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中東情勢
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CNBCが「物価が二度と低下しないかもしれないワケ」と題するビデオを公開していた。 その中に少し気になる解説があった。 その経済・社会の良否は全体を見てみないとわからない。 それでもあえて物価だけを見るなら、米国の物価上昇は相当に過酷らしい。 しかも今回、物価以外まで少しスコープを広げても見方は変わらない。 《実質賃金はプラス》という過去の傾向が失われ、多くの家計は本当に貧しくなっているようだ。 そのビデオの中で、こんな解説がなされていた。 インフレについての偉大な格言の1つは『高物価の最大の治療法は高物価』というもの。 どこかに均衡点があるという意味だ。 物価は経済学者が『収穫逓減』と呼ぶ点に到達し、そこでは(企業は)もはや価格決定力を持つことができず、引き下がるしかなくなる。 企業はまだその点に達していない。 非常に冷静で教科書通りの分析だが、庶民にとっての意味を思うと切なくなる結論だ
モルガン・スタンレーのデービッド・アダムス氏が、円安と日本株の関係について、よく聞く話の先について解説している。 「『弱い』という表現は日本円に対しては控えめすぎる。 名目ベース、対ドルで円は1990年以来最弱の水準で、実質で見ると1960年代以来の弱さだ。 なぜ弱いのかの説明はとても簡単: 金融政策の乖離だ。 経済理論によれば、資本が自由に移動する限り、国は金利と為替レートを同時にコントロールできない。」 アダムズ氏が自社ポッドキャストで1日、超円安について解説した。 「FRBの政策金利が数十年で最高で、日本が基本的に不変なのだから、経済ファンダメンタルズと合致している。」 国際金融のトリレンマを引きつつ、近年の円安はファンダメンタルズ通りとの見解を示した。 わざわざこう述べたところを見ると、何かと「投機」というあいまいな言葉で言い訳をする人たちに暗に反対意見を述べているのだろう。 さら
「今週はとてもとてもいい週だった。 まず・・・FOMCだ。 とてもよかった。」 シーゲル教授がウォートン・ビジネス・ラジオで5月第1週を振り返った。 FOMCがタカ派的にならなかったこと、雇用統計が「ゴルディロックス」といえるような鈍化を見せたことを好材料に挙げている。 「みんなスタバがよくない、ラテが高すぎる、と話している(笑)。 みんな慎重になっているのはわかるが、データはこれが低迷の始まりだとは言っていない。 少し冷えるのは悪いことではなく、GDPは先行き明らかにとてもよくなりそうだ。」 この日の発言でも、株式市場全体について直接的に強気や上昇を強調するような発言は見られなかった。 ただし、全体のトーンは明らかに強気を示すものだった。 シーゲル教授は、前週まで好調だったバリュー株・小型株が再び遅れをとっている点について、こちらは強気とは言えないトーンで語っている。 資金調達面で相対的
先週BloombergとCNBCが相次いでファストフード業界に関する短編ビデオを公表していた。 もはやお手頃価格でなくなったファストフード業界で起こる変化を解説したものだ。 いずれもマクドナルドの業績開示におけるCEOの発言を紹介するなど、共通点も多い。 Bloombergの方が数日早く公開されたのだが、CNBCの方から紹介しよう。 CNBCのビデオタイトルは「なぜファストフードはこんなに高くなったのか」。 タイトルどおり、販売価格に重点が置かれている。 ビデオによれば、ファストフードが属するCPIの品目「限定的サービスの外食・軽食」における2019-23年の上昇率は27.76%だという。 これが「フルサービスの外食」の23.78%、全体の19.18%より高いというのがビデオの問題意識だ。 なぜかと言えば、読者の多くが想像するとおり、サービス分野での賃金上昇が効いている。 事業者はコスト増
この質問はとても抽象的な質問だった。 「今日みなが聞くべきと(バフェット氏が)思うアドバイス」を聞かせて欲しいというものだった。 バフェット氏は持ち前の米国愛から話を始めている。 「あなたはこの国に住んでいて幸運だ。 ここでは世界の多くの国に存在しないチャンスがある。」 すばらしい自由の国にいるのだから、大いに人生を選別しなさいということのようだ。 あなたが幸運なら、チャーリーや私がやったように、若いあなたが興味のあることを見つけなさい。 見つからないなら探し続けなさい。 何がやりたいのか自らはっきりとした自覚を持てという。 そして、それを仕事にすべきとの考えだ。 私がいつも就活中の学生に言うのは『職に就く必要がなくてもやりたい仕事を探せ』ということ。 すごく早く見つかることもあるし、様々な経験を経た後に見つかることもあるが、自分がやろうとしていることを忘れてはいけない。 そうする上で、人
