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NTTは3月に提供予定の生成人工知能(AI)基盤「tsuzumi(ツヅミ)」について、百数十社から引き合いが来ていることを明らかにした。このうち約50社が利用方法を明確に提示し、10社以上が採用する意向を示している。その他の企業には検証環境をクラウド上に用意して用途開発を進めていく。各業界の特性に合わせたカスタマイズ(個別対応)を推進することでツヅミの普及につなげる。 NTTの島田明社長は「用途を明確化済みの顧客企業には、業界ごとに標準的なチューンアップを行った後、その企業が持つ独特な表現などのデータを学習させて(ツヅミを)レベルアップさせる必要がある」と説明。一方、ツヅミの用途をNTTと共に模索することを希望する企業には「クラウド上に用意したテストベッド(試験環境)でツヅミを使ってもらいながら顧客企業と一緒に開発していく形にしたい」との方針を示した。 NTTは2023年11月、生成AIの
ノベルクリスタルテクノロジー(埼玉県狭山市、倉又朗人社長)は、パワー半導体の基板となる150ミリメートル口径(6インチ)β型酸化ガリウム(β―Ga2O3)単結晶の作製に成功した。基板の大口径化や高品質化の実現に貢献し、パワー半導体へのβ―Ga2O3の採用を加速させる。単結晶は、るつぼと同じ形の結晶が得られる垂直ブリッジマン(VB)法で作製。従来の方法であるEFG法よりも基板に加工する際に不要となる部分を減らせ、低コスト化につながる見通しだ。 β―Ga2O3を用いたパワー半導体を広く普及させるには、基板の大口径化が不可欠で、単結晶の大型化も必要だった。VB法によるβ―Ga2O3単結晶育成技術は信州大学が発案し、開発を進めている。ノベルクリスタルテクノロジーは信州大から育成技術を継承し、6インチの単結晶の作製に成功した。 同社は板状の結晶を育成できるEFG法で単結晶を作る技術を開発済み。産業技
製造業に提案 JR西日本は自動改札機の故障を予測するために開発した人工知能(AI)モデルの外販を2024年にも始める。製造業など鉄道業界以外に広く売り込む考え。AIモデルの活用によって、同社の自動改札機の故障発生数は約20%削減し、顧客サービスの改善や保守業務の効率化につながった。それらの実績から、製造業の生産設備などでも効果を発揮できると判断した。 JR西日本は、自動改札機の稼働データと過去の故障履歴データを基に7日以内の故障確率を予測するAIモデルを運用している。点検業務の効率化や券売機と精算機での予兆保全への活用を進めている。故障確率の高い改札機を優先的に点検することで、故障発生数の削減とともに点検回数も従来比約30%減となり、業務効率化につながっている。 同社はこのAIモデルによって、工場設備の稼働データを基に故障確率を予測し保全に活用すれば工場の安定稼働に寄与できるとする。すでに
コロナ禍で先行発注、反動減リスク直面 半導体商社の再編が加速している。菱洋エレクトロとリョーサンは5月、経営統合に関する基本合意書を締結。11月にはマクニカホールディングス(HD)の事業会社が同業のグローセルに対しTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。従来、メーカーが代理店を集約する動きがある上、メーカーの直販志向の高まりなどで商社を取り巻く環境は厳しさを増す。勝ち残りをかけた商社の合従連衡は今後も続きそうだ。(阿部未沙子) 「仕入れ先の意向も要因の一つになったのではないか」―。マクニカHDの事業会社であるマクニカ(横浜市港北区)がグローセルの完全子会社化を目指す動きに対して、業界関係者からこのような声が上がった。「基本的には(メーカーは商社を)まとめていきたい」(半導体商社首脳)という見方もある。 マクニカとグローセルは、ともにルネサスエレクトロニクスの代理店。マクニカは従来、
