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中東情勢
medilabo.hatenablog.com
Apple Watchに心電図機能が使用できるようになりました。 以前にもここでも記載しましたが、実際に使用してみると、さまざまな利点があることがわかりました。 (心電図機能以外にもたくさん良い部分があり、詳細はまた後日記載します) まず、心電図機能ですが、動悸を感じた際に30秒間自分の意思で時間を選ばずに心電図を記録できることは大変有用に感じました。 もちろん心臓病の全てを診断しうるわけでもなく、クリニックや病院で記録する一般的な心電図とは得られる情報量はだいぶ異なると思います。 そもそも心電図で一発診断なんてできる病気は限られていて、他の血液検査やレントゲン検査も必要な場合が多い循環器病では、APPLE WATCHの機能は限られていて、APPLE WATCHの判断を鵜呑みにすることはできませんが、、 それでも、こと不整脈の診断に関しては、医療機関で心電図をとってもいつも問題ないと言われ
妊娠中の女性の薬物療法ほど、気をつかう診療はないのではないでしょうか。 慣れているのは産婦人科医と、一部のごく少数の内科医くらいで、自分を含めほとんどの先生方は基本的にかなり気をつかっています。 というのも、診察に来院した女性が妊娠中なのか、そうではないのか、ご本人でさえ、わかっていないことがあるからです。 知り合いの先生は、 ある若年女性のかたの診察時に、妊娠はしていないということをご本人に確認。 それを疑わず必要な薬を処方したらしいのですが、 ご本人が、薬を内服してしばらくしたタイミングで、心配になって妊娠検査を自分で行ったところ、陽性となったらしく、 もう飲んでしまったが、大丈夫か?どうすればいい?と迫られたことがあるそうです。 ただ、それ以降は、余程の特殊な事情がない限り、妊娠時にも比較的安全というデータがある薬しか出さないことにしたそうです。 【女性を見たら妊娠と思え】という言葉
最近、また心臓突然死を思わせるような訃報を目にするようになりました。 冬は寒暖差が大きい環境に身を置かれますから、その温度差が刺激(ストレス)になって心臓突然死を期待しやすい季節ではあると思います。 ただ、冬だから、寒いから 心臓発作で亡くなっても仕方ないよね、という考え方は間違っていると思います。 人間が生きていくうえで、生活の中には必ず一定のストレスがあります。 人間関係のストレス、仕事の業務上のストレス、それ以外には不規則な睡眠による体へのストレス、などたくさんのストレスに囲まれて生きているのが普通です。 寒さ(気候変動)というものも、人体には一種のストレスになります。 心臓突然死には何かベースになる疾患があると考えます。 ストレスだけで心臓突然死を起こしてしまうのであれば、ほとんどの人に突然死が生じても不思議ではありません。 「胸が痛くなったり、動悸がたまにするのは仕事でストレスが
現代の重要疾患のひとつに心房細動という不整脈があります。 心房細動は有病率が高いわりに、症状が表に出ることが少なく、健康診断で心電図をとらないと気がつかない、とっても気がつきにくい厄介な病気です。 心房細動の最大の問題点は、脳梗塞を起こすこと、心不全となること、認知症の原因となることは今までも何度か説明させていただきました。 心房細動はカテーテル治療で根治可能な場合も多くなりましたが、 いま、少し問題なのが、 心房細動が治っても、もともと心房細動があったひとは脳梗塞のリスクが高いまま という報告があることです。 カテーテルアブレーションという治療で心房細動が起こらなくなっても、その後の脳梗塞のリスクは高いままであるということは、 心房細動の治療後も、脳梗塞に対する備えを継続しなければならないということになります。 心房細動は当然再発リスクもあるため、既に脳梗塞や心不全の既往がある方、年齢が
