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ブックマーク / saebou.hatenablog.com (86)

  • 女ハムレットの復讐~『マッドマックス:フュリオサ』 - Commentarius Saevus

    『マッドマックス:フュリオサ』を見てきた。言わずと知れたジョージ・ミラーのマッドマックスシリーズの最新作である。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のプリークェルである。 www.youtube.com お話は文明崩壊後、緑の場所に住んでいる幼いフュリオサ(アリーラ・ブラウン)がうっかりしていてバイカーホード(バイカーギャング的なもの)に誘拐されるところから始まる。母親のメリー・ジャバサ(チャーリー・フレイザー)が追跡するが、結局つかまってメリーはディメンタス(クリス・ヘムズワース)率いるバイカーホードに殺害されてしまう。フュリオサは一言も口をきかなくなるが、ディメンタスの養女として育てられることになる。やがてフュリオサは政略結婚を見据えてイモータン・ジョー(ラッキー・ヒューム)に譲り渡されるが、逃げ出して男装し(このへんで演じている役者がアニャ・テイラー=ジョイになる)、ウォー・リグの

    女ハムレットの復讐~『マッドマックス:フュリオサ』 - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/06/01
    珍しく初日観てきた。ディメンタスは扇動の仕方が薄っぺらいポピュリズム政治家っぽかった。面白かったけどデスロードに比べると結構見劣りするなぁと思ったの間違いじゃなかったっぽい。個人的にアニャはPBの人
  • インセルを諷刺した鋭いコメディ~The Last Incel - Commentarius Saevus

    スモックアリー劇場でThe Last Incelを見てきた。ジェイミー・サイクス作・演出による芝居である。登場人物は5人のみ、60分の小規模なプロダクションである。 4人のインセルがZoomでチャットをしているという設定の話で、全員四角い枠を持っており、これがPCの画面という設定である。途中でこの枠を持ってみんなで踊ったりするところもあり、ミュージカルみたいになるところもある。4人はインセルということで日々女性に対する敵意を語り合っていたが、メンバーのひとりであるアインシュタイン(Niall Johnson)の誕生日の前日、たまたま別のメンバーであるCuckboy (Fiachra Corkery) が女性とセックスしていたことがわかり、さらにはまだその女性マーカレット (Justie Stafford) が部屋にいてチャットに入ってきた…というところから始まるコメディである。 マーガレッ

    インセルを諷刺した鋭いコメディ~The Last Incel - Commentarius Saevus
  • スペイン風邪流行期のダブリンの産科を扱った芝居~ゲイト劇場『星のせいにして』 - Commentarius Saevus

    ゲイト劇場でエマ・ドナヒューの小説人が戯曲化した『星のせいにして』(The Pull of the Stars)を見てきた。ルイーズ・ロウ演出でオールフィメールキャストである。 舞台は1918年、スペインかぜが大流行中のダブリンの産科病室である。助産師のジュリア(サラ・モリス)は2人の妊婦の面倒を見ていたが、そこにブライディ(ガリア・コンロイ)がさらにもうひとり、非常に具合の悪そうな妊婦を運び込んでくる。手の足りないジュリアはブライディをアシスタントにして妊婦たちの面倒を見るが… オールフィメールキャストで、時代ものだが戦争やパンデミックといった非常に現代的な内容を扱っている(小説の執筆は新型コロナが流行る直前の時期らしい)。産科病室に入院している妊婦の間にも格差があり、そこが非常に丁寧に描かれている。デラ(インディア・マレン)はプロテスタントでミドルクラスだが、出産にまるっきり無知な

    スペイン風邪流行期のダブリンの産科を扱った芝居~ゲイト劇場『星のせいにして』 - Commentarius Saevus
    tekitou-manga
    tekitou-manga 2024/05/28
    全員女性キャストなのか。原作小説(勿論邦訳)では名前のある男性キャラ3人くらい(弟、糞医者、清掃員)は思い出せるけど女性が演じてるのかオミットされたのか……リン医師の漫画みたいな設定ほんま
  • 非常にちゃんとした諷刺コメディ~『アメリカン・フィクション』 - Commentarius Saevus

