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『花束みたいな恋をした』は、ファミレスの物語だ。坂元裕二が脚本を書き、2021年に公開された同作は、主人公2人の甘く、苦いラブストーリー。それは、ファミレスでの告白からはじまり、ファミレスでの別れ話で終わる。 ちなみに筆者はこうした「ファミレスでだらだらするシーン」が出てくる物語を「ファミレス文学」と呼んでいるが、本作は「ファミレス文学」の代表格といえるだろう。 学生が社会人になっていくときの心の動き、そしてある種の「子どもだった自分たちへのノスタルジー」を多分に含んだ本作は、深夜のファミレスで過ごした時間が、どこか夢のような、幻のような空間だったことも表している。ファミレスで、恋人とだらだら話した時間は、もう戻ってこない。本作を見終えたあとに感じるのは、そんな気分だ。 そして、現実に、そんな「だらだらできたファミレス」は過去のものになっているのかもしれない。 苦境に立たされるファミレス
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2024年2月25日と26日に、国公立大学の入試(前期日程)が実施されました。今年も多くの大学でさまざまな問題が出題され、例年の傾向どおりの大学もあれば、出題傾向に変化があった大学もありました。 そんな中で、今年の入試問題の中で、驚きの問題が出題されました。埼玉大学の入試問題で、なんと2022年度とまったく同じ問題が出題されたのです。 英語の第3問・自由英作文の問題なのですが、問題文が2022年度と一言一句まったく同じなのです。 会場で受けた受験生も戸惑った 試験会場で解いていたという受験生は「まさかと思って、自分の問題文だけ2年前のプリントの残りが出されたんじゃないかと心配だった」と話していました。 いったいなぜ、埼玉大学は「まったく同じ問題」を出題したのでしょうか?本記事では、この問題と「大学入試の問題」について考察していこうと思います。 まず、問題文はこちらになります。 ※外部配信先
2024年2月22日、日経平均株価の終値がバブル絶頂期の1989年12月29日の3万8915円87銭を上回り、史上最高値を更新した。実に34年ぶりだ。 バブル崩壊後、長期にわたり停滞を続けてきた日本経済だが、歴史的な世界インフレに端を発した2022年からの国内インフレは、企業の値上げや賃上げを促し、日本経済のマインドセットを変えつつあると指摘されている。インフレ下でも企業業績は順調であり、長年の「デフレ経済」からの完全脱却に期待が集まっている。 その意味でも、今回の日経平均株価の最高値更新はシンボリックな事象だ。ただ、株式関係者がお祭り騒ぎになるのはいいとしても、この間の日本経済の構造変化や今後の方向性については慎重に考える必要がある。 ここでは、1989年と現在の違いをデータで読み解き、それらについて考えていこう。 東証時価総額はすでにバブル期を超えていた 最初に指摘すべきは、東証全体の
「働きアリの法則」というものがあります。 これは、アリの集団を「よく働く・普通に働く・働かない」に分類したときに、よく働くアリが2割、普通に働くアリが6割、働かないアリが2割に分かれるという研究に基づくもので、別名「 2:6:2の法則」とも呼ばれます。 この法則のおもしろいのは、たとえ「上位2割の働くアリ」だけを取り出してグループ化しても、その2割の中で従前のように2:6:2に分かれてしまうというところです。逆に、働かない2割の下位群だけを抽出しても、その中から働く2割が生じるということでもあります。 変わらない「恋愛強者3割の法則」 同様のことは、人間の恋愛においても再現されます。 私は、以前より「恋愛強者3割の法則」と言っていますが、いつの時代でも、どこの地域でも、何の集団であっても、恋愛においてモテる層というのは大体3割程度であるというものです。厳密にいえば、恋愛強者3割、中間層4割
それゆえ、フランスでは不登校の対応は公的機関が行い、特別なサポートも公的予算によってなされる。その予算確保の社会的同意を得るため、フランス教育省はホームページに「学校からの早期退出は社会的コストである」と明記している。市民も公的サービスの費用を税金として払っているので、子どもに合った教育を提供できていなければ、それは公的機関の落ち度だと考える。 とくに「平等」については、学校が重要な役割を担う。フランス政府は、1882年より「医師の診断のない月2日以上の欠席」への対応を学校側に求めるようになった。1989年には、「平等の原則」として「どのような家庭出身の子どもでも社会的に成功できることを学校が可能にする」と打ち出している。 さらに1996年の「欠席予防の通達」により、「心理面、知能面、感情面、愛情面、社会に適合する能力、成熟」のすべての面において学校が子どもの成長を支えることが定められた。
