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コーヒー沼
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性犯罪刑法改正の議論の場で本多平直氏が行ったとされる不適切発言に関して、7月12日、立憲民主党ハラスメント防止対策委員会から調査報告書(以下、報告書)の提出がなされました。 報告書全文ダウンロード この報告書からただちに明らかなのは、検証すべき事実関係が執筆者の持論と切り分けられておらず、肝心の事実関係に関しても正確な記述を欠いていることです。これは論理的に飛躍のある箇所が含まれる点にとどまらず、多数の主語の欠落や文章の破綻にまで至っており、本件の調査報告のずさんさがうかがわれると言わざるを得ません。 報告書本文における個々の瑕疵については、先日発表された詳細な記事『立憲民主党は立憲主義と民主主義を放棄するのか、あるいは本多議員をめぐる報告書の致命的欠陥について 』があるためそちらに譲りますが、この記事では「筆者の主観的な評価と、対象者の言動が全く区別が付けられないまま著述が展開されていく
ここに掲載した表は、今回の都議選で行われた選挙情勢の報道について、使われている用語をもとに整理したものです。 用語の分類はおおむね以下の表に従います。(複数区の事情によりやや異なる場合があり、情勢表現の横に<複数区>と表記しています) ●この情勢報道集約は当落の予測ではなく、情勢報道の確認と検証を目的とするものであることにご注意ください。制作者による選挙情勢の評価でもありません(製作者が行っているのはあくまで情勢表現の分類と識別です)。 ●名前順について:各社が掲載した名前順を情勢表現の前に数字で記載しています(「1.リード」「2.懸命に追う」「3.厳しい」など)。 ●括弧について:括弧がついていないものが本文の主な情勢表現です。小括弧( )はタイトルの表現で、必要な場合に表記します。< >は注釈です。 ●<複数区>について:一般的に劣勢を示す情勢表現であっても、複数区で当選圏内にいる場合
人口減少は日本から漠然と人が減っていき、労働力が失われていくこと。少子高齢化は子供が減って、お爺ちゃんやお婆ちゃんが増えていくということ――。いま進行しつつあるこれらの問題について、私たちはどこかそのようなイメージを抱いているのではないでしょうか。 確かに今までは、それもあながち間違いではなかったのかもしれません。しかし今後は全く別次元と言っていいような恐ろしい面が剥き出しになります。ここでは地域別・年齢別の人口の検討から、その実態に迫ることにしました。 全国集計から恐ろしさは見えてこない 人口問題の議論では、しばしば次のようなグラフがあげられます。 図1:日本の将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所による2018年推計による) これは日本の人口が今後どのようになるかを予測したものですが、このグラフには人口減少の真の恐ろしさは表れていません。実際、「2045年には日本の人口は1億064
いくつかの有利な現象をとりあげて、あたかもそれが物事の本質であるかのように主張する議論を見ることがあるので、現象と本質について書くことにしました。一言で表現するのなら「ということがある」のが現象で、「そのためにこそ」が本質です。 ひとつ自衛隊の必要性を例にあげて説明してみましょう。新聞やテレビを見ていると、大きな災害の時に自衛隊が出動し、救助や復興のために活躍するシーンに出くわすことがあります。市民を守り、命を救っているのですから、これは言うまでもなく素晴らしい活動です。 しかしそれをもって「こういった活動をしているのだから自衛隊は必要だ」という議論を展開するとしたらどうでしょうか。ここで次のように考えてみましょう。自衛隊が被災者を救助する「ということがある」のは事実です。しかし、自衛隊がまさに「そのためにこそ」必要であるのなら、なぜ自衛隊は戦車やミサイルを大量に保有しているのでしょうか。
希望する政策として改憲を挙げる国民は1割にも満たないのに、一部の政治家が誰も彼もを国民投票へ囲い込もうとしている 今年は3年ぶりに衆参両院で憲法審査会が開かれており、国民投票法改正案をめぐって注目される憲法記念日となりそうです。国民は果たして今、改憲をどれほど望んでいるのでしょうか。世論調査をもとにして現状を見ていきます。 自民が草案を出すたびに改憲派は減っていった まず憲法をめぐる民意の推移を振り返るため、世論調査を平均化したグラフを検討してみましょう。下の図は、改憲への賛否を問う各社の世論調査から、憲法を「変える必要がある」「改正すべきだ」などとした回答を改憲派(赤色)に、「変える必要はない」「現在のままでよい」などとした回答を護憲派(青色)に集約したものです。 図には1985年から2020年までの35年間しか表示していませんが、もともと55年体制下(1955年~)の世論は長く護憲が主