    アメリカン・フィクション』を配信で見た。 アメリカン・フィクション Jeffrey Wright Amazon 主人公のセロニアス・「モンク」・エリソン(ジェフリー・ライト)は大学で教える作家だが、最近小説を出せていなかった。アッパーミドルクラスのインテリであるモンクは書いた小説が「黒人」らしくなくて売れないということで、やけくそ気味のモンクは黒人文学ステレオタイプてんこもりの小説を書き、犯罪者で逃亡中の作者が書いたというふれこみで売り出しす。ところがこれがやたらにウケて映画化権もすぐに売れることになり、だんだん事態が手に負えないことに… アメリカの文学界と映画界を痛烈に諷刺した作品である。マイノリティは無徴のマジョリティと同じようなことをやっても注目されず、マイノリティらしさを過剰に求められるというありがちな状況を皮肉っているのだが、一方でモンクの家庭の様子などはけっこうリアルに描かれ

    非常にちゃんとした諷刺コメディ~『アメリカン・フィクション』 - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/05/14
    良くできてるって信頼する人たちが言ってるが知識不足で文脈が良くわからないのがいくつも(何かやってるのは分かる)。“飛躍のある映画のほうが好み”映画の終わり方3案の3つ目をストレートにやるくらいが良かった
  • 『芸術新潮』映画レビュー最後の連載では『ミセス・クルナスvs.ジョージ・ブッシュ』をとりあげました - Commentarius Saevus

    『芸術新潮』映画レビュー連載の最後の回で『ミセス・クルナスvs.ジョージ・ブッシュ』をとりあげました。グアンタナモに収容された息子を取り戻すべく戦うドイツのトルコ移民のお母さんを描いた、実話に基づくお話です。1年間の連載、どうもありがとうございました。 芸術新潮 2024年5月号 作者:芸術新潮編集部 新潮社 Amazon

    『芸術新潮』映画レビュー最後の連載では『ミセス・クルナスvs.ジョージ・ブッシュ』をとりあげました - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/05/03
    連載お疲れ様でした。レビュー面白かった。タイトルの問題、いつになったらその辺アップデートされるんですかね……観に行こうかと思ったらあまり好きじゃない映画館でしかやってない……どうしようかな
  • トリニティ・カレッジ・ダブリン図書館 - Commentarius Saevus

    トリニティ・カレッジ・ダブリンの図書館で簡単なスタッフツアーをしてもらった。ここは『ケルズの書』を持っており、いつも大混雑である。13年前に一度見たことがあるのだが、多少展示は変わっていた。 何度来てもすてきなジェダイ公文書館ことロングルーム。 ロングルームのらせん階段 シェイクスピア像 像が男性ばかりだったので女性の像が追加されたらしい。これはオーガスタ・グレゴリー。

    トリニティ・カレッジ・ダブリン図書館 - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/04/25
    地球が浮かんで見えるのはなんだろう?オブジェ?ステンドグラスではなさそうだが
  • 発想はいいのにフツーのメロドラマになってしまった〜『フラワーショウ!』 - Commentarius Saevus

    アイルランドの映画『フラワーショウ!』を見てきた。 ランドスケープデザイナーであるメアリー・レイノルズの実話をもとにした映画で、チェルシー・フラワー・ショーに雑草だけの庭で出展しようとするアイルランドの田舎娘の奮闘を描いた作品…ということでスポ根みたいなコメディを想像して見に行ったのだが、なんかあまり笑うところがなく、フツーのメロドラマみたいになっていてそんなに面白くなかった。この設定ならいくらでも面白い喜劇にできると思うのだが… とりあえずはしょるところとじっくり描くところのバランスがかなり悪い。立ち上がりはやたら早いのにエチオピアでのロマンスのシークエンスが長く、一方でフラワーショーの準備で塩素の文章を間違って大失敗するあたりとかはやたらすぐ解決してしまうので、メリハリがかなりイマイチだ。もっと挫折→解決の繰り返しをテンポよくかつ盛り上げて描写しないと映画として面白くならない。あと、恋

