木版画家、デービッド・ブルさんの生き様とは?(撮影:今井康一) 東京・浅草。天ぷら屋、着物屋、和菓子屋などが並ぶ下町の商店街に、木版画の工房がある。作業台に向かい、彫刻刀を版木に落としているのはデービッド・ブル(通称デイブ)さん。カナダ人の木版画家だ。 真剣な面差しで、植物の葉の細かい線を、ゆっくり慎重に彫り進めていく。張り詰めた緊張感があり、とても話しかけられない雰囲気だ。 その10分後――。 「こんにちは、デイブです! 待たせてごめんね、ようこそ!」 人懐っこい笑顔、流暢な日本語で、デイブさんは取材に応じてくれた。作業中と打って変わって明るく、根はフレンドリーな性格であることがうかがえる。すっかり和んだ雰囲気の工房で、青い目の木版画家に話を聞いた。 一目で木版画に魅了されたきっかけ デービッドさんの作品群(撮影:今井康一) デイブさんは1951年にイギリスで生まれ、数年後にカナダのトロ