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今回は大した話ではありませんが、世論調査の解釈について少し書いてみることにします。 JNNの支持率増加は変なのか? 今月の4~5日に実施されたJNNの世論調査で、内閣支持率が7.0ポイント上昇したという結果が得られました。このことは「明確な理由が見つからない予期せぬ支持率のアップに、与党内からも困惑の声があがっています」(TBS)などと報じられています。 しかし一見して不可解であったとしても、世論調査は科学なのですから、出てきた結果は受け止める必要があります。 この支持率の上昇はどのように説明されるのでしょうか。まず、JNNだけでなく最近の様々な世論調査について、内閣支持率と不支持率、およびそれぞれの増減を見てみましょう。 次の表は下ほど新しい調査となっています。内閣支持率と不支持率の増減の欄に表示したのは、同じ系列の調査の前回との差であることに留意してください。たとえばJNNの5月4~5
「世論の動向」や各種SNSなどで比例投票先の平均を公開してきましたが、今までは扱えた期間が直近の1年ほどにとどまっており、前回衆院選の時点が含まれていませんでした。そこで今回、期間を5年あまりに拡張する作業を行いました。その結果を示します。 自民党 まずは自民党を例にして説明をしましょう。 図1. 自民党の比例投票先 各社の世論調査は方法などの違いによって、特定の政党について高めの数字が出やすかったり、低めの数字が出やすかったりする固有の傾向をもっています。ここではそうした傾向を打ち消すように補正したうえで平均を求めました。一つ一つの世論調査を補正した結果は以下のリストの点のとおりで、平均は曲線で示しました。 平均の曲線が途切れている箇所があることに注目してください。比例投票先の質問は選挙が近い雰囲気にならないと調査項目に挙がらないことが多いので、欠落する期間があるのです。実際に先に掲げた
第50回衆院選で擁立が見込まれる候補者を、誰もが見られるように一覧にまとめます。これは暫定的なものであり、あくまで候補者は衆議院解散が行われた後、公示日になって確定します。 ここに掲載していなくても、出馬意向を表明していて調整中のケースが存在します。そうしたものは状況が固まりしだい掲載する予定です。 このページは、公示日以降に各社の選挙報道をまとめる「情勢報道集約」を迅速に行うための準備としてのものなので、現時点で掲載している情報は最小限となっています。状況を一望するのに利用してください。 現時点では名前順に特に意味はなく、ただ所属する政党が前回の衆院選で獲得した議席が多い順としています。これは、公示後は優勢な順に並べ替えられます。 訂正を要する場合は、プロフィールページにメールアドレスを掲載しているので、ご連絡ください。ツイッター、フェイスブックなどでも連絡をとることが可能です。 直近の
のべ6億の投票 最高裁の裁判官は司法のトップの人たちです。けれど信用を失えば「さらに偉い人」の手によって辞めさせられることになっています。その手を担うのが有権者――。国民審査はそうした意図をもつ制度であるといえるでしょう。 国民審査が実施されるのは衆院選と同じ日です。投票する際は辞めさせた方がよい裁判官の氏名の上に「×」を書き、続投してよい裁判官には何も書かないままとします。開票の結果、「×」が書かれた票が有効票の過半数に達した裁判官は、所定の期間を経た後にその地位を失います。「×」が書かれた票は正しくは「罷免を可とする票」と呼ばれますが、この記事では簡潔に「罷免票」としました。 第25回国民審査(2021年)で用いられた投票用紙の見本を図1に示します。最高裁の裁判官15人のうち、この回は第24回国民審査(2017年)以降に任命された11人が対象となり、のべ6億2898万8848票の有効票
内閣支持率や自民党の支持率が下落して、第二次安倍内閣の発足(自民党への政権交代が起きた2012年)以降でもとりわけ低い水準にあることが世論調査から明らかになっています。その一方で、「野党の支持率も伸びていない」という主張もしばしば耳にします。そうした主張は妥当なのでしょうか。3月14日までに発表された各社の世論調査をもとにして、与野党の平均の推移を描きました。 与野党の支持率 現在、与党を合計した支持率は28.1%、野党を合計した支持率は24.8%となっています。また、支持政党を持たない無党派層が43.4%を占めています。 図1.無党派層の割合と与野党の支持率の平均 与党の支持率は、第26回参院選(2022年)後に、旧統一協会との関係や、裏金問題の露見によって下落してきました。他方で野党の支持率はゆるやかに伸びてはいるものの、その大きさは与党の下げ幅と比べれば小さく、与党の支持をやめた人の
