朝日新聞の27日夕刊を開いて、目を疑った。いや目を背けた。社会面に漫画「はだしのゲン」から「首をおもしろ半分に切り落したり」「妊婦の腹を切りさいて中の赤ん坊をひっぱり出したり」など、旧日本兵が中国戦線で行ったとする残虐なシーンが4コマ掲載されている。 ▼うち1コマは朝刊にもあり、「松江市教委が問題視した場面」という説明が付いている。記事では作者の故中沢啓治さんの妻、ミサヨさんが「私もショックを受け『残酷すぎるのでは』と言いました。主人の答えは『きれいな戦争というのはないんだ』…」と語っている。が、こんなシーンは市教委ならずとも子供たちに見せたくない。 ▼そもそも旧日本兵の蛮行に根拠はない。閲覧制限を表現の自由に関わるとする以前に、小欄は作品そのものに問題ありと考える。まして新聞に掲載された残虐シーンは事実として独り歩きしかねない。どこかの国はまた反日の材料ができたとほくそ笑んでいるだろう。