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グラミー賞ノミネート経験もある第一線のジャズミュージシャンであり、日本のポップカルチャーの熱いファンでもあるパトリック・バートレイJr.はJ-POPの音楽的な特徴を誰よりも鋭く、かつ愛情を持って分析できるミュージシャンの一人だ。 数々の大物ミュージシャンとステージを共にする一方、自らが主宰するプロジェクト「J-MUSIC Ensemble」では多くのJ-POPやアニソン、ゲーム・ミュージックの楽曲を自らアレンジし演奏している彼。 幼い頃からの音楽の英才教育、そしてジャズミュージシャンとしての素養をもとに、J-POPやアニソンの成り立ちをさまざまな角度から分析してきた。 そこでKAI-YOUでは来日したパトリックのロングインタビューを実施。彼自身の生い立ちとアニメ愛をじっくり語ってもらった。 こちらでは、日本の音楽の持つユニークな特徴をパトリックに解き明かしてもらう。 淡谷のり子や坂本九から
自分のことだけを考えている時、君は自分しか寝るスペースの無い小さな部屋にいる。自分の考えから離れると、大きな家に引っ越せる。 (そうすると)人を招き入れられる。君も他の人も入れる広さだ。『ミッドナイト・ゴスペル』第6話より 4月10日。 こうも毎日コロナの影響で自宅に篭もっていると、日に日に自室の壁が全方位から押し迫ってくるような感覚に陥る。 最初は意気込んで始めた自宅での筋トレも長続きせず、余計なことを考えてしまう。“余計なこと”というのは、“どうでもいいこと”よりも少々厄介だ。 ”余計なこと”から解放されるために、瞑想初心者を音声でガイドしてくれる巷で人気のアプリを使って、瞑想にでも挑戦してみた。普段は雑に扱っている身体という容れ物をいたわり、頭は冴えきって最高の感覚だったが、これも3日で飽きてしまった。禅の道は険しい。 ダークウェブで活況を呈する「インスタント禅」なら堪え性のない筆者
『ライヴラリ』というVTuber事務所がある──いや“あった”と書くほうが、実態には即しているだろうか。 「今日は何の日」という動画でVTuber黎明期を彩った赤月ゆに。アダルトゲームや下ネタを臆せずくり出し話題をさらった餅月ひまり。「ものづくり」という特技が輝いた図月つくる。オカルト関連のトピックを仕掛けていった無月めもり──個性豊かで、今では珍しい動画中心の活動を展開していた所属タレントは、全員姿を消した。 そこに至るまでの道程は平坦とは言い難い。特に餅月ひまりは、クラウドファンディングの行く末が不安視され、ファンの中には返金をめぐって訴訟を計画する者まで現れるほどだ。公式声明も的確に発信されたとは言えず、混迷を極めた末に、ライヴラリはもぬけの殻となった。 客観的に見ても、まさに「VTuber運営の失敗例」である。ファンでなくとも、批判の矛先を向けるのも致し方ないだろう。 だが、失敗の
性的行為を行う新しいかたち、バーチャルセックス。VR空間上で人々はどのように出会うのか。そして、バーチャルセックスの登場で社会はどんな風に変わっていくのか。 バーチャルセックス。 VR空間上で、ゴーグルやコントローラーを介して物理的には遠く離れた人間を相手に、一対一、あるいは複数で性的な快感を目指して性的行為を行う新しいセックスのかたち。コンピュータ相手のゲームではない。 だが、美少女アバターをまとった男性同士でバーチャルセックスを行うとは果たしてどういうことなのだろうか? セックス(性別)とセックス(行為)はどう繋がっているのだろうか? アバターのどこに欲情するのだろうか? そもそもどうやって触れることのできない相手とセックスできるのだろうか? そして、そもそもセックスとは何なのだろうか? インタビュアーを務めた難波優輝は、近年存在感を増し始めた「セックスの美学」研究者の立場から、セック