民主党政権が誕生した第45回衆院選(2009年)は、現行の小選挙区比例代表並立制のもとで最も投票率が高かった選挙でした。しかし自民党が政権を奪還した第46回衆院選(2012年)の投票率は一転して下落し、現在に至る長い低迷がおきています。 図1には第45回衆院選(2009年)について、図2には最新の第49回衆院選(2021年)について、各市区町村の投票率を地図として示しました。なお、投票率には比例代表におけるものを用いましたが、小選挙区と比例代表は同時に投票が行われるため、どちらを用いてもほとんど変わりません。 図1. 第45回衆院選(2009年)比例代表の投票率 図2. 第49回衆院選(2021年)比例代表の投票率 この間に選挙に行かなくなった人たちは、どこにどれだけ存在するのでしょうか。図1と図2の差をとれば、かつて投票に行ったものの、今は棄権している人たちの地域分布を知ることができるで
世論調査でわかる支持率とは、実のところ、人々の漠然とした気分が作り出すさざ波に過ぎないのかもしれません。そのさざ波に特別な意味があるならば、それはやがて来る選挙で既存の議員を落選させて、解雇する力を秘めている点においてでしょう。既存の議員は先の選挙で議席を勝ち得た人たちです。ですから今の支持率を読むときに先の選挙との落差を見ることは、単なる「高い」「低い」という印象をこえた実力評価となるわけです。 次の図を見て下さい。この図の曲線は、原則として過去11年あまりで実施された全ての世論調査をもとにして描いた、現状入手しうる最も精密な内閣支持率のトレンドです。図には「前回衆院選水準」として、第49回衆院選(2021年)の投票日当日のラインを示しました。現在の水準は当時より28.3ポイント低くなっています。(なお「ポイント」とは、%で表された値の差を表す単位です。たとえば2%から5%になった場合は
過疎化する自民 自民党は都市と地方のどちらの方で強いのか。その問いへの答えとしては、ただちに以下の図を示すことができます。これは第26回参院選(2022年)の比例代表における自民党の絶対得票率――つまり自民党に投票した人が有権者全体に占める割合を、4つの階級で表したものです。その割合は赤に近づくほど大きくなっています。 図1. 第26回参院選(2022年)比例代表・自民党絶対得票率 さらに次の図を見てください。これは第26回参院選(2022年)が行われた年における過疎の地域を表示したものです。 図2. 過疎区分(一般社団法人全国過疎地域連盟による令和4年4月1日時点の区分) 過疎は自治体の人口や財政力の要件によって評価され、部分過疎、みなし過疎、全部過疎の順に、後のものほど深刻であるとされています。つまり図2では、赤の地域ほど厳しい状況にあるわけです。 図1と図2がこれほど似たものとなるこ
こんにちは。三春です。今回は何か結果が出たというような記事ではないのですが、これからどんなふうにやっていくのかということを簡単にお知らせします。 相変わらず一人でやっていきます 活動は相変わらず一人で続けていくつもりです。ぼくは「未来社会プロジェクト代表」を名乗っているけれど、これはちゃんとした肩書きではなく、たった一人のプロジェクトをやって代表と言っているだけなんです。 ぼくの父親はコンピュータの技術者で、電話の打ち合わせで「何々のプロジェクトが……」というような話をするのを子供の頃よく耳にしていました。そうしてぼくも何か自分のプロジェクトを持ちたいと思い、幼稚園や学校の友達と、プロジェクトを名乗っていろいろなことをやりました。遊びのプロジェクトもあれば、文化祭のプロジェクトや、自分の受験や研究のプロジェクトもありました。一人で何かに取り組む時も、一人で代表に就いてそのプロジェクトのため
