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第158回 金融大地震に世界がやるべきこと、日本ができること(1) 経営コンサルタント 大前 研一氏 2009年1月7日 わたしは全国の経営者を対象にした「向研会」という勉強会を主宰している。この会ではもう10年以上にわたって毎月一回、経営の世界で起こっていることに関してテーマを決めてわたしが話をするのだが、毎年12月はその年の経済・経営を振り返りながら来年の世界の経済状況の見通しを述べるのが習わしだ。わたしなりの分析を提供し、もって皆さんの経営のお役に立てていただこう、という狙いである。自分で言うのも口はばったいが、これはメンバーには大変な好評をもって迎えられている。 今回(昨年12月)の勉強会を準備するにあたっては、わたしもいささか頭を抱える仕儀となった。なにしろ「見通す」ことが難しいのである。理由は言うまでもない、例の世界的金融危機だ。昨年9月以降のダウ工業株30種平均株価の推移
10月14日、日本経団連が「人口減少に対応した経済社会のあり方」(PDFファイル)と題する報告書を発表した。政局や金融危機のニュースに隠れてしまったためか、ほとんどの新聞がこれに触れていないのだが、このなかに非常に注目すべき提言がある。それは「移民の受け入れ」だ。 日本経団連は、以前から外国人労働者の受け入れについて積極的な態度を示していたが、今回のように「日本型移民政策」という表現まで使ったうえで、「外国人と日本人がともに、双方の文化・生活習慣の違いを理解しつつ、同じ地域社会の中で支障なく生活していくことが可能となるような環境づくりを進めていく必要がある」と、帰国を前提としない移民の受け入れを明確に提言したのは、おそらく初めてだろう。 その根拠として挙げられているのが、人口の減少と高齢化の急速な進展である。報告書で引用している国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2055年の総
我が国の財政がどういう状態になっているか。国民100人に質問すれば、おそらくそのうちの99人は、借金漬けで破綻状態だと答えるだろう。だが、はたして本当にそうなのか。それに関する興味深い発表が6月25日にあった。 それは財務省が発表した 2006年度末における国の債務残高である。それによると、債務残高は、前年比 0.8%増の 834兆円。これは過去最高の額で、国民一人当たりにすると 653万円になる。 これを受けて新聞各紙は一斉に、「また借金が増えた」と厳しい財政事情を書き立てた。朝日新聞は「『ローン地獄』脱出道遠し」という見出しをつけている。なにしろ債務残高は GDP の 1.6倍。税収の 17年分の借金を抱えている計算になる。確かに先進諸国のなかで、こんな国はほかにない。 しかし、債務残高が大きければ財政事情は苦しくて、小さければ財政は好調だという単純な話ではないこともまた事実である。そ
日本の税制が低所得者を保護している例として、よく次のようなことがいわれる。 1.日本の課税最低限は諸外国に比べて高い 2.日本の税制は累進課税になっている 1は、分かりやすく言い換えると、「あなたは稼ぎが少ないから税金を払わなくてもいいですよ」という収入の水準(課税最低限)が、日本は諸外国よりも高く設定されている、という意味だ。 2は、簡単に言えば、「貧乏人はあまり税金を払わなくてもいいが、金持ちになればなるほど高い比率で税金を払っている」という意味である。 どちらも事実であれば、日本の税制は低所得者に優しい制度であるということになる。どうも、日本人の7割から8割が、こうした「神話」を信じているようだ。そのため、政治家からさえも、次のような議論が出てくる。 「日本は低所得者に甘い税制になっており、お金がない人が税金を支払っていない。だから給与所得控除、配偶者控除、特
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