大手書店ではこれ、「映画本」コーナーに、いわゆるシナリオ術(作劇術)の本といっしょに置かれるしかないし、それは間違ってはいない。 でもこの本の射程は、映画やアニメの脚本をどう書くか、といった問題を超えている。 さらに広く、ゲームや漫画や小説をどう作ろうか、といった問題にも達しているが、それすら超えてしまっている。 本書の射程はもはや、どう生きるか、という大問題に達してしまっている。 僕はこの本を「幸福論」として読んだ。 創作物において、本気の自慰こそが性交である シナリオコンクール応募作を審査したり、大学で学生の脚本を指導したり、企画進行中の脚本(他のプロ脚本家の作品)の〈体調不良〉の相談を受けたり(この最後のが、日本に数人しかいないともいわれる「スクリプトドクター」の仕事)した経験から、著者はこう言い切る── 〈書き手が「本当に本気で」自分のストレスを発散させることができれば、その作品は