自己紹介 三春充希(みはる・みつき)です。発信をはじめた当初は「はる」としていましたが、2019年に本を書いた時、ついでに名前も出すことにしました。 もともとは理科系の出身で、大学では化学や物理を学び、大学院では宇宙や天体を研究してきました。東日本大震災や政権交代などがおきた2010年代前半の社会状況のなかで、政治と関わる必要性を感じ、科学研究の経験を活かして世論や選挙をデータにもとづいて考える試みを始めました。現在もそれを「未来社会プロジェクト」として続けています。 有権者に向けて広く情報を発信することをやっている以上、政党・政治家・政治関係者などから仕事を受けたりお金を受け取ったりするといった利害関係を持つことはできません。けれどもそれは、ぼく個人の政治的立場が中立だとか、不偏不党だとかいうことは意味しません。 ぼく個人としては、あらゆる戦争や差別を否定し、基本的人権を守る。歴史修正主
先に公開した次期衆院選比例代表のシミュレーションでは、わずかな得票数の差が結果を大きく左右する議席帯とそうでない議席帯の存在を明らかにしたうえで、それが比例ブロックに由来する歪みであるといった議論を行ってきました。けれども比較対象とするべき参院選の全国比例の検討をしていません。 そこで今回は参院選に関して同等のシミュレーションを行い、その議席帯の分布を明らかにしていきます。ドント式など基本的な計算は衆院選と共通するものが多いので、必要に応じて下の記事を参照してください。 参院選の比例代表は全国が一つの区とされているため、全国で合計した票のみを考えるだけでよく、地域分布は検討に入れる必要がありません。その意味で政党の個性は埋没します。 それでは衆院選のシミュレーションのように個々の政党をそれぞれ計算する必要はないのでしょうか。実はそうでもなく、各政党の結果は全く同じものとはなり得ません。なぜ
日本の国政選挙では、衆院の37.8%と参院の40.3%の議席が比例代表で決められます。割合としては半分に及ばないものの、中小規模の政党は議席を比例代表に依存する割合が大きく、その見積もりは重要です。 そこで今回は、各政党の地域的な勢力バランスを反映したうえで投票率と得票数が様々に変化した場合を想定し、次期衆院選の比例代表を念頭においた大規模なシミュレーションを行いました。 その結果、獲得が見込まれる各政党の議席数を、投票率と得票数でつくられる平面上の「議席帯」として捉えることが可能となり、わずかな得票数の違いが大きく議席に影響する帯域と、票が増えてもほとんど議席が変わらない帯域が存在することが明らかになりました。 別の言い方をするのなら、これは現行の衆院の比例代表制がいかに「比例」的でない歪みをおびているのかということを端的に描写したものです。 シミュレーションの概要 記事の構成上、まずは
公明党の票が減少傾向にあることは過去に幾度か取り上げてきましたが、はじめにもういちど確認しておきます。参院選の選挙区と比例代表のそれぞれについて全国で集計した得票数を図1に示しました。 図1. 公明党 得票数の推移(参院選・全国集計) 党勢をより良く反映するのは、赤色で示した比例代表の側です。選挙区の票は候補者の擁立状況によりますが、公明党は現在、全ての一人区と二人区で独自の候補の擁立を控えて自民党に協力しているため、全国の票を集計しても不完全な結果しか得られません。対して比例代表は全国が一区とされており、各党が日本の隅々まで票を拡大しようとするので党勢のバロメータとみなすことができます。 昨年の参院選では、公明党はその比例票を618万票まで減らしました。これは2000年以降ではじめての水準にあたります。 「票重心」の東進 公明党の票の減り方には、何か独特の傾向はみられるのでしょうか。それ
神道政治連盟に関しては、これまで自民党の支持基盤の一つとしてしばしば論じられてきたものの、その集票力を具体的に描き出した例がありませんでした。今回はそれを実現したので結果を示します。 神道政治連盟 推定15万7051票の分布図1. 神道政治連盟 絶対得票率(過去4回の参院選から推定) これは、神道政治連盟が推薦した候補の票をもとにして行った推定で、それぞれの候補がもつ固有の支持層の影響を排除して、純粋な組織票を捕捉したものです。全国の票数は、15万7051票と推定されました。 以下では推薦候補の票の分布を個別に示し、推定の方法や解釈を書きました。あまりメジャーな話ではないので、内部で掲載することにします。関心のある方はご覧ください。
ここでは、登録していただいた方にむけてWeb上で閲覧できる記事を配信していきます。図表つきのメールマガジンのようなものをイメージしてもらえればと思います。名前は「みちしるべ」に決めました。 主な内容は、政治に関するデータの分析と、それを用いた議論の展開です。そしてもう一つ、データを用いるのとはまた別のやり方で、今の社会に対する問題意識を形にすることができたらと考えています。 加わってくださった読者には、はっきりと成果を示していくつもりです。他方で、公開の記事や発言のみを見て下さっている読者のことも絶対に忘れません。そのような姿勢で、当面はできる限りやっていきたいと思います。