CNBCが、強い米経済と必ずしも一致しない米市民の肌感覚について短くまとめたビデオを公表している。 日本人も感情移入しやすいテーマであり、さわりを紹介しよう。 わかりやすい英語であり、視聴をお奨めしたい。 ビデオは2つの調査を紹介して始まる。 1つは、1年前より経済はよいかどうか尋ねた調査。 40%が悪化したと答え、改善と答えたのは23%だけ。 もう1つは「インフレは過去1年正しい方向に動いたか、間違った方向に動いたか?」という調査。 「間違い」が68%、「正しい」が28%だった。 (正解は後述。) ビデオでは、経済データと人々の景況感の乖離についてさまざまな原因を提起している。 たとえば、人々はよいニュースを十分に「内部化」できていないなど。 つまり、人間の認知の問題もあるとの指摘だ。 そうしたバイアスの1つとして、ビデオではUBSのエコノミストが「頻度バイアス」を紹介している。 人々は
オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏がリスクを取らないリスクを説き、バークシャー・ハザウェイの成功について分析している。 『リスクを取らないことは極度にリスクの高い戦略だ。』 マークス氏がMemoで、高名なチェスのチャンピオンの言葉を引用している。 チェスだけでなく、投資の世界でもリスクを取らないことがリスクを高めると言いたいのだ。 同氏は、効率市場のトレードオフが効いた環境での3つの選択肢を列挙する: (a) リスクを回避し、リターンはわずか、またはなし (b) ほどほどのリスクでそれに応じたほどほどのリターン (c) 大きな利益を求めながら大きな恒久的損失の可能性を許容し、高水準の不確実性を取る マークス氏は、投資家の現実を次のように書いている。 「ほとんどの投資家は(a)と、(b)のほとんどを実現できる。 投資での試練とは何らかの形の(c)を追いかけるところにある。」 高名
ジェレミー・シーゲル教授が2月21日にニューヨークで行った講演の全貌がウォートン校から公表されている。 短期予想などを尋ねられることもなく、教授が最も伝えたいことが存分に語られている。 インタビューでなく講演であるため英語もわかりやすく、ぜひ視聴をお奨めしたい。 シーゲル教授の著書『株式投資』を読んだ人なら目新しいことはないが、教授の主張の中から時事的に面白い部分を紹介しよう。 株式は実物資産だ。 株式は資本、土地、工場、設備、特許、著作権、知的財産権への請求権だ。 シーゲル教授は。1802年から2023年までの米資産クラスの実質リターンを比較しつつこう語った。 (株式 6.8%、債券 3.3%、短期証券 2.5%、金 0.6%、ドル -1.4%の順となっていた。) 単に株式の実質リターンが高いだけでなく、通貨ドルが減価しても悪影響を受けずに安定的な実質リターンを上げている点を強調している
ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏が今年録音したポッドキャストがブリッジウォーターから公表されている。 ダリオ氏は防衛費、気候変動、南北問題を例に、国際的に見ても政府支出には上向きのリスクが加わっていると指摘した。 国債発行が増える一方で利払い・償還の負担が増えれば、債券需給が悪化すると予想した。 「これが典型的なスクイーズを生むことになる。 私は多くの国々でこれを見てきた。・・・ 債務性資産の保有にはリスクがあることを認識すべきだ。 (国際)対立自体が新たな大きな(資金)需要を生んでしまう。」 さらに、ダリオ氏は国際決済の問題も表面化すると見ている。 過去の戦争を振り返ると、たとえ同盟国同士であっても、他国の通貨は受け取らなくなるものだからだ。 みんな、国がどんどん借金漬けになり、おそらくマネタイズせざるをえなくなることを知っている。 みんな、最後にどうなるかはわからな