年々激しさを増す中学受験に、新たなプレイヤーが目立つようになった。中国にルーツを持つ子供たちである。それを象徴するのが、首都圏で中学受験をリードする存在である大手塾、SAPIXでの躍進ぶりだ。 SAPIXは首都圏における中学受験の4大塾(SAPIX、早稲田アカデミー、四谷大塚、日能研)の中でも、難関校の合格者数で群を抜いている。単に問題を解くというよりは、思考力を高める独自のカリキュラムで定評があり、定期的に組分けテストを行うスパルタ教育で知られる。 300人を超える中国人が在籍 2022年度までSAPIXに娘を通わせていた世田谷区在住の中国人ママ、黄さん(仮名)に話を聞こう。「当時SAPIXには一学年あたり6000人を超える生徒がいて、そのうちの300〜400人は中国人でした。最上位のアルファクラスにいたことがある中国人生徒も、私が知る限り60人ほどいます」。 なぜ、そんなことがわかるの
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一時期は衰退傾向にあったものの、環境に配慮した交通機関が注目を集めるヨーロッパで見直しの機運が高まり、活性化が進む夜行列車。新興企業の参入も増え、旧国鉄系の鉄道会社が運行する旧態依然とした夜行列車とは異なる充実したサービスで利用者の人気を集めている。一方で、迎え撃つ旧国鉄系もこの動きをただ見ているだけではない。夜行列車ブームの欧州でどのような列車、そしてサービスが登場しているのか、最新の動きを紹介する。 運行開始から半年で路線を拡大 新興の民間列車運行会社「ヨーロピアン・スリーパー」は、今年2023年5月25日から開始したブリュッセル(ベルギー)―ベルリン(ドイツ)間の寝台サービスを、2024年3月からドレスデン(ドイツ)とプラハ(チェコ)まで延長すると発表した。 ヨーロピアン・スリーパーはオランダの起業家、エルマー・ファン・ブーレン氏とクリス・エンゲルスマン氏によって2021年に立ち上げ
「おじさんはモテる」は、妄想であり勘違い アラフィフの中年男性が15歳も、20歳も年下の女性にアプローチして、女性から心からあきれられ、気持ち悪がられる風景を日常的に目撃します。筆者の個人的な視界の範疇でも日常的に見かけるので、未婚男性が集まる結婚相談所では「おじさんが若い女子を狙う問題」は、産業を揺るがす大問題となっているようです。 若い女性の尻を追いまわしている中年男性たちは、「おじさんはモテる」「経験を重ねた年上男は、頼りがいがある」「島耕作を見てみろ」と、本気で思っています。冒頭から申し訳ないですが、アナタのその意識は妄想であり、勘違いです。 アナタの理想や妄想と、現実には大きなズレがあります。 残念ながら「おじさんは若い世代から尊敬されている」「知識と経験がある年上男性がモテる」というのはアナタが思い込んでいるだけです。では、試しに婚活アプリに登録して、理想の20代女性に「いいね
トヨタ自動車は11月1日、2024年3月期の純利益が過去最高の3.95兆円になる見込みと発表しました。従来予想の2.58兆円から上方修正した理由のうち約1兆円は円安効果ですが、その要因を除いても好調であることに変わりはありません。 この決算発表を受けて、トヨタが底力を見せたと礼賛するアナリストの声が目立ちました。中でも目を引いたのが、トヨタの稼ぐ力がテスラを超えたという報道です。トヨタは2021年上期に売上高純利益率でテスラに抜かれて以降は後塵を拝してきたのですが、今回の決算で久しぶりにライバルを稼ぐ力で超えることができたというのです。 また、自動車各社の業績については中国市場の減速が不安要因になっていますが、その点でも今回の決算でトヨタが中国への依存度が低いことが強みと評価された様子です。この先、中国市場がさらに停滞してもトヨタの決算への影響が少ないことがプラス要因とも報道されたのです。
国の豊かさ=公共財の豊かさ ――いまや国民の税負担は、江戸時代の「五公五民」並みと言われるほど増しています。なぜ私たちの国力は落ちつづけ、国民の生活はいっこうに豊かにならないのでしょうか。祝賀的なイベントには多額の公金が注ぎ込まれているのに……。 五輪や万博のような祝賀資本主義が「原因」で日本の劣化を招いているのではありません。そういうものにすがるほかに経済的浮力を得ることができなくなった日本資本主義の衰退がこういうむなしいイベントのかたちに結果しているのです。 国の豊かさというのは、公共財の豊かさのことです。私有財産の総和がどれほどでも、その富が一部の人間に排他的に蓄積されていれば、国は貧しい。問題は公共財なんです。たとえ私財は乏しくても、高等教育まで無償で受けられ、医療も無償で受けられ、住宅も公営のものが無償で提供されるなら、その人はかなり豊かな生活が保障されていることになります。
10月7日のハマスの攻撃後、パレスチナ紛争はまた一気に国際的な注目を集めています。イスラエルによる大規模なガザ爆撃で一般市民の犠牲はますます増加し、近日中に地上軍でガザに侵攻することが予想されています。 多くの報道では7日まで平和な毎日があり、ハマスの一方的で理不尽な行動によってそれが破られたかのように描かれていますが、本当にそうでしょうか。歴史的背景を理解しないと、大きな誤解をしてしまいがちです。 そもそも「パレスチナ紛争」とは? 「古代からアラブ人とユダヤ人が住んでいて、宗教的な理由から紛争している」と思い込んでいる日本人は少なくありませんが、そもそもその出発点からしてそうした見方は誤りです。 20世紀初頭から、アラブ系パレスチナ人が暮らすパレスチナ(当時オスマントルコ領)に、「2000年前、ここは我々の先祖の土地だった、よってここにユダヤ人だけの国家を作る」と、シオニズム(ユダヤ人国