「AVTuber」という、バーチャルYouTuber(VTuber)の一群が存在する。 読んで字の如し、アダルトコンテンツの発信を辞さないスタンスのVTuberである。その特性上、メディアにおいて、その存在がおおっぴらに語られることはほとんどない。 本連載「バーチャルYouTuberアダルト大系」では、その語られざる存在を紐解く。 最終回の今回は、「AVTuberは何が特異なのか?」という点を掘り下げていきたい。 目次AVTuberの特異性 3つの特徴とはAVTuberにおける“生身の身体”という拡張性AVTuber収益の要は、ファンクラブ活動にありAVTuberとプラットフォーム BAN対策と隠語の進化より過激な配信は、FC2などアダルト向け配信サイトや自社開発colorful magic炎上による「AVTuber」の悪目立ち新たな双方向の模索 アダルトグッズ連動サービスの可能性胎内回帰
2023年10月28日、中国本土で『ポケモンカードゲーム』が正式発売されてからまる一年の月日が経った。 現在進行形で高騰を続ける市場価格、中国現地でのポケモン人気の高さも相まって、今や中文版のカードが他言語版より高値で取引されるケースも珍しくない。 中国大陸が“ポケモンカード空白地帯”だった史実も、今は昔と言えるだろう。 ……とは言え、建前上“ポケモンカード空白地帯”という言葉は使ったが、実際これまで中国大陸にポケモンカード文化がなかったのかと言えば、それは違う。1999年には台湾で繁体中文版が発売されたこともあったし、ここ10年ほどはバイヤーが海外で買い付けた並行輸入品が大量に流通、海外のユーザーから「爆買い」と揶揄されることもあった。 そしてなにより、ポケモンカードが正式発売されていないのを良いことに、“勝手に”つくっていたからだ。 現在市場に蔓延っているスーパーコピーとは似て非なる、
多くのインターネットユーザーが薄々感じているであろう、ネットカルチャーの変容。アニメからVTuberにトレンドが移ろいつつある現状を7つの観点から考察する。 「アニメ・ゲーム・漫画・ライトノベル」といえば、00年代から20年ほどにわたって続くインターネット・カルチャー内の共通言語として大きなハブとなってきた。 2000年代には、匿名掲示板・2ちゃんねる(現「5ちゃんねる」)からニコニコ動画へと続いた中心軸に、はてなブックマークやmixiに個人ブログを加えたブログカルチャーを周縁に据え、 アニメ・ゲーム・漫画・ライトノベルは「インターネットを知らない奴ら」へのカウンターとオルタナティブ性を孕んだカルチャーという側面もあった。 特にアニメ作品への支持はとても強く、1990年代後半の第三次アニメブームを起点にして深夜帯にて放映されはじめたアニメ作品に熱狂的なファンが注目し始め、堅牢なファンダムが
ロマン主義絵画史と近代挿画史を専門に、「神絵師になりたい」という学生向けにも講義を行う美術評論家・松下哲也さんへのインタビュー。 前編では、松下さんが大学でどのような講義をされているのかをうかがう中で、キャラクターデザインの源流が西洋美術にあるという点にも触れた。 後編ではさらに、現代ポップカルチャーにおいて注目するべき表象とは何かについて、話題が広がる。 目次美術界における「キャラクター表現史」は存在しなかった?アートの転換点 “教養ゲーム”からエンタメへ研究における制約? ポップカルチャーを扱う難しさ「プリキュア」は変化がないから面白いなぜ「美少女イラストはエロい」とされるのか 答えは美術様式史にあり様式が換骨奪胎され、新たな表現になる時 美術界における「キャラクター表現史」は存在しなかった? ──松下さんがキャラクター表現史を研究分野とされたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか
スマートフォンゲームの中には、社会問題をモチーフとした作品がある。そしてそれは『リバース:1999』も例外ではない。 そのテーマを語ることはリスクを伴う。どのようなリスクが存在するのか。読みさえすれば納得していただけると思う。 まず最初に香港製作のSF映画『未来戦記』の話をさせてほしい。香港の会社、香港のVFXスタジオでつくられたSF超大作である本作は、作中に出てくる「共産主義の脅威をメタファーとして描いた50年代のSFホラー映画」に対し、香港の名優ラウ・チンワンが「結末は自分たちで決める!」と啖呵を切る。 これは、香港の未来は自分たちで決めるという決意に他ならない。この話は、今からする『リバース:1999』の話と無関係ではない。 『リバース:1999』はスマートフォンおよびPC向けに配信されている世紀末タイムリバースRPGである。開発・運営は中国広東省広州市に拠点を置くBLUEPOCH。
日本の大手VTuber事務所として世界規模での人気を得るホロライブ。その運営を担うカバー・谷郷元昭社長も株式上場の機会に際して、北米圏や東アジアに次ぐ市場展開先として東南アジアへの注目を語るように、日本とも文化・地理的距離が近い東南アジア圏各国での状況は見逃せないものとなっている。 そんな東南アジアにあって、世界中から観光客が訪れるアジアの人気旅行先としてもおなじみの国、それがタイだ。 特に首都バンコクは世界有数の都市として通りには多くのクルマやバイクが行き交い、昼夜を問わずマーケットは多くの店と現地人と観光客が入り混じる多様な人々で賑わっている。 様々な人々、そして文化が行き交うこの国でも今、日本から始まったVTuber文化が盛り上がり始めている。 日本でも人気を博した『2gether』はじめ、タイはBL作品の隆盛では知られているが、実は国産IP創出には苦戦している側面がある。果たしてV
日本における特有で偏ったSNSユーザーの性質、早く・安くを求めるクライアントの存在、作品の要素において「絵の上手さ」だけが持て囃される価値観の定着など、「トレパク」が誘発されてしまう根深い状況の数々が明かされた。 インタビュー中編では、「トレパク」と並んでイラストの著作権問題と密接に関わりを持つ「二次創作」の倫理と現在にも言及していく。二次創作は現代におけるポップカルチャーの発展にとって欠かせない文化でありながら、その扱いの特殊性から未だ理解されづらい部分も多い。 取材中に強い疑問も浮かんできた。中村佑介さんはなぜ、ここまで若手イラストレーターたちに向けて、真摯に(時に場を和ませてくれるけど)言葉を費やすのか。 筆者は「トレパク」問題をテーマにした記事を企画する中で、真っ先に中村佑介さんに話を聞くべきで、彼以上の適任はいないと確信していたが──ここで正直に告白すると、実際に取材を依頼すると
目次キズナアイはあなたの名前を呼ぶバーチャルYouTuberは “VTuber” になるVTuberのメンタルヘルスをエヴァから考えるVTuberはこれから顔出しが当たり前になる分裂騒動、スリープに寄せて──キズナアイはインターネットの神になれたか?キズナアイに教わった、一番大切なこと キズナアイはあなたの名前を呼ぶ ––––松田さんは、以前はアニメ制作会社のP.A.WORKSにいらっしゃって『凪のあすから』の制作デスクを担当されるなど、アニメーション業界での経験がおありとお聞きしました。 松田 そうなんです。Activ8代表の大坂武史さんとは大学の同期で仲が良くて、彼がコンテンツ業界へ転職をした事をキッカケに、一緒に仕事もするようになりました。その流れから、僕らは「こんな存在がいてくれたら面白そう」という想いを実現させるためのチャレンジをスタートしました。 自分は、キズナアイの誕生から2
