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2024年1月22日 国際アートエンタメ 「日本と韓国の文化戦略 ~我々はどの程度「世界で勝負」できており、そのためには何が必要なのか~」 弁護士 福井健策 石井あやか (骨董通り法律事務所 for the Arts) 1 日本作品、大当り年 明けましておめでとうございます。年が明けてもコラムの時間が取れない福井と、コラムデビューの石井のコンビでお届けする、新春初コラムです。 せっかくなのでめでたい話から入りますと、昨年はこれまで以上に日本文化・コンテンツの世界人気を実感した年でした。特にけん引役は、映像でしょう。のっけから「THE FIRST SLAM DUNK」の凄まじい達成や「すずめの戸締まり」の人気で沸いた年初でしたが、つづく「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は、なんと既に世界のアニメ歴代興行成績の第2位1。もうこの上は5年前の「アナと雪の女王2」しか残っていないという驚異
2023年5月30日 著作権名誉・プライバシーIT・インターネット映画 「全世界配信向け映像制作の権利処理の勘所 ~架空のドラマ「軽井沢らへんで、きょう何たべる?」を題材に~」エピソード01 弁護士 鈴木里佳 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 2022年春- コロナ禍により遠のいた観光客の足がまだ戻らず静かな軽井沢に、この地への移住生活を決めた2人の男があらわれる。弁護士のタロウと、デザイナーのユウジ。のどかな田園と大きな森のコントラストが美しい発地(ほっち)地区の中古の格安ログハウスに移り住み、リモートワークをしながら、軽井沢近郊の食材・料理の並ぶ食卓を2人で囲む毎日が始まった。この作品では、“軽井沢らへん”の実際の店舗や食材の紹介を交えながら、この土地の人々との出会いを機に、ときに揺れ動きながらも、穏やかに続く2人の日常を描く。 「これ、何のコラム??」という感じですが
2023年4月27日 著作権肖像権・パブリシティ権IT・インターネットAI・ロボットエンタメ 「~AI社会の到来に備える~ AI学習が許されるのはなぜ?AI生成物が著作権、隣接権、肖像権を侵害する?」 弁護士 寺内康介 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 目次 第1 導入 第2 AIによる学習段階 1 AIによる著作物(イラスト、写真、文章、楽曲等)の学習 2 AIによる実演(歌唱・演奏、演技等)の学習 第3 AIによる生成と権利侵害 1 AIによる作品の生成と著作権侵害の成否 2 AIによる実演の生成と著作隣接権侵害の成否 3 AIによる生成と肖像権、パブリシティ権侵害の成否 4 AIによる生成とディープフェイク 2022年夏、Stable Diffusion、Midjourneyなどの画像生成AIがイラスト業界を中心に衝撃を与え、今度はテキスト生成AIであるChatGPT
2023年4月25日 著作権商標肖像権・パブリシティ権名誉・プライバシー個人情報IT・インターネット 「仮想空間の権利とルール 政府『メタバース官民連携会議』は何を話しあったか」 弁護士 福井健策 (骨董通り法律事務所 for the Arts) ご存知の方も多いでしょうが昨年11月、内閣府の知財戦略本部にメタバース官民連携会議という物々しい名前の会議が立ち上がりました(中村伊知哉座長、上野達弘副座長)。 筆者はそのうちアバター部門の分科会長を務めていますが、会議では代表的なメタバース系企業や知財系の研究者・実務家、果てはVR住民が集い、成長を続けるメタバースをめぐる実に多様な知財ほかの論点と、官民での対応方向を整理しています。まさに課題の百貨店状態で、現時点ではこの分野でのかなり包括的な検討と言えるでしょう。 ついにそのパブコメが開始されましたので、そろそろまたAIの話も飽きたなという夜
2022年10月27日 著作権裁判IT・インターネット映画出版・漫画 「ファスト映画 ~引用・二次創作・ネタバレについて寄せられた疑問等~」 弁護士 小山紘一 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 1.ファスト映画とは 皆さんは、ファスト映画という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 映画を無断で短く編集した動画(キャプチャ画像を相当数用いたスライドショー動画のようなものもあります)のことです。正式な定義があるわけではありませんが、映画の内容全体を10分程度にまとめたYouTube投稿動画を指してファスト映画(ファストシネマとも)と呼ばれるようになりました。 視聴回数を増やして広告収入を稼ぐため、単に映画を短くまとめるだけでなく、字幕やナレーションといった元の映画にはない表現が追加され、映画の内容全体を分かりやすく説明する工夫が凝らされたりもしています。 ファスト映画の「ファスト
