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現代のインターネット社会では、「本音を言うのが正義」、「論破するのが最上」といった雰囲気が形成されてきましたが、場合によっては相手との関係性が壊れてしまいますよね。脳科学者の中野信子先生は、言いたいことを言うけれども、相手を直接傷つけたり、関係性を破壊してしまったりしないコミュニケーション方法を提案しています。その中野先生「論破よりも、言葉をうまく使って相手を懐柔できることのほうがずっと重要」と言いますが――。 脳は調和よりも論破を好むようにできている 相手と良好な関係を長続きさせるよりも、論破したり、打ち負かしたりすることに喜びを感じがちな人間の脳の性質をどう制御するかは大きな課題です。 人間の性質というよりは、ある程度の社会性を持つ生物全般の性質といえます。 この性質は言い換えれば、ヒエラルキーのある構造を持った集団をつくる生物の性質かもしれません。 たとえば犬はその代表格になるでしょ
イギリス在住のブレイディみかこさんが『婦人公論』で連載している好評エッセイ「転がる珠玉のように」。Webオリジナルでお送りする35.5回は「世界の終わりとブレインフォグワンダーランド」。3回目のコロナにかかり、ようやく熱がさがったと思ったら思わぬ不調に悩まされることになり―― 谷川俊太郎さんの鋭い洞察 冬の終わりに3回目のコロナにかかった。高橋源一郎さんとリモートで対談した3月初めにようやく熱がさがったぐらいの状態だったので、「3度目です。もうプロです」と笑っていたのだったが、なんとそのときの動画を谷川俊太郎さんがご覧になったという。いま岩波書店の『図書』で谷川さんとの往復書簡を連載しているのだが、谷川さんからのお便りに、わたしがあんなに笑う人間だとは思わなかったと記されていた。あそこまで笑っていると深読みしたくなる、という実に鋭い洞察も添えて……。 さすがである。PCの前で、わたしはその
大人の女性をメインターゲットにした「女子マンガ」。マンガ研究者のトミヤマユキコさんいわく、「恋愛だけではなく女の人生の大変さなども描かれるなかで、現代女子が生きていくためのヒントを見出せることも特徴の一つ」とのこと。トミヤマさんとマンガ作家の山本美希さんが、女性用マンガと男性用マンガの主人公の違いについて語ります。 読者の現実に近い設定 山本 幅広い年代の作品を取り上げた結果、描かれる女性像の変化などは感じましたか? トミヤマ キャラクターたちの経済状況は時代によって大きく変わりますし、年々リアルになってきていますね。最近の作品だと、『プリンセスメゾン』の沼ちゃんが典型的ですが、年収300万円いかないくらい、というのは、読者の現実にかなり近いのではないかと。 憧れを刺激するキラキラした生活ではなく、地に足のついた生活がかえって魅力的に見えてくるという逆転現象が起こっていると感じます。
自分の子どもが最初に話す言葉は親にとって気になるものですが、そもそもどうやって子どもたちは言葉を覚えていくのでしょうか。慶應義塾大学環境情報学部教授の今井むつみさん、名古屋大学大学院人文学研究科准教授の秋田喜美さんいわく、言語を習得するときには、オノマトペが重要な働きをするとのことで――。 子どもの発達にオノマトペが必要? しーん もこ もこもこ にょき もこもこもこ にょきにょき…… 詩人の谷川俊太郎と画家の元永定正(もとながさだまさ)のコンビによる、超ロング・ベストセラー絵本『もこ もこもこ』に登場するフレーズである。 「しーん」という、音のない静寂を表すオノマトペ。そこから「もこ」と一言。地面がちょっとだけ盛り上がる。ページをめくると盛り上がりが何倍にもなって、「もこもこ」と。 次に「にょき」と、小さいモノが顔を出す。盛り上がりはさらに巨大になり、「もこもこもこ」と。にょきっと伸びた