人文学研究でデジタル変革(DX)が広がってきた。古文書や史料をデジタルデータ化し人工知能(AI)に学習させたり、オープン化して異分野の研究者を巻き込んだりする試みだ。市民や出版社などの力を借りて取り組みを進めている。国立国会図書館では、AIが古文書の読解を支援するサービスの実装が進む。人文学DXは研究の幅を広げ、地域や教育とのつながりを生み出しつつある。(小寺貴之) AI翻刻、くずし字読解支援 「翻刻は地震史料から始まり、その対象は料理本や仏典、医療や健康法など多様な古文書に広がった」と国立歴史民俗博物館の橋本雄太准教授は目を細める。東京大学地震研究所や京都大学古地震研究会と「みんなで翻刻」プロジェクトを進めてきた。 みんなで翻刻は古文書のくずし字を現代文字に直すプロジェクトだ。これまでボランティアで8500人以上が参加し、今も約2940人が活動する。2930万字以上を翻刻してきた。誰かが
全国各地に張り巡らされた送電線網を活用し、飛行ロボット(ドローン)を目視外で自動で飛ばす航路を整備する取り組みが進んでいる。電力会社の送電線の点検作業だけでなく、将来的には物流など他産業にも使ってもらうことを狙う。すでに埼玉・秩父エリアを起点に約150キロメートルを整備。2024年度は関東と中国地方で約2000キロメートルの実装を予定しており、27年度までに全国で1万キロメートル超の航路開拓を目指す。(根本英幸) 有人機との接触リスク低減 12月上旬、東京都日野市の東京電力総合研修センターで、ドローンによる自動飛行のデモンストレーションが行われた。同日開催された東京電力パワーグリッド(PG)の「全社技術技能競技大会」のドローン競技会場となった架空送電実習場に、送電網点検用の小型機と運搬用の中型機が登場。実物大の鉄塔と送電線近くを、2機のドローンが華麗に空を舞った。 「送電線の近くは接触リス
電子情報技術産業協会(JEITA)は、2024年の電子情報産業の世界生産額が23年見込み比9%増の3兆6868億ドル(約527兆円)で過去最高となる見通しを発表した。デジタル化を背景に電子機器やデバイスへの需要が回復することに加え、ソリューションサービス市場が、生成人工知能(AI)や次世代インターネット技術「ウェブ3(スリー)」を活用した新ビジネスの創出でさらに成長する見込み。 製品別の24年の生産額見通しは、ソリューションサービスが23年見込み比12・2%増の1兆4740億ドルと過去最高を更新。IT投資の活発化やデジタル変革(DX)の進展が背景にある。 半導体も同13・1%増の5884億ドルと過去最高の見通し。生成AIの普及によるデータセンター(DC)の増強や電気自動車(EV)の普及による半導体の搭載率の拡大が寄与するようだ。電子部品はスマートフォンや自動車向けの需要回復やAIサーバーの
顧客接点拡大、人材育成に注力 生成人工知能(AI)ブームを追い風にIT市場が活況だ。これを商機と捉え、IT・情報サービス各社はデジタル変革(DX)を提案するコンサルティングの強化でしのぎを削る。富士通は2025年度までにコンサルタントを1万人にする構想を掲げ、NECも戦略コンサルの強化を急ぐ。野村総合研究所(NRI)や電通国際情報サービス(ISID)はシンクタンク機能も含め、DXによる社会課題の解決で新展開を目指す。(編集委員・斉藤実) IT・情報サービス各社は顧客との接点を従来のシステム部門から事業部門や経営層へと広げるべく、コンサルの強化を図っている。富士通の時田隆仁社長はコンサルタント1万人構想について、「当社は12万4000人の社員を抱え、コンサルとして活躍できるポテンシャルを持つ人材はスタッフ部門も含めたくさんいる。強い意志で1万人の達成を目指す」と力を込める。同社のコンサルタン