2022年9月29日 著作権肖像権・パブリシティ権IT・インターネットアート 「正しく活用したい、写真・イラスト素材の注意点」 弁護士 原口恵 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 1.はじめに 写真・イラスト素材は、いまや私たちの生活に不可欠なものといえるほど、様々な場面で使われています。ブログやSNSの投稿はもちろん、会議やセミナーの資料、パワポのスライド等、ビジネスの場面でもよく使われています。文字だけだと味気なかったものが、写真・イラスト素材を使うことで視覚に訴えかけ、分かりやすくなり、見る者の目を引くことも可能となります。しかし、ネット上にはたくさんの写真・イラストがアップされており、コピペするだけで簡単に使えてしまいます。資料やウェブサイト中に「Sample」等の透かしが入ったサンプル用の素材が無断使用された、といったニュースを見たこともあるのではないでしょうか。
2022年10月25日 著作権裁判教育音楽 「JASRAC・音楽教室裁判最高裁判決-カラオケ法理は終焉を迎えたか」 弁護士 橋本阿友子 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 10月24日午後3時、JASRAC・音楽教室裁件について、最高裁で判決が言い渡されました。結果、生徒の演奏にJASRACは使用料を徴収できない、との結論が確定されました。 最高裁判決に先立つ高裁判決は、教師の演奏には演奏権が及ぶ(JASRACは使用料を徴収できる)が、生徒の演奏には及ばない(JASRACは使用料を徴収できない)と判断していました。この判決に対して、原告・被告は共に上告していましたが、最高裁が後者についてのみ弁論を開くと決めた段階で、審理対象は、生徒の演奏についての主体が誰かという点に絞られていました。そのため、教師の演奏に演奏権が及ぶことについては既にJASRACの勝利が決まっており、最高裁
2022年10月19日 (2022/10/24追記) 著作権裁判教育音楽 「ついにJASRAC・音楽教室裁判が最高裁決着 論点と、判決の影響をもう一度駆け足で考えてみる」 弁護士 福井健策 (骨董通り法律事務所 for the Arts) さて、いよいよJASRAC・音楽教室裁判の最高裁判決が10月24日と迫りました。(※判決を受けて、末尾に追記しました) 2017年を迎えJASRACが音楽教室からの使用料徴収の方針を発表して、世論が沸騰。ヤマハなど音楽教室側は57万人の反対署名を提出するなど徹底抗戦の姿勢を示したのが発端でした。 約250の教室事業者がJASRACの著作権が及ばないことの確認を求めて逆提訴して以来、6年ごしの大型裁判がついに決着の時を迎えます。 この間の経緯や社会の反応、裁判の影響については、このコラムとその後の追記を参照いただければ。 知財高裁の判断をざっくりと復習する
2022年6月29日 著作権商標IT・インターネットエンタメゲーム 「メタバースによる「現実の再現」とその権利関係」 弁護士 岡本健太郎 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 昨今、メタバースが注目を集めています。メタバースとは、インターネット上に作成された三次元の仮想空間です。オフィスワーク、ショッピングなどのほか、エンタテインメントの分野でも、ゲーム、イベント、ファッションなどに用途が広がりつつあります。メタバースの主な構成要素として、背景(建築物)、アイテム、アバターなどが挙げられますが、メタバースは、都市再現型に限らず、多少なりとも、実在する建築物、商品、人物などをモチーフにすることがあります。今回は、実在する建築物、商品、人物などの再現に伴う権利関係について、著作権、商標権、意匠権などを中心に、そのポイントを整理します。 ◆メタバースとは メタバースは、「meta」(
