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地球は固有の強い磁場を持つ天体の1つです。陸上に棲む多くの生物にとって欠かせない存在であるこの「地磁気」は、地球誕生から徐々に強くなっていったと理解されています。ただし、その正確な時期はよくわかっていません。 マサチューセッツ工科大学のClaire I. O. Nichols氏などの研究チームは、グリーンランドから産出した極めて古い岩石を調査し、約37億年前の地球に地磁気が存在した証拠を見つけました。これは最も古い時代の地磁気の証拠です。また、その強度は現在と比べてもそれほど弱くない値であることから、地磁気の形成や、古代の生命がどのように進化し、数を増やしたのかを探る上でも重要な発見となります。 【▲ 図1: 有害な太陽風を遮断する地磁気は、生命と大気の両方にとってシールドの役割を果たします。(Credit: NASA)】 ■「地磁気」は生命と大気の両方に重要 方位磁石が北を向くことからも
中国国家航天局(CNSA)は2024年5月8日付で、CNSAの月探査機「嫦娥6号(Chang’e 6)」を月周回軌道へ投入することに成功したと発表しました。【最終更新:2024年5月10日12時台】 【▲ 月周回軌道に投入された中国の月探査機「嫦娥6号」のイメージ(Credit: CNSA)】 嫦娥6号はCNSAによる月探査ミッションの無人探査機で、地球からは直接見ることができない月の裏側に着陸し、約2kgのサンプルを採取して地球へ持ち帰るサンプルリターンを目的としています。着陸目標地点は南極エイトケン盆地にあるアポロ・クレーター(Apollo、アポロ盆地とも。直径約524km)の南部で、ミッション期間は約53日間とされています。ミッションが成功すれば、月の裏側からのサンプルリターンは世界初となります。 【▲ 月探査機「嫦娥6号」を搭載して打ち上げられた「長征5号」ロケット(Credit:
月の裏側での宇宙開発がまた一歩進展する契機になるかもしれません。 モントリオール理工科大学の研究グループは、月の裏側で活動するのに必要な電力を確保する方法として、地球と月とのラグランジュ点(※)のひとつ「L2」に3機の太陽発電衛星(Solar Powered Satellite: SPS)を配備し、月面に設置した受信設備へワイヤレス給電する方法が最適解だとする論文を発表しました。 【▲ 月と地球とのラグランジュ点「L2」に配備した3機の太陽発電衛星(SPS)から月の裏側にワイヤレス給電する仕組みを示した模式図(Credit: Donmez & Kurt(2024))】 ※…ある天体が別の2つの天体から受ける重力や遠心力と釣り合って、安定できる点のこと。この場合、別の2つの天体は月および地球となり、人工衛星はラグランジュ点近傍の閉じた軌道(ハロー軌道)を周回する。 関連記事 ・まもなく画像公
スペースXは日本時間2024年5月10日に、「ファルコン9」ロケットの打ち上げを実施しました。搭載されていた第2世代スターリンク衛星「V2 Mini」は無事に軌道へ投入されたことが、同社のSNSや公式サイトにて報告されています。 打ち上げに関する情報は以下の通りです。 ■打ち上げ情報:ファルコン9(Starlink Group 8-2) ロケット:ファルコン9 ブロック5 打ち上げ日時:日本時間 2024年5月10日13時30分【成功】 発射場:ヴァンデンバーグ宇宙軍基地(アメリカ) ペイロード:スターリンク衛星(Starlink V2 Mini)20機 ※うち6機はDirect to Cell機能を搭載。 スターリンク衛星は、スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク(Starlink)」で用いられる通信衛星です。同社は、高度や傾斜角が異なる「シェル1」〜「シェル8」に分類され
アメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)は現地時間2024年5月4日、同社が新たに開発した船外活動(EVA)用の宇宙服を発表しました。この宇宙服は2024年夏以降に実施される民間の有人宇宙飛行ミッション「Polaris Dawn(ポラリス・ドーン)」で初めて使用される予定です。【最終更新:2024年5月7日16時台】 【▲ スペースXが公開した船外活動(EVA)用宇宙服(動画)】 (Credit: SpaceX) 今回発表されたEVA用宇宙服はスペースXの有人宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」で使用されている船内用宇宙服から発展したもので、動きやすさを重視して開発されました。新しいEVA用宇宙服は船内用宇宙服も兼ねていて、宇宙飛行士は同じ宇宙服を船内と船外の両方で使用することができます。 【▲ スペースXのウェブサイトに掲載されている船外活動(EVA)用宇宙服の全身
