企業において、営業の領域や、人事の領域においては、まだまだ「経験則」を重んじる会社も多い。 だが、最近では各種データが手に入りやすくなり、統計的手法が用いられやすくなってきたためか「ビジネスの権威や先輩」の経験則に各方面から猜疑が投げかけられている。 例えば管理職の大きな悩みのひとつに、「部下をほめて伸ばすか、それとも叱って育てるか」という難題がある。 年配の方は「厳しくしないと育たない」と経験則を述べるが、最近の管理職向けの研修などでは、 「最近の若手は叱られ慣れていないから、叱るのはやめたほうが良い」 など、意識変化を促すような内容も語られる。 一体どちらを信じたら良いのだろうか。 ノーベル経済学賞を受賞した心理学者、ダニエル・カーネマンはイスラエル空軍の指導教官にたいして「訓練効果を高めるための心理学」を教えていたときのエピソードを紹介している。 カーネマンが「部下は叱るよりも褒める