イギリス在住のブレイディみかこさんが『婦人公論』で連載している好評エッセイ「転がる珠玉のように」。Webオリジナルでお送りする34.5回は「迷惑とコスパとタイパ」。英国でストライキは、もはや生活の一部になっている。日本でもストライキが起こり始めているが、人々の反応が英国とは大きく違っているようで―― 英国ではストが生活の一部に 最近、日本のラジオに出るときも、対談するときも英国のストライキの話ばかりしている。もはや生活の一部になっているので、「いま、そちらはどんな感じですか?」と聞かれたら、ストの話をしないわけにはいかないからだ。 息子のカレッジの教員もストを打っているので昨日も一昨日も休みになったし、先日、所要でロンドンに出かけたときも地下鉄がストで動いていなかった。『ガーディアン』という新聞のサイトには、ストライキ・カレンダーなるものが出現していて、どの日にどの業種の人々がストを打って
元編集長・鳥嶋さんいわく、ライバルを『マガジン』から『コロコロ』から置き換えたことで『ジャンプ』に大きな変化が生まれたそうで――(写真提供:Photo AC) 『電波少年』『ドラゴンボール』『ドラゴンクエスト』。エンタメ史に輝くヒット作の裏にはいつも天才編集者やプロデューサーの存在がありました。しかし、彼らも初めから「天才」だったわけではありません。今回、元・週刊少年ジャンプ編集長で『ドラゴンボール』などに携わった鳥嶋和彦さんが、エンタメ社会学者の中山淳雄さんと対談。鳥嶋さんいわく「編集長なんて現場仕事は半分で、残り半分は社内政治」なのだそうで――。 異例の事態で編集長に「ならなかった」 中山 第3代編集長の西村繁男さん*1が「600万部達成の快挙は、鳥山明の破壊的なパワーを借りて初めて実現し得たことは、誰も否定できないだろう」と書いているように、それを新人時代から作り上げた鳥嶋さんは当然
『電波少年』『ドラゴンボール』『ドラゴンクエスト』。エンタメ史に輝くヒット作の裏にはいつも天才編集者やプロデューサーの存在がありました。しかし、彼らも初めから「天才」だったわけではありません。今回、元・週刊少年ジャンプ編集長で『ドラゴンボール』などに携わった鳥嶋和彦さんが、社会学者の中山淳雄さんと対談。鳥嶋さんいわく、あの『ドラクエ』はある持ち込み企画から生まれたそうで――。 遊び仲間と始めた企画が『ドラゴンクエスト』に 中山 鳥嶋さんのゲームとの関わりをくわしくお聞きしたいです。『Dr.スランプ』が大盛況だった時代に、ジャンプの巻末の読者コーナー「ジャンプ放送局」を1982年に始めます。 鳥嶋 新宿でロケテスト*1をやっているゲームセンターがあったんだけど、2週間ごとにゲームが入れ替わるのでそこでよく遊んでいました。その遊び仲間がさくまあきらさん*2で、彼の紹介で一緒に遊ぶようになったの
70歳を目前に体力の限界を感じたという、作家のねじめ正一さん。東京・阿佐谷の商店街で愛された「ねじめ民芸店」を閉店することを決意しました。寂しさを感じたものの、心の風通しが良くなったといいます(構成=篠藤ゆり 撮影=本社・奥西義和) 詩も小説も書けなくなって 2019年8月7日、父から受け継いだ、民芸品や和風雑貨などを扱う「ねじめ民芸店」を閉店しました。71歳の時です。 僕はこれまで、現代詩、俳句、小説、エッセイ、児童書など、言葉にまつわるさまざまな仕事をしてきました。1989年に『高円寺純情商店街』で直木賞を受賞してからは仕事の量も幅も広がり、ラジオのDJもしたし、テレビにもずいぶん出たものです。そのすべての仕事が、ねじめ民芸店を土台にしていたといっても過言ではありません。 詩人のグループが訪ねてくると、店の2階でワイワイやりました。直木賞の受賞後は取材が殺到しましたが、2階でインタビュ
