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有名人が「書類送検」されたというニュースは珍しくありません。中には「厳重処分の意見を付けて書類送検された」というケースもあります。 では、この「書類送検」とは、具体的にどのような手続で、さらに、「厳重処分を付けて」とはどういうことなのでしょう? 実は、「厳重処分を付けて書類送検」とは、事件を捜査した警察が、起訴してほしいという意見を添えて、検察官に事件を引き継ぎ、捜査資料や証拠書類、証拠物を渡したということです。 以下では、「厳重処分を付けて書類送検」について詳しく解説していきます。 1.書類送検について (1) 書類送検とは? 刑事事件が発覚し警察が捜査をしたときには、関係書類・証拠物と一緒に事件を検察官に「送致」しなければなりません(刑事訴訟法246条本文)。 関係書類とは、例えば傷害事件であれば被害者の診断書、オレオレ詐欺事件であればATMの振込明細書などの証拠書類、さらに警察官が捜
ニュースなどでは、よく「弁護人が被告人の精神鑑定を要求した」と流れることがあります。 このような鑑定で精神に障害が認められると、場合によっては、「心神喪失(しんしんそうしつ)」が認められて、犯罪が成立しないことになったり、「心神耗弱(しんしんこうじゃく)」が認められて、犯罪の成立自体は認められるものの刑が通常より軽くされたりすることがあります。 そのため、被告人を罪から免れさせたい、もしくは刑を軽くさせたい弁護人は、よく被告人の精神鑑定を要求し、被告人が心神喪失や心神耗弱の状態であったと主張するのです。 しかし、「刑法で禁止された行為で他人や社会に損害を与えたというのに、心神喪失で無罪にまでなるのはおかしいのでは?」「精神鑑定なんていらないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。 このコラムでは、心神喪失・心神耗弱について、裁判所の見解も交えて説明していきます。 1.犯罪の成立要件
刑事事件を犯して起訴され有罪判決が下ると、例え罰金でも前科がついてしまいます。 前科がつくと、再び罪を犯した場合に悪い情状として考慮される他、その後の就職に影響が出る可能性があります。 では、犯罪歴がある人は、パスポートを取得して海外旅行をすることはできるのでしょうか。 以下においては、前科者の海外旅行の可否について解説します。 1.前科とパスポート取得の関係 早速ですが、前科がつくとパスポートの扱いはどうなるのでしょうか? パスポート(旅券)は、日本国民が外国へ渡航する際に、日本国政府が発行して、その者の日本国籍と身分を証明し、渡航先の政府に便宜供与と保護を依頼するものです。 日本人は有効なパスポートを所持していなければ、日本を出国することも、海外から帰国することもできません(出入国管理及び難民認定法60条、61条)。 旅券の発行権限は外務大臣及び外務大臣の指揮監督を受ける領事館が有して
テレビやインターネットの報道などで「主文後回しです」とキャスターが述べている速報を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。 最近では、京都アニメーション放火殺人事件の裁判員裁判で、裁判長は「有罪判決ですが、主文は後回しにします」と述べて話題になっています。 重大犯罪の判決言い渡しの際には、裁判官が判決主文ではなく、「判決理由から述べ始めたこと」が報道対象となることがあります。これが「主文後回し」です。 主文の後回しが速報の対象となるのはなぜ?と思った方も少なくないと思います。 また、そもそも判決主文の朗読を後回しにするのは、どのような理由によるものなのでしょうか。 今回は、刑事事件の判決における「主文後回し」の意味と理由を解説します。 1.公判手続きの流れ 憲法31条は「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と定めてい
犯罪の被害にあったとき、多くの方がまず頭に浮かべるのは「警察に被害届けを出す」という言葉です。 ただ、なんとなく「被害届」という名称を知ってはいても、それがどのような意味を持つ届出なのか?「告訴状」とは違うのか?何かデメリットはないのか?等々、詳しい内容を、ご存じない方も多いはずです。 この記事では、「被害届」について、弁護士が解説します。 1.被害届について (1) 被害届とは? 被害届は、何らかの犯罪によって被害を受けたことを捜査機関に申告する書面です。警察の内部ルールを定めた「犯罪捜査規範」という規則に定められています。 犯罪捜査規範 第61条(被害届の受理) 第1項 警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。 第2項 前項の届出が口頭によるものであるときは、被害届(別記様式第六号)に
