大塚英志の本を読んだ。 「スターウォーズ」と同じような構造だけが、村上の、たとえば「羊をめぐる冒険」にあるし、構造が共有化されているから世界で受け入れられているというのは、まあ、そうなのかもしれない。 という分析なのだけれども、村上と宮崎をつなぐところに、「ゲド戦記」が置いてあったりする。ここでは、宮崎悟郎監督の映画ということになるのだけれども、そこで父の宮崎は近親憎悪を見てしまったこと、そのことが、村上におけるオウム真理教のジャンクな物語に対する近親憎悪に比較されている。 たぶん、そうなのかもしれない。 でも、ぼくは違う見方をしてしまう。 「1Q84」がこれまでと同じ物語構造というのは、その通りなのだけれど、もうひとつ作家としてずっとやってきたことは、説明抜きのものをはめこんでいるということ。「1Q84」で言えば、空気さなぎやリトルピープルのことは、きちんと説明されていない。 こうした謎