    発想はいいのにフツーのメロドラマになってしまった〜『フラワーショウ!』 - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/04/20
    割と面白いなぁと思ったんだけど、言われてみれば初速しかなかったってのも納得ではある……あと恋愛に比重置きすぎというのも。クリスティに頼りすぎだよね。皇太子がさほど似てないのにそうだって分かるのがツボ
  • アイルランド現代美術館 - Commentarius Saevus

    キルメイナム刑務所のすぐそばにあるアイルランド現代美術館にも行って来た。無料で入れる。こんな建物である。 中庭と美術館の建物 第一次世界大戦以降のヨーロッパ政治と芸術に関する展示と、デリーの映画ビデオワークショップグループなどについての展示が特集展示だった。 床に増殖する金色のもにゃもにゃ、前方にみどりのクマ

    アイルランド現代美術館 - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/04/17
    ggったら1991年設立とあって、91年にこれ建てたの?と思ったら建物は17th-century Royal Hospital Kilmainhamなのね
  • キルメイナム刑務所ツアー - Commentarius Saevus

    休日なのでキルメイナム刑務所のツアーに行って来た。キルメイナム刑務所はアイルランドの独立運動家が多数収監されていた刑務所で、イースター蜂起のリーダーの処刑も行われたので、アイルランド史にとっては非常に重要な場所である。現在は刑務所としては使われておらず、史跡として保護されている。見学はツアーのみだが、ツアーは大人気でしょっちゅう満員になるらしいので早めの予約が必須である。 いかめしい玄関。以前はここから囚人を入れていたらしい。 裁判所の部屋に集合し、ツアーガイドに説明をききながら刑務所を回る。 裁判所。ツアーはここから始まる。 19世紀半ば頃まではひとり用の独房に無理矢理5人入れるというようなこともあるくらい混雑がひどくて悲惨な状況だったらしい。ただしパーネルは世論の反発を怖れて特別に整備された広い個室に入れられていたとのこと。 博物館 ヴィクトリア朝風のパノプティコンっぽい監房があり、こ

    キルメイナム刑務所ツアー - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/04/17
    Wikipediaみたら、マイケル・コリンズや麦の穂をゆらす風で使われてたところね。うっすら記憶があるような。ダブリンGPOは表からみたことあるけどここは知らなかった。ヤング・インディ・ジョーンズでも使われたってENで
  • ポッシュな人たちが怖がるもの~『ソルトバーン』(配信、かなりネタバレあり) - Commentarius Saevus

    エメラルド・フェネル監督『ソルトバーン』を配信で見た。 Saltburn Barry Keoghan Amazon 舞台は2000年代半ば頃のオクスフォードである。奨学金をもらって進学してきたオリヴァー(バリー・キョーガン)は、エリートばかりの環境になかなかなじめない。ところがひょんなことからオリヴァーは上流階級の息子フェリックス(ジェイコブ・エローディ)と親しくなる。オリヴァーはフェリックスの両親が所有する巨大な屋敷であるソルトバーンに招かれ、そこで夏を過ごすことになる。 『回想のブライズヘッド』+『太陽がいっぱい』+ジョゼフ・ロージーの映画(『恋』とか『召使』)みたいな感じのお屋敷スリラーである。監督が『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネルなのでけっこうなひねりもある。ひねりについては、中盤のやつはともかく、最後のは私はむしろ前作よりすっきりしていいのではと思った。

    ポッシュな人たちが怖がるもの~『ソルトバーン』(配信、かなりネタバレあり) - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/04/06
    英国ものの割に英語が聞き取りやすかったのは何故だろう?(米ドラの半分もわからない時が多い)。色々理解できてないんだろうが、プロミシング~のが好き。/エルスペスは"posh"で"モデルだった"でいいのかな?
  • 「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」連載を書肆侃侃房に引き取っていただくことになりました - Commentarius Saevus

    wezzyで連載していた「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」ですが、wezzy閉鎖に伴い、書籍版の版元である書肆侃侃房に引き取っていただくことになりました。引取手が見つかってよかったです。書籍版に再掲されていないものについては全てこちらで公開されています。 note.com 書籍版もよろしくお願い申し上げます。 お砂糖とスパイスと爆発的な何か: 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門 作者:北村紗衣 書肆侃侃房 Amazon

