約二十年ぶりの再読である。いぜんは神経症やアダルト・チルドレンの文脈で読んだが、こんかいは親が子どもをつくる、親から子へひきつがれる虐待や無意識的な教育の連関についての文脈である。 この本が出たのは80年、日本で訳されたのは83年である。その後、虐待やアダルトチルドレンの問題はいっぱんの人にも知られるようになり、問題意識が共有されるようになったと思う。しかし残酷な闇教育についてや、殺人犯と幼少期のかかわりなど、いっぱんに深く浸透したとはいいがたい状況が広がっているのではないか。 この本の衝撃は、教育学者がいかにも残酷で攻撃的な方法で、子どもの意志や自己主張を早いうちにつぶすことが最高の教育だと、高らかに歌っていることだろう。18、19世紀の教育者がいかに残酷に子どもの心や内的生活を奪ってきたか。日本ではこの残酷な教育について、おおくの著作で啓蒙されているとはいいがたい。アリス・ミラーがすす