前節では「顧客を深く理解すれば、良質な仮説を立案できる」という言説は間違いであり、このような言説が広く信じられていることが企業の成長を阻んでいることを示した。また、ビジネスパーソンが優れた仮説を立案できるようになるためには、「顧客そのもの」ではなく「顧客体験(UX)」を理解する必要があることを主張した。 本書の主張が正しいとするならば、我々は顧客理解・ユーザ理解に基づく方法論にサヨナラを告げて、顧客体験の理解を起点とする方法論を新たに採用する必要がある。そこで本節以降では「顧客体験の理解から、仮説を立案・発想する方法論」をより体系的に確立することを目指す。それを普及させることで、センスある天才や知識豊富な専門家でなくても、優れた仮説を立案できるようになることを志向する。 前回の記事は、これまでの常識に対する批評的な側面が強かった。しかし、今回は「ではどうするべきか」という解決策を提案する試