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日本放送協会(NHK)は2024年5月8日、JAXAの火星衛星探査計画「MMX(Martian Moons eXploration)」の探査機に搭載される超高精細カメラ「SHV(Super Hi-Vision Camera)」が完成したことを発表しました。【最終更新:2024年5月9日15時台】 【▲ フォボスに着陸した火星衛星探査計画「MMX」探査機の想像図(Credit: JAXA)】 2026年度の打ち上げを目指して探査機の開発が進められているMMXは、火星の衛星フォボスから世界で初めて採取した地表のサンプルを地球へ持ち帰ることを目指すサンプルリターンミッションです。JAXAとNHKは2020年に共同開発協定を結んでおり、ミッションをスーパーハイビジョンで記録・映像化するためのカメラの開発が進められてきました。 【▲ MMX探査機に搭載される超高精細
「冥王星」の表面には、目を引くハート型の地形「トンボー地域」があります。トンボー地域は東西で地形が大きく異なっており、特に西側は「スプートニク平原」と呼ばれる非常に平らな低地となっています。 ベルン大学のHarry A. Ballantyne氏などの研究チームは、スプートニク平原の起源は衝突クレーターではないかと考察し、シミュレーションを実行しました。その結果、直径約730kmの天体が低速で斜めに衝突すると、スプートニク平原に一致する涙形の低地が形成されることが判明しました。一方、このシミュレーションが正しい場合、冥王星の地下には液体の水でできた海がないという、これまでの推定とは異なる内部構造が予想されます。 【▲ 図1: 冥王星に大きな天体が衝突する様子の想像図。今回の研究で、冥王星のハート型の地形の成因として示されました。(Credit: Universität Bern / Illu
宇宙から地球を見ると、植物に広く覆われた陸地が緑色に見えます。この緑色は植物の光合成を支えるクロロフィル(Chlorophyll、葉緑素)と呼ばれる物質と関係があります。植物の葉などに含まれているクロロフィルは太陽光を吸収する役割を果たしていますが、緑色の光は吸収されにくく、葉から漏れ出た緑色光を私たちの目が捉えることで植物は緑色に見えるのです。 【▲ アメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙天気観測衛星「DSCOVR(ディスカバー)」の光学観測装置「EPIC」で2024年5月5日に撮影された地球(Credit: NASA EPIC Team)】 しかし、植物のように光合成を行う生物が繁栄している太陽系外惑星も緑色に見えるのかというと、そうとは限らないようです。コーネル大学の博士研究員Lígia Fonseca Coelhoさんを筆頭とする研究チームは、光合成生物が存在する系外惑星の色は地球と
アメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)は2024年4月28日(日本時間・以下同様)、EU(欧州連合)の測位システム「Galileo(ガリレオ)」の測位衛星2機を搭載した「Falcon 9(ファルコン9)」ロケットの打ち上げに成功しました。ファルコン9の1段目機体は今回で20回目の使用でしたが、衛星を中軌道に投入する能力を確保するため、地上への帰還は実施されず、今回が最後の飛行となりました。【最終更新:2024年5月7日17時台】 【▲ ケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられるファルコン9(Credit: SpaceX)】 ■ファルコン9の1段目機体は20回目の飛行 ガリレオ衛星2機を搭載したファルコン9は、2024年4月28日にアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられました。ファルコン9の1段目機体は今回が20回目の使用でしたが、衛星を地球中軌
ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は日本時間2024年5月7日11時34分に同社の「Atlas V(アトラスV)」ロケットによるボーイングの新型宇宙船「Starliner(スターライナー)」の打ち上げを予定していましたが、発射2時間前に打ち上げ延期が発表されました。【最終更新:2024年5月7日10時台】 【▲ ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」を搭載したユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)の「アトラスV」ロケット。アメリカの現地時間2024年5月5日撮影(Credit: NASA/Joel Kowsky)】 スターライナーはスペースXの「Crew Dragon(クルードラゴン)」とともにアメリカ航空宇宙局(NASA)のCommercial Crew Program(コマーシャルクループログラム、商業乗員輸送計画)のもとで開発がスタートした有人宇宙船で、これまで
469219番小惑星「Kamoʻoalewa」(※1)は、見た目上は地球の周囲を公転しているように見える「準衛星(Quasi-satellite)」の1つです。その公転軌道や表面の物質の観測結果は、Kamoʻoalewaが普通の小惑星よりも月に類似していることを示しているため、月の破片である証拠探しが行われています。 清華大学のYifei Jiao氏などの研究チームは、Kamoʻoalewaのような破片が月の表面から飛び出すにはどのような条件が必要かを数値シミュレーションで解析しました。その結果、数百万年前に直径10~20kmのクレーターを作るような天体衝突が、Kamoʻoalewaのような準衛星軌道を持つ小惑星を飛び出させるという解析結果を得ました。この条件に一致するのは「ジョルダーノ・ブルーノ」クレーターだけであるため、このクレーターがKamoʻoalewaの起源である可能性があります
ドイツの民間宇宙企業HyImpulse Technologies(ハイインパルス・テクノロジーズ)は日本時間2024年5月3日に、「SR75」ロケットの飛行試験を実施しました。打ち上げに成功したことを同社がSNSやウェブサイトにて発表しています。 打ち上げに関する情報は以下の通りです。 ■打ち上げ情報:SR75(初飛行) ロケット:SR75 打ち上げ日時:日本時間 2024年5月3日14時10分【成功】 発射場:コーニバ試験場(オーストラリア) ペイロード:なし SR75はハイインパルスの観測ロケットです。燃料に固体のパラフィンを採用した独自開発のロケットエンジンを搭載しており、高度250kmに最大250kgのペイロード(搭載物)を到達させる能力を持ちます。同社は推進剤にパラフィンと液体酸素を使用する3段式ロケット「SL1」(最大600kgのペイロードを地球低軌道に投入可能)の開発も進めて
中国は日本時間2024年5月3日に、月探査機「嫦娥6号(Chang’e 6)」を搭載した「長征5号」ロケットの打ち上げを実施しました。中国国家航天局(CNSA)は嫦娥6号を月遷移軌道へ投入することに成功したと発表しています。 打ち上げに関する情報は以下の通りです。 ■打ち上げ情報:長征5号(Chang’e 6) ロケット:長征5号(Long March 5) 打ち上げ日時:日本時間2024年5月3日18時27分【成功】 発射場:文昌衛星発射センター(中国) ペイロード:嫦娥6号(Chang’e 6) 嫦娥6号はCNSAによる月探査ミッションの無人探査機です。地球からは直接見ることができない月の裏側に着陸し、約2kgのサンプルを採取して地球へ持ち帰るサンプルリターンを目的としています。 日本時間2024年5月3日18時27分に海南省の文昌衛星発射センターから長征5号ロケットで打ち上げられた嫦
2016年に日本で上映された映画「オデッセイ(原題:The Martian)」では、マット・デイモン演じる宇宙飛行士マーク・ワトニーが火星に一人取り残され、じゃがいもを栽培しながらサバイバルを続けるシーンが登場します。アメリカ航空宇宙局(NASA)が火星への最初の有人飛行を2040年までに実現すると公言するなか、火星で生活するために克服すべき課題のひとつは「食糧をどう確保するのか?」という問題です。火星での生活に必要な物資のすべてを地球から運搬することは現実的ではないため、資源の一部は火星で賄う必要があります。 フランス高等科学技術学院のSamuel Duarte Dos Santos氏が率いる研究グループは、火星で農業を実現できるかどうかを検証するために土壌や大気を調査する探査ローバー(探査車)「AgroMars」を提案しました。 ■火星での農業を実現するための先行研究【▲ 火星で作物を
