古都のシンボルとなっている興福寺(奈良市)の国宝・五重塔の約120年ぶりとなる大規模修理で、高さ約50メートルの塔を覆う巨大な素屋根の建設工事が本格化している。今後、塔は次第に見えにくくなり、工事が完了するまで7年近く姿を隠す。 素屋根は鉄骨造りで、高さ約60メートル、幅約40メートル。現在はクレーンを使って2層目の長さ約8・5メートルの鉄骨柱を建てる作業を行っている。上部には屋根が設けられ、素屋根が完成すると塔はすっぽりと覆われる。 興福寺五重塔は国内で現存する木造塔としては京都・東寺の五重塔(国宝)に次ぐ高さ。奈良時代に創建されて以降、焼失と再建を繰り返し、現在の塔は室町時代に再建された。 奈良県文化財保存事務所によると、塔は明治時代に修理されたが、劣化が進み、瓦屋根の葺(ふ)き替えなどが必要な状況という。工事の完了は令和13年ごろの見込み。