前々回にあたる第25回参院選(2019年)のできごとなのですが、共産党のある候補者の得票数がゼロと集計された自治体がありました。このことは投票した当事者によって、自身の票が計上されていない問題があると指摘され、自治体との訴訟になりました。この裁判は高裁まで進み、今年1月に原告らの訴えが棄却されています。 裁判の反響は大きかったようで、この問題をデータの面から検証してほしいとの要望を、今年になってからしばしば受けました。今回はそれに可能な範囲でこたえつつ、選挙のデータを見るための、得票率とは異なる新しい指標を提示します。また、その指標を用いて第26回参院選(2022年)比例代表の全ての候補者を見ていくことにします。 ゼロ票ということはありえるのか 問題となった自治体は大阪府の堺市美原区で、ゼロ票とされた候補者は共産党から立候補した山下よしき氏です。投票したと言う人がいるのにもかかわらず票が計
第26回参院選(2022年)の選挙区で最多の候補を擁立した政党――そのように聞くと、少なからぬ方が自民党を思い浮かべるのではないでしょうか。けれどもそれはNHK党です。 NHK党は2013年に設立された「NHK受信料不払い党」にルーツを持ち、6年間で首都圏を主とする市議会や区議会に拡大した後、第25回参院選(2019年)で国政に乗り出します。そうして成功をおさめたのは、れいわ新選組の事例とともに、それまで政党要件がなかった政治団体が現行の全国比例で当選者を出した初のできごととなりました。 しかしガーシー氏の議員資格剥奪や党内の混乱などを経て当初の勢いは失われ、この党に対する世間の関心も今は高いとはいいがたくなっています。そこで今回は、どのような角度から踏み込めば幅広い読み手の期待に応えられるのかということに悩みました。不完全な部分もありますが、社会の一角のありかたを少しでもとらえようと試み
今月はまだみちしるべに成果をのせられていないので、つなぎとして一つ記事を書くことにしました。ですから今回は主に内部での公開とさせてください。NHK党の分析にはもう少し時間をかけて、今月中に出すようにしたいと思います。 最近は、百田尚樹氏らが結党を計画している日本保守党について質問を受けることが増えています。そこで今回は、まだ結党もしていない段階ではあるものの、これまでに存在した保守政党や極右政党のデータを参考にしながら、この政治団体に検討を加えることにします。 これまでぼくは、いくつかの記事のなかで「政党のデスゾーン」という仮説を提示してきました。 政党のデスゾーン 自民党には、その引力によって他の政党を粉砕してしまう領域があり、スタンスを寄せた政党は生き残れなくなるという仮説。かつて次世代の党、日本のこころを大切にする党、保守党、保守新党などが臨んだ全ての国政選挙で惨敗したことによる。
参政党は極右政党の一つとして挙げられることが少なくありません。確かに掲げる政策や、演説で述べられる歴史認識などからはそうした面がうかがえます。代表の松田学氏も、かつては次世代の党に所属していた政治家です。しかし他方で、参政党の支持者は独特なメンタリティをもっており、その点を察知しなければ今の社会の一角を見誤ってしまうと思われます。 文字通りの極右というならば、核武装や排外主義を真っ向から掲げる日本第一党や新党くにもりを挙げることができるでしょう。しかしこれらはほとんど有権者からの支持を受けておらず、第26回参院選(2022年)でも当選ラインには全くおよばない結果に終わりました。それらの合計と比べても、参政党の集めた票は桁ひとつほど違うのです。それどころか参政党の得票数は、かつての国政政党である次世代の党や日本のこころ、保守党や保守新党が臨んだすべての選挙を超えています。それがなにゆえなのか
「いま選挙があったら各政党はどれほどの票を得るのか」を推定できるようになったので、結果を簡単にまとめます。ここでいう「票」とは、衆院選や参院選の際に全国で得る比例票をさしています。 まずは最近の世論調査を簡単に振り返ってみましょう。なお、以下のグラフは全て2023年7月30日時点の情報を反映し、更新を行っています。 最近の世論調査 はじめに内閣支持率と不支持率です。 図1. 内閣支持率と不支持率の平均 各社の世論調査は、調査の手法や質問のかけ方によって、高めの数字が出やすかったり低めの数字が出やすかったりする固有の偏りをもっています。そこで、図1ではそうした偏りを打ち消す補正を行ったうえで1日ごとの平均をとりました。〇、△、◇などの一つ一つの点が世論調査を補正した結果で、赤と青の曲線が平均です。 現在、岸田内閣の支持率は平均31.6%まで低下し、倒閣危険水域が迫りつつあります。もっとも、内