1.「信書」とは何か? (1) 意思伝達文書に限定される 信書とは、「特定人から特定人に対して宛てた文書」のことです。 この文書は、「意思を伝達する文書」に限定し、「単なる事実を記載した文書」は含まれないという意見が支配的です。 ただ、単なる事実を記載した文章は含まれないと言っても、例えば「長女が運動会の徒競走で一等になりました」という事実を伝える手紙は保護に値せず、「長女は運動が得意なので、スポーツクラブに入れたいと思います」という意思を伝達する文書なら保護対象となるというのは、いかにもおかしな理屈と思われます。 個人の秘密を保護する趣旨からは、意思伝達文書に限る必要はないという意見に説得力があると言えましょう。 (2) メール便は信書か? メール便(宅急便などによる書類送付)は当然に「信書」です。この点、メール便は「信書」を入れることができないから、「信書」ではないと誤解している方が多
1.軽犯罪法とは (1) 軽犯罪法の目的 軽犯罪法は、「国民が日常生活で守るべき最低限度の道徳を定めた法律」と説明されることがあります。 この説明が本当に正しいかどうかはさておき、確かに軽犯罪法の中には、日常見かけることの多い、「悪い行為」が処罰対象となっているものが多いようです。 なお、軽犯罪法が規制している行為は全部で33個あります(条文は34号までありますが、現在、21号の罪は削除されています、その詳細も後ほど説明します)。 (2) 軽犯罪法の刑罰 軽犯罪法違反の法定刑は「拘留」又は「科料」です(第1条柱書)。 拘留は、1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘束することです。科料は、1000円以上1万円未満の範囲で金銭を徴収することです。 軽犯罪違反に対しては、「情状に因り、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる」(第2条)とされています。 「刑の免除」とは、軽犯罪法違
日大アメフト選手が、危険なタックルを行い、関学大アメフト選手に怪我を負わせたということで、世間の耳目を集めるとともに、監督・コーチの指導方法にも批判が注がれ、ある意味では、大きな社会問題にもなっています。 では、アメリカンフットボールの試合中の出来事であれ、いわゆるスポーツ競技中に相手選手に怪我を負わせたような場合、加害選手は罪に問われるのでしょうか。問われるとすれば、その判断基準はどこにあるのでしょうか。 以下においては、スポーツ競技中に起こり得る犯罪、違法性が阻却される根拠と理由、スポーツ競技上での行為が刑事事件となる可能性、どのような場合に、スポーツ競技中の傷害罪等で逮捕されるのか、スポーツ競技において刑事責任が問題となった事例などに触れながら、スポーツ競技における犯罪の成否について解説することとします。 なお、以下の刑法における条文は、単に条文番号のみを掲げています。 1.スポーツ
改正刑事訴訟法の刑事免責制度が、2018(平成30)年6月1日から施行されました。 英米各国で導入されている刑事免責制度は、当該証人尋問で、証言を求められた事項について、刑事責任を問わないという、文字どおり刑事責任自体の免除を約束して証言を強制するものです。 しかし、日本で導入された刑事免責制度は、当該証人尋問で、証言した内容を証言者に不利益な証拠として用いないことを約束して証言を強制するという、証言の不利益利用の禁止です。 では、日本で導入された刑事免責制度は、具体的に、どのようなものなのでしょうか。この制度を導入したことで、何かメリットがあるのでしょうか。 以下においては、刑事免責制度の趣旨及び概要、刑事免責の根拠と免責の範囲、証言義務、検察官による免責決定の請求と裁判所の審査、証人尋問開始前の免責決定、証人尋問開始後の免責決定、第1回公判期日前の証人尋問における利用、刑事免責制度の適
