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2020年7月の豪雨被害で八代(熊本県)-吉松(鹿児島県湧水町)の不通が続く肥薩線。八代-人吉(熊本県)の「川線」は鉄路での復旧が現実味を帯びる中、鹿児島、宮崎、熊本3県をまたぐ人吉-吉松の「山線」は何も決まらないままだ。JR九州は3県を交えた議論の場を設けたい考えを示す。3県とも全線復旧を望むものの、JR側が重要視する「日常利用の創出」が今後の鍵となりそうだ。 大型連休中の4月29日、肥薩線と吉都線が走る吉松駅は、無人駅ということもあり人の気配はなかった。しばらく歩くと、都城市へ向かう吉都線の列車の横で、肥薩線の線路が草木に覆い隠されていた。駅前で銭湯と商店を営む能勢秀昭さん(75)は「週末や連休は観光客でにぎわっていたのが懐かしい」と振り返る。 ■ ◇ ■ 川線は4月3日、JR九州と国、熊本県の3者会合で鉄路復旧を基本合意。鹿児島県の塩田康一知事は19日の会見で「山線は地域住民にとって
熊本県水俣市で1日開かれた水俣病慰霊式の後、環境省が主催した伊藤信太郎環境相との懇談会には、八つの患者・被害者団体が参加した。思いを伝える制限時間は1団体3分間。複数の団体は時間が超えると司会者にせかされ、話し続けるとマイクの音が消えた。団体は「被害者の声に丁寧に耳を傾けて」と憤った。 「最後まで言わせてやれよ」。懇談会の終盤、怒号が飛んだ。高齢男性が亡くなった妻の症状や被害を訴えている最中にマイクの音が消えたからだ。見かねた別の団体が「私たちの時間を使って」と申し出た。 続いて発言した水俣病被害者獅子島の会(鹿児島県長島町)の滝下秀喜会長(64)は、離島の患者が通院する際の交通費の補助などを求める要望書を早口で読み上げた。「懇談会は国のパフォーマンス。丁寧に話を聞く場に改善して」と話した。 水俣病被害者の会の中山裕二事務局長(70)は「マイクの音量を調整したのか」とただしたが、環境省側は
2020年7月の豪雨被害で八代(熊本県)-吉松(鹿児島県湧水町)の不通が続く肥薩線を巡り、鹿児島県の塩田康一知事は19日の定例会見で、JR九州が復旧の是非を含め方向性を示していない「山線」と呼ばれる人吉(熊本県)-吉松について、「鉄道での復旧が前提」との見解を示した。 八代-人吉の「川線」は、熊本県、国、JR九州が3日、鉄路復旧で基本合意した。山線に対しJR九州は、鹿児島、宮崎両県が参加する新たな会議体で議論することを示唆している。 塩田知事は「(川線の)復旧の方向性が示されたのは鹿児島にとってもいい話」と述べる一方で、山線を「地域住民にとっての足であり、観光産業の振興でも重要なインフラ」と強調。「現在も線路は残っている。当然維持、存続で議論を進めたい」と話した。 川線の検討会議では、熊本県から自治体が施設を保有しJR九州が運行する「上下分離方式」などが示され、33年度ごろの運転再開が提示
鹿児島県伊佐市大口大田の大規模太陽光発電所(メガソーラー)で、夜間売電するための蓄電施設が炎上した3月27日の火災は、鎮火まで約20時間を要した。爆発で消防士4人が負傷し、さらなる二次被害を警戒して消火活動がままならなかったからだ。経済産業省九州産業保安監督部(福岡市)によると、メガソーラーの建物火災は県内では初めてで全国的にもまれだという。 伊佐湧水消防組合によると、27日午後6時すぎ、通報を受けた隊員10人が現場に駆けつけた。リチウムイオン蓄電池など蓄電設備を備えた倉庫の隙間や換気口から白煙が上がっていた。火の手は見えなかった。 倉庫内は煙で視界が悪かった。内部の温度を確認した上で隊員が排煙機器のホースで煙を排出。いったん止めて、ホース位置を調整していたところ爆発した。熱風と衝撃で入口付近の4人が負傷。防火衣やグローブを着けていたにも関わらず、顔や手に中等症のやけどを負い2人は入院した