共働きが約7割を占める令和時代。改正介護・育児休業法により、男性育児の増加が期待される中、男性が育児をするには多くのハードルが存在します。一方で、産婦人科医として妊娠・出産・育児の現場を見てきた平野翔大さんは、父親たちが抱える悩み、今からできる解決策、そして今後望まれる社会体制について、各種メディアを通じて発信してきました。その平野さんいわく、父親たちが悩んでいる原因の一つとして「仕事関連時間が長い」という事情があるそうで――。 「日本の男性は(海外と比較して)家事・育児をしない」は本当か なぜ日本では、男性の育児参加が進んでいないのか。 もう少し深掘りすると、なぜイクメンプロジェクトによる「父親への啓発」はここまで成果を挙げられなかったのか。 「夫の家事・育児参加時間が短いと、第二子以降が誕生しにくくなる」ということが明らかになりながら、なぜ育児参加時間を増やせないのか。
過労死ラインレベルの残業 この論文では更に2016年の社会生活基本調査を基に、「未就学の子どもを持つ父親の残業時間」を調査しており、調査対象者の69%で仕事関連時間が10時間を超過、12時間を超える割合は36%であったと言及している。 7割の父親が「家事・育児150分」は達成不可能であるどころか、3分の1は12時間を超えていた。 通勤時間を考慮せずすべてを残業時間と仮定すればそれぞれ月40時間と月80時間になり、特に後者は過労死ラインレベルに達する。 実は育児休業法には、小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合、「1か月24時間、1年150時間」に時間外労働を制限しなければならないという規定が存在する。 母親だけではなく父親も利用可能な制度だが、このデータを見れば活用されているとはとても言い難い。 ※本稿は、『ポストイクメンの男性育児-妊娠初期から始まる育業のススメ』(中央公論新社)
36歳での初当選以来、7期20年にわたって国会議員を務め、国交副大臣・首相補佐官・国対委員長を歴任してきた辻元清美さん。2021年の衆議院議員選挙で落選し、政治家を引退することも考えたと話します。しかし、上野千鶴子さんから「落選から学ぶこともある」と助言を受け、自分を見つめなおし、もう一度自然体の自分に戻ろうと決意します。初心にかえり、全国行脚から見えたものとは――(構成:古川美穂 撮影:横山 純) 自然体の自分に戻って 2021年10月、私は衆議院議員選挙で落選しました。36歳での初当選以来、7期20年あまり国会議員を務めてきただけにショックは大きく、政治家を引退して新たな道を探すべきかと悩みました。そんなとき、先輩として慕う上野千鶴子さんから電話をいただいたんです。「なぜ落選したのか考えることで学ぶこともあると思う。本を書いてみたら?」と。 大阪では、維新旋風により自民党すら小選挙区は
新型コロナ下での生活も3年となり、これまでよりストレスを感じて暮らしている方も多いのではないでしょうか? ステイホームでも、一人でもできる、自分を癒したり元気づけたりする習慣をもっていることは、精神の安定や免疫UPにも役立ちます。Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅなどのヒット作品に携わり、アーティストやクリエイターの成功とメンタルの関連性について研究を続けている音楽プロデューサーの中脇雅裕さんの連載「美しくそして健康に 音楽のあるHappy Life」。第14回は「メディテーション(瞑想)」です。 マインドフルネスとメディテーションの違い 前回はマインドフルネスについてのお話をさせて頂きました。今回はその続きとして、メディテーション(瞑想)のお話です。もちろん音楽との関係もお伝えします! マインドフルネスとメディテーションはどう違うのか?マインドフルネス瞑想とも言いますからややこしいとこ