国民民主党は、代表の顔は同じでも、2020年の再編の前後で異なる性格を持つ政党です。今回は前半でその不連続性を分析し、後半では一つ一つの選挙を振り返りつつ、独特の原発地盤や民社党時代からの連続性に踏み込みます。それとともに記事の各所で取り上げたのは、次期衆院選に臨む際の立憲民主党の姿勢についてでした。議論の一助としていただければ幸いです。 「旧」と「新」で異なる国民 立憲民主党と国民民主党は、いずれもかつての民進党をルーツにもった政党です。大まかな流れを以下にまとめました。 図1.民進党以降の各政党の変遷 この図1は、各政党の変遷とあわせて、国会議員の流れを矢印として表したものです。無所属議員の出入りや選挙の当落を反映すればさらに詳細になりますが、ここでは概観が目的なので主な動きにポイントを絞りました。 1996年から20年間にわたってあり続けた民主党は、2016年に民進党と名を変えた後、
記事の掲載は7月8日ですが、最新のデータを反映して、23日に全てのグラフの差し替えをしました。 今まで各社の世論調査をもとに「内閣支持率・不支持率」と「政党支持率」の平均のグラフを掲載してきましたが、これから当面の間は「比例投票先」もあわせた5枚の更新をおこないます。次の衆院選をみこした比例投票先の掲載は今回が初なので、あわせて簡単な解説をしていきます。 ここに掲載するグラフは、いずれも左端が前回衆院選(第49回衆院選)の投票日(2021年10月31日)に設定されています。ですから次の衆院選を考える上では、直近の支持率の増減だけでなく、左端と比べて高いか低いかも重要です。その点にも注目してご覧ください。 内閣支持率・不支持率 まずは内閣支持率と不支持率を見てみましょう。次の図1の太い曲線は、NHK、朝日新聞、読売新聞、共同通信などの各社が実施した世論調査をもとにして計算した、内閣支持率(赤
社民党は、社会党時代からの長い歴史をもつ政党です。今回は前半で、党が分裂するなかで票が増えた現状を分析し、後半では33年分の票の推移を検討するとともに、2倍の支持率の差をはねのけて自民党に圧勝した土井ブームのダイナミズムに迫ります。 党は割れ、票は増えた 2020年の12月に党が分裂し、所属する国会議員の半分が立憲民主党に移籍してしまった社民党にとって、第26回参院選(2022年)は正念場だったといえるでしょう。地方組織や職員を失ったこと、労組の支持が離れたことなどが重なって、社民党の地盤では大幅な票の減少がみられました。 従来の地盤が大きく沈下したことを、下の表1に見ることができます。これは、第25回参院選(2019年)の絶対得票率(%)が高かった50の市区町村について、第26回参院選(2022年)の絶対得票率(%)と増減(ポイント)を集計したものです。増減は北海道 占冠しむかっぷ村を除
全ての選挙結果、全ての世論調査、全ての情勢報道をおさえることから政治の議論を始めようとしたのが2016年の末頃で、そこからデータの構築を始めて6年半がたちます。直近で何かが大きく進んだというわけでもないのですが、裏で進めていたことが一つ完了し、比例代表の導入以降で歴史的な勝利をおさめたのべ5つの勢力について、当時の票の分布を細かく地図上に描き出せるようになりました。「のべ」としたのは、自民党と民主党が複数回登場するからです。 なかには1980年代の選挙も含まれていて、有権者数に大きな差があるため、順位は得票数ではなく、全国で集計した絶対得票率でつけています。絶対得票率とはこの場合、有権者数に占める比例得票数の割合です。1位から5位までは次のとおりでした。 表1.比例代表の絶対得票率 上位5位まで 以下に掲載するのは、正の面もあれば負の面もある、票の洪水のような圧勝の結果です。それはまた、そ