    「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」連載を書肆侃侃房に引き取っていただくことになりました - Commentarius Saevus
    tekitou-manga
    tekitou-manga 2024/04/06
    "書籍版に再掲されていないものについては全てこちらで公開されています" おっ、読みに行こう
  • しょうもないロマコメ~『アイリッシュ・ウィッシュ』(配信) - Commentarius Saevus

    Netflix配信のセント・パトリックス・デーのホリデイロマコメ『アイリッシュ・ウィッシュ』を見た。 www.netflix.com 編集者のマディ(リンジー・ローハン)は担当をつとめているアイルランド出身の小説家ポール(アレクサンダー・ヴラホス)に恋をしていたが、ポールはマディの親友エマ(エリザベス・タン)と結婚することになってしまう。結婚式でアイルランドに行ったマディは願い事が叶うという石のベンチでポールとの結婚を願ったところ、翌朝マディはポールと結婚することになっていた。ところがマディは地元で会ったジェイムズ(エドワード・スペリーアス)と妙にウマがあってしまい、ポールとの結婚に疑問を抱き始める。 とにかくアメリカ人がアイルランドに抱いている妙なファンタジーが詰まった作品…なのだが、そのわりに全然アイルランドっぽいところが活用されていない。何しろマディの恋の相手になるポールはアイルラン

    しょうもないロマコメ~『アイリッシュ・ウィッシュ』(配信) - Commentarius Saevus
  • 漁師バンドと地域ナショナリズム~『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』を見てきた。コーンウォールのポート・アイザックで漁師たちがやっていた、民謡や俗謡を歌う男声合唱団が、ひょんなことからデビューすることになり…という話である。「フィッシャーマンズ・フレンズ」は実在するグループで、一部実話に基づいているらしい。 www.youtube.com 主人公であるダニー(ダニエル・メイズ)はロンドンの音楽プロデューサーで、友人のバチェラーパーティのためポート・アイザックにやってきた。そこで上司のトロイ(ノエル・クラーク)にかつがれ、漁師たちの男性合唱団であるフィッシャーマンズ・フレンズと契約しろという命令を受ける。最初は全く乗り気でなかったダニーだが、漁師たちの歌の魅力にだんだんと引き込まれ、契約にこぎつける…ものの、なんとトロイはあれは冗談だとデビューを拒否する。ダニーは単身、漁師バンドのメジャーデビューの

    漁師バンドと地域ナショナリズム~『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
    tekitou-manga
    tekitou-manga 2024/03/23
    え?それ引き受けちゃうの?からの……でめちゃ笑った。面白かった。字幕だけじゃ追えないネタも色々あって、いくつも取り逃がしてるんだろなぁと。レザボアシードッグw
  • ポールがイケメンすぎるのが悪いと思うんだ~『デューン 砂の惑星 PART2』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『デューン 砂の惑星 PART2』を見た。当然第一部の続編である。 www.youtube.com 父親を殺されたポール(ティモシー・シャラメ)は砂漠の民フレメンのもとで修業して砂漠の民らしい戦い方を身につけ、ハルコンネン家と戦って次第に支持を広げるようになる。スティルガー(ハビエル・バルデム)をはじめとする一派はポールが予言された救世主だと信じるようになり、ポールの母ジェシカ(レイチェル・ファーガソン)もフレメンの教母となってその予言を人に信じさせようとする。最初は救世主扱いに抗っていたポールだったが、やがてその役目を引き受けるようになり、ポールを愛するチャニ(ゼンデイヤ)はその姿に複雑な感情を抱くようになる。 アクションとか戦闘なども含めて1作目よりもメリハリがあり、宮廷陰謀劇のところも達者な役者陣が活躍していてたるんだところがない。皇女イルーラン(フローレンス・ピュー)が帝国の噂や起