2022年5月26日 著作権 「問題のAV出演被害を著作権法の観点から考える」 弁護士 橋本阿友子 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 2022年4月1日より、成人年齢が18歳に引き下げられました。それに伴い、意に沿わずにアダルトビデオ(AV)に出演してしまった18歳、19歳の被害救済がはかれないのではないかとの指摘が強まり、これをきっかけにAV被害問題が改めて社会論争となっています。本稿は、この問題につき、著作権法の観点から検討するものです。 AV出演は、芸能界への登竜門であるなどと勧誘されたり、出演を断ると高額の違約金がかかるなどと脅されたりして、意に反してなされることが珍しくありません。契約に関する知識や経験が乏しい若者がターゲットとなることも多く、かねてから救済策が模索されてきました。そんな中、東京地裁は、出演者はAVに出演したくない場合、プロダクション等との契約をい
2022年5月11日 国際アートエンタメライブ 「諸外国のコロナ文化支援の比較と、日本がこれから考えるべきこと」 弁護士 福井健策 (骨董通り法律事務所 for the Arts) コロナ禍と文化芸術の危機、現場支援や政府・各団体との協働も3年目に突入しましたが、今後の社会危機と文化芸術支援を考える上で、決定版ともいえる報告書が先ごろ公表されました。 筆者も協力した、文化庁・獨協大による「新型コロナの影響に伴う諸外国の文化政策の構造変化に関する研究」報告書です。本文は約200ページの大作ですが、読みやすいサマリー版もあり、特に6ヶ国の文化支援の比較年表は素晴らしい。(年表はご快諾を得てコラム末尾に転載します。報告書執筆は朝倉由希・秋野有紀さんなど6名) いやあ、お疲れ様でした!皆さん、サマリー版や報告書本文をぜひ読んでください。 ・・・で本来終わりなのですが、それではコラムにならないので以
2022年3月31日 著作権IT・インターネットアートアニメゲーム出版・漫画 「ファンアートに関する二次創作ガイドラインの在り方を考える -ネット上におけるファンアートと著作権法の関係を踏まえて-」 弁護士 田島佑規 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 小学生の頃、とても絵が上手な友人がいた。彼は「とっとこハム太郎」のキャラを愛しており、ハム太郎と仲間たちが行うオリジナル野球漫画を描いては私に読ませてくれた。他にも「ONE PIECE」に出てくるキャラクター「シュシュ」を主人公にしたオリジナル漫画を描いていたこともあった。私は彼の作品をいつも楽しみにしており、新作がでるたび一心不乱に読んだ。青春の一コマである。 彼のそうした作品づくりは今思えば二次創作と呼べるものだったのかもしれないし、最近よく耳にするフレーズでいえばファンアートとも呼べたのかもしれない。ファンアートとは法律
ネット上の誹謗中傷(特に、SNS上の書き込みやツイートなど)は、事実の摘示(記載)がないため名誉毀損罪には該当しないものも少なくないでしょう。しかし一方で、侮辱罪では現行の法定刑は軽すぎて抑止になりにくい(これまでのネット上の誹謗中傷事件では、科料にとどまっている例が多いようです)、被害者を死に追いやるほどの(2020年にテレビ・配信番組を契機として起こったような)誹謗中傷を防ぐこともできない、という問題意識は十分理解できるところです。そのため、緊急対応として法定刑を引き上げることには相応の合理性があるといえましょう。 ◆ 効果と弊害:将来の検証(の可能性)に向けて しかし、法定刑の引き上げによって、軽微な行為であっても、法律上は懲役刑などの対象に含まれ得ることになります。その結果、濫用的な取り締まりや、(特に政治的な)言論活動を萎縮させてしまうおそれもないとはいえません。 これに対しては
2021年12月27日 刑法エンタメライブ 「『チェキ券』と『風営法』をめぐる噂の真相? ――アイドル研究者が弁護士といろいろ考えたいくつかのこと」」 スタッフ 上岡磨奈(骨董通り法律事務所 for the Arts) 2021年12月はじめ、「チェキ券の販売が風営法に抵触する」という話題をめぐって一部のアイドルファンの間で小さな「騒ぎ」が起こった。諸々の補足をすると、「チェキ券」というのは、アイドルとファンが富士フイルム株式会社のインスタントカメラ「チェキ(instax)」を用いてツーショット写真などを撮影するためのチケットである。撮影した「チェキ」は、手のひらにおさまるほどのサイズで、アイドルを主題とした人気漫画やテレビドラマのメインビジュアルに用いられたり、キャラクターグッズの「アイドル応援シリーズ」として関連商品が発売されたりと、アイドルを象徴するアイテムの一つとなっている。つまり