鎮目さんいわく、手間がかかっても、そのニュースにくわしい人がきちんと解説することこそ、テレビニュースの信頼回復につながるとのことで――(写真提供:Photo AC) ネットでは「テレビは終わった」といった声が見られるようになって久しく、実際、若者を中心にテレビ離れが進んでいると言われます。一方、テレビ局に27年間在籍し、数々の番組の制作現場に携わってきた鎮目博道さんは「中の人」だからこそわかる問題点を各種メディアを通じて主張してきました。その鎮目さんいわく、手間がかかっても、そのニュースにくわしい人がきちんと解説することこそ、テレビニュースの信頼回復につながるとのことで――。 気がつくと朝から晩までニュースかワイドショーだらけ ニュース番組の基本は、当然のことですが「ニュースを伝えること」です。 なにを当たり前のことを言ってるんだ! とおっしゃる方もいると思いますが、じつは最近のニュース番
『すべて真夜中の恋人たち』が、小説部門では日本で初めて、全米批評家協会賞の最終候補に選ばれている作家の川上未映子さん。生まれた環境ゆえに苦難が絶えず、生きてゆくために犯罪に手を染める少女たちを描いた川上さんの長篇小説『黄色い家』が話題を呼んでいます。家族問題に長年取り組んできた臨床心理士の信田さよ子さんと川上さんが、家族、お金、社会、そして善悪について語り合いました。 (構成=福永妙子 撮影=玉置順子(t.cube)) 手持ちのカードで生き抜く 信田 『黄色い家』、大変興味深く拝読しました。日本には、困窮しているのにどこからも支援の手が届かず、今いる環境から抜けられそうもない子ども、そして大人たちが確実に存在する。それは、私の仕事を通しても、メディアで見聞きする事件でも承知しています。そうした人たちのことをここまで書かれたのはすごいなと思いました。 川上 ありがとうございます。自分の体験に
作家の石井さんは子どもたちに向けて「苦しい時代を生きていくために、まず君たちが生きている『今』について理解してほしい」と主張します(写真提供:Photo AC) 子供が感じている精神的幸福度が、先進国38カ国のうち37位とされた日本(ユニセフ「レポートカード16」の「子どもたちの幸福度ランキング」より)。現実を見れば、子供のうち7人に1人が貧困、15人に1人がヤングケアラー、小中学生の不登校は24万人以上といったデータもあるなど、多くの子供たちが息苦しさに覆われているのは事実かもしれません。作家の石井光太さんはそんな子どもたちに向けて、「苦しい時代を生きていくために、まず君たちが生きている『今』について理解してほしい」と主張しますが――。 格差社会の中で求められるもの ――AI(人工知能)に負けないグローバル人材になろう。 君たちは、一度はそんな言葉を聞いたことがあるのではないだろうか。学
昨年の暮れにお母さんを亡くしたマリさん。慌ただしく葬儀などを進めていく中、一連の段取りを見ていたイタリア人のご主人が発した意外な一言とは――。(文・写真=ヤマザキマリ) 慌ただしい母との別れ 昨年の暮れ、母・リョウコがコロナによって急逝した。入院先でコロナに罹患したという連絡を妹にもらったその翌々日のことだった。 冬休みでイタリアから来日していた夫と息子と一緒に慌てて北海道へ戻るも、なんとも慌ただしい母との別れになってしまった。火葬の日取りはコロナによる死者のために設定された日に限定され、それまで葬儀業者に引き取られている亡骸には親族ですら近づくことができない。 葬儀は結局、地元のカトリック教会で、火葬場から引き取った骨壼を前に家族と数人の関係者だけで執り行うことになったが、一連の段取りを黙って見ていた夫から、ふと神妙な表情で「リョウコはカトリックなんだから土葬にするべきなのに、なぜ火葬な
減り続けている街の本屋さん。書店調査会社アルメディアによると、2000年には21,654店あった書店数も、2020年5月の時点で11,024店と約半分に。この数字には売り場のない事務所や雑誌スタンドなども含まれているため、それなりに書籍を販売している店舗に限ると9,000店を切っているとも。本屋の灯を消さないために、もうできることはないのか――。その方法を探るプログラマーで実業家の清水亮さんと、双子のライオン堂書店の竹田信弥さんによる対談、前編です。 ある日のSNSで 「このままだと街から本屋さんが無くなりそうだけど、できることは本当にもう無いのかな」 ある日、SNSで見かけたつぶやきです。発信主は清水亮さん。数々のソフトウェア開発を手掛けたプログラマーで、自身で会社を立ち上げてきた実業家です。 人工知能研究者としても知られる清水さんは著書も多く、また小さなころから本と親しんできただけに、