あまり真に受けてもらっても困るのだが、あと数十年は生きるであろう筆者がいつも心配しすぎていることを紹介しよう。(3月3日 浜町SCI) 心配事なので当然いいことではない。 そんなに差し迫った話だとも信じたくない。 だから、性急に真に受けないでいただきたい。 FRBがかなり大胆に金融引き締めを続けているから、特に米国についてはこの心配事がすこし後倒しになったと考えている。 言い換えると、米国で多少悪いことがあっても、金融緩和余地が大きいから、そこそこ対処できるのだと思う。 対処後に米国は財政政策も金融政策も伸びきった状態になるから、その後が本当の心配になっていく。 さて、筆者の心配事は日本だ。 2年ほど前弊社が上梓した『超長期サイクルが終わる時 – フィナンシャルポインター流 投資家研究』の第4章に書いた内容が今の日本と一部重なる。 (同著は、ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリ
資産運用会社の創業者でBloombergコラムニストを務めるニア・ケイサー氏がBloomberg OpinionのYouTubeチャンネルで、お金にかかわる諸々の算数を紹介するシリーズを始めている。 「みんながもっと裕福になれない理由は市場のボラティリティではない。 一番の理由は、みんなが年取って貯蓄・投資する時間がなくなるまでチャンスに気づかないことだ。 このビデオは、それを変えようとする控えめな挑戦だ。」 ケイサー氏が第1回で言いたかったのは、早いうちから始めようということ。 内容はオーソドックスなもので、FP読者なら定性的には理解していることばかりだ。 ただし、何事にも新たな発見があるものだ。 さらに、このビデオが面白いのは、米国でのいくつかの数字、特に意識調査の数字が、新たなレジームを感じさせる点にある。 アメリカ人はいくらあれば「裕福」になれる? ケイサー氏は裕福になるための方法
ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者レイ・ダリオ氏は、中国が債務問題への対応を怠れば、長きにわたって経済問題を抱え続けると警告している。 数年前、習近平主席は、100年に一度の大嵐がやって来ると言い始めた。 ハリケーンの初めの数日に典型的なことだが、今それが感じられる。 ダリオ氏が自身のブログで、中国に100年に一度の大変化が起こりつつあると書いている。 同氏のブログには刺激的なコメント・予想が並ぶが、ここでは経済・市場に関する部分を紹介しよう。 言うまでもなく、現在中国が直面する債務問題だ。 これが、不動産・株式ほか資産・雇用・賃金の重しになっているという。 企業や地方政府の債務・財政問題を適切に対処しなければ長期間悪影響を及ぼし続けるとという。 ダリオ氏は、金融緩和だけで現状の中国経済を救うことはできないとし、そうすればバブル後の日本の二の舞になると警告している。 政策決定者が信用創
日本は負け戦を戦っており、降参するかもしれない。 円押し上げのためにやれることはなく、おそらく円安が続くだろう。 長く世界中を見回してきたモビアス氏がBloombergで、円相場の先行きを悲観した。 円ショートをしている人には朗報としつつも、日本にとってはあまりよくないことと考えているようだ。 この老投資家は、経験・歴史から見てありそうなことを淡々と予想する傾向がある。 モビアス氏は、自身の庭である新興国市場で起こっている現象について淡々と紹介する。 「もう1つ円や日本全般に関して興味深いのは、莫大なマネーが東南アジアや新興国市場全般で投資先を探している点だ。・・・ 日本は、中国がこれらの国々でやってきたように、存在感を高めなければならないと今気づいているのだ。」 為替と日本株の見通しを尋ねられると、モビアス氏は本質的で、かつテック好きらしい答を返している。 円安どうこうではなく、先端的な
今年から新型NISAが開始され、iDeCoと合わせて、非課税投資制度が注目されている。(3月25日 浜町SCI) 少々細かい話になるが、これら非課税制度が一部インフレ対策に役立つ点を説明しよう。 ポイントは簡単だ。 インフレは税負担を大きくし、購買力を減じてしまうということ。 インフレ時代に家計や投資家が用心すべき点の1つは税負担。 実質リターン5%の国でインフレが0%から2%になったら、名目リターンは5%から7%になる。 別に豊かになるわけではない。 しかし、税金は元本の1%から1.4%となる。 つまり、実質リターンが上がらないなら、インフレ上昇分だけ貧しくなる。 — 山田 泰史 (@Yash_Yamada) February 26, 2024 実質リターンに違いがなくても、インフレにより名目リターンが大きくなると、名目リターンから計算される税金が増えてしまう。 実質リターンに違いがなけ
