一昨年(2009年)のウィキメディア・カンファレンス・ジャパン2009は、知の構造化センターとの共催で、東京大学(駒場キャンパス)で開催された。国会図書館館長の長尾真、ウィキメディア財団のジェイ・ウォルシュ両氏の基調講演、百科事典とは何か、ウィキメディアのプロジェクトの紹介、そしてウィキペディアをつかったデータマイニング…。予想を超える来場者数で受付の対応が間に合わず、行列ができた。他に例を見ない、ウィキペディアン、研究者、編集者ほか出版などのメディア関係者といった様々な人が交流する機会となった。 昨年刊行された『ブック・ビジネス2.0』(岡本真・仲俣暁生編、実業之日本社)の前書きで、ウィキメディア・カンファレンス・ジャパン2009に言及されているのをみて驚いた。この本が成立する一助となったのならば、スタッフの一員としては、望外の喜びである。もっとも、その直後からスタッフの間では、2009