空飛ぶ少女が描かれる一方、少年たちは… そう、これまで宮崎は、「空飛ぶ少女」を描き続けてきたのだ。言うまでもなく「空を飛ぶこと」は、宮崎にとって最もフェティシズムを抱く瞬間のひとつである。しかしそれでは宮崎が描いてきた「空飛ぶ少年」はどうだろうか。 自転車を漕いで空を飛ぼうとするも、どうしてもキキのように縦横無尽に飛ぶことはできないトンボ。あるいは空を飛ぶ時は龍となり、湯婆婆の手下にならなくてはいけないハク。豚の姿でしか飛行機に乗ることのできない、呪われた中年パイロット・ポルコ。 『千と千尋の神隠し』より。龍の姿で空を飛ぶハク ©2001 Studio Ghibli・NDDTM 鮮やかに軽やかに空を飛ぶ少女たちと比較すると、彼らが空を飛ぶことには、どうしてもスティグマが付いて回るのだ。まるで宮崎自身が、「男が空を飛ぶには、罪を背負わなくてはならない」とでもいうかのように。 その罪を明らかに
スタジオジブリ最新作「君たちはどう生きるか」は監督の宮﨑駿氏も“訳のわからなさ”を認めている映画だ。この作品の謎を、サブカル評論家として知られる朝日新聞の太田記者が解き明かす。 ◆◆◆ ペダルを漕ぐ、ナイフで竹を削る、飯粒を嚙む 手書きのアニメーションとは、こんなにも自由で、豊かで、人の心を魅了できる表現なのか――。映画「君たちはどう生きるか」を観て、そんな驚きと興奮に囚われない人はまれだろう。人力車の重そうなペダルを漕ぐ、ナイフで竹を削る、飯粒を嚙むという日常的な動きから、全身を使って船の帆を操り風を捉えようとする機敏でダイナミックな動き、そして壁面に飾られていた鳥のレリーフが突然膨れあがり生命を得て飛翔するという幻想的な動きに至るまで、この映画に満ち満ちた「動き」は、実写映画ともCGとも異質な、そして圧倒的な生命力にあふれている。 話題の映画ポスター Ⓒ 2023 Studio Ghi
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