なによりこの10年は、イラストレーターの社会的な地位が大きく向上しています。 例えば2010年であればSNSのフォロワーが5,000人いればかなり人気のクリエイターと言えました。しかし今では、10万人以上のフォロワーがいるイラストレーターも珍しくありません。トップクリエイターであれば50万人、100万人といます。テレビに出てくるようなタレントよりもフォロワーが多い作家も沢山存在しているのです。 ”Reincaranimation” pic.twitter.com/mXOtNSuo1j — 米山 舞 Yoneyama Mai (@yoneyamai) December 29, 2023 なぜ彼らがここまでの人気を獲得できたかと言えば、先般の通り、市場におけるイラストのニーズが激増したことが要因です。 イラストの「惹き」の強さを社会が認知し、これまで人間のタレントを使う様な広告でもイラストに置
バーチャルYouTuber(VTuber)シーンの中で独特な空気感を放つレーベル・KAMITSUBAKI STUDIO。 その要となっている存在が、プロデューサー・PIEDPIPERだ。 前編では「KAMITSUBAKI DAO」や新会社・深化の話題を軸に、クリエイターへの還元率の低さ、そしてファンの負担が大きい収益モデルといった業界の構造についての意見と、自身の構想をうかがった。 現在、多数のタレントが所属するに至ったKAMITSUBAKI STUDIO。後編ではマネジメント論や、プロデューサー・クリエイターとしてのバランス感覚などの話題を通じて、KAMITSUBAKI STUDIOの運営方針や、事務所運営に必要なこと、見据える未来について話は及んだ。 目次間違ってることは「間違っている」と言わなきゃならないTHINKRが社名を出すようになった2つの理由バーチャルだからこそできないことも
『呪術廻戦』(2018–)の主人公・虎杖悠仁はあまり主人公らしくないな、と感じることがある。 あくまで個人的な印象にすぎないと思っていたのだが、試しにインターネットで検索してみると、似たような感想がいくつかヒットする。一部の読者のあいだではある程度共有されている感覚なのだろうか。 もしそうだとしたら、虎杖に“主人公らしさ”が感じられないのはなぜだろうか。いろいろと理由は挙げられるものの、ここでは1980年代以降の少年漫画の主人公類型という観点から考えてみたい。 結論から言うと、虎杖があまり主人公らしく感じられないのは、彼がこれまでの少年漫画のパラダイムから逸脱する“第三世代の原子力少年”だからではないか。 目次“自分では制御しきれない力を秘めた少年”という主人公類型からの逸脱「原子力少年」第一世代の命題と、第二世代が切り拓いた可能性『呪術廻戦』が徹底的に否定する“原子力の平和利用”という成
イラスト評論「ネット絵学」プロジェクトを推進してきたイラストレーター・虎硬がおくる連載「令和のネット絵学」。 第4章では創作物の持つ、思想やその変遷を追いかけていこう。 社会の中でイラストを受容するためにはルールが必要で、創造者に敬意を払われる必要がある。一方でクリエイティブが批判の対象になることもあり、その見方も時代によって大きく異なる。 目次思想とミーム──私たちは自分と同じ考えを持つ人間を増やしたいキリ番に相互リンク、掲示板での挨拶……個人サイトでの古のルール整備毒吐きネットマナーの登場──荒らしへの対処法、皮肉な結末「絵を数字化」することの功罪イラストと嫌儲思想 2ch発の、インターネットの空気感収益化の安全性──つい10年前まで、投げ銭も嫌われていた止むことがないトレパク騒動 冤罪を助長する被害者感情10年前では考えられなかった、中国、韓国クリエイティブへの評価ミームを遡って、歴
亡霊がインターネットを徘徊している。ミームという亡霊が。 ミーム。進化生物学者リチャード・ドーキンスが『利己的な遺伝子』(1976)のなかで提唱した概念。人から人へと情報や概念を伝達していく自己複製子。ただし現在では、ミームという概念自体が変異を重ね、ネット上に遍在するインターネット・ミームのような概念を生み出すに至っている。 すなわち、さながらウィルスの如く(はたまた呪いの如く)模倣と変異を繰り返しながらネットの海を回遊=伝染していくミームの存在。それは、姿が消えたと思えば、まったく別の場所に幽霊の如く回帰したり、伝達の過程で情報に誤配が生じ、元とはまったく別様の形で受容されたりもする。遺伝子と同様、ミームも変異し、そして進化を遂げていく。 この記事では、ミームそれ自体ではなく、ミームが変容するプロセスに注目する。ミームはある閾値を越えると変異を引き起こすが、それがもっとも顕著に現れるの