先日ご紹介した【中年期の歩行速度が速い方が、老化は遅い】という内容に対する追加になります。 中年期の歩行速度と、脳の老化が関連していたということ。 また、 中年期(45歳時)の歩行距離が遅いと心肺機能、血圧、糖尿病の指標、歯の状況、顔の印象が全て老化が早いという内容でした。 歩行距離は脳の神経細胞の機能やネットワークそのものをある程度反映しているということなのでしょうか。 また、脳の神経細胞の機能自体が、心肺機能や血圧、糖尿病の状況、歯の状態、顔の印象まで関与しているというのは、 神経細胞の機能が優れている(神経伝達速度の速度が速い) ⇒歩行速度が速くなる ⇒基礎の運動能力が高い可能性 なので、基本的な運動機能が高くなれば、 ⇒ 心肺機能が高くなる ⇒ 動脈硬化の改善(血圧の改善) ⇒ 運動能力の向上による肥満の改善やインスリン抵抗性の改善(糖尿病の改善) ⇒ インスリン抵抗性の改善・炎症
仕事柄、自分の同年代よりもやや高齢の方々に運動指導(運動処方)をさせていただくことが多いのですが、 ご高齢の方に比べ、仕事をしている割合が多い若い世代は一般的に自分の時間があまりありません。 話を伺っていると、ほとんどの人が時間がないといいます。 仕事に使われる時間、家族(子育て含む)に使う必要のある時間、移動時間、趣味の時間、睡眠時間などでしょうか。 これらに使用できる時間は誰でも一日24時間であることは決まっているので、 その配分は意識的に分けていかないと、行動は変えることができません。 仕事に使われる時間や家族との時間は自分の意思で変えられない場合が多いので、 あとは趣味の時間をどうするか、睡眠時間をどうするかになってきます。 睡眠時間を削るか、無駄な趣味の時間を削るかです。 自分の場合は、トレーニング効率を落とさないため、免疫力を落とさないためなどさまざまな医学的理由から、睡眠時間
見逃されやすい病気として、末梢動脈疾患(PAD)について概説してみたいと思います。 PADは簡単に表現すると、脚の動脈が狭くなったり、つまったりしてしまう病気です。 症状は、下肢の冷感(足が冷たい)、しびれ、少し歩くと足が痛くなり休むと治る、です。 動脈硬化ベースなので、当然ご高齢の方に多くなりますので、脊柱管狭窄症という、腰の脊髄が圧迫される病気と似ており、気がつかれていないケースもあるかと思います。 PADの問題点は、歩く距離が制限されてしまうので、生活の質が低下することですが、それ以上に怖いのは重症化すると下肢の切断が必要になってしまうこと。 そして、PADでは心臓や脳の血管トラブルを合併するため、心筋梗塞後の方、脳卒中後の方よりも、心血管死亡率が高いことが示されています(REACH試験)。 最近ではさまざまなカテーテル治療ツールが開発され、血管形成術の成績は良好になりました。 カテ
本日、動脈硬化・高血圧という、学生の立場としては非常に興味を持ちにくい内容について、講義をしてきました。 自分が学生の頃は、がんに対する分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などといった治療法はなく、悪性腫瘍の領域はまだまだ先の見えない世界でした。 その点、脳梗塞・心筋梗塞といった急性疾患については、カテーテル治療の成熟によって命を救われる方が増加し、しかもやっていることが単純でわかりやすいこともあり、授業にも興味を持って参加していたような気がします。 その頃から脳梗塞や心筋梗塞の原因は高血圧だったり、コレステロール異常による動脈硬化が原因だとは教わっていましたが、高血圧や動脈硬化には全く興味を持てませんでした。 (高血圧は内容的に地味だったのと、本質の理解ができていないかった学生の頃の自分の実力不足があったんだと思っています) かくして、現在の進路に進んでしまった訳ですが、 あたりまえの
