終わらないロシアのウクライナ侵攻、混乱する世界経済、生成人工知能(AI)は社会を一変させるのか――。この困難な年に、日本は厳戒の広島でG7サミットの議長国を務めた。ウクライナのゼレンスキー大統領が突然訪日し、討議に加わった。極めて不安定な情勢を象徴する出来事だ。 「分断と対立ではなく、協調に向けた結束を」と岸田文雄首相は呼びかけた。言うは易(やす)いが、行うは難しである。 核使用への恐れが世界を侵食する中で、ヒロシマの実相に首脳たちが触れた意味は重い。だが、ロシアの威嚇や中国、北朝鮮の軍拡を受けて核抑止が叫ばれ、核軍縮・廃絶の道が閉ざされつつある現実を動かせるかはおぼつかない。唯一の被爆国の行動が問われるのはむしろこの後だ。