近年、どこで犯罪に巻き込まれるか分からないため、男性女性問わず、護身用の催涙スプレー(防犯スプレー)を持ち歩いていることがあります。 警察の職務質問を受けたとき、護身用などで持っていた催涙スプレーが見つかって逮捕されるケースはあるのでしょうか。もし捕まってしまった場合、どのように対処すればいいのでしょうか。 以下においては、そもそも催涙スプレーの所持は違法ではないのか、催涙スプレーの携帯が違法とされる可能性、もし催涙スプレーの携帯で検挙された場合の対処などについて、解説することとします。 1.催涙スプレーについて 一般的に催涙スプレーは、護身用の製品として製造販売されています。ネット通販などを利用して誰でも自由に購入することができ、その購入や屋内での所持を規制する法律はありません。したがって、催涙スプレーを屋内で所持する限り、違法ではないことになります。 他方で、暴漢、強盗、暴力や性犯罪の
1.礼拝所不敬罪とは 礼拝所不敬罪は、一般の宗教感情を保護するために設けられたもので、刑法188条第1項に下記のように定められています。 「神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、6月以下の懲役若しくは禁固又は10万円以下の罰金に処する。」 (1) 礼拝所 「神祠」とは、神道により神を祀った祠のことです。 「仏堂」とは、仏教の寺院の本堂などのことです。 「墓所」とは、人の遺体や遺骨を埋葬・安置することによって、死者を祀り、または、記念する場所のことです。 「その他礼拝所」には、キリスト教、イスラム教など宗教を問わず、一般の人たちが、宗教的崇敬を捧げる場所をいいます。 必ずしも「建物」である必要はなく、例えば、沖縄の「ひめゆりの塔」なども礼拝所にあたるとされています。 また、近年では、和歌山県の世界遺産「那智の滝」でロッククライミングをした有名な登山家3人が逮捕され
罪を犯した場合、捜査機関に検挙されても「起訴猶予」と判断される場合があります。 起訴猶予されたとして「以降、捜査や訴追されることはないのか?」「自分は無罪になったのか?」と気になる方は多いのではないでしょうか。 ここでは、起訴猶予は具体的にどのような処分なのか、起訴猶予となった後に捜査が続いたり起訴されたりすることはあるのかなど、起訴猶予についての疑問や不安について解説します。 1.起訴猶予とは具体的にどのような処分? 「起訴」とは、検察官が裁判所に対し、被告人の処罰を求める行為で、「公訴」、「公訴提起」、「訴追」などとも呼ばれます。 これに対して「不起訴」とは、文字通り検察官が当該事件を起訴しないで終わらせることを決めたということです。 起訴された場合(正式起訴の場合※)には、公開の法廷での裁判となります。裁判で有罪判決となった場合、罰金刑や懲役刑・禁固刑(執行猶予付きを含む)などが科さ
青少年保護育成条例とは、青少年の健全な保護育成を図ることを目的とした、各地方公共団体が定める条例の総称です。各地方公共団体がそれぞれ独自に制定しているもので、全国の都道府県が制定しています。 条例では、青少年の健全育成についての基本理念や、都道府県及び保護者・都民や県民・事業者の責務を明らかにした上で、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を規制しています。 今回は、この青少年保護育成条例に違反してしまった場合の正しい対応方法について、刑事事件に詳しい弁護士が解説させて頂きます。 1.青少年保護育成条例について (1) 規制の内容 各地方公共団体による差異はありますが、青少年保護育成条例の規制内容としては、概ね以下のようなものが挙げられます。 青少年の深夜外出の制限 青少年の深夜営業施設への立ち入り制限 青少年への有害図書販売の禁止 青少年への有害がん具(大人のおもちゃやバタフライナ
情況証拠のみで判決が出るなんて、という意見はインターネット等でよく耳にしますが、果たして情況証拠は本当に弱い証拠なのでしょうか。 確かに、情況証拠という言葉は、何かあやふやな、不安定な、不確実な証拠をイメージされる向きもないわけではありません。また、情況そのものの意味が、何となく被告人を取り巻く諸々のことを表しているため、漠然としたものという印象を与えるのも事実でしょう。 しかし、情況証拠のみで事実認定をすることは本当に間違っているといえるのでしょうか。 以下においては、まず、刑事事件における証拠を通覧し、その中で、特に直接証拠と情況証拠に的を絞って具体例を検討するとともに、情況証拠のみで事実認定をするのは間違っているのかについて、判例を紹介しながら解説することとします。 1.刑事事件における証拠の種類 証拠とは、裁判上、事実認定の基礎とすることのできる資料のことをいいます。そして、証拠は
