政府がマイナンバーの利用拡大やカードの取得促進に向けた動きを進めている。行政のデジタル化は必要だが、悪用への不安が国民に根強いことも忘れてはならない。信頼向上を置き去りにして強引に利用を加速させるのは、慎むべきだ。 政府は、今国会にマイナンバー法改正案を出す。番号を使える事務の範囲や情報照会での政府の裁量を増やす方針だ。 法の別表に記されている事務に「準ずる事務」であれば、別表を書き換えなくてもマイナンバーを使えるようにする。それぞれの事務で照会できる情報の制限規定も、法の別表から、国会審議が要らない政省令に格下げする。 さらに、社会保障と税、災害対策の3分野に限ってきたマイナンバーの利用範囲を、国家資格や自動車登録、在留外国人関連の事務にも広げるという。 マイナンバー制度は、電子申請などでの本人確認の有力な手段になる。システム構築にも巨費を投じてきた。国民に便利をもたらし、行政を効率化で