面接で一番の特技を訊かれて「丸踏みです」と答えたことがある。丸踏みを知らない世代にむけて補足すると、それはほとんど缶蹴りと同じだ。ぼくの答えはどこか場違いな異国の言葉のように響き、時間はしばし進むのをためらったみたいだった。あたりまえだ。子供の遊びほど社会の中で役に立たないものはないのだから。 スポーツが得意な子は中高にあがっても力を発揮する機会を持つことができる。勉強が得意な子にもまたそれぞれに活躍の場がある。けれど、遊びは行き止まりだ。遊びが得意なだけの子は、何にもなれない。 遊びはどこへ消えていくのだろう。それは、本当に失っていいものなのだろうか。 子供の遊びは大人のそれとは決定的に違う。大人の遊びには休息だとか気晴らしだとか、そうでなくても「楽しもう」という目的があって、頭の片隅には仕事や生活のことがいつもこびりついて残っている。けれど子供は目的もなくひたすらに、生きることが遊ぶこ
10年前の福島第一原発事故がどれほどの衝撃を社会にもたらしたか。その一面を次のグラフに見ることができます。これは様々な世論調査をもとにして、「原発を今後どうすべきか」という質問の結果を平均したものです。 内閣支持率や政党支持率とは違い、個別の問題に関する質問ではそれぞれの世論調査で選択肢が異なることが少なくありません。そこで、それらを統一的に評価するため、ここではやや乱暴な操作であることを承知のうえで、選択肢を「増設・推進」「維持」「削減・全廃」「その他・無回答」の4つにまとめました。 グラフからは2011年の激変がくっきりと読み取れます。このとき高まった「削減・全廃」は10年後の今も非常な高水準にあり、ゆるぎないものとなったと言ってよさそうです。 それにしてもチェルノブイリ原発事故や東海村臨界事故を経てもなお、福島第一原発事故の直前まで「増設・推進」が主流だったことには驚かされます。それ
⭐内閣支持率・不支持率 上の図は、昨年5月以降の安倍内閣と菅内閣について、内閣支持率と不支持率を表示したグラフです。菅内閣の支持率は発足直後の11月から急落を始めましたが、2021年1月中旬を境に反転し、現在に至るまで回復傾向となっています。 ⭐新型コロナウイルス 政府対応の評価 2020年11月以降の内閣支持率の動きには、新型コロナウイルスへの政府対応の評価が関わっているようです。とはいえ、グラフからは政府対応の評価が大きく回復していることが読み取れるものの、内閣支持率の持ち直しは小幅となっています。 新規感染者数がある程度減少してきたことを反映してか、直近のJNNの世論調査では東京オリンピックを「予定通り開催すべきだ」が14ポイント増となりました。 ⭐政党支持率 次に政党支持率です。全政党を表示したものを一枚目に、10%未満を拡大したものを二枚目に示しました。 自民党は内閣支持率と連動
今度の衆議院選挙では、新型コロナウイルスをめぐり、医療や経済が争点にのぼるでしょう。しかしそれだけではありません。首相の虚偽答弁や公文書の改竄が発覚してから初めての衆院選にもあたるのです。政府統計の不正が露見してから初めての衆院選でもあります。ですからそれは過去の選挙に輪をかけて重要となるもので、これまで損なわれてきた社会のあり方や、倫理、道理といったものを前にして、私たちに何ができるのかが問われることになるはずです。また、そうしたことをきちんと問えなければ、与野党の勝敗のいかんにかかわらず、今度の選挙は敗北と言わざるを得なくなるのでしょう。 新型コロナはこの一年を通して次の二点を浮き彫りにしてきました。それはすなわち、政府の問題解決能力のなさと、国民軽視の姿勢にほかなりません。 もともと私たちの社会には、感染症ばかりでなく様々な問題が生起します。それは地震や台風などの短期的なものから、少
一部の自民党の議員らが「日本を侮辱する目的で日の丸を損壊・除去・汚損した場合、2年以下の懲役または20万円以下の罰金を科す」とする刑法改正案の提出にむけて動いていることが報じられています。 改正案の提出要請にあたって、高市早苗氏は、外国の国旗の損壊に刑罰を科しているのにもかかわらず、日本の国旗の損壊に罰則がないのはおかしいという趣旨の説明を行いました。 この外国の国旗の損壊に対する刑罰は、刑法第92条に「外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」と定められています。しかしこれには第2項があり、「前項の罪は、外国政府の請求がなければ公訴を提起することができない」とされています。つまりこれは全くの外交問題として理解されるものです。 対して自国の国旗は国内の統治に関する問題であり、これを外交の問題と同