「書類送検された」「身柄送検された」という言葉はよくニュースで聞きます。 送検とは、一体どのような措置なのでしょうか?また、送検をされた後、その後の刑事手続きの流れはどうなるのでしょうか? この記事では、まず送検(身柄送検、書類送検)について確認した上で、身柄送検あるいは書類送検された後の流れについて解説します。 1.送検とは? 送検とは、一般的に、警察が捜査した事件を検察官に送ることをいうとされています。 「送検」はいわゆるマスコミ用語で、刑事訴訟法では「検察官送致」といいます。 警察官は事件を捜査したときには、原則として事件を検察官に送致する必要があります。 送致を受けた検察官は、必要な補充捜査があればそれを行った上で起訴・不起訴の処分を決めます。 刑事訴訟法246条本文 「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件
痴漢をしていないのに、被害女性や近くにいた男性の目撃者に痴漢と誤解される「痴漢冤罪事件」は稀に発生します。 冤罪は、その人の人生を大きく狂わせます。そして、満員電車内での痴漢冤罪事件というのは、誰にでも起こり得る危険があると言えるかもしれません。 犯罪を証明するには証拠が必要です。痴漢事件においてもこれは例外ではなく、どのような証拠が存在するかといった点が被告人の裁判において問題となります。 この記事では、DNA鑑定や繊維鑑定等の痴漢の証拠について解説した後、痴漢の冤罪で逮捕された場合の対応方法を説明します。 1.痴漢の証拠 警察は好んで冤罪を生み出したいわけではありません。実際に痴漢冤罪事件の存在が明らかになり、一方的に被疑者を犯人と決めつける見込み捜査の問題が叫ばれる現在では、警察も痴漢事件の取扱いには慎重になっています。 警察庁は、ひとつひとつの証拠に有罪を支えるだけの証明力と信用性
1.「強制性交等罪」から「不同意性交等罪」への改正 今回の改正刑法案では、従来の「強制性交等罪」について、「不同意性交等罪」への名称変更と構成要件の修正が盛り込まれています。 強制性交等罪は、被害者の抵抗を著しく困難にして性交等をした場合に成立すると解されています。 しかし、被害者の抵抗可能性の程度が争われることが多く、本来処罰すべき行為を適切に処罰できないとの批判がありました。 そこで、より幅広い行為を「不同意性交等罪」による処罰の対象とすることで、実質的な性犯罪の厳罰化が意図されています。 2.不同意性交等罪の構成要件 改正刑法案において新たに盛り込まれた「不同意性交等罪」は、以下の①②を両方満たす場合に成立するとされています(改正刑法案177条)。 ①以下のいずれかの行為(=性交等)をしたこと (a)性交 (b)肛門性交 (c)口腔性交 (d)膣・肛門に身体の一部(陰茎を除く)または
1.痴漢事件の証拠 痴漢事件の証拠となり得るものとしては、以下のようなものがあります。 防犯カメラの映像 繊維鑑定 DNA鑑定 目撃者の証言 被害者の供述 被疑者本人の自白 (1) 防犯カメラの映像 現在、駅構内(改札、エスカレータ及び階段の乗り口・降り口、エレベータの中など)だけでなく、一部の電車内にも防犯カメラが設置されています。 電車内に設置された防犯カメラの映像に、被疑者が被害者の身体に触っている映像が記録されていれば、これはとても有力な有罪の証拠となります。 ただし、痴漢の犯行現場は混雑した電車がほとんどなので、明確な映像が撮影されていない方が多いです。せいぜい被疑者と被害者の位置関係しか判明しないことがほとんどでしょう。 逆に言えば、防犯カメラの映像から「被害者に触れることはできないような位置に被疑者がいた」ことが立証されれば、冤罪と判断される可能性が極めて高くなります。 (2
「届いた商品が壊れていた」「サービスが期待した水準でなかった」 このような不満から、メーカーやサービス会社に電話で問い合わせたり、返金を要求したりすることもあるでしょう。 もちろん、これら行為自体は正当ですが、冷静さを欠いた、度が過ぎる発言・行動は、ただのクレーマーであって、最悪の場合は刑事事件に発展します。 今回は、よくあるクレーム電話が「業務妨害罪」になり得ること、そして「威力業務妨害罪」と「偽計業務妨害罪」の詳しい内容を解説します。 1.業務妨害罪とは? 刑法は、「業務を妨害した者」を処罰しており、これを業務妨害罪と呼びます。 刑法233条「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又は業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」 刑法234条「威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。」 まず、妨害対象となる「業務」とは何かですが、判