2021年12月28日 著作権出版・漫画 「ファストコンテンツって、悪いのか? ~「良い要約」と「悪い要約」を考えてみる~」 弁護士 福井健策 (骨董通り法律事務所 for the Arts) いや、今年は本当にコラムを書く時間がありませんでした。で、年末になってやっと、こうして自分の中に澱みのように溜まっていた「このテーマで書きたかった」を解呪している年末リベンジ戦な訳です。今回は、本を図解するタイプの「ファストコンテンツ」を考えます。 図解要約をめぐる論争 少し前、あるラジオ番組でファストコンテンツについての出演依頼を頂きました。 ファストコンテンツ。流行りましたね。有名なのは「ファスト映画」で、公開中の映画を画面のキャプチャやストーリーとか聞かせどころの台詞満載で数分の動画に仕立てて、YouTubeで見せるようなものが典型です。テキストベースもあります。これが逮捕されて、かなり社会問
2021年11月29日 著作権IT・インターネットライブ音楽 「改めて原盤権 -配信での音源利用は進むのか-」 弁護士 寺内康介 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 演劇、ダンス、スポーツ、各種ショーから企業の販促イベントまで、既存の音源(原盤)が利用される場面は多い。コロナ禍をきっかけにオンライン配信は飛躍的に増えたが、音源の配信には「原盤権」の権利処理が課題となる。 そこで、原盤権とはなにかから、権利処理の方法、配信に関する集中管理の現状まで、原盤権にまつわるエトセトラをお届けしたい。 1 原盤権とは 原盤権を理解するには、CDなどの音源が作られる過程を想像することが近道である。 まず原盤制作の前提として、楽曲制作がある。楽曲(歌詞とメロディー)を作った作詞者、作曲者には、歌詞、メロディーに対する著作権がそれぞれ発生する。実務上「音楽著作権」などと呼ばれるが、これは原盤権
2021年10月29日 著作権メディアIT・インターネットアートエンタメ 「コンテンツNFT ~権利と収益還元の視点から~」 弁護士 岡本健太郎 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 昨今、NFTへの注目が高まっています。アート、ゲーム、ファッション、音楽、スポーツなど、様々なコンテンツ分野に利用が広がっているほか、大手企業、有名タレントなどもNFTの取組みを始めています。売買や収集だけでなく、メタバースなどの仮想空間上のアイテム、コンサートのチケットなど、その用途に広がりも見られます。今回は、今後の用途の広がりも見据えつつ、特に、コンテンツ分野で利用されるNFTの権利と収益還元について考えます。 ◆NFTとは NFT(Non-Fungible Token)は、本年(2021年)4月のコラムでも取り上げましたが、依然として確立した定義はありません。ただ、一般的には、NFTは、「
2021年7月30日 憲法個人情報メディアIT・インターネット 「フィルターバブルの進行する中で ―― 情報の多様性確保と主体性の回復」 弁護士 二関辰郎 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 同じ経験をしても人によって感じ方は異なる。同じ情報に接しても人によって受け止め方は異なる。よくあることだが、本コラムで取り扱うのはそういうことではなく、他の人と同じだと思っていた情報が、実は各人向けに加工(パーソナライズ)されていて、そもそも接する情報が人によって異なるという話だ。 テレビ、ラジオ、新聞、雑誌では、他の人と自分が見る情報は、地域や版による違いなどを別とすれば同じである。しかし、インターネット上ではそうではない現象が進行している。そういった現象を指す言葉に、フィルターバブルとかエコーチェンバーがある。本コラムでは、割と多方面に話が及び多数の用語に触れることや、わかりやすさ重
2020年10月29日 裁判 「民事訴訟で弁護士がしている5つのこと ~弁護士に訴訟を依頼するときのために~(前編)」 弁護士 松澤邦典 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 1. はじめに 宮澤賢治は、「雨ニモマケズ」の中で、「北ニケンクヮヤソショウガアレバ/ツマラナイカラヤメロトイヒ」と謡っている。しかし、果たして訴訟とはツマラナイものなのか? 勝訴・敗訴という言葉があるが、単に勝ち負けを争って、用心棒よろしく相手方を打ちのめすのが弁護士の仕事ならば、喧嘩とさほど変わらない。宮澤賢治は、「ケンクヮヤソショウ」と言っているので、喧嘩のような訴訟をツマラナイと言っているのだろう。 しかし、弁護士は用心棒や喧嘩屋とは少し違う。いや、だいぶ違う。民事訴訟では、法廷という土俵があり、原告と被告が四つに組み、裁判官という行司がいる。訴訟の勝敗を決める権力(=司法権)を持った裁判官を前に