株式会社アストロスケールは2024年4月26日、同社の商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ)」で撮影した観測対象のデブリの画像を公開しました。同社によると、スペースデブリ(宇宙ごみ)に接近して近距離で撮影した画像が公開されるのは世界初となります。【最終更新:2024年4月29日10時台】 【▲ アストロスケールの商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」で撮影した大型デブリ(H-IIAロケット15号機の上段)(Credit: アストロスケール)】こちらが公開された画像です。写っているのは2009年1月に温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」を打ち上げた「H-IIA」ロケット15号機の上段(2段目、全長約11m・直径約4m・重量約3トン)で、打ち上げ後は大型デブリとなって地球を周回し続けています。 ADRAS-Jはデブリ除去の新規宇宙事業化を目的としたJAXAの取り
こちらは、soraeが2020年4月6日の記事内で紹介した『連星「J2322+0509」を描いた想像図』です。J2322+0509は、連星を成す恒星が両方とも白色矮星に進化した「白色矮星どうしの連星」として報告されました。この2つの白色矮星は、重力波を放出しつつ600万~700万年後には合体するとみられています。 Warren Brown氏(ハーバード・スミソニアン天体物理学センター、アメリカ)らによって分析されたのは、うお座の方向およそ2500光年先にある「J2322+0509」です。J2322+0509はそれぞれ太陽の0.27倍と0.24倍の質量がある2つの白色矮星から成る連星で、重いほうの表面温度は摂氏およそ1万8000~2万度とみられています。 研究チームがアリゾナ州の「マルチミラー望遠鏡(MMT)」やチリの「マゼラン望遠鏡」を使って観測したところ、J2322+0509では2つの白
アメリカ航空宇宙局(NASA)が1977年に打ち上げた惑星探査機「ボイジャー1号(Voyager 1)」は、2023年11月14日から読み取り不能な状態のデータを送信するトラブルを抱えていました。このトラブルについて、NASAは2024年4月4日付の公式ブログへの投稿で原因を断定したことに言及。今後の復旧に楽観的な見通しを示していましたが、同年4月22日付のブログへの投稿にて、ボイジャー1号から探査機の状態に関するデータが正常に送信されていることを確認したと発表しました。 NASAは今はまだ送信できていない科学データについても、エンジニアチームが今後数週間以内に送信を再開できるような修正を行うと述べています。 【▲ 図1: 深宇宙を進むボイジャー1号のイメージ図(Credit: Caltech/NASA-JPL)】 ■打ち上げから46年経ったレガシーシステムの「ボイジャー1号」 NASAの
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年4月26日(日本時間・以下同様)、先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」を搭載した「H3」ロケット3号機の打ち上げを早ければ2024年6月30日に実施すると発表しました。【最終更新:2024年4月26日10時台】 【▲ 種子島宇宙センター大型ロケット発射場から打ち上げられたH3ロケット試験機2号機(Credit: JAXA)】H3ロケットは従来の主力ロケット「H-IIA」の後継機としてJAXAと三菱重工業が開発した日本の新型ロケットです。先進光学衛星「だいち3号(ALOS-3)」を搭載した試験機1号機による初飛行は2023年3月7日に実施されたものの、2段目エンジンに点火できず打ち上げに失敗。対策を施した試験機2号機はロケット性能確認用ペイロードと小型副衛星2機を搭載して2024年2月17日に打ち上げられ、小型副衛星の軌道投入と主衛星分離機
アメリカ航空宇宙局(NASA)とアメリカの航空大手Boeing(ボーイング)は2024年4月25日付で、ボーイングが開発中の新型宇宙船「CST-100 Starliner(スターライナー)」による有人飛行試験ミッション「Crew Flight Test(CFT)」の飛行試験準備完了審査(Flight Test Readiness Review)が完了したと発表しました。CFTの打ち上げは早ければ日本時間2024年5月7日に実施される予定です。【最終更新:2024年4月26日11時台】 【▲ ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)の「アトラスV」ロケットに搭載されるボーイングの新型宇宙船「スターライナー」。アメリカの現地時間2024年4月16日撮影(Credit: NASA/Kim Shiflett)】 スターライナーはスペースXの「Crew Dragon(クルードラゴン)」とともに