中学時代のあるクラスメイトのアイコンがドナルド・トランプになっているのを見た。たいして遊んだわけでもない、喧嘩をしたわけでもない、少し勉強を教えたり教えられたりしたような友達がトランプ支持になった。全く分からないわけではないように感じられた。あの映画的な迫力を持つ政治家に惹かれていく同世代の気持ちは。太平洋の対岸にいる政治家を応援する人があれだけ現れたこと自体、現代の日本の停滞や鬱屈とした雰囲気を象徴する出来事なのではないだろうか。 日本に現れたトランプ支持者たちは、トランプが自分の生活のために何かをしてくれたという実感を持っていない。だから支持といっても中身がないまま一方的に幻想をつくりあげているわけで、そうした心理には危うさがついてまわる。 けれど、そうしたことは決してトランプ支持者に限られたことではなく、多かれ少なかれ政治に関わるときに誰もが陥りがちな罠なのではないだろうか。 「政治
「ゆづり葉」 河井醉茗 子供たちよ。 これは譲り葉の木です。 この譲り葉は 新しい葉が出来ると 入れ代つてふるい葉が落ちてしまふのです。 こんなに厚い葉 こんなに大きい葉でも 新しい葉が出来ると無造作に落ちる 新しい葉にいのちを譲つて――。 子供たちよ。 お前たちは何を欲しがらないでも 凡てのものがお前たちに譲られるのです。 太陽の廻るかぎり 譲られるものは絶えません。 輝ける大都会も そつくりお前たちが譲り受けるのです。 読みきれないほどの書物も みんなお前たちの手に受取るのです。 幸福なる子供たちよ お前たちの手はまだ小さいけれど――。 世のお父さん、お母さんたちは 何一つ持つてゆかない。 みんなお前たちに譲つてゆくために いのちあるもの、よいもの、美しいものを 一生懸命に造つてゐます。 今、お前たちは気が附かないけれど ひとりでにいのちは延びる。 鳥のやうにうたひ、花のやうに笑つてゐ
これまでの政府の新型コロナウイルス対策は、とても合理的とは言えないようなものばかりでした。 Go Toキャンペーンは、もともと閣議決定された緊急経済対策に「感染症の拡大が収束し、国民の不安が払拭された後」に行うと書かれていたものです(出典)。しかしそれは前倒しで始められ、11月に状況が悪化すると、今後の感染者数は「神のみぞ知る」という発言を大臣がしました。将来の見通しのなさを吐露する一方で、かたくなにGo Toを継続するという方針がとられている――そこには一体どのような合理性があるのでしょう。 今はすでに一部の都道府県で独自の非常事態宣言が出されており、「自粛が要請」されています。自発的に行うものであるはずの自粛が政治家によって要請されるというのも、まるで政治の責任の放棄を象徴するような日本語です。「Go To」と言いながら、他方では「自粛」と言う。矛盾する方針で翻弄され、自己責任論をおし
日本学術会議が推薦した会員候補のうち6人が、理由等の説明のないまま菅義偉首相によって任命を拒否された。この人事介入問題には、わずか一週間で100を超える学会から単独ないし共同の声明が上がり、世界的な科学誌であるネイチャーやサイエンスまでが「学術的な自治」「学問の自由」といった観点から批判的に言及するに至っている。 しかしながら、自民党は「日本学術会議のあり方を議論する」として党のプロジェクトチームを立ち上げる方向に動いており、今回の人事介入を学術会議の側の問題に転嫁しようとしている。 確かに組織である以上、学術会議の側にも問題はあるのだろう。けれどそのことと人事介入そのものに関する問題は区別されるべきだ。なぜなら今回の人事介入は「①法律や手続きを踏みにじるプロセス」によって「②個人が標的」にされ、その結果として「③学問および言論の自由が脅かされている」という問題であり、いくら学術会議の体質
日本学術会議の新会員として推薦された学者のうち、一部が菅義偉首相によって任命を拒否されたことが問題になっています。日本学術会議は政府への政策提言などの役割を担う独立した機関であり、かつてこのような任命拒否が行われたことはありませんでした。 加藤官房長官は10月1日の会見で「総理の所轄であり、会員の人事等を通じて一定の監督権を行使するということは法律上可能」であるとしていますが、これは「任命は形式的行為である」として恣意的な運用を否定してきた過去の政府答弁と真っ向から食い違うものです。 菅首相はなぜ6人の任命を拒否したのでしょうか。この6人は、安保法や共謀罪、秘密保護法に反対した学者であると東京新聞などで報じられています。しかしながら新会員の候補者105人のうちたかだか6人の任命を拒否することそのものに、政権にとってどれほどのメリットがあるかは疑問です。むしろこれは菅政権が始まって半月ほどで