FRBが利下げ方向を示唆し、日銀がマイナス金利を解除した中、市場は円安で反応した。 (市場の反応は典型的な「Sell the fact」だった。) ゴールドマンは追って予想を円安側に修正したわけだが、その理由を次のように説明した: 「穏やかなマクロリスク環境がしばらく円の重しになろう。・・・ 落ち着きつつあるインフレによる慎重なFRB利下げが円を押し上げるとも予想していない。 もしかしたら、利下げの調整への予想が、円の安全資産としての魅力を掻き立てる傾向のある景気後退リスクの確率を減らしたかもしれない。」 つまり、予想外に強い米経済と、景気下支えに前向きなFRBの姿勢が、リスク・オフの円高を誘発しにくくしたとの考えだ。 ただし、これは比較的短期の景気に根差した考え方だ。 しかも、予想修正後も緩やかに円高を見込んでいるのに変わりはない。 では、中長期的な風景に変わりはないのだろうか。 130
バブルの研究家としても知られるGMO共同創業者ジェレミー・グランサム氏が「米市場最大のパラドックス」と題する論文を公表している。 リスクが極めて多い中で市場が熱狂に包まれている点をパラドックスと表現したものだ。 利益率と株価倍率の両方が歴史的水準なら、ダブルカウントと二重の危険だ。 いつか将来、1982年7月または2009年3月の再来、史上最低水準の株価倍率と利益率の大幅低下の同時到来が待っている。 グランサム氏が、歴史的に見て高い水準にあるシラーCAPEと企業利益を危うんでいる。 いつか両方が同時に崩れると予想している。 同氏の主張は《米国株は危ない》というものだ。 その一方で(機関投資家など)どうしても米国株を保有し続けなければいけない投資家がいることも認識している。 そういう投資家には次善の策として4つの資産クラスを提案している: クォリティ株、資源株、気候変動関連株、ディープバリュ
ダブルライン・キャピタル恒例の年初座談会で、債券王ジェフリー・ガンドラック氏があたかも日本を語るかのように米国を語っている。 市場やそれを動かすマクロ経済要因について自分に言い聞かせ、他の人たちと共有しようと努めていることは、 何が起こるか予感することはできるが、そうなるまでに予想よりずっと長い時間がかかるということだ。 ガンドラック氏が、正しい予想でも往々にして実現まで時間がかかるとの経験則を語った。 ここでの予想とは年内の景気後退入りだ。 同氏は雇用の動向やイールドカーブの長短逆転の解消を兆候として挙げている。 ガンドラック氏によれば、米国ではパンデミック下での「人道主義」が解除されつつあるという。 学費ローン返済や家賃支払いの猶予が終わり、利益を増やしている企業が人員整理を始めている点を指摘した。 「私の経験上、今こそ経済の転換点がやってきた。 他の企業もみんなやっているからレイオフ
インタビュー当時の2018年は難しい時期だった。 FRBは2015年末からとてもゆっくりと利上げを開始した。 インタビュー時も利上げは続いており、ちょうどその頃、市場が悲鳴を上げ始めた。 この利上げサイクルにおける最後の利上げは同年12月である。 皆が警戒心を持っていたという意味で、少し今と似ているところもあるかもしれない。 「投資家として成功するには、少なくとも生き残らなければならない。 良い時期に生き残るのは問題ではなく、悪い時期を生き残れなければならない。 平均的な時期に生き残るのでは不十分だ。」 マークス氏は、ワーストシナリオでも生き残れるだけのマージンを残すべきと説く。 生き残らなければ、その後に来る夢のような反騰の恩恵をあずかれない。 これを取り逃すことを同氏は「投資の大罪」と呼んでいる。 マークス氏は「二次的思考」やアウトパフォームの根本についても言及している。 投資家の仕事
ある記事を読んでいて、久しぶりに日本株特有の弱気材料を強く感じ取り、暗い気持ちになった。(浜町SCI 12月12日) その材料とは、日銀による日本株ETFの買い入れだ。 方針見直しもあり、今ではほとんど行われなくなっている。 しかし、フローは細ってもストックは厚い。 日銀が株式ETFを買い入れることには最初から心配の声が大きかった。 株高の演出とまではいわないが、意図が少し弱い。 国債の代わりに買うものが必要だったのか、リスクプレミアムを圧縮するのか。 問題は、副作用まで考えた時に割に合うものだったのか、であろう。 2017年のコラムを見直してみたら、ETFに組み込まれていない銘柄、つまり指数に組み込まれていない銘柄を買うよう奨めていた。 日銀が抱える莫大なETFが将来、長期投資家にとっての「見えない天井」になるとの趣旨だった。 では、この見えない天井、今はどうなっているのか。 トウシルで