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名前が紛らわしいが、一般の制度とは違う ――「東北大学テニュアトラック制度」では、若手研究者の大半をテニュアに登用せず、それどころかテニュア審査すら実施していない場合も多いと、在籍していた人たちから聞いています。本来のテニュアトラック制度のあり方に反していませんか。 まず、そもそも東北大学では、いろいろな分野の若手研究者が互いに切磋琢磨しながら新しい研究を開発できるところとして、学際科学フロンティア研究所(学際研)を2013年にスタートした。 任期は最大5年で、うち3年は研究に専念いただき、そのあと余裕をもって次のキャリアを開発していただく形で2017年までやってきた。そうした中で、学際研の研究者が素晴らしく育ち、良い研究成果を創出していることが学内でも認知されていった。 もともと囲い込むつもりはなく、世界で活躍する人材をつくりたいという思いだった。ただ、これだけ素晴らしい研究者が育ってい
コーエン:今の状況は後からでないと完全には理解できないでしょう。1968年5月や、その前後には、工業社会は限界に来ていると考えられていました。その認識は正しかった。しかし、工業社会から抜け出しさえすれば、その後には永遠の平和が待っているとの予測は外れました。当時の人々は、消費社会は存続しないと考えていたのです。 経済のルールに支配された世界 ケインズが1930年代に示唆していたように、働く必要がどんどんなくなり、別の世界に変わっていくと信じていました。 実際、ベビーブーマーは、日本でも、フランスでも、アメリカでも60年代に大きな声をあげていました。自分たちの使命はポスト物質主義の世界を構築することだと考えていました。当時の人々はそう信じていましたが、それは実現しませんでした。 実際には今でも、経済の問題は変わらず存在しています。そして、今日、ポスト物質主義の世界に入るために求められているの
校長と自治体首長が判断できるように 9月に新学年が始まったフランスでは、学校内でのいじめが確定した加害者の生徒を、別の学校への転校させることが可能になった。 「他の生徒の安全や健康リスクをもたらす生徒の意図的かつ反復行為」を正式に確認した場合、校長は「これを終わらせるあらゆる教育措置を実施する義務がある」とし、自治体首長に「加害者生徒を学校から退学させ、自治体内の別の学校に登録する手続きを要請できる」としている。 これまでは被害者の要請があれば転校命令を出せたが、9月からは校長と自治体首長の判断で強制的に転校させることが可能になった。ただし、その自治体内に公立学校が1つしかない場合、生徒の転校は、転校先となる別の自治体の首長が入学させることに同意した場合にのみ行われる。 アタル国民教育相は、今秋の新学年からいじめ撲滅を最優先課題と強調し、欧州連合(EU)議長国フランスはEU全体の優先課題と
日本の町のどこかで毎日のようにオープンしているラーメン店。総務省統計局「令和3年経済センサス」の産業集計によると、平成28年の時点で日本全国のラーメン店は約1万8000軒あるという。現在はもっと増えているだろう。 開店前から行列ができる人気店をめざすには、おいしいラーメンを作る技術は言うまでもなく、X(旧Twitter)やインスタなどのSNSで新作メニューや限定麺などの情報を発信する力も求められる。それがラーメンやグルメを扱うインフルエンサーに刺さって拡散されると、集客へとつながるからだ。 どこかで見たことのある店構え 今年4月、静岡県磐田市に1軒のラーメン店がオープンした。JR東海道線磐田駅から徒歩30分以上かかるうえ、通行量が多い幹線道路沿いにあるわけでもない。にもかかわらず、連日大盛況。中には大阪や神戸からここを目指して来る客もいるという。 巷の人気店のようにラーメン系インフルエンサ
世界的にコロナ禍が収束し、再び訪日観光客が増えている。国内ではインバウンド需要を歓迎する報道が多いが、日本は主要国で最も英語の通じない国である。日本は安全でトイレの清潔な良い国であるが、世界から見るとコミュニケーションの取りにくい国であることも自覚しておかねばならない。いっぽう、やはり英語が通じなかった韓国や中国では英語の通用度がずいぶん上がったと感じる。何が違うのだろうか。 アジアで一番良かった国が「フィリピン」の衝撃 北京から寝台列車でモンゴルへ向かったことがある。コンパートメントには私とデンマーク人青年、彼はアジア3カ月間の旅の終わりで、ネパールから入り、アジア各国を周遊、北京から列車でモンゴルへ、さらにシベリアを横断して帰国するという。 私はありきたりな質問だが「アジアでどこが良かったですか?」と聞いた。すると彼は真剣に考えてくれたが、意外にも答えは「フィリピン」だった。私は「海が
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