【中年期の歩行速度が老化予測の指標となる】という内容です。 興味深い研究結果でしたので、ご紹介します。 結論から書いてしまいますが、 歩行速度が遅い人は、歩行速度が速い人に比べて老化が加速しているという結果です。 45歳時の歩行速度を測定、また同時に脳のMRIを撮像した結果、 歩行速度が速い人に比べて、遅い人では脳の容積が有意に減少していました。 また、 大脳皮質厚の減少 大脳皮質表面積の減少 大脳白質の高信号域の増加 といった、脳の老化を示唆する所見が認められました。 この研究がユニークだと感じたのはここからです。 19項目(血圧、心肺機能、歯の状態など)の経年変化を評価したところ、 歩行速度が遅い人では老化が加速しているという結果となり、 さらに、 顔年齢も評価しており、歩行速度が遅い人では顔写真が老けて見えたと結論づけられていました。 顔写真の部分は多少主観的な要素が入っている可能性
筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)では、 ベンチプレス、デッドリフト、スクワットという三種類の筋力トレーニングが三大トレーニングとされています。 私の筋力トレーニング、有酸素運動はあくまで心臓病に対するリハビリテーションの知識・経験から派生してきたものです。 そのため、 基本的には自宅でできる範囲で、自体重トレーニングを患者さんにもお願いしていますし、自分自身もメニューを更新しながら継続しています。 心臓リハビリテーションの現場では、 ふくらはぎは第二の心臓というように、下肢の筋力が増加することによって、心臓に下肢から戻る静脈血の戻りがスムーズになるという目的から、 また、転倒防止の観点から簡便に継続できるという視点から、スクワットの要素が重視されている傾向にあります。 両サイドに椅子を置いて行えば、転倒のリスクも減りますので、これはこれで理にかなっているのですが、 運動自体が単
歯科というものは奥が深いもので、知らないことがたくさんあります。 心臓の手術前に、主に手術後の心臓内部の感染予防のため、歯科でう歯(むし歯)のチェックをしていただいたり、または、入院中の場合は、歯科医の先生に病棟に出張していただいたりしたことは今までにもありました。 最近の知見では、歯周病治療が糖尿病の治療になるという話題です。 機序としては、歯周病による口腔内の炎症が、インスリンという血糖を下げるホルモンの効果を弱めて、糖尿病のコントロールを悪化させるようです。 歯周病の治療を行っただけで、糖尿病のコントロールの指標のひとつとして使用されているHbA1cが改善したという報告があり、 今回改訂された糖尿病診療ガイドラインにも取り上げられました。 簡単にまとめると、 歯周病は、疫学的に糖尿病悪化に関連しており、歯周病の重症度が高いほど糖尿病のコントロールが不良になる。 糖尿病(1型糖尿病除く
手術前の説明をほとんどの人が理解していない、という話です。 【心臓手術前に受けた説明を、大半の患者さんは理解していない】という内容の論文がありました。 心臓カテーテル治療を受けた326名の患者さんに対する調査結果です。 326名の内訳は緊急治療が159名、待機的治療が167名です。 まずこの内訳をみると、急性心筋梗塞で本当に心臓カテーテル治療が必要だったのは、約半数ということがわかります。 (急性心筋梗塞には心臓カテーテル治療は必要、安定型狭心症には不要です) 待機的に治療ができた、という167名は安定型の狭心症ということです。 (厳密には不安定狭心症をいくらか含んでいる可能性はありますが、少数です) これらの患者さんに対して術前に行った手術の説明が、あとから確認したところ、 患者さんの40%以上が内容を理解していなかったという結果です。 さらに、60%の人が心臓カテーテル治療で病気が治る