ロケットラボは日本時間2024年4月24日に「エレクトロン」ロケットの打ち上げを実施しました。搭載されていた人工衛星は予定通りの軌道へ投入されたことが、同社のSNSアカウントにて報告されています。 打ち上げに関する情報は以下の通りです。 ■打ち上げ情報:エレクトロン(Beginning Of The Swarm) ロケット:エレクトロン 打ち上げ日時:日本時間2024年4月24日7時32分【成功】 発射場:ロケットラボ Launch Complex 1B、オネヌイ射場(ニュージーランド) ペイロード:NEONSAT-1、ACS3 NEONSAT-1は、高解像度の光学センサーを搭載した韓国科学技術院(KAIST)の地球観測衛星です。取得したデータはAIと組み合わせて朝鮮半島の自然災害などの監視に利用されます。KAISTは合計11機のNEONSATによる衛星コンステレーションの構築を計画してお
日本時間2024年4月24日、アメリカ航空宇宙局(NASA)の「Advanced Composite Solar Sail System」と呼ばれるミッションの超小型衛星「ACS3」が、ロケットラボの「Electron(エレクトロン)」ロケットで打ち上げられました。このミッションでは、将来のソーラーセイルに必要な技術をランドセル程度の大きさの人工衛星(12UサイズのCubeSat)に搭載し、宇宙で実証しようとしています。この技術によって、何が変わるのでしょうか?【最終更新:2024年4月24日13時台】 【▲ ソーラーセイルを展開したACS3の想像図(Credit: NASA/Aero Animation/Ben Schweighart)】 ソーラーセイルは、宇宙で広げた帆が太陽光を受けた時に発生する太陽輻射圧を推進力として利用する技術で、「宇宙ヨット」とも呼ばれます。従来の宇宙機で使われ
小惑星の軌道を意図的に変更できるかどうかを検証した、NASA(アメリカ航空宇宙局)の小惑星軌道変更ミッション「DART」では、目標天体となった小惑星の衛星「ディモルフォス」の公転軌道を変更することに成功しました。実験は事前に予測されていない結果ももたらしており、その1つは幅数mの岩がいくつも飛び出したことでした。 NEOCC(地球近傍天体調整センター)のMarco Fenucci氏とINAF(イタリア国立天体物理学研究所)のAlbino Carbognani氏の研究チームは、DARTミッションで飛び出したことが観測された37個の岩の軌道を追跡したところ、そのうち4個が将来的に火星に衝突する可能性があることを突き止めました。この分析結果は、地球や火星に衝突する小さな天体の起源を考察する上で重要となるかもしれません。 【▲ 図1: ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された、ディモルフォスから飛び出
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年4月24日午前(日本時間・以下同様)、X(旧Twitter)の小型月着陸実証機「SLIM」プロジェクト公式アカウントにて、SLIMが着陸地点で3回目の越夜(夜を越すこと)に成功したと発表しました。【最終更新:2024年4月24日12時台】 【▲ 3回目の越夜成功後にSLIMの航法カメラで撮影された月面の様子(非圧縮データ)。JAXAがXのSLIM公式アカウントを通して2024年4月26日に公開(Credit: JAXA)】SLIMは2024年1月20日0時20分頃に日本の探査機として初めて月面へ軟着陸することに成功しました。ただ、2基搭載されているメインエンジンの1基で着陸直前に生じたトラブルによって想定外の速度や姿勢で接地することになったため、機体は太陽電池を西に向けて逆立ちしたような姿勢で安定しています。 着陸直後に電力を得られなかったSLI
アメリカの民間宇宙企業ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は2024年4月10日(日本時間・以下同様)、同社の「Delta IV Heavy(デルタIVヘビー)」ロケットによる打ち上げミッション「NROL-70」でアメリカ国家偵察局(NRO)の偵察衛星を打ち上げることに成功しました。デルタIVヘビーは今回のNROL-70が最後の打ち上げミッションで、ULAが今後運用するロケットは新型の「Vulcan(ヴァルカン、バルカン)」へ置き換わります。 【▲ 発射施設で打ち上げを待つデルタIVヘビー(Credit: ULA)】 ■NROL-70打ち上げの様子 NROの偵察衛星を搭載したデルタIVヘビーは、2024年4月10日1時53分(アメリカ東部夏時間2024年4月9日12時53分)にアメリカ・フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地第37発射施設から打ち上げられました。ULAによると、発