痴漢の後日逮捕はあり得るのか?(現行犯以外での逮捕はあり得るのか?)答えは「はい」です。 例えば、男性が電車の中で女性のお尻を触り、女性が「痴漢です」と声を出したため、慌てて逃げ出し、周りの人たちの追跡も功を奏さずに逃げ切ったとします。 逃げ切れたからもう捕まらないだろうと思っていても、警察に後日呼び出しを受け逮捕されてしまうということが実際には有り得ます。 これが、痴漢の後日逮捕のケースです。 このように、痴漢で現行犯逮捕されなくとも、後日逮捕される可能性はあります。 では、痴漢の犯人が現場から逃げ切ったとしても、何故身元を特定され、後日逮捕に至るのでしょうか。 それは、以下のような証拠をもとに警察が捜査をして、被疑者の特定に辿り着いたからです。 (1) 被害者や周囲の供述 痴漢行為が行われた証拠が被害者や周囲の供述だけで、しかも、面識のない者の犯行の場合や、犯人の顔は見てない場合など、
「ひき逃げ犯が逮捕された」という報道は珍しくありません。 ひき逃げ事件は、単なる交通事故ではなく、警察官・警察署に事故を報告する義務を怠る報告義務違反・被害者を助けなかった救護義務違反としても重く処罰される可能性があります。 では、ひき逃げで検挙・逮捕されてしまった場合、示談を成立させ、不起訴処分を獲得するためには何をするべきなのでしょうか? それは、直ちに弁護士を選任して、弁護活動をスタートしてもらうことです。 泉総合法律事務所でも、ひき逃げ事件を解決した事例が多くあります。 今回はその事例から、ひき逃げで示談して不起訴を目指すためのポイントをご紹介します(※なお、守秘義務、プライバシー保護のため、実際の事案をアレンジしております)。 1.ひき逃げの事例 Aさん(50代男性)は、原動機付自転車に乗って道路を走行していました。すると、前方から自転車が逆走をしてきました。 Aさんはその自転車
最近は、LINEやその他のSNSを通じて異性等と知り合い、簡単に援助交際することができるようになってしまっています。 しかし、18歳未満の者と援助交際をすると、「ある日突然警察官が家にやってきて、逮捕されてしまった」という事態になる可能性があります。 今回は、援助交際に当てはまる行為や、援助交際で成立する犯罪、逮捕されてしまった場合に不起訴処分を獲得する方法について、刑事事件に精通している弁護士が解説します。 1.援助交際とは? そもそも「援助交際」とは、異性等と性交渉などを行い、対価としてお金や物品を与えることです。性交渉などの「交際」の対価として、金銭などの「援助」をするので「援助交際」と言います。 ネット上では、「援交」や「ウリ」などと表現されることもあります。 援助交際では、必ずしも性交渉を伴うとは限りません。ときにはデートをするだけで終わるケースもあるでしょう。ただ、多くは性交渉
衝動的に行うことも容易な犯罪である万引きは、被疑者の罪悪感も少ない場合が多いです。 「万引きは軽い犯罪だ」「見つかっても注意されるだけで終わるだろう」と思っている方はいらっしゃいませんか? しかし、例え100円の商品でも、店員の目を盗んで窃盗行為をしたらそれは立派な犯罪となります。繰り返していると窃盗罪で逮捕・起訴され、実刑判決が下されてしまう可能性もあります。 ここでは、窃盗罪、特に万引きに焦点を当てて、万引きを行った場合どのような刑罰となるのか、罪の重さ(刑罰の重さ)はどう決まるのか、逮捕・起訴を免れるためにはどんな弁護活動が必要になるのかを説明していきます。
1.共犯事件の特徴 共犯事件では、共犯者がお互いに自身の罪を軽くしようとして、「他方が首謀者で、自分は従犯(協力者)である」と主張し、お互い他方に首謀者を押し付け合うことが往々にしてあります。 これは、警察官、検察官、弁護士、裁判所も承知のことですので、検察官が取り調べをする時もこの点に念頭に置いて、共犯者間の罪の押し付け合いがないかどうかを慎重に見極めて起訴をするものです。 弁護士も同様に、共犯者間の罪の押し付け合いがないのかを留意点として、他の共犯者の言い分、弁護している被告人の言い分を吟味して判断する必要があります。 2.脅迫罪の共犯事件(否認事件)の弁護実録 事件の概要 本事件において、首謀者とされた被告人にはすでに私選弁護人がついていたのですが、その私選弁護人に不安を抱いたとのことで、紹介者を介して泉総合法律事務所に弁護依頼がありました。 首謀者とされた被告人は、脅迫事件に関与し
