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note.com/yuichihosoya
大変に注目されている、『中央公論』2024年4月号での鼎談、「ウクライナな戦争が変えた日本の言論地図」。戦争に巻き込まれたことなども一因となり(認知戦、心理戦、宣伝戦など、現代の世界では認知空間やサイバー空間も戦場化しているため)、SNSなどの言論空間がさらに荒れています。非難の応酬、嫌悪感の表出の前に、まずは問題意識のみでも共有頂ければ幸いです。 なお、これまで何度も繰り返し書いてきたことですが、私の場合は「ウクライナが戦争するべきだ」ということや、「戦争を継続するべきだ」などということを書いたことはなく、繰り返し誤解されています。重要なのは、主権国家としてのウクライナの自決権(the right of self-determination)を尊重することだと考えており、それは国連憲章で認められた権利です。 なので、自らの国家の生存や、防衛、交渉は、ウクライナ国民、ウクライナ政府が決める
昨日、3月6日に五百旗頭真先生がご逝去されたとの報道が流れました。大変に驚き、また、寂しい気持ちです。 私自身は、五百旗頭先生の門下生ではなく、また直接指導を受けたわけでもありませんでした。他方で、大学院生時代に、親しい君塚直隆さんの日本国際政治学会研究大会、1999年5月の木更津かずさアカデミアパークでの研究大会の、欧州国際政治史の分科会でのご報告の機会に、そこにいらっしゃった五百旗頭先生にお会いしたのが最初の出会でしたので、それから四半世紀もの長きにわたって、接する機会を得られたことになります。確か、村田晃嗣先生にご紹介を頂いたように覚えております。ありがたいことでした。 それ以後、神戸大学での日本外交史の研究会にお呼び頂き、報告の機会を頂いたり、さまざまな研究会でご一緒させて頂きましたが、おもにサントリー文化財団での研究会などでご一緒をさせて頂いたことを、鮮明に覚えております。その一
多湖先生がTwitterをしておられないことを存じ上げずに、ご本人がおられないところで批判的な記述をしたことからも、こちらでその意図をお伝えできればと考えました。 『法学セミナー』の「たたかいと法」の特集号で、「国家間戦争と法」と題して、ご専門の戦争研究について国際政治学の知見から分析をなさっておられることは、大変に有意義なことであり、専門家がこのようなかたちで社会に発信する模範のような優れたご貢献であろうと思います。他方で、論文の末尾で、ウクライナ戦争に関連して、テレビで「意見を述べることに使命を感じる「研究者」」への苦言を呈しておられますが、そのようなご指摘は優れた論考の価値を損ねる不要な記述であると感じました。 私自身は、イギリス政治ではこの間しばしばテレビなどでコメントをすることがありましたが、ウクライナ戦争関連で呼ばれることはほとんどありませんでした。したがって、そこでの批判対象
20世紀の国際社会は、1928年の不戦条約や、1945年の国連憲章、そして国際人道法など、国際社会で共有するべき価値や正義を強化する方向で動いてきました。例えば、「政策の延長としての戦争」を禁止する戦争違法化(個別的自衛権、集団的自衛権と、集団安全保障を除いて)などは、国際社会で広く共有される「正義」となりました。 ですので、国際社会で、共有すべき価値や正義が一切ないわけではないが、全てが共有されているわけではない。その意味で、solidarityとpluralismとの双方が存在する。時代によって、それが破壊される時代と、それが強化される時代がある。今はそれが破壊されている時代です。 とりわけ国際社会において守るべき最も重要な規範である、戦争の違法化が、根本から破壊される可能性がある。それは、国際法上の合法性を担保する努力をほとんどしていないロシアのウクライナ侵略によって引き起こされてい
註:こちらは、2022年3月6日に、Twitterで橋下徹弁護士から、ウクライナ戦争での平和の到達の仕方について、私への疑問を頂きましたので、それに対する返答をまとめたものです。https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1500461182892662787 また一番上の写真は、ウクライナのキエフで4年前に講演した際のものです。 橋下先生、真摯でご丁寧なご返答を有り難うございます。橋下先生のご説明は直接的な言い方で反発もあろうかと思いますが、一定以上の真理を含んでおり、簡単に否定すべきではない論理も含まれていると思います。同時に今回のウクライナ危機は、常識的な理解が難しいきわめて厄介な戦争です。 まず「宥和政策」の効用について。『大国の興亡』で著名な歴史家ポール・ケネディは、「イギリス外交における宥和の伝統」という論文(著書、Strategy and
メアリー・サロッティ教授によるケンブリッジでのオンラインでの講演がありました。サロッティ教授はいまもっとも評価が高い米国人の外交史家の一人で、ドイツ統一や冷戦終結についての優れた研究があります。そしてこの講演の中で、「NATO東方不拡大の約束はない」と明言。 あまりにもタイムリーで充実した内容で、これからCentre for GeopoliticsのYouTubeチャンネルで動画がアップされます。Not One Inchと題する彼女の最新刊についての講演。以下、「約束」はなかったということについて概要をまとめます。 Not One Inch: America, Russia, and the Making of Post-Cold War Stalemate (The Henry L. Stimson Lectures Series) (English Edition) www.amazo
少し前に執筆しました「インド太平洋地域における「自由」と「開放性」の終わりとなるのか?」が、私の予想を上回る大きな反響を生みまして、多くの方にお読み頂きました。 11月16日午後の加藤勝信官房長官の定例会見での発言や、17日の菅義偉首相のスコット・モリソン豪首相との首脳会談の際の日豪首脳共同声明、そして18日の衆議院外交委員会での山尾志桜里国民民主党議員の質問への茂木敏充外相の応答と、政府の中枢にいる指導者の方々により、力強く「自由で開かれたインド太平洋」を日本が引き続き促進していく政治的意思が示され、少なくとも当面はこの路線が継続することが明確となりました。 私が前の投稿で書いたことが杞憂となり、引き続き日本政府が「自由で開かれたインド太平洋」構想を促進していくとすればそれはとても良いことだろうと思います。 少なくとも、私が抱いた危機感を政府の内外の多くの方に共有して頂き、そしてそのよう
(2020年11月15日に書きましたこの論考について、その後さまざまな新しい動きや情報を入手して、大幅に改訂しました〔2020年11月17日2時40分〕。基本的な主張は変わっていませんが、細部で新しい情報をもとにして一部修正しました。) これまでかなり懸念していたことが、実現してしまうかもしれません。おそらく日本外交にとっての一つの大きな転換になってしまう可能性があります。 首相官邸から、次のような報道がだされました。 「ASEANと日本で、平和で繁栄したインド太平洋を共に創り上げていくための協力を進めていくことで一致しました。拉致問題については、心強い支援を得ることもできました。 明日、RCEP協定に署名します。自由で公正な経済圏を広げるとの日本の立場をしっかりと発信していきます。」ここで二つの点に注目したいと思います。第1は、「平和で繁栄したインド太平洋」という、従来の「自由で開かれた
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