青春という限られた時間が放つまばゆい輝きを瑞々しく描き出す。「女子高生がとにかく好き」と語るしぐれういさんのイラストの魅力は、好きだからこそ込められる情熱によって生み出されるものだ。 2021年4月よりTVアニメも放送されるライトノベル作品「幼なじみが絶対に負けないラブコメ」のイラストや、VTuber・ 大空スバルさんのキャラクターデザインを手掛けるなど、人気イラストレーターとして活動を展開するしぐれういさんだが、彼女の活躍はイラストレーターのフィールドにとどまらない。 群雄割拠のVTuber界において40万人以上のチャンネル登録者数を有す人気VTuber、それがしぐれういさんの持つもう一つの顔だ。元々はデザインを手がけた大空スバルさんの配信にゲスト出演していただけだったのが、やがて個人としても配信活動を開始。 イラストレーターが自らデザインを手がけ、VTuberとしてデビューするケースは
レゲエは1960年代、首都キングストンの貧困地区で誕生。厳しい時期と苦しみを表現しながらも独特のリズムで楽しめるダンス音楽となっており、社会の平等や愛と平和を呼び掛ける音楽として世界に広がっている。(中略)ユネスコは、「不平等、抵抗、愛、人間性といった国際的な問題の表現に対するレゲエの貢献は、知的、社会政治的、感覚的、精神的な要素の具現化といえる」との声明を発表した。Via ロイター 2018年、ジャマイカ生まれのレゲエミュージックがユネスコの無形文化遺産に登録された時のロイター通信による報道からの抜粋である。 非常に「その通り」な文面なのだが、よくよく読んでいると何とも一面的な文章にも思えてきて、むず痒くなってくる。 なぜそう思うのだろう? それはきっと多少なりとも「レゲエ」というカルチャーに親しんだものであれば誰しもが感じる“違和感”でないだろうか。 目次差別がレゲエ界の常識「バティボ
ポップカルチャーにおいて欠かすことのできない存在、イラストレーター。 キービジュアルにキャラクターデザイン。人気イラストレーターはどんなプロジェクトにも引っ張りだこの存在。当然、それに憧れるイラストレーターの卵も数多い。 そんな未来のイラストレーターたちのために教壇に立つのが松下哲也さんだ。ロマン主義絵画史と近代挿画史を専門としながら、キャラクター表現史についての著述、最近では動画配信プラットフォーム「シラス」のチャンネル「松下哲也のアート講釈日本地」(外部リンク)配信も盛んに行っている。 キャラクター表現史という聞き慣れない分野では、いったいどんな研究や講義が行われているのか。 目次ポップカルチャーと近接する前衛芸術や現代美術理論と鑑賞と実践を兼ねた課題キャラクター表現は、西洋美術史からも語られるべきであるキャラクターデザインと表裏にある「観相学」 ポップカルチャーと近接する前衛芸術や現
チャンネル登録者数100万人突破、スパチャ(投げ銭)額ランキングでは常に上位と個人勢VTuberとして最前線を突き進むkson。彼女は今、自身の活動を、そしてVTuberを取り巻く環境をどのように見つめているのか。 前編では「個人勢」というksonの描く新たなストーリーとお金の話にフォーカスをした。 世界一稼ぐVTuber・ksonインタビュー「自分を安売りしていい世界なんてない」 11月10日にはチャンネル登録者数100万人突破、スパチャ(投げ銭)額ランキングでは常に上位に位置。企業勢全盛の時代において異… 後編ではVTuberにまつわるコミュニティ論、VTuber人気の秘密にリンクする生身/アバター論、言語の壁との向き合い方、配信者のメンタルヘルス問題、そしてksonの考える最新のエンタメ論まで深く掘り下げていく。 目次「自分」だけでコンテンツを終わりにしない「VTuber」のkson