低コスト・省エネ・CO2削減 IHIは天然ガスを熱分解して水素を製造する新技術の試作機(イメージ)での実験を、横浜事業所(横浜市磯子区)で始めた。従来の水蒸気改質による製造技術に比べ、必要なエネルギーを約4割削減できる。天然ガスを加熱して水素と固体の炭素に分解するため、二酸化炭素(CO2)排出を抑えられる。試作機の製造量は1日約10キログラム。2020年代後半に1日最大100トンの製造量で実用化を目指す。 再生可能エネルギー由来の電力を熱源に天然ガスを分解する。触媒に鉄鉱石を使って低コスト化を図る。ボイラなど流動層技術を活用して鉄鉱石をハンドリングする。 今後、パートナーとなる企業を探して、20年代半ばをめどに天然ガスと鉄鉱石の産出国である米国と豪州で実証を始める計画。固体の炭素を地中などに貯留し、土壌改質や水質改善などに有効活用することを想定する。 実用化の形態は顧客への装置販売などを検
日本郵船は2024年度内に、米スペースXの低軌道衛星通信サービス「スターリンク」を導入する外航船を現在の3倍超となる100隻以上に拡大する。船員が気軽に通話できるようにして生活の質を高め、船員の確保につなげる。また船と陸との間の情報共有や遠隔医療支援にも役立てる。商船三井も23年度中に140隻に導入する計画で、海運業界の人手不足対策として導入が広がっている。 日本郵船は22年12月にスターリンクの試験導入を始めた。特に若い船員は、スマートフォンなどで「常に誰かとつながっていたい」というニーズが強く、通信環境は生活する上で重要な要素になっている。試験導入の結果、スターリンクは通信速度を大幅に改善でき、家族や友人らとのビデオ通話を気軽に行えるようになった。また船と陸との間の情報共有や会議、トラブル発生時や遠隔医療時の陸からの支援にも役立てられる。 船員からの評判も良かったため、導入隻数を増やす
人口減少や社会の高齢化など地方を取り巻く環境が厳しくなる中、地域公共交通は運転士不足や利用者減少で存続が危ぶまれるものが少なくない。国土交通省は2023年を地域公共交通の再構築元年と位置付け、10月に地域公共交通活性化再生法を改正。事業者と地元自治体、国が一体となって、その地域の将来に望ましい公共交通のあり方を実現する仕組みを整備した。 再構築協議会は事業者、自治体の双方から国に対し設置を要請でき、要請に基づき国交相が関連事業者や道路管理者などの関係者を集めて開催する。これまでにも赤字ローカル線について事業者と自治体が話し合う協議会の枠組みはあった。しかし、議論が紛糾し時間切れで鉄道が廃止されたり、そういう事態を危惧して自治体側が協議会の設置を棚ざらしにするケースも少なくなかった。 こうした事態を避けるために新制度を設けた。「事業者任せ、地域任せにせず、持続可能な地域公共交通は何かを国が責
物質・材料研究機構の長谷川源ポスドク研究員と桑田直明主幹研究員らは、全固体電池のリチウムイオン移動は電解質の粒界が抵抗になっていることを突き止めた。マイナス100度C以下に冷やしてリチウムイオンの動きを極めて遅くしたところ、粒界でリチウムイオンの濃度差ができる様子を観察できた。拡散係数は粒界で1万分の1以下になる。全固体電池開発に知見を提供していく。 2次イオン質量分析法(SIMS)を低温観察に応用した。リチウムイオンがほとんど移動しない温度でリチウムイオンの分布を測定する。 リチウム同位体を酸化物電解質の端から導入して拡散する様子を観察した。 すると粒界に沿ってイオン濃度が変わっていた。電解質粒子内部ではイオンは高速で動くものの、粒界が抵抗になる。粒内と粒界では拡散係数が5ケタ変化すると見積もられた。 電池のシミュレーションがより正確になる。イオン拡散を妨げない粒界を設計できれば全固体電