今注目の書籍を評者が紹介。今回取り上げるのは『欧米の隅々 市河晴子紀行文集』(高遠弘美 編/素粒社)。評者は学者芸人のサンキュータツオさんです。 90年前に海外で読まれた細やかな旅の記憶 市河晴子と聞いてピンとくる人は少ないと思います。市河晴子は1896年生まれ。渋沢栄一の孫であり、東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)を卒業したのち、19歳で、日本人初の東京帝国大学英文科教授として活躍した市河三喜(晴子の10歳年上)と結婚した才媛です。 1931年、三喜が欧米諸国の実情視察の旅に出るとき「いっしょに行こうよ」と誘われ同行、その旅行記はロンドンやニューヨークで刊行され大きな反響を呼びました。未知の国・日本から来た女性が見た欧米、という視点は好奇心をくすぐるものだったのでしょう。それが『欧米の隅々』です。のちに刊行された『米国の旅・日本の旅』という紀行文と併せて、本書に抜粋しておさめら
「話がかみ合わない」「人の目が気になって気をつかいすぎてしまう」「部下の育成がうまくいかない」生きていく上で誰もが抱える、パートナー、親子、上司部下との人間関係の悩みやストレス。日本コミュニケーション心理学協会マスター講師として、全国各地で講演を行っている山本千儀さんは、自身の体験や受講生の実例を踏まえ、生まれ持つ気質から読み解く人間関係とコミュニケーションを円滑に進めるための手法を伝えています。その山本さんいわく、人の性格の土台となる「気質」には「理論型」「感覚型」「行動型」の3タイプがあるそうで――。 「性格の違い」に隠された気質とは? そもそも人間の性格はいったいどのように形成されるのでしょうか? 今は多様性の時代といわれています。皆さんも「多様性を尊重しよう」「みんな違っていい」といった言葉を見聞きすることが多いと思います。 一方で、日常生活では、周りの人との考え方や性格の違いによ
授業に部活動、教員に生徒…。さまざまな要素で構成される学校とは、生徒と教員がそれぞれの身体でもって生きる場所であり、そんな躍動的な学校の姿を活写したいと話すのが現役の国語教員で批評家の矢野利裕さんだ。その矢野さんいわく、特に軽音部の変遷は時代を象徴しているそうで――。 転向する軽音部 音楽と言えば、やはり軽音部が外せない。僕が母校の高校の非常勤講師として初めて教える側に立った2008年、仲良くなった生徒は軽音部に所属していた3年生の男子生徒だった。彼はパンクが好きだったのだが、入り口となっていたのは日本のメロコアだったようだ。 メロコアというのは、それまでのハードコア・パンクから派生するかたちで台頭したメロディアスなパンクのことである。日本ではハイ・スタンダードやブラフマンなどが火付け役となって、90年代後半から2000年代にかけて、若者世代を中心に大きなムーヴメントとなった。 1983年
犯罪に手を染めてしまう主婦、代理出産を迫られた貧困女子…社会に顧みられることのない女性たちと、その痛みを鋭い視点で描き続ける作家・桐野夏生さん。『婦人公論』2022年12月号よりスタートした新連載「オパールの火」は、#MeToo運動のはるか昔、ピル解禁を訴え活動を始めた一人の女性が主人公。彼女はなぜ人々に奇異の目で見られ、やがて世間から忘れ去られていったか……。フェミニズム黎明期にスポットをあてた小説です。精力的な執筆活動をしながら、2021年に女性初のペンクラブ会長に就任した桐野さんが、インドネシアのジャカルタで行われた国際出版連合世界大会のゲストとして招かれました。現地での模様をレポートします。(文・写真=中央公論新社・書籍編集部) 3年ぶりの開催となった国際出版連合世界大会 2022年11月10日から3日間、国際出版連合世界大会が、インドネシアのジャカルタでコロナ禍を経て3年ぶりに開