47回衆院選(2014年)と48回衆院選(2017年)をもとに、野党共闘のシミュレーションを行いました。その結果、いずれの場合でも、逆転が起こる選挙区は東日本に集中していることがわかりました。 その逆転の模様をアニメーションで示します。 特に関東地方では多くの選挙区が覆る結果でした。 また、当選者と落選者の得票率が10ポイント以内の選挙区を「接戦選挙区」として集計したところ、これも野党共闘モデルでは東日本で多い結果となりました。 ⭐想定した野党共闘モデル ここで想定した野党共闘モデルの説明を行います。やや細かい話も含むので、いったん飛ばしていただいても大丈夫です。 まず、47回衆院選については下のような枠組みを想定しました。 与党の勢力は3つに分けました。与党側①は自民・公明の公認候補で、選挙協力があります。これに対して、無所属で立候補している与党系の候補を与党側②とし、さらに次世代の党の
「日本の加害」と言う場合、多くは日本がアジア・太平洋地域に対して行った侵略を指しています。それを具体的に行ったのはかつての日本軍にほかなりませんでした。そのことはまず、きちんと受け止められる必要があるでしょう。 しかし他方で一人一人の日本兵は、元をたどればただの市井の人々だったのです。徴兵によって故郷の家族から遠く引き離され、飢餓や熱病で倒れ伏したり、捕虜を銃剣で突き殺せと命令された彼らもまた、そうしたことを国から強制された被害者という側面をもっています。 この点において日本という国は、日本人に対してもまた、加害をなしてきたわけです。 国と、その国で生活している人々は同じではありません。また、国を守るということと、国民を守るということも同じではありません。むしろ「国を守る」という言葉の意味するところが、「国民を犠牲にしてでさえ国を守る」というものであることを沖縄の戦いは雄弁に語ります。 8
⭐新型コロナへの政府対応 今週は読売新聞とNHKの世論調査が発表されました。いずれの調査でも、新型コロナへの政府対応の評価が急落しています。 新型コロナウイルスへの政府対応の評価(8月7~9日実施・読売) 評価する 27%(18ポイント減) 評価しない66%(18ポイント増) 新型コロナウイルスへの政府対応の評価(8月8~10日実施・NHK) 評価する 38%(12ポイント減) 評価しない 58%(13ポイント増) ※「評価する」は「大いに評価する」と「ある程度評価する」の合計、「評価しない」は「あまり評価しない」と「まったく評価しない」の合計。 各社の世論調査に固有の偏りを補正し、平均をした結果は次のようになりました。7月以降、世論に激変が起きていることがうかがえます。 ⭐臨時国会 臨時国会の召集については今回の読売とNHKも聞いており、いずれの調査でも「速やかに開くべき」が7割をこえ
石破氏としては野党を食いちぎることの一環でもあり、場合によってはこうしたことも争点として改憲することを考えているのだと思われます。彼の発言に様々な打算があることは、注意してみていれば気付くでしょう。この発言をめぐる議論の中で、おそらく石破氏の計算通りに、複数の野党の政治家が投票の義務化に追随していました。 議論の余地はありますが、石破先生のおっしゃるとおり投票義務化に賛成です。罰則規制とかになるときな臭くなるので、投票に行くとポイントがたまる様なポジティブなアプローチでルール作りをするといいのではないでしょうか。 https://t.co/2MKybpRiYx — 須藤元気 (@genki_sudo) July 27, 2020 この須藤元気氏の発言は無邪気でほほえましいものですが、「自らの意思で3回連続投票に行かなかった人は選挙権を返上してもらう」という国民民主党の源馬謙太郎氏の提案はと
難病の女性患者が殺害された事件をめぐって、7月23日に2人の医師が逮捕されました。この事件を受けて、一部の政治家が、安楽死や尊厳死の議論を呼びかけはじめたことについて、コメントを出します。 まず第一に書いておかなければならないことは、逮捕された医師は「優生思想的な主張を繰り返し、安楽死法制化にたびたび言及していた」と報じられているのであり(7月23日京都新聞)、これに従えば優生思想を持つ人間が嘱託殺人の疑いで逮捕されたということで、こういった事件をもとに政治家が安楽死や尊厳死の議論を持ち出すのはどういう神経をしているのかということです。どういう人権意識を持ち、どういう社会観を持っているのかということです。 そして第二に、政治家は、安楽死や尊厳死の持つ公的な性格に自覚的であるべきということです。 安楽死や尊厳死というのは、一見して自己決定権に関する個人の問題であるようです。しかし、それらがも
