「映画は常に観客にとって力強い前進を示さなければならない」――樋口真嗣監督が25年前に書いた、ある映画の企画書の冒頭の言葉だ(『怪獣文藝の逆襲』角川書店刊)。1984年、造形助手として参加した映画『ゴジラ』以降、数々の現場で実績を重ねてきた樋口監督が、国内のみならず、全世界に衝撃を与える怪物漫画の実写映画化に挑んだ。特撮部分はもちろんのこと、音や動き、実写ならではの要素を存分に発揮した、ド迫力の『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』にかけた思いを聞いた。 原作者・諫山創氏から映像化で言われていたこと エレン(三浦春馬) ――爆発的な勢いで広まった原作ですが、樋口監督のファースト・インプレッションとは? 樋口主人公のエレンたちと比べて、明らかに巨人たちの絵には、得体の知れない、悪意を込めて描いている感じがしました。その悪意の込め方みたいなものに、いい意味での違和感を感じて、これが画に