戸田建設と西松建設は、材料由来の二酸化炭素(CO2)排出量が計算上ゼロ以下となるカーボンネガティブコンクリートを使い、プレキャスト製品を製造できることを実証実験で確認した。両社は脱炭素社会の実現を見据えて、同製品を土木・建築分野に幅広く適用するための開発を進める。 両社はこれまで、コンクリートに配合するセメント量の最大90%を産業副産物の高炉スラグ微粉末に置き換え、CO2排出量を最大85%削減した「スラグリート」を開発。カーボンネガティブコンクリートはこのスラグリートを基に、CO2を吸収・固定化した炭酸カルシウムを添加してCO2排出量を計算上ゼロ以下にする。 実証実験では一般的なコンクリートと同様に製造でき、強度も同程度であることを確認した。また仕上がりは白色系で、色ムラも少ないことが分かった。
普及へ指針・枠組み策定 生産時の二酸化炭素(CO2)排出量を少ないとみなす「グリーン鋼材」が、鉄鋼大手で出そろった。先行投入した神戸製鋼所に続き、2023年6月にJFEスチール、9月には日本製鉄が初受注を公表。各社ともすでに数件を成約したが、公共分野での普及や世界的ルールづくりなど課題は山積している。 グリーン鋼材は、各社による実際のCO2排出削減量を特定の商品に割り付ける「マスバランス方式」に基づき、第三者機関の認証を受けて販売される。機能や品質などは従来材と変わらないが、付加される「環境価値」分で割高になる。 神鋼は自動車向けや再開発計画などで成約。日鉄は菓子缶から熱交換器向けまで幅広く、JFEはオフィスビル用厚板などを受注した。日鉄、JFEは海外変圧器向けで電磁鋼板の採用も決まった。 注目されるのがJFEの造船用厚鋼板の案件だ。納入だけではなく、船を使う国内海運8社との間で、鋼材コス
住友化学は愛媛工場(愛媛県新居浜市)で、二酸化炭素(CO2)からメタノールを高効率に製造するパイロット設備の運転を始めた。従来のCO2からメタノールを製造する技術に比べて、収率は2倍以上を実現する。2028年までに実証を完了し、30年代の事業化や他社へのライセンス供与を目指す。 同設備は島根大学と共同開発に取り組む内部凝縮型反応器を活用する。反応器内に冷却ゾーンを設けてメタノール気体を液化して減らし、より多くのCO2をメタノールに変換する仕組み。 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業の助成を受けて建設した。 【関連記事】 大手化学メーカー、構造改革の行方
プラナスケミカル(名古屋市緑区、高橋康一社長)は、橋梁や鉄塔など点検作業が難しい構造物など向けでボルトの緩みを検出する独自の「クラディス工法」用に新塗料を開発した。塗料成分の最適調整により、塗料を塗布して硬化させる施工時間を従来比4分の1に短縮。また、従来塗料の施工では専用の紫外線(UV)照射機が必要だが、新塗料は一般的な可視光発光ダイオード(LED)ライトで施工可能。低コストで複数人での施工を実現する。 クラディス工法は、ボルト・ナットと基材との間にUVで発光する柔軟性の高い蛍光塗料を塗布。硬化後にUVを遮る硬質塗料をかぶせるように塗布して硬化させる。 ボルト・ナットに緩みが生じると、上塗りした硬質塗料だけが割れて下の蛍光塗料が露呈。そこにUVを照射すると発光するため、目視で緩みを検出でき、構造物などの点検作業を効率化できる。 新塗料は、トンネルや車体などに同工法の採用を検討するJR東海
3月、量子コンピューターの国産初号機「叡(えい)」が埼玉県和光市の理化学研究所で稼働した。10月には2号機が稼働し、量子技術の研究開発競争において、日本が世界に伍(ご)していくための足場が固まった。これまで国内にある量子コンピューターの実機は米IBM製の商用機と試験機の2台のみだったが、国産機の相次ぐ稼働により、産業界との共同研究にも弾みがつきそうだ。 国産初号機は超電導方式で64量子ビットを形成できる仕様。まずは53量子ビットでスタートし、エラー耐性への対応などの技術革新に挑むとともに、産業界とのアプリケーション開発を促進するテストベッド(試験環境)の役割を担う。 一方、2号機は初号機と同様に、理研と富士通の共同開発の成果。理研の中村泰信量子コンピュータ研究センター長は「初号機と2号機はハードウエア開発とソフトウエア開発で両輪となる」とそれぞれの役割を述べる。 2号機は民間主導では初の国