⭐圧勝した小池氏は、票の分布が前回と真逆に 7月5日に行われた東京都知事選挙は、現職の小池百合子氏の圧勝に終わりました。今回の小池氏の得票率の分布を見ると(下図1)、黄色となっている渋谷区で最も低く、そこから離れるにつれて同心円状に高くなっていることが読み取れます。 図1. 小池百合子 得票率(2020年) しかし、2016年に行われた前回の都知事選で、小池氏にこのような傾向は見られませんでした(下図2)。これでは、むしろ都心に近い方で高くなっています。 図2. 小池百合子 得票率(2016年) 小池氏の地盤(支持が厚い地域)は、なぜこのように変化したのでしょうか。ここではその理由を地域分析から解き明かすとともに、小池氏圧勝の構図について考えていきます。 ⭐自民不在の都知事選だった今回 2020年都知事選の有力候補は、小池百合子氏、宇都宮健児氏、山本太郎氏、小野泰輔氏の4人でした。名前の横
東京都知事選挙の各候補者の得票率分布を公開します。ブログ、note、Twitterなどに自由に転載して構いません。利用する際の連絡は必要ありません。 まず各候補の都内全体での得票率を見てみましょう。 上の図をおおまかに見ると、小池氏が59.70%の票を得て圧倒しており、宇都宮氏、山本氏、小野氏の3候補が10%前後で続きます。 ここまでの4人を有力候補と考えると、それ以外では2.92%の桜井氏、0.72%の立花氏が比較的多い票を得ていることがわかります。こうした都内全体での票の配分を念頭に置いて、得票率の地域分布を見ていきます。 ⭐小池氏の地域分布 小池氏は渋谷区を中心として、得票率が同心円状に分布しています。島嶼部でも全体的に高い傾向です。 ⭐同一基準による小池氏と他の候補の比較 次に、塗分けの基準を変更して、小池氏と宇都宮氏、山本氏、小野氏、桜井氏を見ていきます。(得票率の大きく異なる各
産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が合同で実施している世論調査について、業務委託先で架空の結果の入力をする不正が行われたことが明らかになっています。 これは重大な問題で、世論調査そのものが信用ならないといった声が各所から上がりました。そこで、今回の件に対する考えを書きます。 ⭐意図的な不正とは考えにくい まず世論調査の不正と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、特定の支持率を過剰に高く、あるいは低く発表するということであるはずです。 特に産経は政権に親和的な立場の新聞であることが知られていますから、内閣支持率を意図的に高く発表していたのではないかという疑問が浮かぶのは当然です。 しかし、産経・FNNの世論調査が内閣支持率を高めに出してきたという事実はありません。下のグラフには、各社世論調査の内閣支持率と不支持率について、発表されたそのままの結果を表示したものです。太線で示した産経・F
⭐世論が止めた強行採決 検察庁法の改正案について、与党は強引に採決する構えでいましたが、直近の3社の世論調査から、反対の世論があまりに強いことが明らかになりました。 この3つは独立した調査ですが、いずれも賛成が非常に少数で、反対が圧倒的ということが整合しています。 さらに朝日は検察庁法改正案の成立を急ぐべきかも聞いていて、「急ぐべきではない」が圧倒する結果でした。 安倍政権下ではたびたび強行採決が行われてきましたが、これほど賛否が離れている中で強行したという例はありません。これらの世論調査の結果は強いインパクトになったようで、直後に今国会での成立を見送る方針が報道されています。 「政府は、検察官の定年を引き上げる検察庁法改正案の今国会成立を見送る方向で調整に入った。政府高官が18日明らかにした。検察の独立を脅かす恐れがあるとして同改正案に反対する世論が高まる中、採決を強行して批判を招くのは