2020年7月の豪雨災害から約3年9カ月。2年間に及ぶ協議の末、JR九州が3日導き出した結論は、八代-人吉(通称・川線)の鉄路での復旧だった。不通区間の復旧は「一体で」というJR九州の言葉を信じて議論を見守ってきた人吉-吉松(山線)の沿線からは、山線の新たな議論の場を設ける方針に「残念」と落胆の声がある一方で、「復旧の可能性があるということ」と望みをつないだ。 川線の鉄路復旧で基本合意したJR九州と国、熊本県の3者会合。終了後、同社の松下琢磨取締役常務執行役員は、山線の復旧に「今後の議論」と言葉を濁した。川線の復旧議論で同社は当初から「復旧後の持続可能性」にこだわった。被害が軽微でも「日常利用がほぼない」(古宮洋二社長)として、山線復旧に一時停止を求めたともいえる。 鹿児島県湧水町や宮崎県えびの市などは、山線の先行復旧を要望。その際、JR九州からは「一体での復旧」と断られた。池上滝一湧水町
鹿児島県議会の小園成美議員が指宿市で運営する2カ所の高齢者福祉施設で、医師が処方していない抗寄生虫薬を利用者らへ投与していた問題や待遇などを巡り、両事業所の職員の大半が2月末に退職した。これを受け市は施設の運営指導を実施した。 小園議員によると、2施設では2月29日、職員19人中16人が退職した。その後介護経験者を確保したり、計13人いた利用者の一部を他施設に移したりして対応。3月15日以降は一方に利用者9人を集め、職員18人体制となっている。運営に支障は出ていない。 関係者によると、元職員らが無処方薬を投与することへの不安や業務改善について訴えると、小園議員から「上司に逆らうものではない」などと言われた。小園議員は取材に、発言は「覚えていない」と説明。大量退職以前の昨秋から待遇などについて職員と協議が続いていたとし、「相談した県外業者から経営交代を迫られていた」と話した。
2020年7月の豪雨被害で八代(熊本県)-吉松(湧水町)が不通になっている肥薩線について、JR九州の古宮洋二社長は27日の定例会見で、国と熊本県と協議を続けている復旧会合の対象区間は川線と呼ばれる八代-人吉(熊本県)と明らかにした。人吉-吉松(山線)は、沿線の鹿児島、宮崎県が加わる別の会議体が必要だとする考えを示した。復旧の際は、川線と山線が一体とする従来の考えを強調した。 古宮社長は山線を「利用客の日常使いがほぼゼロ」と指摘。路線が熊本、宮崎、鹿児島の3県にまたがっている点を踏まえて「議論の方法は変わる。何らかの会議体で決めたい」と述べた。 現在、川線を話し合っている国、熊本県との3者会合に鹿児島県と宮崎県はオブザーバーとして参加している。これまでに熊本県は、沿線自治体が線路などの施設を保有しJR九州が運行を担う「上下分離方式」や、観光での利用促進策を提案し、同社は受け入れ方針を固めてい
鹿児島県議会の小園成美議員(自民・指宿市区)が指宿市で運営する高齢者福祉施設が、医師の処方箋なしで抗寄生虫薬「イベルメクチン」を利用者へ投与していたことが27日、分かった。イベルメクチンは国内では医師の処方が必要な薬のため、「法令違反であったことは明らか」として、おわび文書を施設のホームページに同日掲載した。同施設によると、健康被害は確認されていない。 施設は同市のグループホーム「すもも」と「すももの里」。小園議員によると「2023年10月ごろに利用者への投与があったのではないか」と外部から指摘があり確認した。文書では「処方箋なしでイベルメクチンを投与したことは事実だった」と謝罪した。「並行輸入品として入手できていた」と説明した。 新型コロナウイルス感染症に効果があると考えて投与した。「職員も入居者も感染する大パニックだった。入居者の生命を守れるとわらにもすがる思いで実行した」とした。 小