あらためて、exerciseの有効性をまとめてみたいと思います。 わたくしは、心臓病の運動療法を専門にしており、いままでに様々なケースでの心臓リハビリテーションを経験してきました。 狭心症・心筋梗塞後の運動療法はもとより、重症心不全、なかには心臓の機能が著しく悪く、人工心臓を装着しなければならないケースでの運動療法の経験もあります。 心臓病のケースに比べれば、一般の未病(まだ病気を発症していない場合)の方の運動に関しては、比較的安全に行えるケースが多いと思いますので、ひとりでも多くの人に始めてみていただきたいと思います。 運動は、薬物療法のような副作用の心配がなく、同等の効果が得られる点ですばらしい治療法です。 【有酸素運動の特徴】 1、最大酸素摂取量の増加効果=心肺機能の改善効果 2、心拍出量の増加効果 3、安静時心拍数の低下効果 4、インスリン感受性の改善効果=糖尿病の予防・治療 (イ
自分で決めた運動習慣を継続して、ちょうど一年になります。 仕事の都合などで、どうしてもできなかった日はありましたが、 それでも、週3回の運動でも効果があることを考えれば、十分やり抜いたと思っています。 私事ではありますが、 自分の世代はちょうど若い頃に、狭心症や心筋梗塞のカテーテル治療や、徐脈(脈が遅すぎて支障をきたす)に対するペースメーカ治療、不整脈に対するカテーテル治療が非常に伸びていた時代を過ごし、それらに明け暮れる毎日でした。 そうした日々を過ごすうちに、 特に、狭心症・心筋梗塞の患者さんは治療をしても、少しするとまた治療が必要になることに気がつきました。 これは、根本的に何かを変えないと、狭心症や心筋梗塞という病気は簡単には克服できない、ということを意味していました。 狭くなった血管を、カテーテルでいくら拡張させようが、ステントという金属の金網で補強しても、本当に治療したことには
唐突ですが、高血圧は認知症の原因となります。 75歳以上の高血圧患者199名の臨床研究になります。 収縮期血圧(上の血圧)を130未満にしっかりと下げたグループと、145未満に甘めに下げたグループで、3年間の比較を行ったそうです。 結果、血圧を130未満に下げたグループでは、MRIで測定した大脳の微小血管障害が少なく、認知機能は差を認めなかったが、運動能力は明らかに高いという結果でした。 (統計学的有意差あり) 大脳の微小血管障害とは、高血圧によって脳の中の小さな血管がダメージを受けた、という認識でよいかと思います。 上記したデータは75歳以上に対するデータでしたが、今までにも50歳以上での調査で、同様の結果が出ています。 その際には高血圧のコントロール次第では、認知機能まで異なるとされていました。 血圧を下げると、 認知機能が低下しない、運動能力が低下しない。 機能的な老化を予防できると
今回の内容には、まったく科学的な根拠はありません。 データも何も(たぶん)ありません。 データがあるのかどうか調べてもいないです。 あたりまえの内容なのですが、 手術であっても、薬物療法であっても、運動療法であっても、 治療を受ける側(患者さん)と治療者(医師、看護師、薬剤師などのスタッフ)の、その治療に対する姿勢、向き合い方が同じ方向を向いていないと、うまくいかないことが出てくるという、個人的な経験の話です。 循環器内科という分野は、他の内科よりも手技的に求められることが多いです。 狭心症・急性心筋梗塞に対するカテーテル治療(経皮的冠動脈形成術) 徐脈(脈がゆっくりになる)に対するペースメーカ植え込み術 致死性不整脈・心不全に対する植込み型除細動器、両室ペーシング植込み 不整脈に対するカテーテル手術(カテーテルアブレーション) 末梢動脈疾患に対するカテーテル治療 弁膜症に対するカテーテル
先日、何気なく書店の本をざっと見ていくと、 危ない薬、薬は危険、危険な薬をのまされているといった特集が、複数の週刊誌で組まれていました。 週刊誌がこういう目的で記事を特集するのは、もちろん世の中にそういう記事を読みたいという需要があるからでしょうけど、その目的はなんなのでしょうか。 薬の副作用を大々的にPRするのは良いのですが、それを言い出したら全ての薬に副作用の可能性がある訳です。 副作用を上回る良さがあるから、内服薬として存在しているはずです。 副作用ばかりで効果が乏しい薬を国がどんどん認可して、しかも税金を使ってきたということを言っているのでしょうか。 高齢者に多剤を使用するのは悪である、という風潮もありますが、 例えば、急性心筋梗塞後には飲まなければならないと決まっている薬が複数あります。 そこに糖尿病などの併存疾患があると、どうしても多剤にならざるをえないというのが現状です。 こ