海外発の「90年代日本語ラップ」プレイリストが続々と100万回再生を突破している。その視聴者層を占めるのは日本国外が圧倒的だ。この現象はLo-fiヒップホップやシティポップ・ブームの余波なのか?それとも何か新たな魅力が発掘されているのか?海外の日本語ラップ・プレイリスト投稿者たちへの取材をもとに、この不可思議な現象に迫る。 執筆:LIT_JAPAN 編集:和田拓也 目次「日本語でラップするのは無理がある」90年代日本語ラップは、誰に再発見されているかSpotify以降の潮流に加わる、新たなコンテクスト90年代日本語ラップが評価される2つの文脈ニッチな「海外からの反応」の域から脱しているのか 「日本語でラップするのは無理がある」 「刀で敵を斬り殺す時に掛かるジャパニーズ・ラップ」。アニメ『サムライチャンプルー』から影響を受けたであろう、ある種のオリエンタリズムをかきたてるのには十分過ぎるタイ
ゲーム『ポケットモンスター サン・ムーン』のキャラクターデザインや『ドラガリアロスト』のメインイラストレーターを務め、ポケモンカード公認イラストレーターとしても知られる、さいとうなおきさん。 イラストレーターとしての活動も精力的だが、2019年に開設したYouTubeチャンネルではプロの目線による実践的なハウツーや、激化するネットイラストシーンで生き残るための心構えなどを解説しており、チャンネル登録者数は約80万人を誇る。 イラストレーターでありながら、イラストを描く以外の仕事をする──既存のイラストレーター像と一線を画すスタイルが話題となっていたさいとうさんだが、さらにシーン全体に影響を及ぼす新たな一歩を踏み出した。それが「NFTアートの販売」である。 NFTは以前よりネット上のクリエイターたちから注目を集めていたが、様々な要因により著名作家による進出が進まず、敬遠されがちであった。その
2022年12月の放送終了後も反響が続くTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』。 その人気の理由の一端が音楽のクオリティの高さにあることは間違いないだろう。作中に登場する主人公たちのバンド「結束バンド」のアルバムも人気を集め、「弾いてみた」「歌ってみた」など様々な二次創作も広がっている。 実際に『ぼっち・ざ・ろっく!』に影響されてギターやベースをはじめてみた、という投稿も少なくない。 なぜ『ぼっち・ざ・ろっく!』はここまで盛り上がっているのか? その物語と音楽は、今の日本のポップカルチャーにどう位置づけられるのか。その文脈を改めて紐解きたい。 高いギターの腕前を持ちながらも極度の引っ込み思案で“陰キャ”な高校1年生、“ぼっち”こと後藤ひとりが、伊地知虹夏、山田リョウ、喜多郁代と出会ってバンドを結成、音楽活動を通じて成長していく姿を描く同作。 放送前には注目作やビッグタイトルが揃った2022年秋
今回インタビューを行った兄ぽこさんは、ショートアニメシリーズ「オシャレになりたい!ピーナッツくん」の制作者でありながら、主人公・ピーナッツくんをバーチャルYouTuber化させたり、実の妹を「甲賀流忍者!ぽんぽこ」としてバーチャルYouTuberデビューさせてもいる。 それらのプロデュースを一手に担い、NHKへの番組出演やアニメ『バーチャルさんはみている』への登場、有名ボーカロイドプロデューサー・n-bunaさんやYouTuber・デカキンさんとのコラボなどを実現。 企業勢が登録者数ランキングの上位を占めるバーチャルYouTuberシーンにおいて、個人勢ながら独特の存在感を放っている。 生身のYouTuberも含めたこれまでのインターネット文化と比して、「個人によるクリエイティブの発表の場」という属性の薄れたバーチャルYouTuberというフィールドで、あくまで個人によるクリエイティブを展