豪雨被害で2020年7月から運休が続いている肥薩線(吉松-八代間)の鉄道復旧方針が明らかになった19日、吉松駅のある鹿児島県湧水町では「奇跡が起きた」「にぎわう姿に戻したい」などと歓迎の声が上がった。JR九州が復旧に慎重だったこともあり、同町は「大きな前進」と期待した。 「被害が大きく費用も膨大なので、完全復旧は正直なところ諦めていた」と明かすのは、吉松駅隣で食堂を営む永野龍郎さん(72)。22年3月に駅は無人化され、23年9月には吉松-人吉間を走っていた観光列車「いさぶろう・しんぺい」もなくなった。「若者を中心に駅前の活性化に努めるが、鉄道利用者がいないことには始まらない。観光列車も一緒に復活を」と願った。 スイッチバックやループ線、日本三大車窓に数えられる絶景など、魅力が多い路線。県観光連盟の橘木宏幸専務理事は「熊本から霧島へ直接足を運べる交通手段であり、観光県鹿児島を支える重要なルー
新年度を前に、鹿児島県教育委員会が臨時的任用教員(臨時教員)の確保に力を入れている。8日、ホームページに緊急募集の特設サイトを開設。県庁で会見を開き、「子どもたちの成長を支えるために力を貸してほしい」と呼びかけた。 募集しているのは小学校約900人と中学校約500人、高校約250人、特別支援学校約350人の計約2000人。現在は約1800人が勤務しているが、来年度は何人に更新してもらえるか未確定だという。 臨時教員は、正規教員の産休や育休、病休などによる欠員を埋めている。新学期に児童生徒の転入で想定より学級数が増え、教員が足りなくなった際などにもカバーする。 教職員課によると、昨年は臨時教員が十分に確保できなかった影響から、離島や大隅地域などで18人の不足が5月1日時点で発生した。今年1月末現在も、必要数に対し43人配置できていないという。 教員免許を持っていれば、年齢制限はない。中島靖治
防衛省が鹿児島県さつま町中岳で検討する弾薬庫(火薬庫)整備について、町は7日、初の住民説明会を開いた。防衛省担当者は「攻撃を受けても弾薬庫は爆発しない」などと安全性を強調。会後の取材に、7月にも適地調査に入る見通しを示した。 中岳がある薩摩地区の住民約300人が参加。九州防衛局の遠藤敦志企画部長は選定理由に町の誘致や必要な保安距離が確保できる点を挙げた。最も厳しい条件(火薬量40トン、病院が近接)の場合、弾薬庫から550メートルが必要と例示した。 これまで弾薬庫で事故はゼロとし、攻撃リスクには「国全体の抑止力を高める」と説明。攻撃を受けた場合は、補償や復興施策も検討されると踏み込んだ。 質疑応答では中津川区公民館長の寺脇伸治さんが、定期的な説明や水源への影響調査、シェルター整備などを地区の意見として要望。反対する住民は「弾薬庫は守られても、住民は守られない」と批判した。 会で所感を問われた
西之表市馬毛島の自衛隊基地整備は12日、基地本体の着工から1年がたった。真っさらな島を丸ごと買収し基地化する異例の巨大事業は、残り3年程度という工期を区切りながら、買収額や総工費などはまだ示していない。不透明さを積み残したまま、前例のないスピードで進んでいる。 防衛省は2023年1月、環境影響評価(アセスメント)の最終まとめとなる「評価書」を公告し、基地本体に即日着工した。評価書によると、着工2年目(24年)は工事資材搬入の「ゲート」となる仮設桟橋が3月ごろ、2本の滑走路は9月ごろにも工事完了の工程を示している。 基地完成後は、米軍が求める空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の恒常的な訓練地となるほか、陸海空の自衛隊部隊も頻繁に活動する。中国軍が進出を強める地域でプレゼンス(存在感)を高める狙いもあり、政府が「かつてない防衛力強化」にかじを切る中で、機能強化を懸念する声は根強い。 西之表