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今、改憲や護憲をめぐる世論はどうなっているのでしょうか? 5月3日の憲法記念日に前後して、各社の世論調査が発表されています。 しかし「支持する」「支持しない」を選ぶ内閣支持率の調査とは違い、憲法の調査は各社で選択肢がばらばらです。例えば朝日の選択肢は「変える必要がある」「変える必要はない」、日経は「改正すべきだ」「現在のままでよい」、産経は「賛成」「反対」というような具合です。 このため、各社の示す改憲派と護憲派の数字は異なったものになってきます。そうした中で、「護憲派が伸びた」「改憲派が伸びた」など、食い違う多くあやふやな議論がされている現状があります。 それでは、本当のところ「改憲派」と「護憲派」はどのような推移をしてきたのでしょうか? ここでは各社の調査について、偏りを補正して平均する方法で実態を描きました。 上の図では、憲法について「変える必要がある」「改正すべきだ」などと回答した
⭐感染への危機感は極めて高い 新型コロナウイルスについて「危機感が足りない」「人出が十分に減っていない」ということが言われますが、果たして日本の危機感は低い水準にあるのでしょうか? 人出が減らないとしたらその理由はどこにあるのでしょうか? イギリスのYou Govが各国で実施している世論調査で、日本では新型コロナウイルスへの危機感が極めて高い水準にあることが明らかになっています。 「新型コロナウイルスへの感染を恐れるか」という質問に「非常に」または「いくぶん」と回答した割合(2つの選択肢の合計)を上の図に示しました。 日本(青色太線)は3月中から60%台と高かったのですが、緊急事態宣言に前後して80%台まで伸びています。より多くの感染者や死者が判明している欧米各国と比べても、圧倒的に高いのです。 ⭐マスク着用率も高い 「公共の場所でマスクを着用するか」との質問では、直近では8割をこえていま
⭐安倍首相の支持率が31%?「モーニング・コンサルトの世論調査で安倍首相の支持率が31%になっている」という問い合わせがだいぶ来ていました。 この調査は4月21日に実施されたもので、安倍首相の支持率が確かに31%となっています。政治家や評論家など、多くの人がこれに関心を寄せているようです。 日本、モーニングコンサルティングの世論調査 安倍首相(自民党)支持率 支持: 31% (-3) 不支持: 60% (+7) (+/-は、2020.1.7との比較) 調査日 2020.4.21 調査数 3,129 https://t.co/afjTaKqQXi — 白井のりくに(司法書士/酒々井町議会議員・立憲民主党) (@shirai_norikuni) April 26, 2020 アメリカ、モーニングコンサルト社による世論調査です。 安倍首相(自民党)支持率 支 持:31% (-3) 不支持:60%
⭐それは自民の支持率の下落とともに起きた 立憲民主党の支持率の下落には、単なる一つの政党の事情をこえた問題があります。それというのも、同時期に内閣支持率と自民党の支持率が下落し、新型コロナウイルスへの政府対応を多数の国民が支持していないことが世論調査から明らかであるからです。 政府の対応がまずいのであれば、ドイツのメルケルやイギリスのジョンソン、ニューヨークのクオモらを横目で見て、国民は「自民に変わる党はないか」「より真っ当な政府が欲しい」と思うでしょう。しかし野党はその思いにこたえて支持率を伸ばすことができなかったのです。 一人一人の考えには違いがあり、世論はそうした人々の総体を扱うわけですから、どのような変化であれ単一の理由を挙げ、「このせいでそうなったんだ」と語るのは乱暴であり間違ったことです。 そういったことを承知の上で、ここでは直近の支持率の動き――特に立憲民主党と自民党の支持率
新型コロナウイルス感染症を前にした、外国とは異なる日本固有の世論の動きが少しずつ見えるようになっています。 ⭐外国の世論 現在、新型コロナウイルス感染症が深刻な各国では、与党や政権の支持率は急上昇を見せています。 🔸ドイツ(アンゲラ・メルケル首相)【出典】 ドイツでは、メルケル首相の支持率(緑)が伸び、80%に達しました。また、ここには掲示しませんが、メルケル氏が党首を務める与党のCDU/CSUの勢いも増しており、感染症への対応が国民に支持されていることが明らかとなっています。 🔸イギリス(ボリス・ジョンソン首相)【出典】 自身も感染し、闘病の末に退院したボリス・ジョンソン氏の支持率(水色)は、コロナ前と比べて15ポイント伸びています。 🔸イタリア(ジュゼッペ・コンテ首相)【出典】 イタリアの感染症の拡大は深刻です。しかし、そのなかでコンテ首相の支持率は27ポイント伸びています。
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