的