鹿児島県霧島市の国分生協病院は4日、身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」によるサイバー攻撃を受けたと発表した。現在、救急や一般外来の受け入れを制限している。 厚生労働省によると、県内医療機関へのランサムウエア攻撃は、確認できた2021年度以降初めて。 同院によると、画像管理サーバーの一部データが暗号化された。個人情報の流出は、現時点で確認されていない。紙カルテを運用し、予約外来や入院患者は対応している。 2月27日午後9時半ごろに攻撃を確認。28日午前8時半に外来、救急の受付停止を決定し、紙カルテを運用。厚労省に初動対応チームの派遣を要請した。 院内全体のインターネット接続を停止しており、再侵入などの兆候はない。攻撃者から身代金の要求はされておらず、支払いや交渉には応じない構え。 攻撃された原因として、保守のためのネットワーク機器で、外部から認証なしで院内コンピューターに接
石川県南部の加賀市内にある温泉旅館。ロビーで新聞を広げる人が1人、2人…。すぐに把握できないほどの人が見入っている。ここは2次避難所に指定され、取材した1月下旬は約330人が身を寄せていた。 「地震後しばらくは情報を得ることも発することもできず、何がなんだか分からなかった」とは、会社員の男性(53)。輪島市内の孤立集落からヘリコプターで救助された。「ヘリの着陸場所が見つからなくて救助活動に支障が出た。閉校した校舎を壊し、整備しておくべきだった」。鹿児島でも考えてみてほしい教訓だと振り返る。 男性は集落にいた約170人と、10日以上孤立した。1日1食。湧き水をくみ、正月料理を持ち寄って空腹をしのいだ。「6キロも痩せた」と腹をなでる。情報不足も深刻で、徒歩でたどり着いた取材記者から、外部の状況を聞くこともあったらしい。 ふと思った。「歩けば脱出できたのか」-。答えを聞き、自分の浅はかさを思い知
女性看護師に同意なく性的な行為をしたとして鹿児島県医師会元職員の男性が強制性交の疑いで書類送検され不起訴となった事件で、女性側は31日、鹿児島地検の処分を不服として鹿児島検察審査会に審査を申し立てた。 申立書では、女性が鹿児島中央署に告訴状を持参した際に刑事から「事件にならないので告訴を諦めてほしい」と説得されたと指摘。捜査時点で男性の父親が現職の警察官として同署で勤務していた点にも触れ、「適切な捜査が行われていると信頼することができない」と主張している。 代理人弁護士は「女性への聞き取りがほとんどなく捜査は不十分。市民の視点から、本当に裁判にかけなくていい事案なのか考えてほしい」と話した。 告訴状などによると、女性は2021年8月、県が医師会に業務委託した新型コロナウイルス宿泊療養施設に派遣され、翌9月に施設内で男性から複数回、性的暴行を受けたとしている。 女性が22年に県警へ告訴状を提
衆院鹿児島1区を拠点にする立憲民主党元職の川内博史氏(62)が、衆院比例九州で繰り上げ当選する公算となった。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた谷川弥一氏の議員辞職に伴う衆院長崎3区補欠選挙の余波で、比例九州の立民枠に欠員補充が生じるからだ。立民常任幹事会メンバーが30日、明らかにした。 補選は4月28日投開票される。常任幹事会は30日、比例九州選出の現職山田勝彦氏を党公認で擁立すると決定。岡田克也幹事長は同日の定例会見で「負けられない選挙だ」と話した。 泉健太代表から公認証を受け取った山田氏は南日本新聞の取材に、立候補届け出による自動失職を経て選挙戦に臨む意向を示した。川内氏は比例九州名簿で次点となっていた。山田氏の失職後、衆院比例の選挙会で当選が決まる見込み。 川内氏は「今は次の衆院選で勝ち抜くための活動に集中したい」と述べた。補選が取り沙汰されて以降、鹿児島市天文館でのつじ