雑誌の【いい病院ランキング】はよく目にするものですよね。 いい病院ランキングはだいたいのものが、手術の症例数の多いところから1位、2位・・と並べて書いてあります。 症例数が多い病院には2種類あると個人的には考えています。 ひとつは正統派です。質の良い治療をしていて、紹介される患者さんが多く、結果として手術をたくさんやっている病院です。 もうひとつは、本来は手術を回避できる状況でも手術をして、症例数を稼いでいる病院です。 症例が多い病院というのは、だいたいこのどちらかであり、いずれにせよ結果的に手術技術は向上するので、この【いい病院ランキング】は一定の判断基準になると思います。 ただ、手術の数は決して多くはなくても、しっかりとひとりひとりに合った治療をみんなで議論し、提供しているモラルの高い病院もある、ということは知っておいていただきたいです。 そういう病院こそ本当の意味でいい病院なのに、手
前回、循環器医としては非常に驚くべき内容の臨床研究である、ISCHEMIA試験について簡単に内容をご紹介しました。 2018年の日本の統計データでは、確かにカテーテル治療の件数は全体として減少していません。 カテーテル治療が必要な緊急カテーテル治療が約76000件です。 ISCHEMIA試験でカテーテル治療は無用と判断された待機的なカテーテル治療が約20万件です。 つまり、日本で2018年に行われた急性心筋梗塞と狭心症に行われたカテーテル治療の総数は約27万6000件で、 そのうちの20万件については不要である可能性がある というのが、今回のISCHEMIA試験の内容ということになります。 一件の治療にかかる医療費が300万円とすると、20万件減少すれば医療費削減効果は6000億円?でしょうか。 現在日本で行われているカテーテル治療の75%が不要になるとしたら、循環器領域としては革命的なこ
今日は専門的な内容の話題になってしまいますが、 心臓疾患の多くを占めている狭心症という病気に対する認識が大きく変わろうとしている歴史の転換期を迎えていますので、ここに記しておきます。 動脈硬化が進展していくと、血管壁にはプラークなどの不要な物質が蓄積し、血管はだんだん狭くなります。 この血管が狭くなっていく現象は、からだの全ての動脈に及びますが、徐々に狭くなっていく事が多く、症状がでるまでその進展具合はわからないことがほとんどです。 (人間の身体はゆっくりとした変化には鈍感なのです) 特に問題となるのは、血管の径が細い部分で、心臓へ酸素などを供給している冠動脈という血管がしばしば問題の中心になります。 冠動脈は径が2~4mm程度の血管であるため、徐々に動脈硬化が進んだとしても、他の血管に比べ早期に血流障害が起こり得ます。 具体的な症状としては、 駅の階段を昇ると最近胸が重苦しくなるとか、重
ちょうど一年前に、不整脈の治療をさせていただいた方から相談がありました。 不整脈の治療は、房室リエントリー性頻拍という名前の不整脈に対するカテーテルアブレーションという治療になります。 治療後には不整脈の再発はなく、それ以降は高血圧の治療のため外来を2ヶ月に一回受診されているのですが、 10年前の交通事故の後遺障害をみてもらっている(ご本人の話では年一回)クリニックの医師から急に採血を勧められ、採血の結果、鉄欠乏性貧血だからサプリメントを飲みましょうと言われたそうです。 ここまでは、よくある話なのですが、 ご本人が今回言いたかったのは、 「そのサプリメントが保険が使えず、ひと月に5000円もするもので高いし、そもそも先生の外来(私の外来のこと)では一度も鉄欠乏性貧血なんて言われていなかったじゃないですか」ということのようでした。 たしかに、そもそも鉄欠乏性貧血という診断が正しいのであれば、