来年「グラナイト」国内投入 日本IBMは米IBMが開発した大規模言語モデル(LLM)「グラナイト」の国内投入に合わせ、信頼性を証明するテクニカルペーパー(技術文書)を日本語で公開する。学習に用いたデータの出所や学習法を明らかにし、生成人工知能(AI)の基盤技術であるLLMの活用で課題となる透明性や安全性を担保する。こうした取り組みは他に類がなく、日本語LLMのビジネス活用の本格化で問われる“信頼されるAI”への試金石としても注目される。 グラナイトの英語版は米IBMが9月に発売。12月中に学習データを増やした多言語対応版を市場投入する予定だ。日本語版は言語処理が特殊なため、多言語版とは別に日本IBMが日本語だけを切り出し、現在、追加学習をしている。2024年2月に日英のバイリンガル仕様として発売する見込み。 公開する日本語のテクニカルペーパーは数十ページで記述する予定。英語版と同様に、収集
量子科学技術研究開発機構は那珂研究所(茨城県那珂市)に建設した核融合実験炉「JT―60SA」の運転開始記念式典を開いた(写真)。日欧の共同プロジェクトで建設したJT―60SAは10月23日に初プラズマの生成に成功。強力な磁場でプラズマを閉じ込める「トカマク型」として、これまでに世界最大クラスとなる体積約160立方メートルのプラズマを生成し、温度は1500万度C程度まで上昇したのを確認したという。 同実験炉は将来のクリーンエネルギーとして期待される核融合発電技術開発への貢献を目指す。式には日欧の関係者に加え盛山正仁文部科学相や高市早苗内閣府特命担当相が参加。盛山文科相は「欧州などとの連携を強化し研究開発や人材育成に腰を据えて取り組む」、高市担当相は「産業界とともに核融合の実現とスピンアウト型関連産業の発展に向けて力を尽くす」とした。
日立製作所で30年近く半導体の研究開発に携わった東京理科大学の河原尊之教授。現在は2050年ごろの実用化が見込まれるゲート方式量子コンピューターをしのぐ計算能力を、シリコン半導体を使って30年ごろまでに達成する目標に挑む。 半導体は集積化により性能をどんどん高められる。これまでに回路線幅22ナノメートル(ナノは10億分の1)の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を使い、4096ビットの拡張可能な全結合型イジング大規模集積回路(LSI)システムを試作した。 大手企業は大型設備が必要な量子計算クラウドサービスを展開するが、河原教授が目指すのは、量子コンピューターを超える性能を持つ「手のひらサイズの計算機」だ。 量子コンピューターと同様に創薬や素材の開発などに役立つ「組み合わせ最適化問題」を解く計算機になる。高性能コンピューターの開発は世界中で競争が激しいが「日本の半導体復活にも貢献できる」(河原
日立製作所子会社のスイスの日立エナジー(チューリヒ市、クラウディオ・ファキン最高経営責任者〈CEO〉)は、スウェーデンの燃料電池メーカーであるパワーセルグループと、燃料電池技術を活用した水素発電機の実証機を開発した。燃料電池と変電・付帯機器を一体的にまとめた。送電網への連携が難しい地域などでディーゼル発電機の代替として導入を目指す。2024年後半以降に順次発売する。 開発した水素発電機は、騒音を抑える必要のある建設現場のほか、電動の建設機械が増えている採掘現場、データセンター(DC)や病院、ホテルなどでディーゼル発電機の代わりに二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンな発電機として販売する。実証機で得た知見を生かし、持ち運び可能な中出力型を24年後半に、複数ユニットを並べて利用できる高出力型を25年に、それぞれ発売する計画。 日立エナジーはこれまでもスウェーデンやフィンランドにおける水素製