2021年6月29日 (2021年7月5日加筆) 肖像権・パブリシティ権アーカイブ 「肖像権ソフトローの試み ~正式公開された『肖像権ガイドライン』を概観する~」 弁護士 福井健策 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 肖像権、この厄介なもの さて、一気に書き上げようと思う。何をか。ちょっと目にして気になってたけど、でもちゃんと読んだことはないんだよねという方のために、正式公開された「肖像権ガイドライン」を駆け足でマスターして頂こうという趣向だ。 肖像権。これは厄介な権利だ。いや、もちろん大切だ。誰でも自分の姿などを勝手に撮影されたり、公開されたりしない権利がある。人格権の重要な一側面だ。ただ、例えばこれが著作権ならば「著作権法」という法律がある。のべつまくなしに壁だとか機能不全とか言われる、実に気の毒でいたいけな法律なのだが、とにかく条文がある。だから困れば読めば良い。難解だ
2021年4月28日 著作権契約メディアIT・インターネットアート音楽ゲーム 「話題のNFT。権利関係を見てみよう」 弁護士 岡本健太郎 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 最近何かと話題のNFT。アート、音楽、ゲームなど、様々なコンテンツを対象としてNFTが発行されています。コンテンツや参加者の広がりに加えて、Twitterの創始者Jack Dorsey氏の初ツイート(約3.1億円)、Beeple氏のデジタル作品(約75億円)など、高額で取引されたNFTも存在します。一方、無権限者がNFTを発行する事例もあるようです。現状はNFTに過熱感も感じるものの、今後も様々な利用が予想されます。本コラムでは、対象コンテンツや権利関係を中心に、NFTを考えます。 ◆NFTの概要 NFT(Non-Fungible Token)は、代替不能なトークンなどと訳され、ブロックチェーン技術を利用
2021年2月26日 著作権裁判アート 「現代アートの見方・捉え方 - 『アイデア』と『表現』の境界線」 弁護士 岡本健太郎 (骨董通り法律事務所 for the Arts) ピカソは、マティスの作風をイメージして「黄色い髪の女」を描き、マティスは、ピカソの同作品を思って「夢」を描いたと言われています。2人の巨匠の関係性を示すエピソードです。その経緯からして両作品は似ています。ただ、おそらく、本人たちは両作品が著作権侵害になるとは考えておらず、また、両作品を見比べて著作権侵害だと考える人も少ないでしょう。 現代アートでもテーマやモチーフが似た作品がありますが、従来のような絵画と比較して、著作権侵害の判断が難しいことがあります。先日も、「金魚電話ボックス」の裁判において、大阪高裁は、原審の奈良地裁と異なり、著作権侵害を認めました。本コラムでは、著作権法で保護されない「アイデア」と保護される「
2021年1月28日 著作権契約国際メディアIT・インターネット 「デジタル時代における著作権制度・関連政策の在り方検討タスクフォースの進捗報告 ~UGCを中心に~」 弁護士 出井甫 (骨董通り法律事務所 for the Arts) ◆はじめに 筆者は、2020年5月から内閣府知的財産戦略推進事務局の参事官補佐を兼務しています。 現在、同事務局では「デジタル時代における著作権制度・関連政策の在り方検討タスクフォース」を立ち上げ、デジタル時代の実態に応じた著作権制度及び関連政策の在り方について検討しています。同タスクフォース(TF)で扱うテーマは多岐に渡りますが、本コラムでは、その中でも特に重要と思われる「UGC」について、TFでの議論の状況を報告しながら筆者なりに考えてみたいと思います。 目次 ◆UGCを検討するに至った経緯 ◆UGCの影響力と議論の方向性 ◆現状と課題 (1) UGC創作
2020年11月27日 著作権商標アートエンタメ映画アニメゲーム出版・漫画 「これってOK!? コンテンツにおける建築物の画像利用」 弁護士 岡本健太郎 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 写真、映画、TV、漫画・アニメ、ゲーム、VR/AR、グッズなどなど。建築物は、風景の一部ということもあって、実に多くのコンテンツで利用されています。一方、建築物は、著作権だけでなく、商標権、意匠権などでも保護される可能性があります。 京都の平等院は、鳳凰堂の写真のジグソーパズルを販売していた玩具会社に対して、販売停止等を求めて訴訟提起していましたが、先月(2020年10月)和解が成立したようです。コンテンツにおいて建築物の画像を利用する際に、不用意に権利侵害等とならないよう、本コラムでは、コンテンツにおける建築物の画像利用について考えてみます。 ◆平等院の事件 昨年(2019年)の報道によ