私は金融の世界のこの状況を『詐欺の黄金時代』と呼んできた。 チャノス氏がInstitute for New Economic Thinkingのインタビューで語った。 同氏はエンロンなど不正を働く企業を息長く空売りする手法で有名。 大学で金融詐欺の講義も続けている。 チャノス氏が戦ってきた投資先の1つは暗号資産だ。 同氏は、ウォール街が暗号資産のETF等に熱心な理由として、往復4%にも上る取引手数料にあると指摘する。 機関投資家はそんなに大きな手数料を払わないので、個人投資家が必要となり、だからETF等が目論まれているという。 それがまた、投資家が暗号資産に対し強気を続けられる理由にもなっている。 ところが、その思惑がうまくいくとは限らないと示唆している。 「もちろんパラドックスなのは、ブラックロックやバンガードなどがETFをローンチすれば、それは手数料の上昇ではなく低下の圧力になる。 ・
ジェフリー・ガンドラック氏のYahoo Financeインタビュー(1/2): 経済と金利のルート予想。 ガンドラック氏は以前から米経済に減速の兆しが顕著に見られると警告してきた。 改めてその見方を繰り返している。 もしも米国がまだ景気後退入りしていないなら、2024年第2四半期までに景気後退入りするだろう。 ガンドラック氏が思い描く経済・金利のルート予想は以下のとおり。 まず景気後退が到来、FRB利下げへ: 「FRBが『より長くより高く』というのはレトリックか(そう願うが)、あるいは経済が顕著に弱くなりFRBがいつもの仕事をやることになるかだろう。 それは利下げであり、利上げよりはるかに急速に進められる。 私の好きな言い方なら『FRBは階段で昇りエレベーターで降りる』だ。」 金利は低下後に趨勢的上昇へ: 「奇妙かもしれないが、私は景気後退への反応の後に金利上昇を予想している。 つまり20
CNBCがゾンビ企業についてのビデオを公表している。 その論旨が唯一の真実だとは限らないが、とても説得力のある内容で、かつアングルが興味深い。 ネタばれにならない範囲で紹介しよう。 米国では少なくとも上場会社の10%がおそらく返済できない借金を抱えている。(コロナ前のFRB推計) ・・・ Credit Risk Monitor社によるもっと積極的推計によれば、米上場企業の40%が実質的に生き残れないという。 なかなか胸に刺さる推計だ。 コロナ前に10%なら、今もっと高くてもおかしくはない。 長い超低金利・ゼロ金利がゾンビ企業を増やしてきた。 何もしなければパンデミックで消滅するはずが、手厚い財政政策と金融緩和がゾンビ企業を温存した。 そして、短期金利が突然5%以上も上昇したのである。 ビデオでは、今年は倒産を申し立てる上場企業が急増し、9月までで516に上ったと紹介している。 (耳を疑う数
米財政悪化が米金利上昇の一因となっており、金利上昇が米市場を揺さぶっている。 それにもかかわらず、米市場に対して強気な見方がコンセンサスとなっているようだ。 特に現在のような(市場)循環の状況では、クォリティ株を選好することでアウトパフォームし続けることができると考えている。 米国は、その恩恵を受ける上で地域的に最良の位置にある。 PIMCOのエリン・ブラウン氏がBloombergで、米市場例外論は終わったのかと尋ねられて答えた。 ブラウン氏は、米市場が例外なのには理由があり、今後も続くと考えている。 米市場の優位性には潤沢なキャッシュフローなど優れた質という裏付けがある。 キャッシュリッチの米企業は高金利の恩恵を受けている。 ブラウン氏は、今景気サイクルについてソフト・ランディングを予想しているようだ。 同氏は、年末から来年にかけて、あと一度、FRB利上げまたは市場金利上昇があると覚悟し
アリアンツ経済顧問モハメド・エラリアン氏が、年内にまだ利上げが行われる場合、米経済を打ち壊す可能性があると警告した。 「簡単な方の答は、月・火がハト派のFRB高官発言で利回り低下。 水・木は予想よりやや高いインフレで利回り上昇。 今日(金)は地政学的懸念で利回り低下だった。」 エラリアン氏がBloombergで、忙しい週となった債券利回りについて解説した。 しかし、これは表層を解説したにすぎない。 金利が日々の材料に大きく左右されるのは、債券が糸の切れた凧のようになっているからだという。 難しい方の答は、債券市場のアンカーがすべて、すべて失われたということだ。 経済のアンカーも、テクニカルのアンカーも、政策のアンカーも失われた。 エラリアン氏は、今のところは金利がレンジに収まるような力が働いており、急変が限定されているという。 とはいえ、債券市場のアンカーが失われた状況では、債券価格(利回