メモリーアレイの物理現象でCPU介さず積和演算 米IBMは人工知能(AI)のワークロード(処理負荷)の8割以上を占める積和演算をメモリー上で直接計算する世界初のアナログ方式のAI推論チップを開発した。開発には日本IBMの研究チームが参画。不揮発性メモリーなどを3500万個搭載した線幅14ナノメートル(ナノは10億分の1)のチップを試作した。既存のAIチップに比べて約14倍の電力効率を実現するなど、AI処理で課題となる低消費電力化に新たな道を開いた。(編集委員・斉藤実) 脳の神経回路を模したニューラルネットワークなどのアルゴリズム(計算手順)を高速に実行するAIチップはすでにデジタル回路では実用化されている。IBMはこれに加え、アナログ方式のAIチップの実用化を究極のゴールとしているが、実用化にはまだ時間がかかる。 アナログAIコアは従来の方式とは異なり、半導体材料の特性と電流・電圧の原理を
新和設計(山形県米沢市、湯沢洋一郎社長)と日本大学工学部を中心に構成する竹筋(ちっきん)コンクリート協議会(事務局=新和設計)は、鉄筋の代わりに竹材を利用した竹筋コンクリートを開発した。鉄筋コンクリートの60―70%の強度で実用化できる。26日にU字溝として福島県南会津町の水路に設置し、効果を検証する。自然資源を活用した手法として、小型コンクリート構造物向けに普及を目指す。 竹筋コンクリート協議会には新和設計と日大を含め、日仙産業(福島県白河市)や坂内セメント工業所(同柳津町)など5企業・2大学が参画する。竹筋コンクリートは竹筋で構造物を組み上げ、コンクリートを流し込む仕組み。昭和の初めまでは国内で普及していたが、終戦で鉄の利用が可能になり衰退した。今回は竹を活用した環境に優しいコンクリートとして、復活プロジェクトとなる。 1、2年で成長し、5年で枯れる竹の特性を有効利用する。竹は内側の強
営業線を安定運行へ JR東海はリニア中央新幹線の浮上や移動に必要な超電導磁石で、液体ヘリウムを使わない「高温超電導磁石」を実用段階に近づけた。営業線に使用できるという評価を国土交通省から受けた。全量を輸入に依存する液体ヘリウムを使う従来型磁石では安定運行への影響が懸念されていた。同社は検査周期となる1年間分に相当する距離を試験走行し、営業線への搭載を目指す。(名古屋・永原尚大) 国交省が評価 コイルが冷凍機で冷却可能に 超電導磁石は従来の鉄道における車輪の役割を果たす重要な部品だ。車体を浮かせる強力な磁力を発生させるため、冷却によって電気抵抗をゼロとする超電導現象を利用して大電流を流している。 従来の「低温超電導磁石」は電流が流れるコイルをマイナス269度C以下に冷却するために液体ヘリウムを使っていたが、高温超電導磁石はマイナス255度C以下で良いため冷凍機による冷却が可能となる。コイル素
モーター性能決める 本田財団(東京都中央区)は、2023年度の「本田賞」にネオジム磁石を発明した佐川眞人博士(NDFEB〈京都市西京区〉社長、大同特殊鋼顧問)とジョン・J・クロート博士(元米ゼネラル・モーターズ〈GM〉デルコ・レミー部門マグネクエンチ常務取締役、元ジョン・クロートコンサルティング代表)を選んだ。ネオジム磁石は1982年の発明から40年以上、最強の座に君臨している。この間にネオジム磁石が最強であるメカニズムが解明され、産業界には他の選択肢はないという声さえある。磁石研究者にとっては挑戦と挫折の40年だった。次の磁石研究の方向性を聞いた。(小寺貴之) 磁石はモーターの性能を決める材料だ。モーターはあらゆる機械に利用され、日本では電力の6割を消費している。磁石が強力だとモーターを小型化・高効率化できる。ネオジム磁石は薄型ハードディスクドライブ(HDD)を実現し、パソコンの爆発的普