鹿児島県は19日、過去に運用してその後廃止したホームページ(HP)の住所に当たるドメインを第三者が再取得し、別のHPとして使っている事例が4件あったと発表した。違法ではないが、閲覧者が県と関連のあるHPと誤解する恐れがあるとして、無関係だと呼びかけている。 再取得が分かったのは「かごしまのウェルネス」「ぐりぶークーポン」の各1件、「らくらく鹿児島巡り」2件の計4サイト。いずれも廃止しているが、全く同じドメインを第三者が別サイトで使っているという。 県はドメインを手放す前に、廃止したことを閲覧者に周知していなかった。広報課は再発を防ぐため、「HP開設時に自治体限定のドメインを使用することなどを全部署に周知した」としている。
鹿児島県出水市の六反ケ丸遺跡で、約2200~2300年前(弥生時代中期)の鹿児島県内最古となる木製の弓4張が見つかった。県内では酸性のシラス土壌により腐食するため木製品の遺物が残ることは珍しく、弓ではこれまで楠元遺跡(薩摩川内市)の弥生時代末の出土品が知られていた。専門家は「国内における弓の発達過程を考える上で貴重な資料になる」としている。 弓は地表から深さ約4メートルの水分を多く含む層の中で、腐食を免れた状態で見つかった。4張のうち最も大きなものは長さ87.9センチ、小さなものは長さ46.1センチで、幅は2.2~2.7センチだった。弓の端に弦をかける「はず」や、「樋(ひ)」と呼ばれる中央のくぼみが確認できた。このほか、弓の一部とみられる木製品1点もあった。県考古学会の堂込秀人会長は「当時の弓は銅鐸(どうたく)や絵画土器に描かれてはいるが、その形状を実物で具体的に確認できる。大きな成果だ」
「お小遣いが長年未納のため、以下の通りご請求いたします」。鹿児島市の鹿児島大学付属中学校1年、川原千鶴さんは昨夏、父親の正行さん(44)に1枚の請求書を手渡した。記されていたのは未払い期間の合計ではなく、工夫して計算した遅延金を含めた総額。切実な思いで取り組んだ成果は、第11回「算数・数学の自由研究」作品コンクール(理数教育研究所主催)の中学校の部で最優秀賞に選ばれた。 研究のタイトルは「父への請求書発行」。千鶴さんは小学6年の4月から中学1年の8月までの17カ月間、毎月の約束だったお小遣いをもらえなかった。父親に催促しても、「そのうちね」とはぐらかされるばかり。まとめて請求しようと思いつき、「説得力のある説明で、少しでも増やす方法はないか」と考えた。 もらえたはずの合計額(月500円、中学からは月千円の計1万1000円)を元金にまず、定期預金と外貨預金の二つについて金利や為替レートを調べ
鹿児島県指宿市の尾長谷迫(おばせざこ)遺跡で、7世紀中ごろ、飛鳥時代の「暗文土師器(あんもんはじき)」と呼ばれる土器が鹿児島県内で初めて見つかった。古代国家・大和政権の都があった畿内地域の影響を受けた土器とされ、これまでの南限は宮崎県だった。鹿児島県内では政権と衝突した隼人が暮らしており、専門家は「県内には存在しないと考えられていた。政権と何らかの関係を持つ勢力が指宿にいたことを示す」と注目している。 暗文土師器は元々は都の「畿内産土師器」を模倣したもので、器の内面には大陸から流入した金属器の光沢を表現した放射状の線が施されている。政治施設である「官衙(かんが)」に関連する遺跡から見つかるケースが多く、国立歴史民俗博物館研究部の林部均教授(考古学)は「古代国家、都の存在を示す象徴となる土器。国家と関わりがあった地域でのみ出土する」と解説。これまでは西都市にある日向国府跡の寺崎遺跡と水運関連
認知症の人や家族、住民らの交流を目的に開かれる「認知症カフェ」は、新型コロナウイルス禍で多くが休止を余儀なくされた。感染対策を取りながら、再開が徐々に進んでいる一方、鹿児島県内で最も多くの「カフェ」がある鹿児島市では休止を継続するところが多く、再開しても人が集まりにくくなった、という声も聞く。活動の現状や課題を探った。 2023年11月中旬、鹿児島市小原町の介護老人保健施設「愛と結の街」は介護や健康をテーマにしたイベントを開催。一角に認知症カフェ「あしたの風カフェ」を設けた。 会場を訪れた人たちが足を止め、自身の物忘れや、認知症の家族への接し方などを相談。当事者がアロママッサージを受けてくつろぐ姿もあった。 ▽同じ境遇 あしたの風カフェは2014年8月から月1回開いていたが、コロナ禍で丸3年閉じ、23年3月にようやく再始動した。 長年利用する男性(75)は、認知症の妻(76)を10年ほど介