インターネットは国境や文化を超えて、すべてを繋げてくれるネットワークだと期待されてきた。 2023年、国やプラットフォーム、SNSごとの区分は強くなりつつある。この情報環境の変化は、VTuber(バーチャルYouTuber)にとっても無関係ではない。 2023年のVTuberシーンの振り返りでは、前編の記事に引き続き世界の動向を振り返る。 VTuberはグローバル化できるか? ANYCOLORにカバー、Brave groupの戦略 2022年は、VTuber業界にとって象徴的な出来事がいくつか重なっていた。まず、先駆者であるキズナアイの無期限活動休止が全界隈… 世界の潮流や事例を紐解きながら、未来の展望に触れていく。 目次VTuber流行から5年 「セカンドキャリア」という選択肢“匂わせ”という手法──ぺぺちにVShojo、VTuberたちの卒業ケースWACTORの世界的炎上に見る、グロー
いまや日本や世界で、様々なバーチャルYouTuber(VTuber)が活躍していますが、神楽めあさんほど毀誉褒貶の激しいVTuberもあまりいません。 問題児、トラブルの種と敬遠するVTuberファンは少なくありません。検索すれば彼女が配信で起こした様々な事件がヒットします。実際、配信で見る神楽めあは口が悪く、アイドルのような他の女性VTuberたちとはほど遠い存在に見えます。 一方で、彼女と親しいVTuberたちは「神楽めあは天才」「真面目」「いい子」だと異口同音に彼女を褒めます。 中国の配信プラットフォーム・bilibiliでも早い時期から活動を始め、現在まで日本のVTuberとしてはトップクラスの人気があります。歌声も素晴らしく、そして何より可愛く、彼女を愛するファンは非常に多いです。 2018年6月末にYouTubeでデビュー。企業グループに所属しない個人勢ながら活動歴は長く、Yo
「バーチャルYouTuber」(VTuber)は2022年12月で、流行から5年を迎える。 この5年間、様々な動きがあった。誕生、別れ、案件、転生、解散……楽しい動画やライブ配信もあれば、炎上となり裁判となった事例も一つひとつがメディアに「バーチャルYouTuber」「VTuber」の話題として取り上げられ、インターネット上または紙面上で公開されてきた。 しかし、メディアでバーチャルYouTuber(VTuber)にまつわるセクシュアルな内容が詳細に語られることはあまりなかったように思う。 当たり前の話にも聞こえるかもしれない。倫理的観点から、情欲的なコンテンツやグロテスクな内容は扱うことが難しい。広告を収益に運営するメディアが大半であるため、過激な内容から広告が規制されれば収益に影響を及ぼす可能性がある。 また、VTuberコミュニティなりに言い変えれば、アダルトな話題こそ「センシティブ
さえきやひろさんはつくってあそぶ系VTuberとしてデビューし、その名の通りイラストレーターや3Dモデラーなど、様々な領域で創作活動を広げるクリエイターである。 3Dモデラーとしては甲賀流忍者!ぽんぽこさんとオシャレになりたい!ピーナッツくん、名取さなさんらの3Dモデルなどを担当。イラストレーターとしては、滋賀県湖南市の公式VTuber・Minamiのキャラクターデザインや各種グッズイラストを手掛けるなど精力的に活動しつつ、VTuberとしての活動も3周年を迎え、先日は盛大に周年ライブやオリジナルMVの公開を成功させたばかり。 数々の表現に取り組んでは、そのいずれをもハイレベルにこなす。恐るべき創作意欲の持ち主である。 冒頭にも記した通り、何かを目標にものづくりをするという思考回路を彼女は持ち合わせていない。彼女にとってものづくりはそれ自体が楽しいものであり、目的となりうるものだからだ。
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