理由は、働く主婦が3人に2人という時代になっていて、帰宅後洗濯する主婦が増えてきているという洗濯実態の変化を、身をもって知っていた。また、集合住宅に住んでいれば夜の洗濯機のモーター音、排水音を気にしながら洗濯するという実態。このような社会情勢の裏付けをすることで、男性ばかりの宣伝部は想定外の戦略を受け入れた。静音設計を正面に据える戦略「静御前」というネーミングである。残業や飲み会で遅く帰ることが増えた女性に「静御前」はヒットした。 企画立案には、社会観、世界観、人生観の三つが大切だと思う。今、世間で起きている「社会観」に立脚したことで、「静御前」という洗濯機が集合住宅で王座を占めた。 土屋耕一さんの「世界観」、眞木準さんの「人生観」 一方で、オリエンテーションをいただけないケースもある。いい企画があれば持っていらっしゃい、と。私が携わっていた、昔のサントリーはそうだった。このような場合は、