鹿児島県内43市町村でつくる県市町村振興協会は25日の臨時理事会で、第三セクター・肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市)への「全県支援」を続けることを正式決定した。協会基金を活用して2023年度から5年間で最大7億1900万円を負担する一方、「支援終了後は財政支援をしない」との条件を付けた。 13年度から10年で10億1500万円を上限に助成する現行の支援が22年度で期限切れとなることから、県と沿線3市(薩摩川内、阿久根、出水)が43市町村での負担継続を求めていた。 県と3市への付帯要請として(1)地域公共交通の維持・存続のための財政支援を国に要請(2)支援額を圧縮できるよう最大限努力(3)財政支援期間中の経営や中期経営計画の進捗(しんちょく)状況の報告-を明記した。協会を構成する4団体(県市長会、町村会、市議会議長会、町村議長会)は県に「他の地域公共交通機関の経営が安定化するよう支援に尽力」な
鹿児島県奄美市の安田壮平市長は26日、屋久島沖で起きた米空軍輸送機オスプレイの墜落事故を受け、原因究明の徹底や再発防止策の情報提供を求める申し入れを九州防衛局を通じて米軍に行ったと明らかにした。 申し入れは21日付。記者向けに市政情報などを発信する月例の「記者懇談会」で説明した。 奄美市ではこれまで、オスプレイが頻繁に市街地を飛行し、奄美空港への緊急着陸が頻発している。安田市長は「市議会や市民に懸念と不安の声があり、申し入れるべきと判断した」と話した。
少子高齢化で日本人の労働力人口は減り続けている。賃金で都市部に劣る地方ほど顕著で、外国人技能実習生らが地域の産業を支えてきた。その外国人材の受け入れ制度が転換期を迎えている。鹿児島県内で定着に取り組む現場の声を聞いた。 「3年間大事に育て、これからも頑張ってほしかったのに」-。北薩にある食品製造会社の男性社長(50)はため息をつく。2018年、パートが集まらず人手不足に直面した。打開策として助けを求めたのが技能実習生だった。現在は従業員150人中、ベトナムとミャンマー人計18人が肉団子や揚げ物などの生産ラインに加わる。 受け入れに当たって個室を備えた寮3棟を工場近くに建てた。これまで36人を受け入れ「信頼関係を築けた」と思っていたが、実習期間の3年を終えた18人中、在留期間が延びる特定技能に移行して残ってくれたのは5人だけ。半数以上は県外の職場に出て行った。 後に知ったが、実習生たちは交流
「痔の患部を職員の前で露出させられた」「16人相部屋、違法な狭さ」…精神的苦痛訴え、元実習生フィリピン女性4人が監理団体を損賠提訴 鹿児島地裁 鹿児島県枕崎市のかつお節工場で働く外国人技能実習生の受け入れ監理団体で人権侵害が疑われる行為が発覚した問題で、元実習生のフィリピン人女性4人が25日、不当な行動制限で精神的苦痛を受けたなどとして枕崎水産物振興協同組合などに約970万円の損害賠償を求め鹿児島地裁に提訴した。 訴状などによると、4人は2018~23年、技能実習生として同市のかつお節工場にそれぞれ半年~3年半勤務した。組合が提供する宿舎では技能実習法の規則が義務付ける1人当たり4.5平方メートル以上の広さの寝室は与えられず、16人の相部屋の2段ベッドで就寝。露出度の高い服の着用や市外への外出の禁止など過剰な行動制限を受け、違反すると反省文を書かされたり長時間立たされたりすることもあったと