    ポールがイケメンすぎるのが悪いと思うんだ~『デューン 砂の惑星 PART2』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
  • 炎の床に横たわりて〜『海賊じいちゃんの贈りもの』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『海賊じいちゃんの贈りもの』を見てきた。 ダグ(デイヴィッド・テナント)とアビー(ロザムンド・パイク)の夫婦は別居中で離婚寸前だが、そのことを隠し、子どものロッティ、ミッキー、ジェスを連れてスコットランドの高知地方に住んでいるダグの父、ゴーディ(ビリー・コノリー)の誕生日パーティに向かう。ゴーディは癌でかなり具合が悪く、今年の誕生日が最後になるかもしれないということで、スコットランドに住むゴーディの息子ギャヴィンとマーガレットは大規模なパーティを計画していた。ヴァイキングの末裔である破天荒なゴーディじいちゃんは息子とそのたちがあまりにもケンカばかりしていることにすっかりうんざりしており、孫たちの前で「ヴァイキング式に戦士として船に乗せ、火をつけて海に流して欲しい」と漏らす。その後にゴーディじいちゃんは海辺で突然亡くなってしまう。孫たちはじいちゃんの遺志を守ろうといかだを作って遺体を燃や

    炎の床に横たわりて〜『海賊じいちゃんの贈りもの』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/03/17
    タイトルで想像したよりずいぶん面白かった。爺ちゃんえっそこで!?だったけどそれ以上のえ!?が。船に乗せて火矢で射るの、あちこちで観るけど最後のは初耳だった。リトルミスもそのうち観たい
  • 科学者の見る小さな世界と科学の大きな影響~『オッペンハイマー』(試写、ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    クリストファー・ノーラン監督の新作『オッペンハイマー』を見てきた。 www.youtube.com 物理学者で原爆開発の立役者のひとりであるJ・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)の伝記映画だが、全人生はカバーしていない。オッペンハイマーが若手研究者として頭角を現し始めたくらいから始まり、ルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)が商務長官就任を却下されるところまでで終わる。この終わりはいったいオッペンハイマーの人生にどういう関係が…と思うかもしれないのだが、実際に見ると極めてきれいに着地している(ここも面白いのだが、あんまりネタバレすると良くないのでこのレビューでは割愛する)。 まず、序盤でけっこういやな気持ちになることを覚悟したほうがいい…というか、オッペンハイマーがロスアラモスにマンハッタン計画のための科学者村を作り、原爆の実験を成功させるまでが、まるでむちゃくちゃ

    科学者の見る小さな世界と科学の大きな影響~『オッペンハイマー』(試写、ネタバレあり) - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/03/07
    直接描写が無い理由として"本作はオッペンハイマーの心の中で起こっていることとその限界に関する物語"というのは説得力があるように思う。あちらのTwitterユーザ達がいう「伝記映画だから」だけでは説得力に欠ける。
  • ポストBrexitエドガー・ライト〜『ベイビー・ドライバー』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    エドガー・ライトの新作『ベイビー・ドライバー』を見てきた。 舞台はアトランタ、主人公は凄腕のドライバー、ベイビー(アンセル・エルゴート)。事情があって逃走車のドライバーとしてドク(ケヴィン・スペイシー)のもとで働かされているが、ある日行きつけのダイナーの新しいウェイトレス、デボラ(リリー・ジェームズ)に恋をして… カーアクションは凄いし、全体に流れる音楽のセンスも良く、とくにクイーンの「ブライトン・ロック」を使ったシークエンスはこれだけで見る価値はあるくらい素晴らしい。良くできた映画だし、面白い。 …しかしながら、私はあんまり好きになれなかった。完全に個人的な好みの問題なのだが、これはエドガー・ライトが今まで撮ったスリー・フレーヴァー・コルネット三部作(『ショーン・オブ・ザ・デッド』、『ホット・ファズ』、『ワールズ・エンド』)とは全然、違う映画だ。この三つの映画に共通するテーマとしてあるの

