今から20年前の2000年を超えたあたりから、アメリカ流の新自由主義的な考え方が日本に流れ込んできました。そのとき、セットで取り上げられたのが「自己責任論」です。 実はこの「自己責任論」が大手を振るう中で、それに振り回される形でさまざまなものを抱え込み、心を病んでしまう人が少なくありません。「自己責任論」が持つ矛盾と、それを振りかざす論者たちの本当の思惑を知ることで、心の病に陥るスパイラルから脱することが大切です。拙著『メンタルの強化書』をもとに解説します。 一見、まともに見える自己責任論 まず「自己責任」が声高に言われ始めたのが金融業界でした。金融自由化で銀行をはじめ金融機関はさまざまな商品を扱えるようになります。そしてリテール部門、つまり個人顧客の開拓に力点が置かれるようになりました。 ここで「自己責任論」が出てくるのです。要は、顧客が購入した金融商品が元本割れをした際、その責任を誰が