新型コロナウイルスの感染が拡大する中、風邪などで休んだ従業員に対し、会社がウイルスに感染していないことを証明する書類を求める事例が相次いでいる。PCR検査は原則、医師が必要と判断した場合などに限られ、仮に検査を受けても「陰性」の立証は簡単ではない。本意でない退職につながったケースもあり、厚生労働省は事業者側に要求を控えるよう呼びかけている。 「どうして仕事を奪われるのか、納得がいかない」 関東地方に住む40代の女性はそう憤る。介護施設に常駐し、利用者の健康相談などを担当する看護師だったが、新型コロナ感染の疑いをかけられ、追い出されるような形で退職した。 3月初め、微熱が出て職場を早退した。翌日に受診した病院では「風邪」と診断され、他の病院でも「コロナの疑いはない」と診断された。せきや、味覚・嗅覚(きゅうかく)の異常もなかった。 微熱が続いたので施設に報告すると、「給与の6割を支払うから3月