イールドカーブ・コントロール解除の観測が高まるにつれ、それにかかわる質問を受けることが多くなった。 一稿書こうかと思ったが、この話すでに何年も前に優れた予言がなされていたので重複は避けよう。 それは、日銀で調査統計局長を務めた早川英男氏による『金融政策の「誤解」–“壮大な実験”の成果と限界』だ。 2016年に上市されたこの本はエコノミスト賞を受けるなど高く評価された。 読者の多くもすでに読まれたであろう。 現在、イールドカーブ・コントロール解除の予想や懸念を議論するのが流行っているが、主たる論点はすべてこの本に書かれている。 当時の書評はとっかかりとして役立つかもしれない。 (アマゾン) (FP書評、2016年10月29日)
すでに一部をお伝えしたが、GMO ジェレミー・グランサム氏の8月17日のインタビューの内容が公表されたので、興味深い点を紹介しよう。 1998-99年はいうまでもなく輝かしいバブルだった。 どんどんどんどん上昇した。 グランサム氏がBloombergのインタビューで、2000年にピークを打ったドットコム・バブルを回想した。 2000年前後のS&P500指数 グランサム氏が言及した時期とは、米国で「根拠なき熱狂」と言われた上げ相場の最終局面にあたる。 (この言葉は1996年ロバート・シラー教授らがグリーンスパンFRB議長(当時)に話し、議長が2日後の講演で用いたものだ。) GMOは当時をバブルと考え、リスク・オフで臨むことを決断する。 先見の明のある人にしばしば起こることだが、これが早すぎた。 「この間は残虐な2年間で、企業利益も上昇した。 市場は1998年の史上最高値から飛躍的な動きを見せ
ジム・ロジャーズ氏が、いつものとおり予見可能なコメントを重ねている。 この人の予見可能性は(少々のリップ・サービスを除いて)投資推奨で受けを狙わない誠実さの証だ。 「インド株は史上最高値で、誰かがインドで素晴らしい仕事をしたんだろう。・・・ でも、過去数か月インド市場は素晴らしく、良すぎるから私は買っていない。 インドがまた安くなったら、買えるだけの頭を持っていたいね。」 ロジャーズ氏がインドETのインタビューで、いつものようにリップ・サービスをしている。 このくだりの読み方は、インドには興味がないという意味だろう。 ロジャーズ氏はジェントルマンかつエンターテイナーであり、ショーのホストが望むことをちゃんと話してあげる。 ホストがその国を褒めてほしければ褒めるし、けなしてほしければけなす。 今回は前者だ。 でも、投資対象としてはあまり興味はないのだろう。 インド株が上昇する前でも、同市場に
バリュエーション学長の異名があるアスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授が、NVIDIA株について辛口のコメントを寄せている。 いいニュースから始めよう。 この会社は驚異的な会社で、成長前に市場を発掘できている。 ゲーム、暗号資産、AI向けなどの市場をリードしている。 ダモダラン教授がCNBCで、企業としてのNVIDIAを称賛した。 しかし、株式については異なる考えになる。 企業としてのNVIDIAがいかに優れていようが、高すぎるNVIDIA株には魅力はない。 教授はテスラ株についても同様のスタンスをとってきた。 ダモダラン教授は以前からNVIDIA株の評価額を240ドルと公表してきた。 教授は同株を安い時に仕入れ、急騰した5月末に半分売却している。 450ドル前後で買うつもりはないが、ファンダメンタルズに関係なく短期的に上昇する可能性は否定していない。 バリュエーションの専門家でありな
ローレンス・サマーズ元米財務長官が、ジャクソン・ホールでのパウエルFRB議長の講演について絶賛している。 彼は中立金利が上昇したとの見方を明示的にではないが認識していた。 中立金利という言葉こそ使わなかったが、高い金利の中でも多くの人の予想より高い経済成長が実現しているといった。 FRBが注視すべきことだ。 サマーズ氏がBloombergで、ジャクソン・ホールでのパウエル議長の講演についてコメントした。 同氏は議長がインフレ退治に重点をおいた姿勢を続けている点を評価・賛同している。 今回の講演の最大の注目点が中立金利だった。 仮にFRBが中立金利の上昇を認めれば、それはFF金利の適正水準をも押し上げることを意味する。 パウエル議長の発言がそこまで意図しているかは意見が分かれようが、似たニュアンスの話であるのかもしれない。 「まだ利上げが必要になるだろう。 予想される収縮は大きくない。」 景
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