妊娠中、妊娠をお考えの女性に、是非はやめにインフルエンザワクチン接種を考えていただきたくて、今回はこの内容にしました。 内容は簡潔にします。 妊娠初期のインフルエンザ感染は胎児に対するリスクがあり、また、妊娠中期、後期の感染はインフルエンザ感染が重症化しやすいと言われています。 これから妊娠を計画している女性は、インフルエンザの予防接種を受けた方がよいです。 また、妊娠中でもインフルエンザ予防接種は受けるべきとされています。 現在、日本で使用されているインフルエンザワクチンは、病原性のない不活化ワクチンという種類のワクチンですから、胎児異常リスクはないとされています。 逆に、生ワクチンと呼ばれる種類のワクチンは胎児へのリスクを考えなくてはなりません。 風疹や麻疹のワクチンは生ワクチンになります。他にも複数あります。詳細は産婦人科や、予防接種を行うクリニックの担当医師にきいてみてください。
今回は、2018年度の国内で売れた薬剤についてみてみました。 第一位はマヴィレットというC型肝炎の薬です。 (2017年11月発売) このマヴィレットですが、グレカプレビルという薬剤とピブレンタスビルという薬剤の合剤になっており、 簡単にいうと、C型肝炎ウイルスを体外に排出する薬です。 数年前にC型肝炎の詳細を学習した際には、ハーボニ―という、レジパスビルという薬剤と+ソホスブビルという薬剤の合剤が出たばかりでしたが、気がつけば今はこのマヴィレットが主役に置き換わっているということです。 医療分野の情報の流れの速さを感じます。 ちなみにこのマヴィレットというお薬ですが、1錠が2万4210円で、一日に3錠内服のようですから、一日に7万円以上かかるわけです。 これを8~12週間内服したらC型肝炎ウイルスを排除できるのであれば、将来の肝がんリスクが低下するはずですので、費用対効果は良いのかもしれ
大腸内視鏡検査は、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)よりも受ける機会は少なくなると思います。 実際に、自分が今後受ける場合どういった基準で考えていったらよいのか、消化器外科専門医の先生に聞いてみました。 一般的に日常診療で大腸カメラをお勧めする場合は、患者さんから便に血が混じっているというように、実際に症状や現象を言われた時、または、原因不明の貧血が進行している場合のふたつが多いのではないかと思います。 あと多いのは、大腸がん検診でよく行われている便潜血反応検査という検査で陽性だった場合にも、大腸カメラをお勧めすることになります。 ただし、この便潜血反応検査が陽性であった場合でも、大腸がんのリスクは3~5%程度と言われています。 つまり、便潜血反応検査で引っかかって大腸カメラを受けましょうと言われた段階では、その95%は大腸がんではない、ということです。 大腸カメラは胃カメラに比べて負担は多
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)についての話題です。 内視鏡でヘリコバクター・ピロリを除菌したあと、もう胃カメラの検査が不要だと思っている方がかなり多いことに、この一年で気がつきました。 胃の中に生息するピロリ菌の有無で、胃がんになる可能性が全然違うという話題は以前にブログに記載しました。 ピロリ菌が胃の中にいない人は99%胃がんにはならない、ということも消化器の領域では常識になっているそうです。 ただし、ピロリ菌が最初からいなかった場合と、除菌したあとでは胃がんの発症率が異なっています。 ピロリ菌を除菌後も発がんのリスクは高いので、一年に一回は胃カメラをすることが良いとされています。 典型例としては、 5年前に胃カメラを他の病院でやった際にピロリ菌がいたので除菌した。 除菌が成功したので、もう胃カメラはやる必要ないと思っていた。 といったかんじです。 本当にたくさんいらっしゃいますから、