2020年9月29日 著作権改正IT・インターネット 「令和2年著作権法改正を俯瞰する-施行を目前に控えて」 弁護士 橋本阿友子 (骨董通り法律事務所 for the Arts) はじめに 令和2年6月、「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、公布されました。 今回は、その一部につき10月1日から施行される改正法の全体像を説明したいと思います。なお、施行日は、改正点ごとに異なりますので、ご留意ください。 【改正事項】※下線部は施行日 1. インターネット上の海賊版対策の強化 (1) リーチサイト規制:令和2年10月1日 (2) ダウンロード違法化:令和3年1月1日 2. 著作物の円滑な利用を図るための措置:令和2年10月1日 (1) 写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大 (2) 行政手続に係る権利制限規定の整備 (3) 著作物等の利
この表では、「○」は侵害を認めたことを意味し、「×」は侵害を否定したことを意味します。また、特に言及のない部分は、「-」と表示しています。 リツイート行為に焦点を当てると、知財高裁では、①原告写真がトリミング表示された点を、同一性保持権の侵害とし、②トリミングの結果として氏名表示が非表示とされた点を、氏名表示権の侵害としました。これに対して、最高裁は、①同一性保持権の侵害については、上告受理決定の際に上告理由から排除し2、②氏名表示権の侵害のみを肯定しました。 最高裁の氏名表示権に関する判断は、リツイート行為による著作権(複製権・公衆送信権)侵害の有無や評価にも関係します。氏名表示権(19条1項)の解釈として、概要、①法定利用行為(著作権法21条から27条に規定する行為)が伴う場合に限り、氏名表示権侵害を認める考え方と、②法定利用行為が伴わない場合であっても、氏名表示権侵害を認める考え方な
2020年5月25日 憲法メディア 「忘れないための覚え書き」 弁護士 二関辰郎 (骨董通り法律事務所 for the Arts) コロナ禍のために人々は普段と違う生活を余儀なくされている。世界の状況も日々ニュースで伝えられる。同時代人という言葉を世界的なレベルでこれほど意識したことは、かつてなかったように思う。 何かの渦中にあるとき、とりわけ今回のように自分や身近な人々の生命・健康に直結する問題に直面するとき、人の関心は自ずとそこに向かう。メディアも連日大きく取り上げる。そのこと自体は必要かつ大切なことだが、同時に他の大切な問題も忘れないようにしなければならない。目下のコロナ禍が過ぎてから考えればよいのかもしれないが、その時には、何か別の問題が起きていて人々の関心を集めているだろう。結局のところ、次々に起こる新しい出来事を受動的・表層的に追いかけ、前のことはもう過ぎたこと、古いこととして
2020年4月30日 著作権肖像権・パブリシティ権IT・インターネットライブ 「リモート社会とオンライン配信の著作権・肖像権ガイド(拡張版)」 弁護士 福井健策 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 「小説や絵本など既存の作品を、YouTubeなどで朗読・読み聞かせしたい、という相談が増えている。公衆送信にあたるので、原則は著作権者の許可を貰ってになるが、著作権の切れたパブリックドメイン(PD)の作品はほぼ自由に使える。例えば、乱歩・谷崎・太宰・賢治・吉川英治・山本周五郎など、1967年以前に死亡した日本作家の作品だ。」 ――ということをつぶやいたら反響が大きく、「青空文庫の作品は全部大丈夫ですね」「翻訳ものは?」「保護期間は死後70年に延びたのでは」など、様々な質問があった。 その後もオンライン配信やオンライン講義を巡る質問は多いので、コロナ禍で爆発的に加速化したリモート・配
2020年3月30日 (2020年5月23日最終追記) アートエンタメライブ 「危機のライブイベント・芸術文化への、各国と日本の緊急支援策を概観する」 弁護士 福井健策 (骨董通り法律事務所 for the Arts) 【5月23日:下記は4/16までの情報です。5/14、筆者も世話人となって「緊急事態舞台芸術ネットワーク」が舞台芸術53団体によって設立発表されました。最新のライブイベント界への支援策情報は、寺内康介・田島佑規弁護士と共に同HP「支援策」のページにてアップデートして行きます。】 コロナウィルス禍での政府や都などの自粛要請を受け、劇場・コンサートホール・スポーツ大会などが次々と中止・延期を決めてから、既に1ヶ月以上になる。 全国公立文化施設協会(公文協)の調査によれば、イベントの中止率は2月下旬~3月前半で既に90数パーセントに達しており、他業種と比べても群を抜いて高い。チケ
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