10年で売り上げを1.3倍(30%増)に伸ばした豆腐メーカーが、佐賀県にある。佐嘉平川屋(佐賀県武雄市)だ。倒産の崖っぷちから起死回生の成長を遂げた同社は、2024年7月期には売上高10億円超を見込む。その軌跡は、かつて失った「価格決定権」をリブランディングによって取り戻そうとする挑戦の連続だった。 安価でヘルシーな食べ物として、日本人の生活に溶け込んでいる「豆腐」。しかし、豆腐業界を巡る環境は実に厳しい。厚生労働省によると豆腐製造事業所数は1960(昭和35)年には全国で5万以上あったが、2019(令和元)年には6000を割り込んだ。ピーク時のほぼ10分の1だ。今も毎年400~500軒のペースで減り続けているという。 豆腐メーカーが減少の一途をたどる要因は様々だが、スーパーマーケットなど特定の流通チャネルへの過度の依存と、それによって価格決定権を喪失してしまったことは無視できない。 豆腐