こちらは「ペガスス座」の方向約4億光年先の棒渦巻銀河「UGC 12158」です。「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得した複数のデータを使って作成されました。UGC 12158は地球に対して正面を向けた位置関係にあるため、渦巻銀河のうち2分の3が持つとされる中心部の棒状構造や、その周りに広がる渦巻腕(渦状腕)の様子がよくわかります。 【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の掃天観測用高性能カメラ(ACS)で撮影されたペガスス座の棒渦巻銀河「UGC 12158」。小惑星の軌跡が写り込んでいる(Credit: NASA, ESA, P. G. Martín (Autonomous University of Madrid), J. DePasquale (STScI); Acknowledgment: A. Fi
宇宙には目に見える世界のほかに“暗黒世界”とでも呼ぶべきものが潜んでいるかもしれません。というと、まるでSFかファンタジーのようですが、これは最新の宇宙物理学の予言です。 われわれの宇宙は“見える物質”、すなわち光(電磁波)で観測できるものばかりで形作られているわけではありません。ほかにも重力だけがその存在を指し示す“見えない物質”、すなわち「暗黒物質(ダークマター)」が大量にあるとされます。 現在の宇宙論にもとづくと、暗黒物質の量は宇宙の全質量の85%にも達します。つまり、原子や分子からなるわれわれ自身や身のまわりの物質は、宇宙全体から見ればマイノリティといえるのです。 【▲ 図1:暗黒物質とガスからなるフィラメント構造「コズミックウェブ(宇宙の”クモの巣”)」。宇宙全体に広がるこの編み目構造では暗黒光子が飛び交っているかもしれません(Credit: Springel et al. (2
こちらは月周回有人拠点「ゲートウェイ(Gateway)」で最初に打ち上げられるモジュールの一つ「HALO(Habitation and Logistics Outpost)」の主要構造です。トリノにあるタレス・アレニア・スペース(Thales Alenia Space)の工場で溶接作業が完了した後の2023年10月に撮影されたもので、2024年4月2日にアメリカ航空宇宙局(NASA)が紹介しています。 【▲ 溶接作業が完了した月周回有人拠点「ゲートウェイ」の居住モジュールの一つ「HALO」の主要構造。タレス・アレニア・スペースの工場で2023年10月23日撮影(Credit: Northrop Grumman/Thales Alenia Space)】 ゲートウェイは米国が主導する月探査計画「アルテミス(Artemis)」の中継拠点となる宇宙ステーションで、月長楕円極軌道(Near-Rec
スペースXは日本時間2024年4月18日に、「ファルコン9」ロケットの打ち上げを実施しました。搭載されていた第2世代スターリンク衛星「V2 Mini」は無事に軌道へ投入されたことが、同社のSNSや公式サイトにて報告されています。 打ち上げに関する情報は以下の通りです。 ■打ち上げ情報:ファルコン9(Starlink Group 6-51) ロケット:ファルコン9 ブロック5 打ち上げ日時:日本時間 2024年4月18日6時26分【成功】 発射場:ケネディ宇宙センター(アメリカ) ペイロード:スターリンク衛星(Starlink V2 Mini)23機 スターリンク衛星は、スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク(Starlink)」で用いられる通信衛星です。同社は、高度や傾斜角が異なる「シェル1」〜「シェル8」に分類された軌道へ、最大4万2000機のスターリンク衛星投入を計画して
こちらは、soraeが2020年9月22日の記事内で紹介した『カッシーニが撮影した土星の環』です。この画像は、土星探査機「カッシーニ」に搭載されている広角カメラで2007年1月21日に撮影されました。一度に土星全体を撮影したわけではなく、45分かけて撮影した27枚の画像を組み合わせたものです。 アルファベットの「C」のようにも見えるこちらの画像は、土星探査機「カッシーニ(Cassini)」が撮影した土星の環です。視力検査で使われるランドルト環のように環が途切れているように見えるのは、本来なら中央に写っているはずの土星本体の影が落ちているから。環の撮影が優先されたこちらの画像では、露出オーバーの土星本体が画像処理の過程で削除されています。 (元記事より引用)
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