外国人技能実習生の受け入れ監理団体「枕崎市水産物振興協同組合(鹿児島県)」から法令違反など不適切な処遇を受けたとして複数の元実習生が損害賠償を求め提訴しようとしている問題で、元実習生2人が南日本新聞の取材に応じた。「今に始まったことではない。改善を求めると母国に帰るよう迫られた」と証言した。 2人は2018年11月に来日し、組合の寮に入り枕崎市のかつお節工場で3年間勤務した。証言によると、市外への外出、カラオケ店の利用、日本人や在住外国人、異性との交流は禁止。無断でショッピングモールに行ったことが組合に見つかり、数時間廊下に立たされ反省文を10枚書かされたこともあった。 「もうここでは働けない」。処遇改善を申し出ると「だったら帰国して」と一蹴された。知人を頼って他の監理団体へ助けを求めたが、組合から携帯電話の連絡先や履歴を削除された。監理団体を指導監督する立場にある外国人技能実習機構や出入
鹿児島県屋久島沖に米軍機オスプレイが墜落した事故では、目撃した漁船が救助に向かうなど、発生当初から地元漁師が協力姿勢を見せてきた。ただ、沿岸は冬の収益源のシマアジ漁が始まったばかり。漁場近くの墜落現場は自衛隊や海上保安庁の船が行き交う上に、いつ捜索協力を求められるか分からない。「人命を助けたいが、漁に出られないと生活できない」。先行きが見通せず、漁師の葛藤は続く。 船団を組んで餌をまき、おびき寄せた魚を一本釣りするシマアジ漁。東京・豊洲市場に空輸され、1キロ5000円前後で取引される高級魚だ。最盛期は11月下旬から12月末。11月29日の墜落事故で、今季は数回しか漁ができていないという。 事故から一夜明けた30日には、防衛政務官が屋久島漁協を訪問。現場周辺の立ち入りを制限する可能性を説明した。区域設定については「米軍の意向を踏まえつつ決める」としており、範囲や期間によっては漁への影響も懸念
経営難が続く第3セクター・肥薩おれんじ鉄道を県内の全43市町村が条件付きで支援する方針が固まった22日、非沿線の首長からは「やむを得ない」と容認する一方、市町村の基金を使って5年で7億円超を充てる優遇策に異論も相次いだ。 おれんじ鉄道は2004年の開業以来、赤字が続く。当初188万人だった輸送人員は減少に歯止めがかからず、20年度は新型コロナウイルスの影響で80万4000人に落ち込んだ。物価高や燃料高騰も響き、22年度は9億4900万円の経常赤字を計上した。 県と沿線3市は「県全体が貨物輸送で恩恵を受けている」と強調。トラック輸送の人手不足が懸念される「2024年問題」で物流を確保する観点からも「鉄道の役割は大きい」と支援の継続を求めてきた。国にも補助金を要請しているが一部にとどまる。 「厳しい経営を考えると助成はやむを得ない」。鹿屋市の中西茂市長は理解を示しながらも、「物流で必要なら、県
九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)は、原子力規制委員会によって20年の運転延長が認可された。一連の延長手続きでは再稼働と違い「地元同意」を必要としない。安全協定を結ぶ九電と県、同市は「現状でも地元は軽視されていない」などとして運転延長の明文化には否定的だ。一方、「運転延長も再稼働と同じように重い判断」と強調する住民もいる。専門家は議論の必要性を指摘する。 2011年の東京電力福島第1原発事故を踏まえた新規制基準施行後の15年8月、川内原発は全国で最初に再稼働した。「立地自治体などの理解と協力を得るよう取り組む」と定めた国のエネルギー基本計画などに沿う形で、県知事と薩摩川内市長が同意を表明した。 ただ、同計画には運転延長の条件の記載はない。地元同意を組み込むには、九電、県、薩摩川内市で結ぶ安全協定の見直しが必要と解釈されている。 協定は1982年、住民の安全確保や環境保全などを目的に締結
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