    ポストBrexitエドガー・ライト〜『ベイビー・ドライバー』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/03/04
    音楽も映像も凝ってるなぁとは思いつつ、ヒロイン描写があまりに薄っぺらくて、これで2017年?とか思ってしまった/"一応場所はアトランタなのだが、場所からそういう生きている質感みたいなものが一切、奪われている"
  • 甘い物が食べたくなる図書館アクション映画~『ガンパウダー・ミルクシェイク』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『ガンパウダー・ミルクシェイク』を見てきた。 www.youtube.com 主人公サム(カレン・ギラン)は、殺し屋の母親スカーレット(レナ・ヘディ)がまずいことになって逃げ出して以来、母親と一緒に仕事をしていたネイサン(ポール・ジアマッティ)のもとで腕利きの殺し屋に成長していた。ところがサムがミッションの途中で少女エミリー(クロエ・コールマン)を助けたことからトラブルが発生し、サムは15年振りに母親と再会し、女殺し屋たちが運営する「図書館」に助けを求めることになる。 90年代のタランティーノ+ジョン・ウィック・シリーズの女性版みたいなアクションものである。けっこう激しく血が飛んだりするようなアクションが多いところは『キル・ビル』などを思わせるが、世界観が独特で特殊な設定が使われているところはジョン・ウィック・シリーズに似ている。とくにアンナ・メイ(アンジェラ・バセット)、フローレンス(ミ

    甘い物が食べたくなる図書館アクション映画~『ガンパウダー・ミルクシェイク』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/03/04
    正直アクションがあまり好みではなかった。図書館もプライベートな施設なんだろうが、何故開架の本の中に武器を隠しているのか謎(面白いから?)。ああいうミルクシェイクは食べた事ないので1度は食べたい
  • eスポーツのことがよくわからなくても楽しい映画~『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』(試写、ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』を試写で見た。 www.youtube.com 舞台は徳島の高専である。ケガでバスケットボールを諦めた達郎(鈴鹿央士)は『ロケットリーグ』というゲームの達人で、3人でチームを作って出場するeスポーツ大会への出場を計画する。張り紙に反応した翔太(奥平大兼)と、達朗が無理矢理リクルートした亘(小倉史也)でなんとかチームを編成する。全くの初心者の翔太と、やる気ゼロの亘を従え、チームは前途多難だが… 私は基的に自分がよく知らないスポーツなどをわかりやすく見せてくれる映画が好きなのだが(全然モータースポーツのことを知らないのだが『ラッシュ/プライドと友情』が大好きだ)、これは『ロケットリーグ』というゲームのことを全く聞いたことがなくてもよくわかるように作ってあり、その点では非常に気に入った。また、登場する高専生のうち、達郎と翔太は家庭に問題を抱え

    eスポーツのことがよくわからなくても楽しい映画~『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』(試写、ネタバレあり) - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/02/22
    ロケリーが映画になってんのか(少しニュアンスが違う?)……トップクラスと比べると比較的マイナーなタイトルだけど、だからこそ使えたのかな?プレイしたことないけど、機会があればみてみたいな。3/8公開かぁ
  • ハリソン・フォードのアップデート~『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』 - Commentarius Saevus

    『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』を見た。 www.youtube.com 吟遊詩人のエドガン(クリス・パイン)と戦士のホルガ(ミシェル・ロドリゲス)は親友同士で、窃盗で投獄されていたが刑務所の仮釈放審査を利用して逃げ出すことに成功する。2人はかつての盗賊仲間で現在は出世して領主になっている詐欺師のフォージ(ヒュー・グラント)に引き取られているはずのエドガンの娘キーラ(クロエ・コールマン)を探しに行くが、父親ぶりたいフォージはキーラにデタラメを教え、エドガンとキーラを引き裂いてしまう。エドガンは昔の盗賊仲間をまた集め、新しい仲間も加えてキーラを取り戻すための作戦を練るが、実はフォージの領地では大きな陰謀が進行していた。 もとになっているゲームを知らなくても楽しめる作りで、気軽に見られるコミカルな冒険ものである。魔法の杖をめぐる展開などはちょっと強引すぎると思えるところもある

    ハリソン・フォードのアップデート~『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』 - Commentarius Saevus
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    tekitou-manga 2024/02/21
    エドガンがジョーンズ博士に似てるとは全然思わないし、色んな差異はあれど、映画の作りとしてはインディ・ジョーンズっぽいなぁとは思った。映画館で観なかったの後悔したやつ