次期衆院選の比例代表の情勢を探るべく、2段階のシミュレーションを行いました。まず1段階目では、第26回参院選(2022年)の全国比例の票を衆院選の比例ブロックごとに再集計し、ドント式の計算によって議席を求めました。まずはその結果の一覧を示しましょう。 1段階目のシミュレーションの結果・各政党の獲得議席数一覧 これは議席予測ではなく機械的な計算の結果です。比例ブロックごとに0や1となったもののなかには、当選ライン付近にあたる僅差の当落が多々あります。そうしたものがどのように動きえるのか、実際のところは衆院選と参院選の傾向の違いや、時間的な党勢(支持率)の推移、各政党が選挙に臨む姿勢などに応じて、検討を加える必要があるわけです。 そこで2段階目のシミュレーションでは、特定の政党の票を変化させ、票が増えた場合の「議席獲得条件」や、票が減った場合の「議席喪失条件」をさぐりました。特定の政党について
先に公開した立憲民主党の記事「第26回参院選(2022年)立憲民主党――支持されるとはどういうことか」は、たいへん多くの人に読んでいただくことができました。厳しい話も率直に書きましたが、総じて好意的な評価が得られたことをうれしく思います。 さて、先の記事には、第49回衆院選(2021年)から第26回参院選(2022年)にかけて、「立憲が失った票は他の党に回ったのではなく、かなりの部分が棄権したことが示唆される」「維新に票を奪われたわけではない」とした部分がありました。これは得票数や出口調査の検討によるものですが、そうした情報は二つの選挙の票の流れそのものをとらえようとしたものではないため、決め手を欠く面もありました。 たとえば、「第49回衆院選(2021年)で維新に入れた人のうち、かなりの部分が第26回参院選(2022年)では他の政党に投票したり棄権していた可能性はないのか。そうして減った
大した内容ではないのですが、4月23日に行われた衆参補選について少しだけ書きます。 4月28日に国民民主の榛葉賀津也氏が、小西洋之氏のいわゆるサル発言に触れて、「あの発言がなければ、大分と千葉はどうなっていたかわからない」と述べました。 けれども千葉5区というのは、もともと2012年以降、自民の薗浦健太郎氏が4連勝してきた選挙区です。しかも今回、野党の候補者は立憲、共産、国民、維新、政女、無所属と乱立しており、基礎となる票は自民の英利アルフィヤ氏が断然多いとみられました。 序盤には立憲の矢崎堅太郎氏が先行しているという報道がされたものの(4月12日・千葉日報)、補選の背景に薗浦氏の政治と金をめぐる問題があり、自民支持層が意欲を欠いていたことと、英利アルフィヤ氏になじまない右派層がいたことがありました。ですから序盤の情勢がどうであれ、自民が票固めを進めれば伸びるはずだと読むのが普通です。また
衆参補欠選挙は、統一地方選の後半日程と同じ4月23日の投票です。これまでに行われた情勢報道を一覧にまとめました。 ●これは当落の予測ではなく、情勢報道の確認と検証を目的とするものであることにご注意ください。 ●日付は調査が行われた日ではなく、すべて報道された日を記載しています。 ●情勢報道の分類や一覧の作り方は2022年のガイドラインと同様です。一覧の候補は、ガイドラインに従って、平均の評価が高いものを上から並べています。製作者の判断ではありません。 ●情勢表現の前に記載した数字は、原則として各社が掲載した名前順です(「A候補が先行、B候補が追う、C候補は厳しい」の場合は「A 1 先行、B 2追う、C 3厳しい」となります)。ただし優劣表記がある場合はそれを最優先とします(「B候補がA候補を追う」の場合は「A 1、B 2追う」となります。「A 2、B 1追う」や「B 1追う、A 2」ではあ
れいわ新選組は、結成の3か月後にむかえた第25回参院選(2019年)で2議席を得ました。これは政党要件を持たない政治団体が参院の非拘束名簿式で当選者を出した初の事例であり、朝日、毎日、産経などが躍進と報じました。 他方でこれは、野党各党がれいわ新選組を警戒することを結果します。与党も同じでした。れいわ新選組の勢力は小さいものの、もし既存の野党共闘勢力と結びついて無党派層を揺さぶる動きに発展していけばどうなるか――。そこで、あのような勢力はただのポピュリズムに過ぎない、N国党(後のNHK党、政治家女子48党)や参政党と同じだといったように矮小化することも行われ、党や支持層に対するイメージは様々な形でゆがめられてきました。 しかし現在は、結成から4年の時を経て多くのデータがそろいつつあります。れいわを支持するのはどのような人たちなのでしょうか。れいわは従来の野党の支持層を大きく削ったのでしょう
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