少し面白い研究がありましたので、ご紹介しようと思います。 自宅の近くにコンビニがあると生活は便利だが、動脈硬化の予防には良くない可能性があるという内容です。 約2700名の若年成人を対象に、自宅から3㎞以内の全ての食料品店・飲食店にコンビニやファストフード店がどれくらい占めているか、そして、この2700名の心臓の血管に動脈硬化がどれくらい起こっているのかが調査されました。 心臓の血管の動脈硬化をどうやって調べたか、というと、全員のCTを撮像して、心臓の冠動脈という血管の石灰化という現象を調査したようです。 その結果、近くのコンビニの割合が10%上昇するごとに、動脈硬化病変を発症するリスクが34%も高まるということがわかりました。 その一方で、ファストフード店と動脈硬化病変の発症については、関連がはっきりしなかったそうです。 これはファストフード店よりもコンビニの方が、 スナック類が多く、ア
クリニックの未来予想をここに書き記し、将来また振り返ったときに、どの程度予測することができていたかを確かめたいと思います。 【内科・循環器内科】や【内科・消化器内科】といったように内科系で、自分の専門分野をうしろに追加して表示しているクリニックが増えています。 また、昔ながらの【内科・外科・皮膚科・循環器科・消化器科・・】とたくさんの標榜をいまだに表示しているところもあります。 また、【整形外科・内科】といったように整形外科医であるにもかかわらず、自分の専門分野以外の内科分野まで標榜し、集患を目的としているクリニックも未だに多くあります。 ひとつの分野の中でも細かく細分化されてきている医療の世界では、今後もそれが細分化・深化していく方向でいくでしょう。 ですので、一人の医師が何でもみますという開業は今後激減するはずです。 そして、クリニックは2分化すると予想しています。 さまざまな病気はま
自分の担当している外来は高血圧、コレステロール異常、不整脈、慢性心不全、虚血性心疾患の順に患者さんが多く、 特に、他の内科外来で血圧のコントロールがつかない方を担当させていただくケースが多いです。 一応循環器内科としていますが、外来ではその絶対数から、高血圧専門外来に近い状況になっています。 高血圧のコントロールを行う際に、大切なのは自宅での血圧測定です。 以前にも書きましたが、一般的に高血圧の基準は 140 / 90 以上 ですが、 家庭での血圧の基準は、135 / 85 以上 が高血圧と定義されています。 この数値を極力下回るように工夫をしていく仕事が、外来では多いです。 この家庭での血圧の確認方法ですが、一般的には【血圧手帳】というものを患者さんにお渡しし、そこに家庭での血圧の数値を書き込んでもらい、外来受診の際に持ってきてもらうという方式が、日本全国で行われているかと思います。 最
運動は高齢者ほど有効だと思います。 入院中の心臓病の高齢者の方には、ベッドサイドでの簡単な筋トレから開始することが多いです。 簡単な踵上げ、ゴムバンドやチューブをベッドの柵に結んで、手足で引っ張るようなトレーニングなどが代表的です。 ストレッチによる関節可動域訓練も開始します。 そこから少し進むと、廊下の歩行を開始することが多いと思います。 安全に運動ができることがある程度わかれば、リハビリ室に移動して、エルゴメーター負荷を始めます。 運動前後には必ず血圧、心拍数、体温をチェックします。 呼吸数も実は大事です。体調が悪い時、病状が悪い時は呼吸パターンが浅く早くなっていたりします。 エルゴメーターとは自転車こぎのことですが、なぜ歩いたり、走ったりをいきなりさせないかというと、転倒のリスクがあるからです。(個人的な考えです) ご高齢の方がトレッドミル(ルームランナー)で後ろに飛ばされて怪我をす
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