クラシック音楽ファンの間で広く知られている「レコード芸術」の休刊が決まった。 休刊に影響を与えているのが広がる音楽サブスクリプション(サブスク)。シャッフルされたBGMの中にアーティストの名前が溶解していくことで、「批評」に対する需要が消失したのだ。 CD(=パッケージメディア)の中でアーティストが表現してきた起承転結のドラマやアートワークの価値はもう理解されないのだろうか。 (林田 直樹:音楽ジャーナリスト・評論家) 「おいおい、それはちょっと……!」 心あるクラシック音楽ファンであれば、身に覚えがあるはずだ。月刊誌「レコード芸術」の誌面を広げて眺める。気になるCDの批評を読む。なるほどと頷くこともあれば、反発を覚えて思わず声を上げることもある。 当のアーティストやレコード会社の制作・宣伝担当者にしてみれば、心を込めて録音したCDを上から目線でばっさり貶されれば、相当なストレスを感じるに