「未成年が飲酒をすると、一緒にいた成人や酒類を提供した店側が処罰される」という認識はみなさんの中にあると思います。 では、具体的にどのような要件を満たしたとき、どのような罪に問われるのでしょうか。また、未成年側が罪に問われないのは何故なのでしょうか。 以下においては、未成年者に酒類を販売・提供した場合について、成立する罪及び刑罰を中心に説明します。 1.未成年者への酒類販売・提供の罪 (1) 罪と刑罰 未成年者飲酒禁止法では、次のように規定されています。 ①未成年者の親権者や監督代行者が、未成年者の飲酒を知りつつ制止しなかった場合には、1000円以上1万円未満の科料に処せられます。 「親権者」とは、その名の通り「親」を指します。 「監督代行者」とは、親権者に代わって日常的に未成年者を監督すべき義務を負っている人のことで、例えば、子供を預かり同居して面倒を見ている者(兄弟を含む)や、住み込み
泉総合法律事務所の代表弁護士を務めています、泉と申します。 このコラムでは、私が弁護士登録して間もないころ(駆け出し弁護士時代)に取り組んだ刑事弁護(窃盗事件)についてお話ししたいと思います。 現在窃盗事件を起こしてしまい捜査されている被疑者の方やそのご家族は、「弁護士が窃盗事件でどのような弁護活動をしてくれるか」の参考になるかと思いますので、ぜひご覧いただければと思います。 その上で、ぜひ泉総合法律事務所への依頼をご検討ください。 1.窃盗で逮捕された場合の量刑(罪の重さ) 窃盗には様々なものがありますが、万引きなど被害金額が軽微な刑事事件ならば、被害者側(店側)と示談できなくとも「略式起訴」となるケースがあり、この場合は正式裁判を行わず罰金を支払うことで刑事事件は終了となります。 もっとも、罰金も刑罰ですから前科がつきます。罰金刑を免れるためには、弁護士に刑事弁護を依頼して被害者と示談
「盗撮ハンター」(盗撮狩り・盗撮犯狩り)という言葉はご存知でしょうか? 「盗撮ハンター」とは、盗撮の目撃者が、盗撮犯に対し「警察に行きたくなければ金を払え」などと脅したり、「被害者への示談金だ」と騙したりして、高額の金銭を巻き上げる犯罪行為を言います。 今回は、「盗撮ハンター」被害の事案を紹介し、実際に盗撮ハンターに遭遇したらどうするべきかを解説します。 1.盗撮ハンターの被害事例 (1) 盗撮ハンターの手口 つい出来心で女性を盗撮したところ、その行為を近くにいた第三者に目撃され、犯罪行為だと咎められてしまう場合があります。 通常、目撃者は、盗撮犯の身柄を確保し、110番通報をして盗撮犯を警察官に引き渡したり、駅なら駅員、デパートなどの店舗なら警備員に引き渡したりするでしょう。 ところが、盗撮ハンターは、盗撮犯を警察、駅員、警備員などに引き渡すことはしません。 彼らの目的は、盗撮犯人を処罰
1.大麻取締法違反で逮捕された事例の流れ 泉総合法律事務所が過去に取り組んだ刑事事件で、大麻(別名:マリファナ、葉っぱ、モク、ガンジャ)の所持で現行犯逮捕されたという刑事事件の弁護を、ご家族から依頼されたことがあります。 被疑者は、所持しているものが大麻であるとは知らなかったとのことでした。 被疑者は公的資格所有者であることがわかり、大麻所持で起訴されれば公的資格を取消されることがわかりましたので、何が何でも不起訴を勝ち取らなければなりませんでした。 しかし、現行犯逮捕ですので、不起訴となるにはかなりハードルが高いと考えられました。 (1) 警察の取り調べ 警察は、被疑者から自白を引き出すための取り調べをしていきます。 弁護方針としては、違法薬物の認識がないことが事実であれば、被疑者本人に取り調べで「認識がない」ことを供述してもらい、その供述を最後まで維持してもらうことになります。 しかし
1.2022年6月成立・改正刑法のポイントと施行日 2022年6月13日に成立した改正刑法には、以下の変更が盛り込まれています。 ①侮辱罪の厳罰化 インターネット上での誹謗中傷が大きな社会問題となっていることを背景として、侮辱罪の法定刑が引き上げられました。 ②拘禁刑の創設 従来の懲役刑と禁錮刑が廃止され、これらに代えて「拘禁刑」が創設されます。 ③刑の執行猶予制度の拡充 過去に全部執行猶予付き判決が確定した者でも、2年以下の拘禁刑を言い渡される場合には再度の全部執行猶予が認められるなど(従来は1年以下の懲役・禁錮の場合のみ)、刑の執行猶予制度が拡充されます。 ④その他 刑法と併せて「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」「更生保護法」「更生保護事業法」も改正され、受刑者の処遇や社会復帰支援に関する規定、被害者の心情などを考慮するための規定などが変更・新設されます。 侮辱罪の厳罰化
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