川崎重工業は2030年ごろの商用化を目指す大型液化水素運搬船の建造にデジタル技術を全面導入する。3次元(3D)モデルなどを使ってデジタル空間上で船をデザインし、建造前に事前検証できる。造船業では浸透していない部品表(BOM)も導入する。造船業は試作品を製作しないため、建造工程で手戻りが発生しやすい。人手不足が課題となる中、将来の中核に据える水素事業の主要機器となる大型液化水素運搬船の効率的な建造体制を整え、水素普及による需要拡大に備える。 タンク4基を搭載する容量16万立方メートルの大型液化水素運搬船に導入する。設計、調達、建造の各工程の情報をデジタルで連携し、手戻りを防ぐ仕組み。 デジタル空間上で船をデザインして事前検証することで、実際に建造を始めてから問題が生じ、前の工程に戻る事態を防げる。BOMはコングロマリット(複合企業)である自社の強みを生かし、航空機製造の知見を活用する。 川重
東京理科大学の河原尊之教授らの研究チームは、回路線幅22ナノメートル(ナノは10億分の1)の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を使い、現在の量子コンピューターを超える計算能力を持つ大規模集積回路(LSI)システムを開発した。創薬や材料開発などに生かせる「組み合わせ最適化問題」を低消費電力かつ高速に解く。複数のチップを並列動作させることで機能を拡張し、大型の設備が必要なクラウドサービスを使わずに大規模な計算を可能にする。 河原教授らが開発したのは、複数のLSIチップをつないで機能を拡張できるスケーラブルな全結合型の「イジングLSIシステム」。これまで1チップ内に収まっていた演算機能を、複数の汎用CMOSに分けて接続することで拡張可能なことを実機で実証した。 22ナノCMOSで作製した演算LSIチップ36個と制御用FPGA(演算回路が自由に書き換えられる半導体)1個を搭載。現状のゲート方式の量
11月29日から12月2日までの4日間、東京ビッグサイトで「2023国際ロボット展」が行われます。産業用ロボット、サービスロボット、ロボット関連ソフトウェア、要素部品などが出展され、国内外から多数の来場者が集まります。イベントに関連して、日刊工業新聞社が発行した「産業用ロボット全史」より一部を抜粋し、掲載します。(全8回) 産業用ロボットの源流は1960年代初頭のアメリカにありますが、製造現場で使える生産機械としての市場は1980年代から日本を中心に形成されていきました。1980年代の日本の産業用ロボット市場は自動車メーカや電気機器メーカといったパワーユーザの積極的な活用努力と、これに応えるべく多くの機械メーカ、電機メーカによるロボット事業参入により、急速な初期成長を果たしています。その結果、1990年には全世界での日本製ロボットの供給シェア88%、日本市場の需要シェア75%という圧倒的な
九州の西端、五島列島の長崎県五島市は、再生可能エネルギーによって地域経済の“浮上”が始まった。浮体式洋上風力発電1基の稼働をきっかけに10億円規模の電力事業が立ち上がり、再生エネ関連で100人近い雇用が生まれた。人口減少に直面する離島で起きた“再生エネ経済革命”の実態を探るため、五島市の中心である福江島を訪ねた。(編集委員・松木喬) 「子どもたちが野球の練習試合に行きやすくなった」。 福江商工会議所(五島市)の清瀧誠司会頭は目を細める。地域新電力「五島市民電力」が上げた利益で遠征費の一部を支援できるようになったからだ。 五島市も子どもが減り、野球チームは練習試合のために九州本土へ遠征する。フェリーだと長崎市まで3時間。土曜の午前に出発して長崎で試合後に宿泊し、日曜に島へ帰るため費用がかかる。五島市総務企画部未来創造課ゼロカーボンシティ推進班の川口祐樹主査も「親に遠征費を出してと言いにくかっ
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