近年、ニコニコ動画から登場するミュージシャンはますます多くなっていて、音楽業界では全く無視できない存在になっている。オリコンチャートの上位にニコニコ動画関連のクリエイターの名前を見ることは珍しくないし、そうでなくても人知れずロングヒットを続けている作品は多い。 でも従来の音楽シーンの側が、音楽家としての彼らに理解を深めているとは言い難い。けっこう十把一絡げに「ニコニコ動画出身」「再生数○万回」という惹句が躍るばかりだ。要するに、今や新しいミュージシャンたちを「ネット出身」という言葉だけで片付けるのは難しくなっている。ネット出身者にもいろいろな形があって、その違いが彼らの活動を特徴付けているのだ。それは「ネット/現実」という単純な二項対立の時代の終わりをも意味している。音楽というジャンルはそうした変化が分かりやすく現れていて、その意味で新しい時代の先頭にある。 まずこうした状況を理解しないと