厚生労働省の推計によると、2012年に認知症の人の数は約462万人でしたが、2025年には約700万人を超え、65 歳以上高齢者の約20%が認知症と見込まれるようになりました。身近な人が認知症になったとき、対応できるのでしょうか。2008年、シングル女性7人が集まって始めた「友だち近居」グループ、「個個セブン」。スタートから13年あまり、年を重ねるにつれて、認知症、介護、後見人問題などに直面。高齢のおひとりさま同士、どう助け合えばいいのか――。若く元気な頃には想像できなかった〈友だち近居と老い〉に向き合った仲間との日々を、最年少メンバー(74歳)の筆者が綴ってくれました。 <前編よりつづく> コロナ下でも仲間と支え合って 5人になってからも、私たちは変わらず近居を続けている。 ところが20年2月以降、新型コロナの影響で、30人あまりが集う土曜サロンは開催がままならず、仲間内で楽しんでいた歌
2022年11月20日、ワールドカップ(W杯)カタール大会が開幕する。7大会連続出場を成し遂げ、初のベスト8入りを目標に掲げている日本は、1次リーグE組に入り、ドイツ、コスタリカ、スペインと対戦する予定だ。一方、2016年から3期にわたり日本サッカー協会会長を務めてきた田嶋幸三さんは、この間、世界基準をめざして数々の改革や決定を行ってきました。その田嶋さんいわく、なかでも18年のロシアワールドカップの開幕2か月前に行ったハリルホジッチ元代表監督交代は、自身の出処進退をかけた決断だったそうで――。 ワールドカップ開幕直前の2017年末に起きていたこと ロシアワールドカップ開催を翌年に控えた2017年12月、日本は東アジアサッカー選手権において、韓国に1対4と大敗を喫しました。「因縁の対決」とも言われる韓国戦、しかもホームゲームであるにもかかわらず、です。 その直後、避けられない危機がやってき
今年は、『ベルサイユのばら』連載開始から半世紀のメモリアルイヤー。世代を超えて読者を魅了し続ける名作はどのようにして生まれたのか。作者の池田理代子さんが振り返ります(構成=上田恵子 撮影=宮崎貢司) 「ここがアンドレの亡くなった場所です」 もう何十年も前になりますが、初めてフランスを訪れた時に、バスツアーのガイドさんが「日本の若い女性がベルサイユを舞台に物語を描きました」と案内しているのを聞きました。数年前に旅した際には、フランス人のガイドさんが「ここがアンドレの亡くなった場所です」と(笑)。私はそういう時、絶対に名乗りません。ですので、いずれのガイドさんも、その作品を描いた人間が目の前にいたことは知らないままです。 1972年、24歳の時に『ベルサイユのばら』(以下、『ベルばら』)の連載をスタートさせました。あれからもう50年なんてね。半世紀の間に読者の年齢も幅が広がりました。最初の読者
〈10月15日発売の『婦人公論』11月号から記事を先出し!〉 坂東武者ながらお茶目で憎めない役柄を大河ドラマで好演し、視聴者の心を鷲掴みにした坂東彌十郎さん。歌舞伎をヨーロッパにもっと根づかせたい、と夢を抱き続けるのは、新しい世界を切り開いた先輩方の姿を間近で見てきたからだった。 (構成:篠藤ゆり 撮影:木村直軌) 初めて、1年以上舞台を休んだ 今年1月から放送されている『鎌倉殿の13人』で、鎌倉幕府の初代執権・北条時政役をやらせていただいています。大河ドラマというのは、本当に大勢の方が見てらっしゃるんですね。ありがたいことに反響が大きいようで、デパートでウロウロしていると「パパですよね」とか「パパ上様」なんて話しかけられることも。 5月に安美錦関の断髪式にうかがいましたら、「パパ~ッ」と拍手をいただいてちょっとびっくりしましたし、若い人が「時政パパ、かわいい!」などとSNSに書き込んでい
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